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「víz PRiZMA」—そして、いのちは光になる “生きる”を支え、瞳の記憶を未来へつなぐ、バーチャル墓地

著者: each tone 合同会社

東京藝術大学DOORプロジェクト発スタートアップeach tone社が、今年5月に発表した、会員制バーチャル墓地「víz PRiZMA」(ヴィーズ プリズマ)。「そして、いのちは“光”になる」のキャッチコピーがついたこのサービスは、アーティストが創る、新しい“偲び”のかたちです。


「víz PRiZMA」のサービスご紹介と併せ、その魅力について、創業者3名が語ります。




写真:(左から)船木理恵(Chief Planning Artist)/下邨尚也(Chief Designing Artist)/柿田京子(Chief Managing Artist)

21世紀のお墓と供養を考える—「バーチャル墓地」への期待

柿田 いま、お墓は社会問題です。少子高齢化が進み、墓じまいが増加。首都圏や海外に住み、地元に戻る予定のない地方出身者。先祖代々の墓を長男が守るというしきたりの継承は、難しくなっています。法事なども、集うべき方々が高齢で集まれない。日常のお墓管理も、負担になっているケースが多いのではないでしょうか? この傾向は、近隣アジア諸国でも見られ、日本以上に少子高齢化が著しい中国では、すでに墓所が不足。庶民がお墓をもつハードルが上がっていると聞きます。


下邨 このような状況を受け、伝統を大切にしながら、21世紀に供養と偲びの文化をどのように受け継いでいけばよいのか、アーティストとして自分たちにできることを真剣に考え、かたちにしたのが「víz PRiZMA」です。

もとよりアートは、答えのない課題に寄り添うのが得意です。生きること、死ぬこと、あの世といったテーマは、古来より多くの藝術作品に登場します。大切な人を想う切なさ、やるせなさ。自分の力ではどうすることもできない不条理。藝術は、そのような「人」の想いに、ひっそりと寄り添い、優しく、柔らかく、生きていくことを支えます。


船木 お墓をバーチャル空間(インターネット上)に置くことで、いつも身近に感じていたい大切な人に、場所や時間を超えて会いに行ける。お墓や仏壇と併用もでき、代わりにもなります。これまで「家」の要素が大きかった弔いのかたちが、少し「個」に寄り、「自身の心の拠り所としての偲び」が、一層クローズアップされてくるように思います。víz PRiZMAが、そのようなニーズの一助となることを願います。



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「víz PRiZMA」 サービス紹介

「víz PRiZMA」は、伝統的な偲びの文化を継承しながら、藝術性を採り入れ、バーチャルならではの利便性と経済性を兼ね備えたバーチャル墓地です。



1.説明会—まずは、説明会へ サービスをご理解いただくため、全員とお話しします

説明会を開催し、ご関心をお持ちの方々全員とお話ししています。サービス内容や世界観をご理解いただき、魅力を感じてくださる方々をお迎えしたいためです。毎回、アットホームな雰囲気で、和やかな会話がはずんでいます。現在は、コロナに配慮してZoomで行っていますが、いずれはリアルの場も併用したいと思っています。多くの方のご参加をお待ちしています。

2.入会—個別にご案内する専用リンクから手続きへ

説明会の後、入会をご希望の方には専用リンクをお渡しします。こちらから、お手続きをいただきます。

víz PRiZMAは、宗教とは一切関係ありません。ご信教にかかわらず、どなたでもご入会できます。

3.藝術ワークショップ—終わりを意識し、生きる時間に光をあてる、人生を変える1日

入会後、最初に「藝術ワークショップ」に参加いただきます。リアルな場に集まり、1日かけて行われるこのワークショップの目的は、終わりを見据えることで、生きている大切さを実感すること。まさに、人生を変えるターニングポイントです。

1日かけて、“より良く生きる”誓いを胸に、アーティストと共に作品を創ります。虹彩や声紋(声)といった、生体データの取得も行います。どなたでも、手軽にお楽しみいただける内容を厳選していますので、作品制作経験のない方も歓迎です。ここで創る作品は、人生を“より良く生きる”誓いの象徴、そしてやがて、誓いを胸に“より良く生きた”証として、デジタルアートとなって、バーチャル墓地に展示されます。

4.コミュニティ—“より良く生きる”ための場・仲間・きっかけ

会員は、「コミュニティ」で終身お楽しみいただけます。「コミュニティ」は、会員の「より良く生きる」を支える伴走者。豊かな人生をお過ごしいただくための良質な場、仲間、きっかけを、ご提供していきます。

víz PRiZMAの出身母体である、東京藝術大学DOORプロジェクトをはじめとする、アーティストのネットワークを活用しながら、美術・音楽・書道・身体表現・文学など多彩なジャンルのアートを、展覧会や演奏会・セミナーや講演会、ワークショップ・サークル活動・勉強会といった、さまざまな切り口でご案内したいと考えています。活動を立ち上げたい会員の方を支援する仕組みも考案中です。

