芸能界で売れることを目指さなくなった俳優が、将来実現したいと思っているエンターテイメントのかたち

前話: 浅野忠信さんと田中真弓さんに直接会ったにも関わらず、俳優の僕が芸能界で売れることを目指さない理由 完結編

未来に起こるSTORY

実はこのストーリーを書くのをどうしようか、ずっと考えていました。

なぜなら今からここに書くストーリーは「まだ起こっていないもの」だからです。

過去に起きたことならすらすら書けましたが、今起きてないことを自信を持って書いていいのだろうか、という不安がありました。


この前に書かせていただいたストーリーが自分の予想をはるかに越えて、ありがたいことに1万以上のビューをいただいてとても嬉しかったのですが、

その反面その勢いで書いたこの章に関して、

自分のやりたいことを1万人の前でコミットするんだってことに、正直ビビッてました(;・∀・)

大勢の前で言ったからには達成しないとかっこ悪いし、書いたからには実現させてやろうっていう自信が持てませんでした。


でも、やっぱり「書こう!」って思えたきっかけがありました。


本田圭佑選手のACミラン移籍のニュースです。

ご存知のかたも多いと思いますが、本田選手はセリエA(イタリアのトップリーグ)への移籍を小学生の時の夢で語っているんです。小学生の時に書いた夢を実現させている。めちゃめちゃかっこいいって思いました。

そしてしかもWカップ決勝でブラジルに2-1で勝つところまで見据えている。

画像転載元:http://blogs.yahoo.co.jp/sayumi4444/GALLERY/show_image.html?id=39703426&no=17


有言実行どころの比ではないというか、それだけを目指してひたすら進んできた本田選手のストーリーを知り、奮えました。

あの、本田選手でさえ自分の夢を叶えるのに20年近くかかっている。彼みたいに強くない僕がいまから決めてなかったら、夢をかなえる前に人生終わってしまう。。。そう思って考え方を変えようと思いました。


「できるかどうか、ではなく、やりたいかどうかで考えよう」


僕がいまからここに書こうとしているのは、

ちょっと先の未来のお話。


「芸術」にできること

前回までのストーリーにも書かせていただいたのですが、

「俳優としてどうありたいか?」を考えたときに、その質問の前に「そもそもなんで俳優なのか?」という質問が自分の中にありました。

僕がいままで思ってきた俳優が活躍できるフィールドって、TVの中か、舞台の上か、映画館の中っていうイメージ。

そこで活躍しご飯を食べていくには「芸能界で売れること」が必須条件。じゃあ、その道を選ばない僕はいったいどこで活躍できるんだろうか?

その質問の答えがさっぱり分からず、その答えを出すのにとても時間がかかりました。


そのひとつの答えが出たきっかけは、「芸術」の持つ力について考えたことでした。そこで、僕が「芸術」という表現方法が大好きなのには、明確な理由があることがわかりました。


それは「正義を押し付けない」ということです。


どんなアーティストであれ表現者はみな、世界中の人々や自分の近しい人やまたは時には自分自身に対して発信したい「メッセージ」を持っています。そのメッセージの裏側にはその人なりの「正義」があります。もちろんそれは僕の中にも。

でもこれは何もアーティストに限ったことではなく、人はみなそれぞれ何かしらの正義を持っていると思うんですよね。

・「夢はかなわなくてもでっかく持つ方がいい」という正義の人

・「夢なんて大きく語らずに、のんびりつつましく暮らしていきたい」という正義の人

・「やられたらやり返す」のが正義の人

・「殴られたら反対側の頬を差し出す」のが正義の人


正義に正解なんて存在しないと思いますが、でも、自分と反対の「正義」に出会ったときに反発をしてしまうっていうこと、ないでしょうか。

それはものすごく自然な感情なのですが、自分と明らかに異なるものと出会うと人は、それを拒絶して、排除して、否定して、そして時に自分の「正義」を押し付けてしまうことがよくあります。これは僕もよくやってしまいます。




画像転載元:https://www.amazon.co.jp/これからの「正義」の話をしよう-ハヤカワ・ノンフィクション文庫-マイケル-サンデル/dp/4150503761

これからの「正義」の話をしよう/早川書房



僕は、世の中の数多くの軋轢がこの「正義」と「その反対の正義」との対立によっておこっていると思うんです。この正義と正義の対立がネット上では、意味のない炎上を巻き起こし、リアルな世界では時に戦争までも引き起こしてしまう。

