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「会社にとって一番大事な資産は何なんだろう」その答えが、“全社員100%リモートワーク”を実現した

著者: カタリナ マーケティング ジャパン株式会社

はじめまして カタリナマーケティングジャパン PRチームです。


コロナウィルス感染が拡大し、全世界的に外出自粛勧告が出される中、各企業・施設がテレワーク対応を余儀なくされました。しかしながらその導入には業務への影響を含めさまざまな課題があり、支障なく100%実施できているケースは多くないと聞いています。

 

そんな中、アメリカ本社、日本オフィスをはじめグローバル拠点の契約社員、正社員などを合わせた数百名の社員を抱えるカタリナマーケティングが、1カ月弱の短期間で100%全社員のテレワークを実現できていることは、レアケースに入るのかなと感じました。


今回は、その100%テレワーク(リモートワーク)を実現するまでの経緯と、実現してみた結果何が起きたのかを、プロジェクトの中心となった、管理部門、TECH部門のSTAFFの方々にインタビューしたものをまとめました。


今の緊急状況にならなければ、ここまでは振り切れなかった。でも「誰かがリスクを負って出社するという判断はない」と考えていた


カタリナでは、現在のコロナ禍下において、3月はじめ頃の初期段階から「ソーシャルレスポンシビリティ(企業の社会的責任)を意識することを、マインドセットとして持っていよう」というスローガンを掲げ、全社員に伝えられていました。


自分が外に出ることで、ウィルス感染を広げる、ウィルスに感染する可能性があるということを念頭におき、”とにかくウィルスを広げない”を徹底することで健康を第一優先とする。という考え方です。


そのために「業務で必要だとしても、オフィスに来て感染するリスクが少しでもあるのなら、そんなリスクは社員に負わせない」という意向を役員、部門長が共有し、社員に伝えて、マインドセットを変えてきました。


例えテレワークではできない業務があったとして、そのために誰かが出社しないといけないという選択ではなく、「みんなで100%テレワークにするにはどうするか」を考えるという最初の共通認識、ゴールの共有がありました。


短期間で100%テレワークを実現できたのは「リモートワークに対する考え方が育っていた」から


元々カタリナは、様々な場所、環境で仕事をするグローバルスタッフを抱えているため、「どこにいても仕事しようとすればできるようにしたい」といった方向の考え方がありました。

それでも実際にオフィス以外の場所で業務を行うには、サーバーアクセスやコミュニケーションなどの課題も多く、一部の社員のみが限られた用途で利用できるものでした。

 

ー2年ほど前

「育児や、介護を行う社員がそれぞれの事情があっても働きやすい環境を作るためには、どうしたらいいか?」といったテーマを会社全体で考える機会があり、そのアイデアとして当然ながら「ワークフロームホーム」があがり、数名の社員にパイロット対応を依頼、実施していました。

 

ー1年ほど前

社内コミュニケーションの質を上げるために実施したアンケート結果でも、リモートワークへの関心が高かったことから、改めて全社で実施する方向でトライしようという流れになり、まずは月に2回、全社での実行を試みました。


ーそして今年

6月に開催されるはずだった東京オリンピックに向けて、オフィス周辺エリアの混雑、通勤時の混乱などが予想されたため、その回避としてリモートワークを「ちゃんと」導入できるようにしておこうという意見が上がっていました。


しかしどのタイミングでも、環境(ハード面)の手配や業務ルールの変更など、課題を解決する工数に対してそこまで最優先することは難しいとの意見が多く、全社導入は保留となっていました。

何度となく「リモートワークはやった方がいい」という雰囲気が社内で湧き上がるタイミングがあったからこそ今回、1ヶ月ちょっとのスピード導入が実現できたのだと思います。


導入に際してのハードル「業務フローや契約の変更が大変だった、でもそれ以上に物理的なハードの調達も困難だった」


ーハード面は力技で

クリエイティブチームなどは、グラフィック用の特別スペックの大型機材を使っていて自宅作業が難しい。部門によっては、ボリュームの大きいデータを常時取り扱う必要があって、それを通常回線で対応するのは難しい。といっ障壁がありました。それを「なんとか」対応できる方法をひとつずつ模索していきました。


また自宅のネット環境において、「回線が遅い」以前に、「そもそもインターネット回線がない」という人もいることがわかり、貸し出し用のWiFiルータをチームメンバーで融通しあってもらったり、一時的にレンタルWiFiでしのいでもらったり・・・。会社用スマートフォンのSIMをより多くのデータ量を扱えるプランに早期に切り替えつつ、その配布対象範囲を全ての社員に広げることで、なんとか対応できました。 


