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利用されてこそデータには価値がある。国交省職員の挑戦とは【Project PLATEAU】

著者: 国土交通省 都市局 Project PLATEAU

国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化事業Project PLATEAU(プロジェクト プラトー)。自動運転やロボティクスなどで話題となる「スマートシティ」の実現には、サイバー空間に現実世界を再現する「デジタルツイン(デジタルの双子)」構築が必須となりますが、このデジタルツイン構築を大幅に加速させると考えられているのがProject PLATEAUです。

国交省の担当者・内山裕弥に、本事業で目指す未来について語ってもらいます。

■Project PLATEAUって?

Project PLATEAUは、実世界(フィジカル空間)の都市を仮想的な世界(サイバー空間)に再現した3次元の地理空間データである「3D都市モデル」を整備し、活用するプロジェクトです。3D地図というとGoogle Earthなどを思い浮かべる方が多いかと思います。表面的な見た目で言えばGoogle EarthとPLATEAUは非常に似ていますが、実際には全く違うデータを持っています。Google Earthなどは「目に見える形」を再現した地図です。一方PLATEAUで作成している3D都市モデルは、セマンティクス=意味を持つモデルです。一つのビルでも外壁や屋上などそれぞれの面が分割されていたり、一つのビルがオフィスなのか商業施設なのかという属性情報も持っているため、視覚的な再現だけでなく、人にとっての役割も含めた「都市空間そのもの」をデジタル上に再現したデータになります。








■Project PLATEAUで行うこと

Project PLATEAUではこの3D都市モデルについて、全国56都市のデータを整備し、オープンデータとして公開します。56都市については国交省でデータ整備を行いましたが、今回の整備で得た知見をまとめたマニュアルも公開しているので、今後はこのマニュアルに沿えば、自治体が保有する既存データを利用するなどして3D都市モデルが整備できるようになります。

■なぜこのプロジェクトがスタートしたのか

世の中に流通するデータ量の増加やAIの深化により、まちづくりや産業のデジタル化は急速に進展しており、これに新型コロナの影響が加わって、我が国はデジタルツインを実装する大きな変革期を迎えています。特に急速な高齢化や多発する都市型災害などの課題先進国である日本では、まちづくりのデジタルトランスフォーメーションは必要不可欠です。同時に、国土交通行政の分野でもデータをもっとオープンにし、イノベーションに繋げていくべきではないかという潮流もあり、本プロジェクトにつながっています。

■食材は準備した、あとは良いように料理してもらえれば…

今回のプロジェクトの中で重要な意味を持つのが、整備したデータのオープン化と、地方公共団体や民間企業とパートナーシップを組み実施したユースケースの開発です。

どんなに素晴らしいデータが揃っていても、データそのものは料理の材料と同じです。材料を使ってどんな料理ができるのか、その料理こそが社会課題のソリューションや新サービスであり、人々の生活に価値をもたらすものになります。

ユースケース開発により、PLATEAUのデータを活用するとこんなことができますよ、というプラクティスを示し、より多くの方々にPLATEAUが持つ可能性を知ってもらうこと、自分も使ってみようと思っていただく狙いがあります。



また、今回のプロジェクトにはアートディレクションのためパノラマティクス(旧ライゾマティクス・アーキテクチャー)に参画してもらっています。国交省の事業としてアートディレクションを入れるというのは極めて異例になります。国のデータというと、どうしてもとっつきにくさを感じる方が多くなりがちなので、洗練されたビジュアルや使いやすいUIにこだわってWEBサイトも構築し、まずは気軽にいじってもらって、面白そうなことをやっているな、と多くの方に感じていただきたいと考えています。

■様々なジャンルで活用できるPLATEAUが持つ大きな可能性


ユースケース開発ではハザードマップをよりわかりやすくするために3Dビジュアル化する防災面での使い方や、人流と都市活動データを組み合わせどこに人が集まっているのかなどを解析できる都市活動モニタリングなどについて、自治体やディベロッパーと一緒に実験を行いました。また商用サービスとして一般の方や民間企業に利用してもらえる使い方として、バーチャル新宿を再現してその中で買い物ができる「まちあるき」体験を提供するプラットフォームや、ドローンの航行ルートシミュレーターなどが開発されています。他にも、都市空間内でのライブイベントや東京を舞台にしたサバイバルゲームなど、エンタメ領域での活用が期待されます



さらには、都市を舞台としたゲームや映像作品で用いる3DCG制作に活用するなど、様々なジャンルでクリエイターや学生の皆さんにも使っていただきたいと考えています。自分で一からデータを作ろうと思ったら莫大な時間と費用がかかるところが、PLATEAUを利用してもらえば大幅に手間もコストも削減できる。そうなれば、これまで以上に多くの方が新たなクリエイティブにチャレンジできるようになります。

■PLATEAUが生み出す未来の姿

PLATEAUを活用して誰が何を生み出していくのか、3D都市モデルの価値はこれから皆さんと一緒に作っていくものです。そのために国交省としては全国でさらなる3D都市モデルの整備が進むよう、最大限のサポートをしていきたいと考えています。




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