もと海外添乗員のぶっちゃけ話 その15 私の故郷。ここは地の果てアルジェリア。

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エト邦枝の『カスバの女』を知っている人がいるとは思いません。

(Storys.jpの年齢層からいって)
私も知りません。
でもカスバって名前は映画好きだったら知ってるかもしれませんね。
フランスを代表する名優ジャン・ギャバンの出世作『望郷』の舞台になった所です。これも1937年の映画なんで古いっちゃ古いですが。


どうでもいいですけど、宇宙刑事ギャバンは彼の名前からつけられたそうです。
さらにどうでもいい話ですが、私は28年前にここで生まれました。

それから随分長い間、内戦のため入国できませんでしたが、最近また入れるようになりました…が、その矢先に日系企業の方がテロの被害に遭われるという痛ましい事件がありましたね。被害に遭われた方のご冥福をお祈りします。
観光をする国としては両サイドにあるチュニジア、モロッコとは違い、まだまだ発掘されていない魅力あふれる国です。

カスバ

映画では盗賊ペペはカスバに潜んで、警察の手を逃れる描写があります。
確かにカスバは迷路のよう。
クルマはカスバの中に入れません。ガイドさんがいなければ3秒で迷えるほど複雑怪奇な作りです。一応ツアーの場合は警察官が2人ほど付いてくれるのですが決してそこまで治安が悪い所ではありません。「彼らのお小遣い稼ぎだー」なんてガイドさんは言っていましたね。

(カスバの男とカスバの女)

アルジェリアの魅力

国のほとんどがサハラ砂漠です。そのイメージからは意外に思われるかもしれませんが、農業が盛んな国です。特にローマ時代は一大穀倉地帯として非常に栄えた国です。そのため、ローマ遺跡が多く残っているのですが、そのほとんどはまだ発掘作業中。観光地化はまだまだ先になるでしょう。
発掘途中の巨大なローマ遺跡に自分だけが歩いていると時代の移り変わりを独り占めしたような不思議な感覚を味わえます。

中世史からも、とても興味深い場所です。レコンキスタでイベリア半島を追い出されたイスラム教徒やユダヤ教徒が移り住み、赤髭の海賊バルバロッサが彼らを率い地中海を我がモノとし、海戦の弱いオスマントルコ帝国に自分たちを売り込むくだりはとてもスリリングでドラマチックですね。十字軍やトロイを映画化するくらいならこっちを映画化した方が面白そうです。完全にイスラム圏でしか興行収入が得られなそうですけどね。石油王がスポンサーに付きそうだから、それはそれでいいかもしれませんね。

ガルダイア、イスラム教異端の隠れ里


私がアルジェリアで最も訪れてほしいなと思うのはここガルダイア。アルジェリアの中心部近くにあり、そのデザインの特異さは近代建築の三巨匠の一人、ル・コルビュジェに多大な影響を与えたとされる街です。
なかなかアクセスが難しく、そう簡単に訪れることは出来ませんが、行く価値はあると思います。

添乗員ワンポイント

添乗員的な話をすると、アルジェリアを個人で旅するのは全くオススメしません。
スーダンが分裂したので現在アフリカで最も広い国土を持っていますので、やたら移動に時間がかかります。

その上、若干アジア人への感情は良いものではありません。
中国人がごそっと移民船団を送り、あっちこっちにチャイナタウンを作り、現地の雇用を奪ってしまっているためです。時々衝突しているという新聞記事を見ました。排斥運動も起こっているようです。
道を歩いているとほぼ毎回シノワ』と言われ、絡まれます。
その都度訂正しましたが、まぁちと怖いです。
しかし、ギャラリーフェイクでも描かれたタッシリナジェールの白い巨人はいつか見てみたいです。
なんせクルマが入れない荒野や砂漠を何泊もロバ隊とキャンプしないと辿り着けないのでツアーには組めませんでしたからね。

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