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新しい価値創造にチャレンジする企業の女性たちが語る『本音で共創する組織(チーム)づくりへの挑戦』(日本ヒーブ協議会)の発表まで

著者: 一般社団法人 日本ヒーブ協議会

               ©Daisuke Motozono

世代・役職を超えて活用できる、チャレンジと知見が満載された実践的な冊子

日本ヒーブ協議会による、進化する実践BOOK『本音で共創する組織(チーム)づくりへの挑戦』では、2022年7月26日(火)に発表公開講演会を開催。この冊子は会員である企業の女性たち約60名の日々の業務におけるチャレンジや知見が持ち寄られ、多様な意見が交わされる中から生まれました。その制作過程が、まさに本冊子に書かれた「本音で共創」そのもの。制作にかかわった会員に大きな気づきを与えました。制作の中心的な役割を果たした、日本ヒーブ協議会理事で日本生命保険相互会社の小林あさひさんと同協議会会員の積水化学工業株式会社 丸山麗子さんが、冊子にこめた想いと制作過程の中で得た気づき、そして企業の中で世代や役職を超えて活用できるノウハウについて語りました。(以下敬称略)

この冊子をきっかけにすべての組織で「本音で共創」にチャレンジしてほしい

小林 : 企業の創造性や生産性が高まらない要因の一つに、異なる価値観との対話を避けて内向きになり、新しく多様なチャレンジが阻止される社会風土があるのではないか、と私たち会員は職場で毎日実感し悩んできました。この冊子では「社内で起きる残念な出来事」の一つとして「そして、誰も言わなくなった」を紹介しています。これは、会議で上司から失敗も報告するようと促された部下が実際に報告すると、途中から一方的に上司に非難され、以降は誰も失敗を報告することがなくなったという実例です。また、「あるある習慣カルタ」のページでは、「失敗や反対意見、耳の痛い話をしない、聞かない」「場に合わないからと発言を避ける」等の事例を紹介しています。こうした事例はどんな組織にも多かれ少なかれある光景。安心して発言したくなる場すら、未だ実現が難しいというのが現実ではないでしょうか。

私たち会員はこの現実を変革するため、所属企業各社の中で多様な価値観との対話を促しチャレンジを進める起点になろうとしています。こうした多くのチャレンジを皆で共有し、さらに背中を押すことにつなげたいと思います。

丸山:新しい価値を創り出すためのきっかけとなる冊子だと思います。生活者視点の新しい価値を生み出すには、まず自分自身が組織の中で「幸せをつくる起点」にならなくてはならいのですが、冊子にはそのヒントがたくさんつまっているので、チャレンジしてみようと思うきっかけにして欲しいです。

「本音で共創」のための、実体験に基づく3つのステップ

丸山: 冊子は対話の重要性や価値創造のためのステップを解説した「基本編」と、各ステップ達成のためのキーワードとチャレンジ事例を紹介する「実践編」という2部構成になっています。ステップは

・ステップ1 安心をつくる(安心して発言したくなる場をつくる)

・ステップ2 本音で対話する(本音で語り、多様な意見を取り入れる)

・ステップ3 本質を追求する(多面的に検討し、本質的な新しい価値を見いだす)

の3つです。

私は基本編を担当し、会員間で交わされる話を具体的な言葉で表現する役割でした。コロナ禍のためにオンラインでの打ち合わせが続きましたが、皆さんにいつも笑顔でうなずきながら話を聞いてもらい、「こんなこと言っても大丈夫かな?」と思う意見も否定されることは全くなく、「そうだね」「それは面白いね」「もっと話が聞きたいな」と口に出していただけたので受け入れられている実感も持て、さらに話したいと思うことができました。

