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雪の課題をIoTで解決、燃料コストを年間平均42%まで削減するサービス「ゆりもっと」〜普及が難しいIoTサービスを雪国で浸透させた秘訣とは〜

著者: エコモット株式会社

北海道札幌市に本社を置き、2007年の創業以来IoTソリューションベンダーとして、センサー・自社開発通信デバイスの提供をおこなうとともに、あらゆる「モノ・コト」からセンシングを可能にするソリューションを提供するエコモット株式会社(代表取締役 入澤 拓也、以下「エコモット」)が創業当初から手がけているロードヒーティング遠隔監視サービス「ゆりもっと」は、札幌・東北のマンション・商業施設を中心に普及が進み、現在では1,800件の導入実績を誇っています。

寒冷地での耐久性や、施設ごとに異なるボイラー設備への取り付け、お客さまの要望に沿った運用方法など、多くの課題を乗り越え、ロードヒーティングの定番サービスとなった、その理由について追求してみました。

※ロードヒーティングとは:北海道や東北などの積雪地帯において、道路・駐車場の融雪及び凍結防止を目的として電熱線類または温水を循環させるパイプを埋設し、路面の温度を上げる設備のこと。


■「ゆりもっと」とは

「ゆりもっと」はモバイル通信デバイスと赤外線カメラを既存のボイラーに取り付けるだけで、遠隔地からボイラー運転制御・画像撮影を可能とし、エコモットの遠隔監視センターで冬シーズン24時間運転代行をおこなうサービスです。

これにより、従来の自動(センサー)運転によるムダな運転、誤認運転を解消し、熟練のオペレーターによる現場の状況と雲の動きや気温等の気象データを加味した効率の良い運転が可能となり、大幅に燃料コストを削減することができます。


<ゆりもっとシステムイメージ>


<既設センサーは過剰検知しボイラー稼働するため監視センターでオペレーターが制御>


■開発したきっかけは?

創業当時は原油価格が高騰しており、マンションオーナーがロードヒーティングの燃料コストに頭を悩ませているのを偶然聞いたことがきっかけでした。

ロードヒーティングボイラーには降雪センサーが取り付けられており、降雪を感知して電源が入る仕組みとなっているため、積雪しないちょっとの降雪でも反応してしまい、ムダな燃料消費が多く、節約のためにオーナーが現地まで行き、降雪センサーに頼らず手動でボイラーのON/OFFをおこなっているという話を聞き、それをモバイルで効率よく管理することができないか考え、「ゆりもっと」の開発を始めました。その後、展示会の出展やプレスリリースを重ねメディアへの露出を増やしつつ、札幌市・青森市の各拠点で優秀な営業マンと運用スタッフを獲得し、普及が加速していきました。


<創業当初に開催された展示会でゆりもっとを紹介している入澤 拓也(代表取締役)>


■年間燃料コストを平均42%削減、環境にもお財布にも優しいサービス

「ゆりもっと」は1,800物件以上の導入実績があり、年間平均で約42%もの削減率を誇るサービスです。

ゆりもっとを導入する前までロードヒーティングの灯油使用量を29,405リットル使用していたマンションでは、導入初年度に約1/3にあたる11,485リットルまで削減することができました。金額に変換すると導入から15年の総額で約20,000,000円もの燃料コスト削減(灯油単価により誤差はあります)に成功しております。

1世帯が1年間に消費するエネルギーは、灯油が172リットル、都市ガスが204㎥と言われています。(※1)

この1棟のマンションだけでも毎年100世帯近くの灯油使用量を削減しており、ゆりもっとを導入している約1,000件の灯油を熱源としたロードヒーティング物件を合計すると数万世帯もの削減量となります。

世界中の人々が目標としているカーボンニュートラルの実現に向けて、雪国の暮らしを配慮した上で大いに貢献していると自負できる環境にもお財布にも優しい自慢のサービスです。

参照:環境省(2017年度の家庭のエネルギー事情を知る 〜家庭でのエネルギー消費量について〜)


<2007年からゆりもっとを導入している札幌市賃貸マンションの灯油使用量の推移>


■このサービスが普及にいたるまで

Q:長いこと「ゆりもっと」の営業をしている月永さんに普及される前のお客さまの反応をお伺いしました。

月永さん:私が入社したころは原油価格が高騰し、乱高下も激しく、分譲マンションの管理組合さまや賃貸マンションのオーナーさまは当初計画していた経費(燃料コスト)を大幅に超えており、頭を悩ませておりました。

