自分らしさをいつまでも。透明感のあるグレイカラーへの挑戦
いま、ヘアブリーチを使ったデザインカラーやハイトーンカラーがとてもポピュラーです。その人気は、大人女性へも広がっていますが、グレイカラー(白髪染め)においては自由なカラーデザインをあきらめる人が多い状況でした。
そこで、大人女性にいつまでも自分らしいカラーを楽しんでいただきたい、という想いを込めて、ルベル/タカラベルモント株式会社の技術者専用ヘアカラーシリーズ『edol(エドル)』から、グレイカラー(白髪染め)ライン『edol qon(エドル クオン)』が、4月より全国のヘアサロンで展開をスタートしました。
グレイカラーで大きな課題といわれる透明感を出すことへの挑戦。
その難題に立ち向かった研究員に、ルベル事業部 広報担当の吉成奈津実が取材しました。
人の気持ちをポジティブにできる製品作りがしたい
ルベル事業部 化粧品研究開発部 第二研究所 研究員・水谷高志
大学では迷わず界面科学を専攻しました。界面科学とは、汚れを洗いとる洗浄や、クリームを作る乳化技術などをはじめとした身近な化粧品分野のほか、スマホのタッチパネルなど広く生活の中で応用されていますが、私の専攻理由はただ一つ。「化粧品の開発をしたい!」という想いからでした。中でも頭髪化粧品の道に進んだのは、私自身がクセ毛で、ヘアケアやスタイリングひとつで悩みが吹き飛ぶことを実感していたから。ちょっと使うだけで、かっこいいとかかわいいとかを作れて、人の悩みを解決し、気持ちをポジティブにできる製品って最高に素晴らしいやん!作ってみたい!みたいな感じで(笑)
特にタカラベルモントは、頭髪化粧品の製品開発ができ、かつ高水準の製品が作れるプロフェッショナル用、いわゆるサロン専売品を取り扱うというところに惹かれ入社を決意。それから入社して約6年、ずっとヘアカラー開発に従事しています。
新たな気づき グレイカラーは顔がくすむ?
実は『エドル クオン』のメイン担当になった時、初めてのグレイカラー開発に、不安と楽しみが入り混じっていました。そこで、まずサロン様に現場の生のお声をたくさん伺うことにしました。おかげで美容師さんたちの、それぞれのお客様に対する細やかな配慮と、グレイカラーに必要とされている点が浮き彫りとなり、大きな発見がありました。
中でも、「顔色と髪色の関係性」は、カラーの世界ではよく耳にする話ではありましたが、グレイカラーでは、特にカラー剤の色を設定する上で、顔色の事も配慮されているとのことが大きなヒントとなりました。例えば人気のアッシュはファッションカラーでは「いかに青みを出せるか」と考えていましたが、グレイカラーでは青みが主張しすぎると硬く、顔色が悪く、くすんで見えてしまうので好まれない。青みはちゃんと出さなきゃいけないけれど、「やわらかさ」が必要なんだ、と。「やわらかさ」って何だろう…と考えた時に、光に透ける「透明感」に繋がったのです。
終わらない“赤み”との闘い
『エドル クオン』の開発がスタートしたのは、ちょうど3年くらい前です。もともと赤みの出やすいグレイカラーに『エドル』の中核技術である【赤みの選択的脱色】を適応できたら、透明感をグレイカラーでも出せるのではと考えました。
そうしてファッションカラーと同じような感覚でヘアカラーを楽しめる、グレイカラー開発がスタートしました。
まず、「白髪を染めること」と「色みや透明感を出すこと」、この2つの機能の両立を目指しました。そこで私たちが着目したのは2つの“赤み”の原因です。理想のグレイカラーを手に入れるためにはこれを攻略するしかない!と。
1つ目が、黒髪に元々含まれる「赤み」です。エドル クオンは、同シリーズのファッションカラー『エドル』に搭載しているシステムを、グレイカラーに最適な形でバージョンアップした“シナジープレックスオイル処方“を採用しました。この処方で、まず黒髪部分の赤みの原因でもあるフェオメラニンを特異漂白することに成功しています。ベースの髪の毛の赤みが抑えられると、その上に重ねる色みが、濁りなくきれいに発色してくれる、というわけです。