小林: 私は徹底的に具体的な事例を出すことに注力し、管理職の目線で自分の失敗談も交えながら自身のチャレンジを紹介。ステップ1(安心をつくる)、ステップ2(本音で対話する)までは実例を挙げられるのですが、ステップ3(本質を追求する)となると成功例を見つけるのがとても難しかったですね。海外の職場で経験した会議の様子や、その時の外国人上司のマネジメント等も例に盛り込みました。この冊子に書かれていることはすべて、協議会の約60名の会員から寄せられたアンケートによる実体験や知見に基づいており、他にあまり例がないと思います。 

役職や年齢に関係なく、勇気をもって発言する。行動を起こす。

丸山: 制作の打ち合わせの際に、ヒーブ協議会会員が在籍する企業の中でさえ心理的安全性が確保されていない、安心をつくる最初のステップが難しいという話を聞きました。私の職場は、幸い普段から安心して本音が話せる環境だったこともあり、当初、心理的安心性がない職場というのがどのようなものかイメージができませんでしたが、他の会員と議論する中で、心理的安全性が確保されておらず、周囲から受け入れられる保証もない時に、場を明るくするための最初の行動を起こすことがどんなに大切で勇気がいることかということに気づかされました。そういう職場では、他人事で「何もしない」のが一番無難で簡単ですから。しかし、どんな組織でも、もう一段上に進むために小さなアクションを続けることが大切だと思いました。トップダウン、ボトムアップのどちらであっても、全員がコミュニケーションの重要性を認識し率先して、行動を起こすことが必要だと感じています。

小林:まったく同感です。今回の制作の過程でも、議論が終盤に差し掛かっているにも関わらず、議論を果敢に遮り「今さらで申し訳ないけど、ちょっと待って。今の議論に私はついていけていない」「この内容だと、私は間違えて理解してしまう」等と発言してくれる方がいました。「分からない」「違和感がある」ということを発言するのはとても勇気のいること。彼女が本音の質問や本質に関わる発言をすることで、皆の理解が進みましたし方向性のズレが修正できました。冊子を作るプロセスで、本音で共創するためのステップを体感できました。

組織運営がうまくいかない時に、自分にぴったりのキーワードが探せる

小林: 一般的な職場には、ある程度の共通認識、職場の「当たり前・前提・前例」があり、それらをもとにすれば深い議論はさほどしなくても業務は進むかもしれません。しかし、この冊子を制作するうえで、共通の「あたり前」や「前提・前例」を持たない私たち会員の間では、自己開示や目標の完全な一致をじっくりと行う必要がありました。そして、いったん目標や目指すイメージをしっかりと共有化できれば、バックグラウンドが異なる会員の多様性は強みになりました。様々な体験、意見や方向性で議論ができ中身に説得力と厚みができたのです。多様な力を組織の力として結集できると実感し、素晴らしい学びになりました。

丸山: 今回の制作を通じて、自分事にすることで周囲の空気が変わっていく、他人を変えることは難しくても自分は変えられる、自分が変わり発信すると周りの受け取り方が変わり活性化すると実感しました。今、私は自分の職場でステップ3(本質を追求する)に挑戦しています。

小林: 私たちは各自、日常の会社業務をしながらこの冊子を生み出しました。ヒーブの底力、恐るべし。特に締め切りが近くなってからの集中力はすさまじかった。冊子にも掲載している「責任感」、「本気でやりきる」、「他の視点はないか粘り強く対話」、「柔軟性」、「場を楽しむ」のキーワードを体現し、一緒に新しいものを作り上げる喜びが味わえました。

協議会会員が大切にしていることを集めたページもあり、キーワードが紹介されています。組織運営がうまくいかないと思う時、今の自分にぴったりのキーワードを見つけ、前に進む勇気やヒントがもらえます。今後、一緒にチャレンジする仲間を増やしたいと思います。

丸山: この冊子のタイトルは「進化する実践BOOK#1」なので今後、♯2・♯3と、一層ブラッシュアップしていこうとしています。当協議会の会員だけではなく、冊子をご覧になった方からの実践例等もGoogleフォームで募っています。多くの方とともに進化できることを楽しみにしています。









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