元々、「(Teamsなどの)コミュニケーションツールをもっと積極的に使おう!」 というアナウンスはずっとされていました。特に会議ツールについてはほぼ徹底できていたと思います。それでも今回、TECHチーム宛には、想定していた以上に初歩的な質問も多く届きました。

例えば、「音がでない(スピーカーやマイクの設定がOFFに)、「映像がでない(同様に設定がOFFに)、「繋がらない(そもそもネットワーク環境がないのに)」など・・・ほんとうに沢山ありました。


まず正社員の中で、ノートパソコンを持っている人、とにかく用意ができている人からスタートしました。次にデスクトップメインの社員に対して、「気合い」で(必要なスペックを確保した)ノートパソコンを探し、必要な台数を購入&セットアップして、使い方、セットアップの仕方を説明して、配布して。

ようやく全社員がテレワークに入れるようになりました。


ー契約や検証などの大切なアナログ業務

いち早く取り組みを開始したため、ファイナンス部門はまず、お客様の協力を得るところからスタートでした。どうしても紙の請求書がオフィスに届いてしまうとか、契約書への捺印問題とか・・・。

請求書についてはPDF対応を進めていますが、お客様側でもリモートワークが進みご理解をいただけるようになっています。


人事サイドでは、業務フロー、契約面の課題解決に苦労しました。

「業務指示者がリモートワークしていて、派遣社員はオフィスにいる」という状況が生まれることがあり、お互いに不安や業務遂行がしづらい状況も起きていたようです。


100%テレワークにするためには派遣社員の皆さんにも実行していただく必要があり、派遣元の会社に、リモートワークにしてもいいか、何かあった場合の責任、指揮命令系統、コミュニケーションをどうするかなど、それに合わせた契約の見直しと調整を行い、さらに指示コミュニケーションルールを整理しました。

今後、派遣社員さんがオフィスに戻っても、チームメンバーの誰かがオフィスにいたり、リモートでのコミュニケーションが取れればOKといった、ルールを緩める調整を進めています。

  

ーカタリナならではの業務、クーポンを発券して検証する

100%リモートワークにするには、今までおこなっていた重要な検証作業、「カタリナが提供している店頭クーポン施策の用紙を実際に発券して、間違いがないかを確認する」発券テスト作業のフローを取りやめる必要がありました。


以前から既存の運用の中で、紙で実際に確認しなくても、電子的な確認フロー(デジタル上で内容を確認する)が構築されていたのですが、「石橋を叩いて渡る」感じで、最後に紙で印刷してトリプルチェックするというルールを追加していました。


これを削減するにあたって、「どのようなリスク」が「どれくらいあるか」を定量的に判断するため、直近の実績を洗い出して分析し、残存リスクはほとんどなく、十分受容可能であるという判断材料を整理した上で当該運用の停止を早期に決定しました。

もちろんその後もこの削減にまつわる事故は起きていません。むしろ無駄がそぎ落とされたといった感じです。

 

緊急対応が必要な状況下での業務工程を減らす作業は、強引に一部業務をカットしたり代替したりすることになり、歪みやトラブルが起きやすいと思っていました。検証チームの万が一を鑑みた確認手順がしっかり機能していて、かつ丁寧に想定リスクを分析、検討したからこそ、スムーズにフロー変更ができたそうです。


この状況が落ち着いてもテレワークを継続するのか?


カタリナは、今の状況が落ち着いた後もテレワークを継続できる状況にあります。その上でどうするか、今話し合いを始めています。 


新たなオフィス引越しを検討するとき、「今後、今までと同じ広さは必要ではないかも」という話が出ています。「今の広さの3分の2くらいあればいい」という意見から、さらに「半分でもいいのでは?」という意見まで。さらにミニマムでもいいかもしれないという意見まで出ています。

ワークライフバランスの観点から最適なオフィススペースとはどういうものなのかを検討し、広さだけでなく、立地や多くのミーティングスペースを確保できるレイアウトなども考慮して検討したいと思います。


もちろん、オフィスで行った方が効率がいい業務もありますし、リアルなコミュニケーションも大切だと思いますし、お客さま対応など、オフィスへの来客需要も残ると考えています。

 

ハード的課題、業務ルール上の課題をクリアし、100%テレワークを実現した。その結果、今力を入れているのは「社員のメンタルサポート」 


カタリナでは、リモートワークもメンタル部分に関しては配慮すべき点があると思っています。

基本的にはオフィスで仕事したいと思っている人や、何かしらの理由でテレワークにしたくない人もいますし、「全社員テレワーク」を実施しているのは、あくまでもこの特殊な状況下だからだと考えています。


