ピンチ!日本企業。10年前のライブドアから学ぶ、今の我々に足りない働き方とは(12)
色々なサービスがありました・・・
石橋を叩いて渡るどころか、橋があるかどうかも確認せずに突進してきたライブドア。
1の成功の裏には100の失敗がある。
ということで、「え、そんなサービスもやってたんだ?」、というWikipediaにも載ってなさそうなのを思い出してみた。
■インスタントメッセンジャー「YABUMI」
そもそもインスタントメッセンジャー(IM)という呼び名すら、あまり聞かなくなったのだが、2001年にオン・ザ・エッジがこのサービスをブライアという会社から取得しており、私が入社した2003年頃も社内推奨メッセンジャーだったのだが、かなり使いづらく、その後、すぐにサービス自体が終了した。
これまでのSkypeや、現在のLINEなどの伸びを思うと、うまくやっていればもっと成功していたのかもしれないのだが、、、
当時、社内でも社員の多くは「Yahoo!メッセンジャー」を使用していた。
しかし、それも先日をもって終了し、隔世の感である。
■「2ちゃんねるプロバイダー」
すでに、ADSLや光などブロードバンド接続が流行り始めていた2003年にサービス開始。
”アナログモデムやISDN”のみ”で接続できるプロバイダー”
自分も過去に、ブロードバンドが流行り始めた2002年にナローバンドのISP事業に関わったことがあるので、「速度が遅いデメリットを抱えたままどうやってマネタイズするのか?」と思ったものだが、なんと、このプロバイダーからネットにつなぐと、2ちゃんねるの「dat落ち」した過去のスレッドを閲覧できる、というサービスを売りにしていたのだ。
しかし、、、社内ではその後もあまり盛り上がることなく、話を聞かなくなったのだが、なんと2007年1月まで運営されていたことに驚いた。それにしても2ちゃんねるというサービスの息の長さも半端ない。
■「livedoorエンコーダー」
ユーザーがライブドアに音楽CDを送付し、ライブドアでMP3に変換しCD-RやDVD-Rに焼いて送り返してくるという前代未聞のサービス。2004年5月開始。
なんと3ヶ月で終了。開始時からグレーな香りプンプンではあったが、誰もやっていないところにもしかしたら需要があるかも、というトライアルだったといえよう。
例えば、今であれば、寺田倉庫さんの「minikura」の応用で、部屋にCDを置いておくのはかさばるが、それをあずけておけて、聞きたいときにオンラインで聞ける、また、ヤフオクなどへも1クリックで売却できる、というようなサービスだったら、また違ったかもしれないが、そもそもCD自体、今後どこまで売れるか分からないので、これからやるのはオススメできないのだが。
2009年にリリースされ著作権問題で炎上し、1週間でサービス終了したエニグモ社の「コルシカ」も、メディアの新しい可能性に挑んだサービスだったが、何もチャレンジせずに沈んでいくよりは、よほどマシだと思った。
■livedoor wireless
事件前の2005年9月、都内2200箇所アクセスポイント設置を目標に進められていた、いわゆる公衆無線LANサービス。
3GもLTEとなり高速化したとはいえ、いつでもどこでも外でwifi接続はまだまだ実現できていないのだが、それを目指していたサービスだった。
衛星インターネットやスピードネットなど、室外高速ネット接続のサービスはことごとく伸びていなかったところに、殴り込みをかけた期待のサービスだったのだが、2011年にKDDIへ譲渡、2013年4月にサービス終了している。
過去、ヤフーがYahoo!BBで、ブロードバンドモデムの普及に努めてネット人口を伸ばしたように、この事業も当たっていれば、また違うインターネット社会になっていたのかもしれない。
ネット企業だとしてもネットだけで完結するサービスにとらわれ過ぎない姿勢
他にも、1号目だけを出して即廃刊になったゲーム雑誌や、私も立ち上げに関わった携帯3キャリア対応のサイト立ち上げASP「livedoor mobiley」、WindowsPCをベースとしたセットトップボックスなど、自分が知っているだけでも、色々なサービスがあった。
ただ、最近のブームもあるのかもしれないのだが、SNSにせよ、写真・動画共有サービスにせよ、元手がかからないので立ち上げのリスクが少ないのはわかるのだが、それだけではどうしても差別化も難しくなってしまう。
ネット以外の部分ともうまく融合することで、さらに新しいサービスが生まれる。無料フォトブックサービスの「nohana」、フリマアプリの「メルカリ」、ライフネット生命保険、高級タクシー配車の「UBER」など、インターネットを利用したサービスはまだまだ生まれている。
固定観念にとらわれず、これからもどんなサービスが出てくるか、ますます楽しみである。
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