大学院卒業間際のニートがそもそもカリブ海に行ったワケ

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著者: 尾崎 裕真

今回の旅は実は7年前から始まっていた。

 俺はもともと、大阪の人間ではあるが、幼少期をアフリカのケニアで過ごし、日本に帰って来たもんだから、もともと海外には興味あった。幼少期をケニアで過ごしたからと言って英語がペラペラにしゃべれる! な~んてこともなく、むしろ学校の英語のテストでは赤点ギリギリか、赤点を毎回叩き出し、親と先生にガミガミと怒られる。

お前ケニアで何してきたの?ってツッコミを入れられそうな、そんな海外生活(まぁ、幼稚園児だったからほとんど覚えてないの。許しって(><)ってのが言い訳だったのだが)だった。

帰国してからも家族と一緒に海外旅行や、ボーイスカウトの海外派遣に派遣されたり、なんとなく海外とのつながりがほそぼそと生きている。そんな感じだった。


2007年夏。長居陸上競技場

今思えば、ここから俺のカリブ海行きは決まっていたのかもしれない。いろんな国の国旗がはためいて、いろんな国の名前がプラカードに書かれて、選手が行進する。


俺はボーイの制服を着て、朝から入場行進の練習に励んでいた。

式は夕方である。それまでに幾度となく失敗しないよう、灼熱の競技場でくり返しくり返し、行進の練習を行なっていた。入場行進はまず、国名を記したプラカードが歩き、その後ろを国旗が通る。そして選手団が観客席に手を振りながら入場、指定の位置で止まり、開会式を始める。


練習中に持たされたプラカードは「Afghānistān」

そう、あの「アフガニスタン」である。行進の練習中当然のことながら選手はいないので、どんな選手と一緒に行進するのか。ありえない話ではあるが、物々しい人々が来るのではないか、でももし話せるなら、どんな国なのか聞きたいという好奇心を持ちながら、練習をしていたのを覚えている。

しかし、本番、練習中と違うプラカードが渡された。焦ってプラカードの文字を見直すと「cayman」と書かれている。

「カイマン?」どこやねんそれ。しかも、選手8人しかおらんのか。

俺とケイマンとのファーストストコンタクトはそれだった。

「カイマン?」どこやねんそれ。ま、ええわ、「アフガニスタン」より優しい人がくるんちゃうの?と何も知らないのに決めてかかって入場を待った。


会場運営
はい、Cの列あとすこししたら出るから用意してね。
あ、C、か出番やな
会場運営
選手が並びやすいようにプラカード掲げて
あ~~はいはい(どんな人が来るんかな・・)


となりの「China」には50人以上に人がいて、みんなミニチュアの国旗を用意して並んでいる。中国のプラカードを持つ人も、戸惑いながら交流を行っている。

選手はまだか、まだか、とキョロキョロしながら待っていた。


そして、待ちに待った入場の時、、、

競技場の入り口から、行進が始まる。練習の時にはいなかった、スタジアムの席を埋め尽くす観客と声援。観客席の中には国旗を振り回している人もいる。

まずはプラカードを持つ俺、国旗を持つガールスカウトが行進してゆく。そしてそのあとに続いたのが・・・・・・・・・・・

「china」のプラカードだった。

8人の選手は開会式に来なかったのだ。

二人でほそぼそと歩いていく後ろを、50人の選手団が大きな歓声を受けて、行進していく。

後で知ったことだが、ケイマンの監督は観客席で行進を見ていたそうで、選手はどこにいたかも定かではなかった。

この時から俺は、ケイマンの選手に、あの時になぜ来なかったのか聞いてきてやろうとずっと思っていた。だが、カリブ海なんてそうそう行けるところではない。

当時高校2年生の俺は、あまりの目的の遠さに一度は諦めていた。

だが、

ときは流れ、大学院卒業間際になった俺は今しか出来ないと信じ、カリブ海に足を運ぶことになったのである。

ほかの人から見ると、なんてどうでもいい理由で行くんだと思うかもしれない。

でも、俺にとっては7年間ずっと頭の片隅にはあったことで、それが叶うのであればいいし、もしかなわなくても、俺、カリブに行ってきたんだぜって言える。あそこの海は綺麗だ、とか汚いだとか、コミュニケーションとるのが難しいだとか、行ってみないとわからないことって沢山あると思う。

大きな理由は、ありきたりではあるけど、

自分の英語(コミュニケーション)がどこまでうまくいくか。

今までの何かしらの保護されていた海外で、本当に自分ひとりだけでどこまで通用するのか。

一番の理由はやっぱり、

あの時なんで来なかったのかっていうのを聞きに行く。

そんな事を考えながら、スーツケースに荷物を詰めておりました。

(カリブ海で得たこと0日目終了)



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