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安心・安全なご供養を-「お坊さん便の電話法要」をスピード開発した社員の思い

著者: 株式会社よりそう

新型コロナウイルス感染症(以下「コロナウイルス」)拡大を受けた緊急事態宣言が発令された1週間後の4月14日、株式会社よりそうは「お坊さん便の電話法要」を開始しました。

直後から申し込みが相次ぎ、5月の申込件数は4月比の6倍。既にお盆期間に予約が入るなど、感染症流行下における法要の一つのかたちとして徐々に受け入れられつつあります。

「お坊さん便の電話法要」開始までのエピソードを、サービス開発とオペレーション企画を担当したスタッフに聞きました。


話し手:石黒佐和子

株式会社よりそう お坊さんコミュニティチームでコミュニティマネージャーを担当。

お坊さん便の使命は「供養したい思いに応えること」

―まず、お坊さん便がどのようなサービスなのか教えてください。

お坊さん便は、"菩提寺"のない方でも故人様をご供養できるよう、インターネットを通じてお坊さんをご紹介するサービスです。2013年のサービス開始以降順調に成長を続け、現在では全国1,300名のお坊さんと提携しています。


―菩提寺のない方について、もう少し詳しく教えてください。

江戸時代の寺請制度に端を発し、以前は多くの家が地域のお寺と「檀家と菩提寺」の関係を結んでいました。しかし時が経つにつれ都市部への人口移動が活発になると、家督を継ぐ長男以外の続柄の人が都市部に移り住むようになりました。その際にご実家の菩提寺とのご縁が途絶えてしまったまま定住して家族をもうけ、息を引き取っていくケースが多くあります。こうした背景の中、「何とか故人を供養したい」と考える遺されたご家族が、お坊さん便の主なご利用者さまになります。お坊さん便のご利用者さまのご法要の場合、ご自宅で営まれるケースがほとんどです。


―「遠隔で法要を提供することはできないか」という話が持ち上がったのは3月の終わりごろでした。当時の状況をどのように感じていましたか?

コロナウイルスの世界的流行の影が、日本でも見え始めた頃でした。警戒感と自粛ムードが高まり、「早晩日本でも都市封鎖のような思い切った対応がとられるかもしれない」と感じました。「三密(密集・密着・密接)」という言葉が浸透し始めるとともに、葬儀での集団感染がニュースになっていたこともあり、大切な回忌法要であっても「集まる親戚にはお年寄りもいるから」等の理由で中止される方が増え始めていたのです。


―回忌法要を中止すると、どのようなお困りごとが起こるのでしょうか。

ご法要は故人様の命日を起点として忌日が決まっているため、延期をしたり、後のご法要と合わせて営むことができません。例えば一周忌法要が営めなかった場合、数か月遅れで実施することはできず、次の三回忌法要まで待つ必要があります。ご法要の忌日を過ぎてしまうと、「回忌法要をできなかった」と後々悔やまれる方がいらっしゃるだろうことが懸念されました。


―ご利用者さまからの具体的なお声はありましたか?

3月ごろから「今回の法要はコロナウイルスのために諦めます」という方が増え続けるなか、何度もお坊さん便をご利用いただいている方からは、ご法要のキャンセルのご連絡時に「コロナウイルスがおさまったら、またよろしくお願いします」とのお声をいただきました。亡くなった方のご供養のために仏事を大切に思われる方が、コロナウイルスのためにご供養の機会を逸してしまう。どんな状況下であっても適切なタイミングで「供養したい」に応えられる方法がないか、強く考えるきっかけにもなりました。


―ご利用者さまのご自宅に伺う提携のお坊さんもご不安だったと思います。

ご自身が持病を抱えていたり、ご家族にお年寄りがいるなど、お坊さんにもさまざまな事情があります。安全なご法要についてご相談した際、ご利用者さまの「供養したい」思いと安全を両立するために、私たちとともに知恵を絞ってくださるお坊さんもいらっしゃいました。

ご利用者さまが法要を実施できなかったことを後悔しないために、また、ご出仕に不安を覚えるお坊さんのためにも、「感染症の流行下でも安心・安全な法要を実現したい」と思いました。

