効率的な "法規制情報" の収集と現場での "わかりやすさ" を目指して、企業コンプライアンスの課題解決に寄り添う「LexisNexis® ASONE」を開発
レクシスネクシスは世界160か国以上でサービスを提供する、企業向けリーガルデータサービスのパイオニアかつリーディングカンパニーである。デジタル技術を駆使し、他社に先駆けてリーガルデータサービスをオンラインで提供。今日では、情報のデジタル化を推進するとともに、高付加価値な情報を提供するリーディングカンパニーとして様々な分野の専門家の業務をサポートしている。
今回は、LexisNexis® ASONE(レクシスネクシス アズワン、以下ASONE)について、コンテンツ開発部ダイレクターの小幡 等にインタビューを行い、開発秘話に迫る。
プロフィール
小幡 等(おばた ひとし)
レクシスネクシス・ジャパン株式会社
コンテンツ開発部ダイレクター
大手法律系出版社勤務、法務総務職、上智大学法学部の非常勤講師等を経て、2010年よりレクシスネクシス・ジャパンに勤務。ASONE等のオンラインコンテンツのディレクション等、様々な製品開発に携わる。
プロダクト紹介
複数のモジュールで構成された、コンプライアンス遵守のワンストッププラットフォーム
ASONEは、法規制情報の調査・ウォッチングを目的とした「法政策情報」、コンプライアンス遵守の為の社内規程のメンテナンスサポートシステムである「業務規程コネクト」、社内のコンプライアンス遵守状況を可視化する「ワークフロー」など、モジュールごとにシーンに合わせた利用が可能となるワンストッププラットフォーム。
企業の法務部やコンプライアンス部、監査部、CSR推進部、環境部など、日常的に法情報の収集やコンプライアンス活動を推進する部署で活用されている。社内管理体制の構築やコンプライアンス教育など、社会のニーズに併せて日々コンテンツを強化中。
LexisNexis ASONE | LexisNexis Japan
企業の法務部に向けて開発する上で求められたこととは?
グローバル化やデジタル化が急激に進行する中で、企業に求められる「コンプライアンス」は複雑化・多様化・高度化してきている。レクシスネクシス・ジャパンが提供するコンプライアンス遵守のワンストッププラットフォーム「ASONE」はそうした時代の変化に対応した自由度の高いサービスと言えるだろう。
企業の法務部担当者が使用することを想定して開発されており、「正確さ」「使いやすさ」「わかりやすさ」を実現したサービスとなっている。コンテンツ開発部のダイレクターの小幡は開発の経緯をこう説明する。
「開発をスタートしたのは2010年です。レクシスネクシスはグローバルでリーガル情報サービスを展開しているリーディングカンパニーですが、日本国内では後発になります。それまでの日本国内の法令を扱ったデータベース・サービスは行政府の担当者や弁護士など、法律のプロフェッショナルに向けて作られたものがほとんどでした。我々は差別化を図るため、他社がウエイトしていないところにターゲットを変え、企業の法務部の方が使いやすいサービスを開発することを選択したのです」(小幡)
ASONEは「法政策情報」「業務規程コネクト」「ワークフロー」という3つのモジュールを中心に構成されている。その中でも大きな柱になっているのが「法政策情報」だ。
「日本における法令は土日をのぞくほぼ毎日、官報によって公布されています。しかし官報では“○○○の×××の部分を改める”といった内容がほとんどなので、文面を見ただけでは法律のプロフェッショナルでなければ、正しく把握するのは難しい現状があります。それらの法令を組み立て直して活用しやすい形にするのが我々の役目です。法律はあくまでも枠組みなので、その枠組みを補完する政令、省令、ガイドラインなどを改正単位で一元的にインデックス化して組み立て直して、日々の最新の情報として提供しています」(小幡)
法改正情報はもちろん一般でも公開されているが、改正箇所だけを切り出した情報が 展開される
法改正は施行(改正内容が有効になること)まで時間を要するものが多く、 規制内容の細部についてはその間に徐々に拡充されていく
法令を時系列によって紐づけたものが「法政策情報」の中の「法令ガイダンス」である。法律、政令、省令へという改正の流れやタイミングなどの理解・把握をサポートしてくれる機能と言えるだろう。「法政策情報」の中でこの「法令ガイダンス」とともに好評なのが「改正レポート」だ。小幡はその内容をこう語る。
