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80代の著者さんもおられます。

バス事業者のダイヤ改正業務を96%削減!「スマートバス停」によるバス業界のDX化

著者: 株式会社YE DIGITAL


長年、バスのダイヤ改正業務は、“炊出し”を行い深夜に社員総出で行うような大がかりな一大イベントでした。株式会社YE DIGITALでは、バス停をデジタル化させた「スマートバス停」を西鉄グループ様と共同開発。ダイヤ改正に関する業務を大幅削減し、完全導入した2路線では、業務の96%をカットと大きな成果を上げています。担当者の工藤に本取り組み事例について話を聞きました。


◆「スマートバス停」とは

―今回、西鉄バス北九州様が導入した「スマートバス停」とは、どのようなものなのでしょうか。


LPWAやIoTといったICT技術を活用した新しいバス停です。繁華街やバスターミナルといった時刻表を確認する人が多いバス停、郊外で降車メインとなるバス停など、ニーズに合わせられるように4タイプのラインナップをご用意しました。


―バス事業者にとって、スマートバス停を導入するメリットは何でしょうか。


バス事業者が抱える課題を解決できることですね。これまで、バス事業者にとってダイヤの改正は一大イベントでした。まず、改正日の1ヵ月前頃から張り替える時刻表の準備を進めます。印刷した用紙を設置面のサイズに切るのは手作業です。対象となる全てのバス停に、事前告知をダイヤ改正の7日前までに張り出す必要もあります。そして、当日の張り替え作業は改正当日の深夜に決行。終バスの運行後、社員たちが総出で各バス停に向かうのです。かつてはおにぎりなど、夜食を用意して行うバス事業者もあったと聞きました。


スマートバス停を導入すれば、これらの作業が一切不要になります。ダイヤの変更作業は、事前に改正日と内容を登録しておくだけ。時刻表を作成する本社での作業のみで、全バス停の時刻表を変更できます。人件費や印刷代などの経費を大幅に削減できるのです。臨時ダイヤへの変更や、会社や商業施設の新設・退去に合わせた新ダイヤへの変更に臨機応変に対応できる点も大きなメリットですね。


また同時にデジタルのメリットを活かせるように、リアルタイム部分のダイヤの拡大表示や遅延を含む運行情報、多言語表示、天気予報やニュースの表示といった機能も利用できます。さらにバックライト機能による夜間の視認性の向上も行いました。バス利用者の利便性の向上は、バス事業者にとってもメリットになるものでしょう。


◆西鉄グループ様と「スマートバス停導入プロジェクト」を実施


―今回、西鉄グループ様とプロジェクトを行うことになった経緯について教えてください。


2017年10~11月頃、西日本鉄道様、西鉄バス北九州様、西鉄エム・テック様と交わした雑談がプロジェクト立ち上げのきっかけです。雑談の中で、先ほどお話したダイヤ改正業務がいかに大変な業務かというお話やバス運転手不足など、バス業界の課題をお聞きしたんです。そこから、「では、それらの課題を解決するスマートバス停を開発しよう」という話になりました。


西鉄バス北九州様からは、課題解決と合わせて「お客様の利便性向上に繋げられるものを」という熱いご要望があり、課題解決・利便性向上の2つの軸で機能を検討していきました。


―開発に当たり、苦労した点はありましたか?また工夫した点は?


まずは電源問題です。今バス停がある場所には、必ずしも電源があるとは限りません。電源問題は、スマートバス停の商品化を検討するにあたって、長年抱えてきた課題でもありました。ただ、東日本大震災以後、省電力化の技術が進んできたこともあり、今回、ソーラー蓄電池で稼働できる商品の開発を実現。電源の有無関係なく設置できるようになりました。これでバス停の約80%を占めるといわれる電源のないバス停への対応が可能となり、「バス停のスマート化」による業務の効率化実現の可能性が一気に高まりました。

(電子ペーパーで省電力を実現した「楽々モデル」)


大変だったのは耐性面ですね。屋外に年中あるものですから、雨風はもちろん、暑さや寒さへの対策が必須です。暑さに関しては、気温だけではなくアスファルトの照り返しへの対策も求められました。さらに排気ガスへの耐性、高湿度による結露を原因としたショートの防止策、虫が入り込んで産卵場所にしないようにといった数々の対策が必要でした。


特に湿度対策には苦労しましたね。これまで、外国製のサイネージを使ったスマートバス停がテスト導入されては失敗に終わってきたのは、外国とは違う日本の高湿度が原因だったのだと実感しました。


加えて、西鉄バス北九州様からのご要望にもあった利便性向上面。こちらに関しては、「紙と同じ時刻表なら面白くない」と弊社が考え、文字の拡大機能をご提案しました。運賃や路線、臨時ダイヤを含む連絡事項など、多様な画面を7秒間隔で巡回表示する機能も付与。これら機能は、西鉄グループ様と共同で特許も取得しました。

(現在時刻帯の時刻表の文字を拡大表示)


そして最大のハードルが規制面です。道路交通法により、道路には設置できるものが規定されています。また、国道は国、都道府県道は各自治体と管轄先によって詳細が異なるんです。法規制や条例が定められたのは、その多くが昭和30年代。そのため、今の社会の実情とは合わないままきてしまっている側面がありました。解釈次第で現行の規制で設置可能な箇所もあったので、一つひとつ許可を得ながら進めていきました。全国的にスマートバス停の設置を進めるため、規制の見直しは今後の課題だと捉えています。


◆バス事業者×異種業界とのコラボで「BaaS」の実現を


―今回、西鉄バス北九州様の路線において、2路線がすべてスマート化されました。西鉄バス北九州様からの反応はいかがですか?


関連業務が96%削減されたとお聞きしました。今回全バス停に導入したのは空港に繋がるエアポートバスで、新型コロナウイルスによる影響を受けたダイヤ改正頻度の増加が大きな負担となっていた路線です。通常時の約10倍まで膨れ上がっていた負担がスマートバス停導入により激減し、社員の方にも喜んでいただけているとお聞きしています。西鉄グループ様と始めたこのスマートバス停ですが、現時点で全国10県に導入されています。


―今回の取り組みを振り返ってみていかがですか?


今回、電源を必要としない反射型液晶を活用したスマートバス停をSHARPマーケティング様と共同開発しました。昼は太陽光の反射を活かし、夜間にはバックライトを使うことで時間帯に限らず高い視認性を保つことができます。また、西鉄グループ様と共同でオープンイノベーションを進めており、伊藤園様からのお声かけから、異業種コラボとして自販機と一体化したスマートバス停の開発も行いました。





このようにバス業界には、テクノロジーを活かした新しいビジネスチャンスがまだまだ眠っているのではないかと思っています。スマートバス停を活用した新しいビジネス「BaaS(Bus as a Service)」を実現させるべく、今後も注力していきたいですね。


7月8日(木)には、地域公共交通シンポジウムをオンラインにて無料開催いたします。このような取り組みを通じ、公共交通施策を考える行政、地域公共交通を支えるバス事業者、それを支える民間企業、みんなで協力をして、公共交通を維持し、さらに盛り上げていけたらと考えています。バス事業者はもちろん、バス事業者と共に新しい挑戦をしてみたい異業種の方にも、ぜひご参加いただけると嬉しいです。



◆ セミナー詳細情報

地域公共交通シンポジウム

https://go.ye-digital.com/seminar/2021-1

  • 開催日:7月8日(木)14:00~16:15
  • 定員:150名
  • 費用:無料




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