全国一律の「お坊さん便」体験を、より早く的確に

―どういった発想で「電話」による法要を思いついたのでしょう。オンライン会議ツールを利用した法要が注目される中、あえて電話を選んだ背景が気になります。

まずは、安心・安全なご法要を実施するには何が最も必要か考え、「極限まで人の接触を減らす」ことだという結論に至りました。

オンライン会議ツールによる法要も検討しましたが、ご利用者さま・提携のお坊さんともに40代から60代の方が多く、個々人の通信環境やITリテラシーが異なることが課題となりました。お坊さん便は全国一律で同じ体験を提供することをお約束しているサービスなので、ご利用者の皆さまが同じ「お坊さん便体験」ができることを念頭において手段を選定しました。最終的に、ご利用者様・提携のお坊さん双方が特段の準備なく実行できる「電話」を手段として選びました。


―本格的な検討を始めてからサービスの提供開始まで、1か月にも満たないスピードでした。どのように開発を進めたのでしょうか。

コロナウイルス感染者数の増加が続いていたので、いち早くスタートしなければならないという思いが念頭にありました。リリースするまでは短期間でしたが、経営サイド・オペレーター・エンジニアらとチームを組んで動いていたので、懸念点の洗い出しとシステム対応など、社内の調整はスムーズにいきました。

同時に、お坊さんコミュニティ担当者として提携のお坊さんにお話をうかがい、「どんな形なら実現できるか」だけでなく「電話ではできないこと」も明確にしていきました。例えば、位牌や仏壇など、有形のものに対するご供養については対面でないと難しいと伺ったので、「電話法要」は"読経と法話のみ"と限定しています。

概要をとりまとめてから実際に提供できるかどうか検証したところ、可能性がある程度見えたので、リリースまで駆け抜けることができました。


―そのなかでも悩んだことなどはありましたか?

実施の範囲について、緊急事態宣言の間はご利用者さまとお坊さん双方の安全を考慮して「電話法要」のみにサービスを絞ることも考えましたが、「忌日は延期できない。大切な故人のために、どうにかして法要を実施したい」というご利用者さまと「法要は葬儀と同様に『不要・不急』の範疇ではない」とおっしゃるお坊さんが一定数いらっしゃることから、通常のサービスと同時に「電話法要」を提供することにしました。


―「電話法要」開始後、ご利用者さまからはどのようなお声を頂いていますか?

故人さまが亡くなって間もない四十九日でご利用いただくケースが多いのですが、「コロナウイルスの影響で法要を営むことを諦めていましたが、電話法要ができたおかげで母の気持ちにも区切りがついたようです」「家族みんなで手を合わせることができた」などのお声を頂いています。ご供養のタイミングは四十九日の後は約10か月後の一周忌、その後は1年後の三回忌……と、徐々に間隔が長くなっていきます。ご利用者さまがタイミングを逃さず法要を実施して頂けたことや、「供養したい」という思いによりそえたことは本当によかったです。

感染症とともに生きる時代でも、多様なつながりを作り続けたい

―先日、緊急事態宣言後も「電話法要」を継続することを決定しました。どういった背景があるのでしょうか。

緊急事態宣言が解けたとはいえ、新型コロナウイルスの脅威がなくなった訳ではないからです。実際、現在でも「お年寄りがいるから」等の理由で、電話法要を検討される方もいらっしゃいます。感染症の流行が心配される間は、電話法要のニーズがあるものと考え、引き続き提供してまいります。


―今後は新型コロナウイルス感染の脅威と向き合いながらご供養の機会を提供していくことになります。石黒さんの今後の展望を教えてください。

昨今注目を集める"ウェルビーイング"とは、「(弱っていない、病気ではない等だけではなく)心理的、身体的、社会的に幸福な状態」を指します。「幸福感と自己決定」(2018年 西村和雄氏ほか)によると、幸福度に影響を与える要因は「健康」「人間関係」「自己決定」の順でした。お坊さん便におけるご利用者さまとお坊さんの出会いは、大切な方を亡くされた悲しみの中にあるものですが、ウェルビーイングに影響を与える人間関係の一つとなりえるのではないでしょうか。ご利用者様がお坊さん便を通じて、人生の困難時に「お坊さん」を思い出せるような、社会における多様なつながり作りをサポートしていきたいと思います。


―ありがとうございました。


参考サイト:

僧侶手配サービス「お坊さん便」 https://obousan.minrevi.jp/

株式会社よりそう 公式サイト https://corp.yoriso.com/




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