初めて通った声優養成所/老舗のスパルタ教育・その2(全5回)

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勝田声優学院は、1年目/基礎科・2年目/研究科というふうに分かれている。
基礎科の授業は勝田学院長が担当するのだが、
その補佐のような形で、元卒業生の若い先生(男性)が、
授業の一部を受け持っていた。
こ の 先 生 が 。
と に か く 厳 し か っ た 。
当時まだ30代前半くらいの若い先生だったのだが、
生徒に対して容赦がなく、本気でぶつかってくるのである。
ダメな者には面と向かって「ダメ」と言う。
例えば滑舌がダメな生徒に。
「何言ってっか全然分かんね ぇよ!」
「とにかく歯列矯正しな。そうしないといくら練習しても意味ねぇから」
※ 表情や容姿がだらしない生徒に。
「お前さぁ、服装なんとかしろよ。まずそのズボンがダメ。あと前髪も! 」
「眉毛が細すぎるんだよ」
デキる者には「その程度か」とケツを叩く。
例えば宿題(外郎売/滑舌)を一日20回
やってます!という生徒に。
「成果出てねぇだろ。ただ口に出してるだけじゃダメなんだよ。」
「ふーん。○○(←先輩の名)は50回やってるってよ?」
(※→容姿などは声優修行に関係ないのでは?と思われる方もいると思うが、「容姿の良さ」というのは現在の声優業界では非常に大事なファクターなのである。)
それから滑舌と同じくらい大事なのが、
標準語(アクセント)の完全習得である。
なので 、地方出身者は皆、普段の会話から標準語を使うように指示される。
授業が終わった後、先生と飲み会に行く。
これはどこの養成所でもよくあることだろう。
だが、この先生と行くと、
飲み会での会話も全て訓練の一部となる。
楽しく会話をしていても、不意にアクセントの違いを指摘されたり、「あ。今「れ」がスベった」等、滑舌のチェックも細かくされる。
まぁ普通に考えればたまったもの ではないが(笑)、
私達は勉強をしに来ているのだ。
この指摘がほしくて飲み会に参加している者もいた。
(↑私)
また、「滑舌練習会」なるものもあった。
基礎科の授業とは別で、有志で集まってどこかの会議室を借り、3時間、ひたすら滑舌練習だけをやりまくるのだ。
ここにもその先生が来てくれていた。
この滑舌練習会はさすがに辛かった。
なにせ、聞き分けられないのだ。
「今「ま」が甘かった。「す」が言えてない。「ら」がスベった」
と先生が指摘するのだが、私の耳ではまったく分からない。
...え、普通に言えてたと思ったけど...
つかマジかよ...ここまでやる???(汗)
その時はそう思った(笑)
が、続けていくと分かるようになるのだ。
耳が鍛えられていく。
そして、最初 は滑舌がボロボロだった生徒も、段々マシになってくる。
それはそうだ。
なんせ毎日のように、舌筋と顔の筋肉を鍛えているわけだから。
「滑舌は、やったらやった分だけ成果が出る。いつまでも言えねぇ奴はただの怠け者だよ」
「ただの怠け者」
↑その先生がしょっちゅう口にしていた言葉だった。
〜続く〜

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