墓地から這い出て、自由になってやった。

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著者: 宇野 成人



夢を持った、キラキラした奴でした。



さて、「27歳で初めてのお使い」ならぬ、「初めての会社員」


それまで、仕事らしい仕事というと、


ファミリーレストランのウェイター、

スイミングインストラクター、

セレクトショップ店員、


以上が、わりと長く続いた「カタカナ職業」です。




叔父さんに紹介されたのは、運送業という思い切り畑違いの仕事でした。



フリーター時代に、当払い(とっぱらい)の仕事、いわゆる肉体労働は、


キャラに合わない。


ギャラも合わない。


というよくわからない理由を付けて、ほとんどやったことがありません。


運送屋というゴリゴリの肉体労働環境に加え、


その筋の方ですか?


みたいな職場の諸先輩方。



それでも、根が真面目な僕は、

コネで入った会社で叔父さんに泥を塗るまいと、それなりに一生懸命仕事を覚えたのでした。


ミュージシャンになる予定でしたので、一生この仕事をやるつもりはありませんでしたが、


気分的には「俺はとりあえず奴隷で行く」でした。



とにかく2年は、それくらい気合い入れないと、

本当に、すぐ辞めてしまいそうなほど僕に向いてない仕事でした。



その時は、そう、思ってました。



朝は早い、夜は帰って来るのが夜中の10時、11時。


住んでる部屋は、生活の全てがベッドの上で完了出来てしまう位、全ての生活用品が接近してました。




ああ、牢獄ってこんな感じな。


って、マジで思いました。



奴隷になって、労働して、帰って牢獄で過ごす。



絶対2年で辞めてやる、、、



固い決意。



しかし、お給料が良かった。



月10万程しか稼いでなかった人間が、月収35万になると、


勘違いします。


俺、金、持ってる。みたいに。



以下は、勘違いしたバカのフローチャートです。


どうぞ。



 普段は忙しくて遊ぶ暇も無い。が、金は貯まる。

 休みの日に発散する。

 ボーナス入って豪遊する。

 豪遊して給料で払う。

 ボーナス払いがあることを知る。

 欲望を満たす為に他人様から借りる。

 借りたものは返す。いや、返せないから他でまた借りる。

借金という素材で出来た雪だるまが完成する。


以上。



2年で会社辞めるどころか、借金返す為に辞められない。



電気は二回ほど止まった。

水道代を督促されると、水道局に行かないと払えないこと、

家賃滞納すると不動産屋が怖い事を学んだ。



「人生の墓場」


ああ、俺は一生この会社で働くんだ。


まあ、、、いっか。


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