それは神がかり的な出会いから始まった~その7

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著者: 大隈 明子

懐かしい旧市街を見学した私たち。


義母も叔母も、

これで心おきなく日本に帰ることができます。


平泉の駅もこれで見納め。

しみじみと眺めていたら、案内の方が大きな箱を持ってきました。


「よくこの町に帰ってきてくれました。

 これは私たちからの贈り物です。

 これからもずっと元気で長生きしてください」


「えっ!?」


「これは平泉の工芸品なんです」


それは大きな絵でした。

縦横1mはある大作です。




「これを私に?」


義母の目からまた涙がこぼれました。


「懐かしい風景を見られただけでも充分なのに、

 こんなに良くしてもらって……」


後はもう言葉になりません。


案内の方は、自分の母親に接するように

優しく義母の肩に手をかけ、ただうなずいていました。


この国に来て、ずっと感じていたんですが、

皆さんお年寄りに優しいんです。


電車でも、地下鉄でも、必ず席を譲ってくれる。

自分の身内を思いやるかのように気を使ってくれる。


私たちが旅行者だからじゃないんです。

お年寄りを敬う文化が根付いている国なんです。


思わぬ展開に、一同しんみりとしたところで

義母からこんな提案が。


「皆さんでお昼ごはんでも一緒にどうですか?」


街を案内してくれた方々にお礼をしたいと言うのです。


もちろん大賛成!

私たちは、どうにかして感謝の気持ちを表したいと思いました。


「気の利いたレストランはないんですが、

 良かったら私たちがご案内しましょう」


案内の方が連れて行ってくれるというので

車で後に続きました。


観光客などいない町です。


だからレストランといえば、地元の人が行く

やや大きめのお店を想像していたのですが……

着いたとこはなんと!!

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