フレッシャーズ最初の関門「飛び込み名刺交換」の思い出③
ついに迎えた、当日の朝。
あいにくの雨だった。出発前に、新入社員13人が会議室に集められる。
一日の流れや注意事項、緊急時の対応などが人事から言い渡される。
その後、「やるからには本気で取り組む」という弊社行動指針のもと、1営業マンとして、それぞれが名刺獲得の目標枚数を宣言するという儀式が行われた。
ちなみに、ここで宣言する目標は、自分で自由に設定して良かった。
しかし、ここで問題があった。
13人全員が飛び込み名刺交換を初体験のため、誰ひとり目標の適正値を知らなかったのである。
・会社の役員、Hさんは飛び込み名刺交換の社内レコード保持者で、2日間で60枚獲得した
・リクルートの新入社員は2日間で100枚以上、獲得してくるよう言われているらしい
そんな曖昧な基準しかなかった。
あいにく、序盤で宣言をすることになってしまったわたしは、他の同期たちの出方を伺うこともできないまま、とっさに知っている2つの数字の平均値を口にしていた。
一瞬で、場の空気が凍ったのがわかった。
人見知りなのに、目標枚数を盛りすぎてしまった…。
無謀なこと言ってるって思われているだろうな~。
うお~、やばい~。
営業は、結果がすべて。
儀式は、人事のその言葉で締めくくられた。
「やるからには、本気で取り組む」
営業マンとしての「本気」とは、自分の数字に責任を持つことである。
自らが宣言した数字に誠実に、達成のためだけに行動をしなければいけない。
「未達は悪」とまで言われた。
社会ってキビシイ…。
数字を「背負う」感覚を味わったのは、このときが初めてであった。
やれるかどうかじゃない、やるしかないんだ。
こうして、すさまじいプレッシャーを背負い込み、波乱の飛び込み営業研修は幕を開けたのであった。
ちなみに後日談。
当時、私たちの採用研修を担当していたリクルート出身の人事から研修後に聞いた話。
まじか。
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