リモートワーク実施後、各チームで社員との1on1をおこなったのですが、その際にある社員が「一人暮らしだと1日中だれとも話さないこととかがあって辛い」「このミーティング自体が物理的に人と話せる機会なので貴重な時間だ」と話していました。


インドア派で、リモートワークを楽しく実践している社員もいるようなのですが、一方で趣味がフィジカルなもの中心だったりする人は、外に出かけられないストレスからすごく気持ちが重くなったりしているようです。

この状況が続くと、メンタルダメージを受ける人もいるんじゃないかな、フィジカルなコミュニケーションも必要なんじゃないかなという懸念点が出てます。


この問題は人事部門が産業医の先生ともお話していて、一人暮らしで、食材などの買い物以外に外に出ないとなると外部との接触がほとんどなく、ちょっとマインドが落ちる、鬱っぽくなる人も多いとのこと。

どうやってそこをサポートして行くのか、リモートワークになったことによる新たな健康サポートの課題があると考えています。


カジュアルな場を作り提供し、メンタルの健康被害を予防することにつなげる必要を感じます。

例えば、チームでバーチャルな「Face to Face」のMTGをしたりとか。

PRチームが「なんでもコロナ掲示板」(この状況で思うこと、あったことなどを気軽に共有、話す場として作ったチャットルーム)を作ったことで、コミュニケーションが生まれています。


4月からメンバーに加わった新入社員も入社2日目からリモートワークになっています。最初から在宅になることで不安も多いと思うので、そこを払拭するようにエクストラにケアをしています。

  

なにか聞きたいことがあっても、相手が今忙しいかがチャットシステム上だと分からないので、タイムリーに聞きにくいことがある、という話も聞きます。フィジカルに近くにいるのであれば、雰囲気とかで分かることが難しいようです。 


テレワークに対する文化の違い「社交的に会社がイベントを起こすアメリカ」と「個人同士の繫がりが多発する日本」

 

やっていることは大体一緒、基本は全社員がリモートワークです。

違うところといえば、US本社は意外と、会社発信のイベントっぽいコミュニケーションが多いこと。


例えばアメリカ本社では、「Lunch and Laugh」(みんなでランチを食べながら、オンライン上で顔を見ながらランチをとり、カジュアルに話すイベント)など、Teams上でイベントを開催したり、Children's books(児童書)の読み聞かせイベントを主催したりしていました。


またイギリスチームの社員は、「Virtual afternoon tea time」というのをオープンに企画していたそうです。メールやチャットの「文字」だけではなく、話をするリアルコミュニケーションを多用しています。


日本でも、オンラインでご飯を映してみんなでウェビナーを繋ぎながら食事するとか、アイソレーションを感じている人にとっては意外とよいきっかけになるのではないかと思っています。

 

もちろん日本の社員でもこういったコミュニケーションを実践している個人グループはあるのですが、文化が違うと感じるのは、日本でこういった企画をすると「わざわざやりましょう」という構えた感じになること。

コミュニケーションは本来、自発的にやるものだと思うのだけど、日本だと「誰か一人が走り出してもうまくいかないかも」と考えてしまうケースが多い印象でした。


海外でテレワークの中でもコミュニケーションをとる企画が自然発生するのは、仕事に対するベースの考えとして「定時」という概念がなく、裁量制であることが多く「労働しなくちゃいけない時間」というものががっちり決まっていないからではないかと考えています。


カタリナでは結果的に、テレワークの導入が少し先になりましたが、ほぼ同時期にフレックスタイム制度を導入できたので、働く時間含めていろいろなことを柔軟に考えられたのではないかと思います。


タイムシフト制のままだと、「そのイベントに参加している30分は業務時間じゃないのでは」みたいなツッコミが起こったりしそうです。フレックス制度のように、ある程度労働時間について社員側に裁量性、柔軟性がないと、テレワークの中でのコミュニティ実現は難しいのではないかなと感じました。

 

最後に。ご紹介している画像はTECHチームから共有いただいたものです。

200台以上のiPhoneや数十台のノートパソコンが一斉にオフィスに届く様子もなかなか壮観です。また今回の導入に合わせ、新規利用、機種変更など人によってさまざまなケースがあり、それに対応するためのマニュアルも作成してくれていました。本当にみなさんご苦労さまでした!


これから状況が落ち着いてきたあと、カタリナのワークスタイルは、新しいワークライフバランスを考慮した新しいものにブラッシュアップされていくかと思います。その時はまたぜひお話させてください。






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