2つ目はグレイカラーならではの「赤み」です。白髪を染めるには色を濁らせる必要があるのですが、その濁った色みの中には“赤み”の染料が多く含まれています。そのため、どうしても染め上がりの色表現の幅が狭く、透明感を失う傾向にあります。逆にこの濁りが全くなければ、「色は出ても、白髪はカバーできない」というジレンマが…。これが、グレイカラーに赤みが出やすい最大の原因でもありました。『エドル クオン』では、黒髪の赤みを特異漂白することが可能になったことで、染料から赤みの元となる濁り色を大幅にカットすることができました。
2つの赤みの原因を解消することで、従来のグレイカラーでは表現できなかった色みや透明感を、ファッションカラーレベルで表現することに成功しました。
毛髪保護成分の配合
赤みを取り除くことに加え、今回特に力を入れたのが毛髪保護成分である酒石酸を配合することでした。酒石酸は毛髪保護効果が高い反面、乳化剤の力を弱め、クリームの安定性が悪くなります。つまり酒石酸の配合量を増やすと、クリームが緩くなり、ヘアカラーの適正粘度から外れてしまうという大きなデメリットがあったのです。
カラー剤の処方を決めるには、処方を細かく調整しながら、クリームの粘度を確認し、ビーカーでの少量の調合から始まり、20kg、100kg、1tと徐々にスケールアップしていきます。
酒石酸を配合しながら、ヘアカラー剤の適正粘度を担保すべく、クリームを作る活性剤・乳化剤の選択や組み合わせ、また製造工程の見直しなど、改良に改良を重ねることで、遂に最適な処方が決まりました。
予期せぬ危機… 試作品は1000回以上
今回の開発にはもう一つ、大きな危機がありました。新型コロナウイルスの影響でプロジェクトが一時期ストップしたんです。サロン様に試作品を使っていただけないのはもちろんのこと、社内のモニターテストもすべてストップしてしまいましたので、当時は本当に焦りましたね。
でも、プロジェクトが再開するまでの約2か月の間に、自分の頭を整理でき、課題と打ち手を明確にできたのは良かったと思っています。再開した時には迅速にリスタートを切れるように、試作品をたくさん作りました。1000回は超えていると思います。
協力サロン様や、社内の開発テストサロンが、コロナの対策をしながらの普段とは違う環境下でもモニターテストをしていただけたので、なんとか予定通りの発売日に間に合い、皆様には本当に感謝しています。
そしてずっと開発に協力くださったサロン様から、本当にいい製品になったね、と言っていただけた時には感動しましたね。
「誰もが楽しめるヘアカラー」を目指して
お客様から常に「期待していた以上に良い」と唸ってもらえるプロダクトを発信し続けることが、私が想い描くプロフェッショナル像です。
目指すはダメージ・刺激が少ない、かつしっかり色みを出せるカラー剤です。
カラー剤が進化しているとはいえ、刺激やダメージは永遠の課題だと考えています。それが理由でヘアカラーをしない、できないお客様が多くいます。そういったお客様にも安心して楽しんでいただける、新たなカラー剤の技術を模索していきたいです。そのために、試作検証はもちろんのこと、お客様の意見やニーズを知り、お客様の「こんな製品が欲しい」からもう一つ、二つ上のレベルの製品を作り続けたいと思います。
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人の気持ちをポジティブにできる製品が作りたい、という想いが形になったヘアカラー『エドル クオン』。大人女性たちが思い切り楽しみながら続けていただけるカラーとして、たくさんの方の笑顔に繋がることを信じています。
■プレスリリース
■edol(エドル)
https://www.lebel.co.jp/products/series/edol/
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