「”改正レポート”は法令の改正があった場合にどのように変わったのか、わかりやすくレポートするコンテンツです。新旧対照表を付けるなどの工夫を凝らしてあります。日本の法令の改正は年間約5000件あるのですが、半分以上はクライアントの企業とは関係ないものです。すべての情報を配信するとノイズになってしまうので、重要なものとそうでないものを区分けし、必要な情報を提供するようにしています。企業としてウオッチしたいものを事前にリストから選んでいただき、関連する情報を毎日アラートという形で配信。改正内容を詳しく確認したい場合はリンクをクリックして、本体の中に入っていただく仕組みになっています」(小幡)
「法政策情報」と並ぶモジュールである「ワークフロー」と「業務規定コネクト」も企業がコンプライアンスを遵守する上で、有効なサービスとなっている。
「“ワークフロー”は企業の社員のコンプライアンス状況を把握することを目的としたモジュールです。企業の活動を規制する法令に基づいて作られたもので、“こういうことはしないでください”といった内容のチェックリストによって構成されており、チェックしていくことで分析・判断ができる仕組みになっています。“業務規定コネクト”は企業独自の就業規則などの社内の決まりと法令とを照らし合わせてチェックする機能を備えたサービスです。法改正があった時にその変更に沿って社内の規定を改正する必要がある場合にはアラートを出す仕組みになっています」(小幡)
目指しているのは企業のコンプライアンスに寄り添った開発
コンプライアンス遵守のサービスを企業の法務部担当者に提供するのは簡単なことではない。法令は日々改正されており、コンプライアンスの内容も適用範囲も日々変化しているからだ。小幡の発言から見えてくるのは、一方的にサービスを提供するのではなくて、企業に寄り添い、ともに考えてサポートしていく姿勢である。
「“法令のデータベースがあるので検索してください”というような単純な話ではないんですよ。そもそもどんな法令を監視しておく必要があるのか、自信を持って判断できる企業はまずありません。どんな分野の業務をしているか、地域とどんな関わり方をしているかによって、どんな法令や条例が必要になるかが変わってきます。コンサルティング的なことも含めて、“監視すべき法令はこういうものです。必要なものを一緒に考えられますよ”という姿勢を持って、企業のコンプライアンスに寄り添っていくことが大切であると考えています」(小幡)
「法政策情報」開発の大きなポイントは省力化と効率化
「法政策情報」「ワークフロー」「業務規定コネクト」というモジュールがワンストップで活用できるところにASONEの大きな特徴がある。この連携はクライアントの要望から実現したと小幡は語る。
「もともとはこの3つのモジュールは別個のログインという形だったんですが、シングルサインオンできる形にして、システム内で自在にリンクできるのが大きなメリットだと考えています」(小幡)
ASONEの開発には時間と労力、そしてさまざまな工夫が必要となった。特にポイントになったのは「法令ガイダンス」だ。法令に関わることなので、正確さは不可欠である。しかしやるべき作業は膨大であるために、いかに省力化と効率化をしていくかが開発成功の鍵を握っていた。
「そもそも日々の官報を組み立てていく作業が実はかなり大変なことなんですね。毎日公布されますし、年度末、国会閉会直後は改正、制定が集中します。いかにして、正確さとわかりやすさを維持しながら、省力化していくかが開発の大きなポイントになりました。私は前職が法律系の出版社で法律のデータベース作りに関わっていたのですが、法令の仕組みは高校・大学で教えられるものではないので、まず人材の育成とノウハウ作りから始めなければなりませんでした。開発の初期でもっとも大変だったのはその体制作りです」(小幡)
人材を育成しながらの開発。日々公布される官報がベースになるからこそ、省力化は重要な課題となっていた。
「当初は全自動化という野望を抱いたのですが、これは無理だなと早い段階で諦めました。全自動化は無理でも半自動化、せめて4分の1の自動化を達成しようと切り替えて、開発を進めていきました。ポイントとなったのは電子化ですね。電子化された情報を集める仕組みをいかに作るか、その情報を電子的にいかに整理していくか。補完ツールを作って活用することで、人手を使わずにできることを増やしていくという流れで進めていきました」(小幡)