「正しいと自分が信じていること」って実はすごく大きなエネルギーなのに、それが合わさることなく打ち消し合ってる、お互いの足を引っ張っている。それってすごく悲しいことだなと思います。


そんな中で「芸術」って、って思ったときに


自分の正義を押し付けずに、相手に自分の正義(伝えたいメッセージ)を伝えることができ、そしてそれをどう受け取るかは完全に相手にゆだねることができる

最高の表現方法だと思ったんです。

そこで初めて、

自分
ああそうか、だから芸術をやりたいんだ。

って気づきました。人と人とが自分の正義を、それを誰かに押し付けることなく自由に表現できることって素晴らしいことじゃないかなと思えたんですね。


僕の中の正義は「正義を押し付けないこと」です。



そしてそれを俳優としてのフィルターを通してどう社会に貢献できるかを考えたときに一つの答えを導き出すことができました。


正義をうまく表現できない人たち

僕はあの震災があってから、悶々と思っていたことがあります。

それは寄付を募る人たちと、寄付をする人たちの関係についてです。


日本には寄付に関して他の先進国に比べてどこか消極的というかあまりそういう文化が根付いてないと思います。

そういう僕自身もそんなにバコスコ寄付しているわけではないです。寄付の重要性は感じてはいます。でも正直どこに寄付していいのかよく分かりません。こう感じているのは僕だけではないのではないでしょうか。


そのモヤモヤを解消したくて、ボランティアでさまざまな事業やられている方とたくさんあって話をききました。その中の誰一人として「なんとなく」やっている人はいなくて、「世界はもっとこうあるべき」というミッションを持っていました。

でもその思いを世間にうまく伝えられていないんじゃないかなって思ったのも事実です。思いが強すぎるために押しつけに感じてしまうこともありました。


その中でとても印象的な活動をされていたのは「石巻2.0」という一般社団法人のみなさんでした。

そのホームページにはこう書いてあります。

「3.11前の状態を取り戻すなんて考えない」

「世界で一番面白い街をつくろう」


それはもはや「復興」ではなく「革新」だなと思いました。

その活動を東京でもやられていてそのイベントで主催のかたからそのミッションを聞いたとき、素直に「かっこいい」そう思いました。


僕自身が、一番楽しく簡単に寄付ができたときって、楽しいイベントの参加料金の一部が寄付に回される形でした。自分が楽しくイベントを過ごせて、主催者もお金が集まって、最終的に困っている人たちへの助けになる。そんなwin-win-winの形がとても心地よかったんですね。


駅前で大きな声をあげるのもいいけど、こういうふうに気軽に寄付できる機会を提供できた方が、結局たくさんの人の「ありがとう」が集まるんじゃないか、と考えました。


いや、ちょっとまて。

あっ。。。



そうだ。これをやればいい。

これだったら俳優として役に立てる。

俳優は、人前に立つのが仕事。そして自分ではない誰かの人生を生きることが仕事。そして人(の注目)を集めることが仕事。


そして芸術という表現方法を使って、自分の正義を伝えたいけど世の中にうまくPRできない人たちの代わりに、それを表現する広告塔になる。ある一つの「正義」を世の中に多く知らしめ、それを強要することなく応援してもらう。


そのためのお手伝いを、舞台や映画や、またはまったく別のイベントやエンターテイメントを通して行っていく。

そこに来てくれる人たちは、なにも寄付が目的でなくても、誰かを援助することが目的でなくてもいい。ただ純粋にそのエンターテイメントを楽しんでくれれば。

そしてそこでいただいたお金を、ボランティアや基金に回す。

自分たちの収益はスポンサーなどの広告収入で稼ぐ。


そんなモデルを確立すればいい。



閃いちゃいました。

ただこれを成し遂げようと思ったらすげーーーーーーーー大変なことだけはすぐに気づきました。

・ミッションの賛同者を増やすための実績作り

・僕個人への信用力

・様々な価値観への偏見を持たない器の大きさ

・そしてエンターテイナーとしてのスキル


などなどありとあらゆるものがゼロからのスタートです。

はっきりいって壁だらけです。

でもだからこそ一生の仕事にしていきたいし、チャレンジのし甲斐がある。


本田選手の言葉を借りるなら

壁があったら殴って壊す。道が無ければこの手で作る」

それまでです。




ストーリを書くフォーマットの最後にこんな質問が乗ってるんです。

答えは「はい」です。

その続きをこれから作っていきます。


応援、よろしくお願いいたします。

著者のKawaguchi Yoshikiさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。