派閥争いに託児問題、人間関係ドロドロで継続率は28%!そんな待機児童を抱えた50人のママ組織がどうやって業界トップシェアに辿り着いたのか
中小企業向けオンライン商談ツール「meet in」を提供している株式会社meet in。1年3ヶ月で約1,000社に導入され、「働き方改革を取り入れたい」という中小企業のニーズに応えています。
弊社が今に至るまでには、良い人材ほど組織から離れていくという、波乱の時期もありました。組織作りの失敗、そして立て直し。さらには今後目指すビジョンについて、代表取締役の齋藤に聞きました。(聞き手 広報・西江)
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ママたちが働けるオアシスを作りたい。しかし、実際には地獄絵図に…
――弊社のメンバーは、大半が子育て中のママたちです。そもそも、なぜママを雇用しようと思ったのでしょうか。
設立した3年前は、待機児童数が非常に多かったんです。私自身、当時は子どもが生まれたばかり。保活問題は当事者としても大きな関心事でした。
身近にも「働きたいけど保育園に入れないから働けない」という方が多く、人手不足が取り沙汰される一方で働きたいのに働けない人がいることを知ったんです。では、子どもを預けて働ける場を作ればいいんじゃないか。ママたちに喜んでもらえ、社会貢献にも繋がるんじゃないか。そうした想いから応募をかけてみたところ、1~2週間でおよそ100人から応募がきたんです。嬉しくてですね、ほとんど採用しました。保育士さん10名、あとは電話営業スタッフです。
――応募者をほぼ採用したというのがすごいですよね。
人材系出身でして、新卒や中途の面接を行っていた経験があるんです。そうした目で見ても、しっかりされている印象の方が多かった。社会人経験に乏しい方もいましたが、「これならいけそうだ」と手ごたえがあったんです。
――そして、実際のところは。
予想外でした。一日の出勤人数は30~40人程度だったのですが、もう全然きちんと回せなくて。例えるならば、開店直後の飲食店が、全然オペレーションを回せずにてんやわんやしている状態でした。
――何が原因だったのでしょう。
全員オープニングスタッフなので、みんなで考えて決めていくべきことも多かったんです。しかし、実際には「ここにくれば手取り足取り教えてもらえる」と考えていた方が多かった。「パソコンの電源が付かない」「使い方がわからない」といった声が続出してしまったんです。それに十分応えきれる状態を作れていなかったため、不平不満の声があちこちから出てきてしまいました。
そんな状況下でも、みんなのために動こうとしてくれる方が10人にひとりくらいの割合でいたんです。彼女たちと協力して、状況を何とかしようと試みました。しかし、今度は彼女たちが不平不満のぶつけ先になってしまい、結局次々に辞めていってしまったんです。
キッズスペースも大変でした。一般的な保育園とは異なり、キッズスペースでは来所する子どもの顔ぶれが毎日変わります。そのため、時間と共に子どもが場に慣れ、集団としてまとまっていけない。いわば毎日が入園したばかりの4月のような状態です。不平不満のある親の雰囲気を感じ取り、ストレスから泣いたり乱暴になったりするお子さんもいました。そこに親御さんがクレームをつける。保育士さんたちにとっても非常に厳しい環境でした。
――私も当時の雰囲気を覚えています。和気あいあいとした雰囲気になるのかなと思いきや、ランチも親子が点在してバラバラに食べていましたね。
みんなで食べられるスペースがあるのに、会話がゼロでしたね。私のイメージでは、子どもを預けられてママは働けるオアシスのような場になるはずだったのに、ふたを開けてみたら地獄絵図になってしまいました。
加えて、ママたちの中からリーダー的なカリスマ性のある方が出てきて、状況はさらに混沌さを極めました。ママたちが指示を仰ぐべき相手がその方になり、私はいつの間にやら悪者に。何が起きているのか、まったくわかりませんでした。そんな有様なので、売上面での結果も振るいません。想定の5分の1、10分の1といった危機的状況でした。
――残念ながら、去って行ってしまう方も多かったですね。
はい、ママたちの業務継続率が28%という、危機的な数値でした。
社内に独裁政権のようなものが誕生してしまった背景には、カリスマ的ママによる印象操作がありました。私には他のママたちの欠点を訴え、ママたちには私のことを悪く話していたんですね。だから、双方の認識に大きな食い違いが起きてしまった。その事実がわかったのは、カリスマ的ママの周辺から一歩離れたところにいた、控えめなママたちとの会話でした。お互いに「えー!?」となり、何が起きていたのか把握したんです。
――気付けたのはいつ頃だったのでしょうか。
運営開始から半年くらい経ってからですね。そこからようやく組織再生に踏み出せました。
カリスマ的ママばかりが悪だったように捉えられてしまうかもしれませんが、こうなったのには私のほうにも原因があったと思っています。彼女は、本当に仕事ができる人だったんです。そこばかりに着目してしまい、頼りすぎてしまった。結果、同じ土俵にいたはずの他のママたちに崇拝に近い感情を抱かれ、どんどん歯車が狂っていってしまったんです。おそらく自分に向けられる憧れやプレッシャーと戦い続けてくれた結果、いつしか暴走してしまったのだと思います。
長く働いてもらうには、ビジョン・事業への共感を得ることが必須
――組織改革について具体的に聞かせてください。
仕事の出来不出来を重視することを辞めました。私がもともと目指したかったのは、「未経験で働けない人が働けるようになる場」です。この想いに共感してくれるかどうかを重要視するようにしたんです。
同時に、社内では「目を見て挨拶をすること」「時間を守る、遅れる場合は連絡をすること」をルールに定めました。