コミュニティは、現在準備中。2022年はじめにお披露目の予定です。

5.バーチャル墓地—虹彩アートを展示し、記憶をタイムカプセルで未来へ

バーチャル墓地には、「ギャラリー」と「タイムカプセル」、ふたつの空間を用意しました。「ギャラリー」は、作品を展示する場所。藝術ワークショップで創った作品と虹彩データによるデジタルアートを展示します。「タイムカプセル」は、データを格納できる場所で、後世に届けたい選りすぐりのデータを入れることができます。いずれも、他界後はブロックチェーンに記録し、改ざん防止はもちろんのこと、その方が生きた証としての真正性を証明します。

残された方々は、スマートフォンやPCから、時と場所を選ばず、大切な方のまなざしと記憶を感じることができます。

6.プラットフォーム—時を経てつながったリンクが、いのちの流れを記録する樹形図に

会員同士のバーチャル墓地をつなげ(リンクをはる)、関係性を記録することができます。関係性には「パートナー」と「親子」の2種類があり、双方の合意をもってつなぐことが可能です。100年後、200年後、もっと先まで、生きた証が残され続けたとき、遠い未来の子孫らは、まるで大木の根元から枝葉を見上げるような形で、自身のルーツ、自らに流れ込むいのちの源流を感じることができるでしょう。

数々の技術革新を経ていくと想定されますが、私たちは、その時々の最先端のテクノロジーを駆使しながら、オリジナルデータを未来へつなぎ続けていく所存です。

その頃、一体どのような時代になっているのか。輝かしい未来であることを祈りつつ。

プラットフォームは、2022年にサービス開始予定です。


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瞳でつくる世界観—遺骨でなく、「虹彩アート」をお墓に

下邨 「víz PRiZMA」では、瞳(虹彩データ)をデジタルアートにして、バーチャル空間に展示します。

日本の法律では、墓は「遺骨を地中に埋葬したもの」。骨への想い入れは、仏舎利に由来するところだと思いますが、私たちはこの部分に、オリジナリティを発揮しました。“その人”を象徴するものとして、骨ではなく、瞳(虹彩)に着目したのです。虹彩は、黒目のまわりのドーナツ状の部分。ここの模様は、生体認証にも使われる、その人の独自性を示す大切な情報ですから。


柿田 そのインスピレーションは、突然降りてきました。瞳だ、虹彩だ、と。大切な人にもう会えない状況下で、その人の何を覚えていたいか、何を感じていたいか。やはり、“まなざし”ではないか、と。


船木 瞳(虹彩)には、宇宙に通じる深淵さがあります。のぞき込むと小宇宙のようですよね。人は、瞳を通じて世界をとらえ、また、瞳から内なる世界を外界に発信します。これは、視力の有無の話ではなく、「心の瞳」とも言われるように、目を閉じたところから始まる世界、目を閉じなければ見えない世界もあるのです。目を開けている・視力があるから見えるとは限らない。目を閉じている・視力がないから見えないとは限らない。「見ること」「観ること」。果てしなく深い世界だと思います。


柿田 虹彩のことを、英語ではiris(アイリス)といいます。これは、奇しくも、ギリシア神話では、虹を司る女神の名前。虹は、この世とあの世を結ぶ懸け橋で、アイリスは両方の世界を橋渡しする神なのです。虹彩をめぐる世界観が、古代より、この世とあの世であったこと、感慨深いです。

想いをこめた作品がまとう「ちから」

柿田 想いや願いをこめたモノは、その人にとって「ちから」となり、「拠りどころ」となります。

病気が早く良くなるように「千羽鶴」を折ったりします。「甲子園の土」は、球児たちにとって、努力と汗と活躍の象徴なのでしょう。戦時中は、出征する兵士の無事の帰還を願って「千人針」を渡していました。何気ないモノが、想いを込めたことによって、その人にとってかけがえのないものとなり、人生の苦境を支えたり、大きな挑戦の後押しをしたりします。


船木 “より良い人生”を思い描いて創るとき、まだ言葉にすらならない想いを、色や線が拾ってくれることがあります。絵の具の色合いや、線の流れを「イイ」と感じるとき、そこには必ず、自身の意識にすらあがらない価値観や想いを反映した何かがある。だからこそ、良いと思うのです。作品が「完成した」と思える瞬間も、同じです。自身を表現できたと感性が認めたところで、完成する。


下邨 「藝術ワークショップ」で制作した作品には、言葉では語り切れない、これから歩む素晴らしき人生への想いが込められています。できが良いとか悪いとか、そういう問題ではなく、“より良く生きる”を誓った自身の証なのです。バーチャル墓地のギャラリーに展示されるデジタルアートは、その人の想いや願いの結晶であり、それを携えて生き抜いた、充実した人生の象徴となるはずです。

「víz PRiZMA」—そしていのちは“光”になる 語源

「víz」は水、「PRiZMA」はプリズム、いずれもハンガリー語です。みずみずしい感性をもちながら、七色に輝く光をもって、社会の課題のかたわらにあり続けたい。もっと多くの、さらにたくさんの方々に出会い、プリズムの光をお届けするために、私たちはひとつひとつサービスを創っていきたいと思います。





【each tone】https://each-tone.com

【víz PRiZMA】https://viz-prizma.com

【mail】contact@viz-prizma.com




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