世の中の癌と呼ばれて 第3回

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前編: 世の中の癌と呼ばれて 第2回
後編: 世の中の癌と呼ばれて 第4回

「世の中の癌と呼ばれ、そして海外へ」



じい様の家に住み始め、2週間が過ぎた頃、必要な荷物そしてじい様と一緒に海外に行く為にパスポートを取りに親のいる家に行った。


僕はこれから始める新しい人生に期待を膨らませていた事をよく覚えている。



じい様の家と親のいる家はそこまで遠くはなく、一人で家に行ったのだが・・・・・


そこで母親に言われた事は今でも忘れない。


母親
今度はおじいちゃんに迷惑をかけて、あんたは本当に生きているだけで「世の中の癌だよ」死ねばいいのにね。

自分は世の中の癌なのだといわれた。

しかし、それ以外は何も言われる事はなく、手を出される事もなかった。

荷物を持ち帰り、母親に言われた事をじい様に話した。


するとじい様は言ってくれた。


じい様
いいか、癌と言う病気は確かに人を不幸にさせるかもしれない。だけど、癌になる事で人は死を近くに感じる。そうすると今まで当たり前に見えていた家族や人との関係に感謝をするようになる。もうその人たちとは長く一緒にいられない、だからこそ、一秒一瞬を大事に生きる事を教えてくれる。お前は、人と人とのつながりを大事だと言う事を気付かせてくれる存在なんだ

なぜだか涙が出た。

自分の存在をこんなにも受け入れてくれた人が目の前にいる。

こんなにも自分は大事にされている。

じい様といれば何も怖くなかった。



それから数週間の後、僕はじい様とフランスに行った。


じい様の仕事は主に世界の美術作品を各国に展示、輸送する際の責任者だった。


フランスでの日々は本当に楽しいものだった。


ゆっくり流れるセーヌ川。


その川を挟むモンマルトル、モンパルナス。


かつての芸術家が、画家が座っていたとされる素敵なカフェがあり、じい様は一つ一つ教えてくれた。


じい様は普段から海外が長く、さまざまな言語を話せた。


日本語は当たり前。


英語、フランス語、イタリア語、ロシア語、あわせて十数ヶ国語を自由に話した。

みんなの読んで良かった!