――社会人として最低限のマナーですね。
はい。ただ、当時はここすらできていない状況に陥っていましたから。
――ルール設定の効果はどうでしたか。
「挨拶」と「時間」さえ守れれば、あとはどのようなルールが追加されても守れるのだと実感しました。とにかく大変だったのは、ふたつのルールを浸透させることでしたね。
採用面接でも、「挨拶」「時間」の2軸を見ています。あとは、お子さんとの接し方。弊社ではお子さん同席で面接を行っています。お母さんと子どもとの関係性は、お子さんの精神的な安定度に如実に表れると実感しているんです。関係性が構築されているお子さんは、預けられてもすぐになじめるんですよ。
――他の取り組みもお聞かせください。
組織体制を変えました。もともとフラットであったはずが、結果的に階層ができてしまっていたため、それを解体。階層ができてしまった背景には、一部のママを「SV(スーパーバイザー)」と呼んでいたこともあると思ったため、それも辞めました。肩書のせいで、SVの方には過度な責任感を抱かせてしまい、他のママたちには「あの人たちは私とは違う」と特別視させてしまっていたんですよ。
そもそも、SVを置いたのは、マルチタスクを得意としていた方に、その特技を活かして周囲のサポートをしてほしいと思ったためでした。そのため、上下意識を生まないよう、仕事内容から「サポートメンバー」と呼ぶことに。サポートメンバーはAとBに分けました。Bは電話業務を苦手とする方で、事務仕事を中心に担っていただいています。他は「コールメンバー」。名称を変え、半年くらいかけて全員が横並びの関係に収まっていきました。
あとは、ビジョンの共有ですね。当初から言ってはいましたが、「うちは働けない人を働けるようにする会社なので、スキルがない人も入ってくる。そうした人に教えられない人には合わない会社です」と全面に押し出すようにしました。結局、ビジョンや取り組みに共感できていなければ長く働けないんですよね。
――変化は現れましたか?
てきめんでしたね。まず、すべてを他者任せにする完全受け身の方は、合わないと感じて辞めていかれました。その後の離職はほぼなく、子どもの成長に伴う卒業だけ。売上も当初思い描いていた数字に届きました。月間ユーザー社数も10社から50社になっています。
この変化には、正直驚きましたね。私が想定していたニーズは、女性が活躍できる場の提供だったんです。女性を役職につけ、いわゆる「バリキャリ」に導くことが答えであり使命だと思っていたんですよ。
――女性役員の割合向上の必要性はニュースにも取り上げられています。
まさに、それが正解だと思っていました。しかし、弊社の場合、ママたちの要望はそこではなかった。バリバリ働いて出世したいのではなく、家庭とバランスを取った上で働ける場が求められていたんです。実際、1日3~4時間勤務、週3~4日が大半です。その需要に合わせた組織作りを行っても、想定通りの結果を出せるのだと気付かされました。
潜在労働力メインでの組織でも、業界トップを取れると知ってほしい
――現在の様子についてお聞かせください。
コロナ以前は出社がメインでしたが、現在は9割が在宅勤務です。「子どもがいるから無理です」と言っていたのに、必要に迫られて挑戦してみたらできちゃったんですよ。
その理由は、「子どもの泣き声、聞こえて良し」と決めたから。ママたちの懸念材料を、会社が全面的に「それでいい、それがうちの会社です」と打ち出したんです。
お客様からの反応も良いんですよ。「お母さんたち、お子さん見ながら対応してくれてるんですか」と。「子どもの声がするのは嫌だと言われるお客様はうちとは縁がないと諦めよう」と思っていたので、好反応をいただきありがたいと思っています。ウイークポイントを強みに転じさせられましたね。
――今後のビジョンについてお聞かせください。
バブル崩壊後から、日本企業には人事に強い人がいなくなりました。総務や経理など、他の仕事と兼任したり、数人で片手間に行ったりするような役割になっていったのです。加えて、新卒生がブランド化されました。新卒というだけで分不相応な価値が付けられることがあることを、人材系の仕事をするなかで目の当たりにしてきたんです。
新卒生からすると、やはりまずは大手企業を見ます。そのため、中小企業の採用活動は難しい。さらに、新卒生を雇えても、体力がないなか育てなければならない問題もあるでしょう。この構造を変えていくべきだと私は考えています。その一例が、キャリアを積んできたわけではないママたちの採用です。
いい人材を採用できれば業績が伸びるのは当然のこと。しかし、経験がない人たちであっても、できることを増やしていけばちゃんとスケールできる。目標だった「ママたちと一緒にトップシェアを作りたい」も叶えられました。キャリア志向の人を集めなくても、結果は出せるんです。
人材不足と言われながらも、潜在労働力はまだまだ世の中にある。弊社では、これからも未経験者を極力採用していきます。そして、「こうした形の組織でも業界トップシェアになれる」と、採用に苦しんでいる企業に発信していきたいと思っています。
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会社概要
商号 : 株式会社meet in
設立 : 2017年1月27日
代表者 : 代表取締役 齋藤 正秋
資本金 : 1,000万円(資本準備金500万円)
本社所在地 : 東京都豊島区南池袋2-25-5 藤久ビル東5号館 4F
ホームページ : https://meet-in.jp/
事業内容 : オンラインコミュニケーションツールの開発、提供
オンラインコミュニケーションの教育・研修
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