もう1つ開発でこだわったポイントは「わかりやすさ」。プラットフォームのインターフェイスも「見やすくて使いやすい」との方針に基づいて構成されている。現状について、小幡はこう解説する。
「この部分はまだまだ試行錯誤している段階です。企業の法務担当の方々は法令の解釈には慣れているので、ある程度難しいことでも理解していただけるのですが、全社的に展開していこうとすると、営業の方、工場の方、業務に関わっているあらゆる方にとって使いやすいものにしなければなりません。しかし法令を扱っているので、簡略化することで抜け落ちてしまうことがあると、あとあとが大変になります。一般の方に対してのわかりやすさと正確さとをどう両立させるか、そのせめぎあいが難しいところです」(小幡)
法律を扱っているがゆえの開発の難しさがあると小幡は説明する。正確であることは必須だが、改正を繰り返しながら何十年にわたって施行されている法律がたくさんあるため、確認作業に膨大な手間がかかることもある。
「ある法律を点検していたら、改正の内容が合っていないものが見つかったことがありました。じゃあどこで間違えたのか、1つ1つ戻って点検しないとわかりません。これがかなり大変で、どこまで戻ればいいのか、気が遠くなるような作業でした」(小幡)
日々の地道な努力の積み重ねが「法政策情報」の提供というサービスを支えているということだろう。
法律の公布から施行まで、情報を拡充しながらわかりやすく中身を解説する「法令ガイダンス」 はASONE 法政策情報に収録されている
環境・分析・教育を強化して効率的で効果的なサービスの構築を
コンプライアンスの内容が変化し、その範囲が拡大しているように、ASONEも日々進化している。2021年4月のアップデートでは全国1,700以上の地方自治体の条例が収録され、法規制改正モニタリング機能も大幅に強化された。これは近年注目されている環境コンプライアンスに対応したものでもある。
【企業コンプライアンスDXを推進】LexisNexis® ASONE製品アップデート|レクシスネクシス・ジャパンのプレスリリース (prtimes.jp)
「最近は工場まわりでの必要に応じて、環境マネジメントシステムの国際規格“ISO14001”を導入している製造業のお客さまが増えています。その流れの中で法務部だけでなく、環境部でもASONEを使いたいという要望が出てくるようになってきました。環境に関する条例は法令から委任を受けて、“地域によって基準を強くしても良い”“個別の基準を加えても良い”など、適用される範囲や条件が変わってくるので、法令から一段踏み込んで条例を見ないと、コンプライアンス体制を維持できません。環境法務系のコンテンツをさらに充実していく流れの中でお客さまの要望に応える形で、地方自治体の1,700以上の条例に対応する体制を取っています」(小幡)
将来に向けて教育モジュールのさらなる充実を図る流れもあるとのこと。将来的な戦略のキーワードとして小幡が「環境」とともに挙げたのは「分析」と「教育」である。
「“コンプライアンス疲れ”という言葉がありますが、いかに無駄な労力をかけずに、効率的にコンプライアンスに対応していくかが重要だと考えます。そのためにはまず企業のコンプライアンスの現状を正しく分析することが必要です。本当に弱いのはどこなのか。リスクがどこにあるのか。客観的に分析して、いかに効率的に対応していけるかがポイントになります。分析機能の強化とともに重要なのは教育です。教育は分析の指標の1つでもあるでしょう。教育というツールを使うことが、コンプライアンス遵守のレベルアップにもつながっていくはずです。我々がやるべきこと、やれることはまだまだたくさんあると考えています」(小幡)
企業への法令情報サービスの提供からコンプライアンス体制の構築のサポートへと、ASONEのサービス内容もさらに進化・拡張してきている。基本となる「法政策情報」の充実に加えて、分析・教育モジュールにおける新たな展開、さらに近い将来のAI活用も見すえているとのことだ。レクシスネクシスの「攻め」の開発は今後も続いていくのだろう。
■会社情報
レクシスネクシス・ジャパン株式会社
代表取締役社長 斉藤 太
東京都港区東麻布1-9-15 東麻布一丁目ビル
TEL 03-5561-3551(代表) FAX 03-5561-3552
事業内容:オンラインによるリーガル情報サービスの提供
URL: https://www.lexisnexis.jp
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