フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第11話

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私は軽い足取りでアパートまでの道のりを歩いた。



見慣れた外壁が見えてきた時


私はハッとして足を止めた。


アパートの階段に拓哉が座り込んでいた。




「タッくん…何で、どうしたの」


拓哉は立ち上がって私を見た。


「朝帰りっていうか、もう昼?俺と別れてさっそく夜遊びってわけ」


「……」

私はただ黙っているしかできなかった。


「お前、一体なにやってんの?ねえ?」


拓哉は呆れたようにフッと笑うと蔑むような目をこちらに向けた。


「水商売やってんのか?」


私はドキッとして目をそらすこともできなかった。


「昨日つけたんだわー。お前のこと。まさかねー。あんなハレンチな場所で

働いてるなんてな。言葉も出なかったわ。知ってんだろ。俺がああいうとこで

働く奴のことなんて言ってたか」


「…尻軽アバズレ女たちだっけ」


私は小さく言った。


「そ!よく覚えてるじゃん」


「タッくん…」


拓哉は無視して言葉を続ける。


「お前、そんな恥知らずな女だったの?垢抜けない素朴な感じが

可愛いとか思ってたのに。何なの?借金?お前んとこ片親だろ?

まさか消費者金融とか手出してんのか?なあ?」


「タッくん」


「なに」


「これはもう私の決めたことなんだ。これ以上私に構わないでもらえるかな?」


拓哉は呆然と私を見つめた。


私は拓哉の脇を抜けてアパートの階段を上った。





これでいい。


私の居場所はもう彼らのいる所にはない。


私は部屋のドアの鍵を閉めるとため息をひとつ吐いた。


鏡に映った私は髪が乱れて目の周りがくすんでいた。

この先自分になにが待ち受けているのか私には何もわからない。


新しい自分のスタートなのか

それとも

これが私の行き着いた果てなのかも分からなかった。


ただ今、嘘のない私でいたい

それだけのためだった。




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