そんな中で、節約するため分譲マンションであれば住民の方が当番制で雪が降ったら融雪設備のスイッチを入れる、賃貸マンションであればオーナーさまが現地に出向きスイッチを入れる等の工夫をしておりました。

しかし、自然が相手ですので24時間いつ雪が降ってくるかはわからず、かなりの重労働と心労が絶えなかったそうです。その背景もあったので自信を持って提案して回っておりましたが、その当時はIoTなんて言葉もなく、インターネットを利用して何かを動かすなんて一般的ではなく、ましてやロードヒーティングを遠隔で動かすなんて誰もやっていなかったので、まずは「そんなの信用ならん!」「できるわけないでしょ」なんて言われ、門前払いなんて当たり前で、全く信じてもらえず苦労しました。

それでも私達には信念があり、「絶対にお客様のためになる!」「地球温暖化対策に貢献できる!」という強い思いがあり、少しずつ信用してもらえるようになったのかなと思っています。


Q:普及されたきっかけをお聞かせください。

月永さん:弊社が24時間体制でお客さまに代わってロードヒーティングを操作する「遠隔監視代行サービス」をおこなったことが普及を加速した要因の一つでもあります。今でこそ「監視センター」で専門のオペレーターが常時監視しておりますが、当初は営業しながら交代制で24時間監視を行い、監視ノウハウも未熟で、節約への思いが強すぎて、雪を多く残してしまい厚い氷状にしてしまうなどを繰り返しておりました。入居者のご迷惑になってはいけないと、現地出向き除雪を行う「除雪隊」なるものを結成したりと、本当に地獄のような日々でした(笑)。今になって思いだしたときに、除雪していたら遠隔操作の意味をなしてなかったなって笑い話するときもあります。

そんなこんなありながらも、今では監視も約1,800物件を超え、お客さまから「求められるサービス」になったのではないかなと自負しており、このサービスに携わってきたことに誇りを持っています。


<長いこと担当営業をしている月永 武寿さん>


■既設ロードヒーティングにIoT機器を取り付けるにあたり苦労したことは?

Q:設置工事から監視オペレーションまで、サービスのテクニカルな部分を総合的に統括する吉田さんに「ゆりもっと」の特異性について聞いてみました。

吉田さん:ロードヒーティング設備には20社以上ものメーカーが存在し、物件規模や敷設時期により構成される設備の種類や機器数などが様々であるため、物件施設個々にあわせた設置工事及び配線接続をしなければなりません。ご導入いただくお客様には最小限の通信デバイス数でかつシンプルで効率的な監視運用ができるようデバイスの設定と監視カメラの設置場所や画角設定をおこない、シーズン前には毎年、すべての物件で動作試験をおこない丁寧な運用を心がけております。


Q:最も注意している点はありますか?

吉田さん:設置に必要な事前調査を漏れなくおこなうことと、設置後のロードヒーティング設備の動作試験を確実におこなうことです。

監視運用においては、地域ごとに異なる天候と降雪状況、融雪路面素材の違い等により融雪速度が異なるなか、サービスの基準に沿った運転操作をおこなうことに重きを置いています。 そのため溶け残りがある等の苦情になるケースもございますが、お客さまからの追加の運転ご要望等にも対応できるよう各物件のロードヒーティング設備構成等の情報を整理記録して準備しております。


<IoT機器の設置工事から監視ディレクションを担当する吉田 成希さん>


■今後の展望についてお聞かせください。

Q:ゆりもっとをより成長させるために考えていることはありますか?

月永さん:よく、競合はどこですか、競合との差別化は何ですかと聞かれることがありますが、競合はいないと思っています。同じようなサービスをおこなっている会社はありますが、「お客さまのため」「地球環境のため」と目的は一緒なので、お客さまがどこのサービスを利用しても良いと思っています。とは言いつつ、自分たちで貢献したいという思いはありますが(笑)。

このサービスは雪国特有のサービスで、同じ場所で事業展開しています。それぞれが持っている強みやノウハウ、データを活かし一緒に雪国の問題解決をおこなう、協業するサービスにしていきたいと思っています。


Q:今後の展望についてお聞かせください。

月永さん:エコを推進する弊社では、政府の目標でもあります「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」に貢献するために、昨年の7月より首都圏でEV充電スタンドを展開しているユアスタンド株式会社と提携しております。

その背景には、集合住宅で入居者がEV車を購入したくても充電設備を勝手に設置することができないため諦めている方もいらっしゃること、弊社のデバイスが遠隔で充電設備のコントロールをできること、そして「ゆりもっと」の導入場所のほとんどが集合住宅となっていることもあり使命を感じたところにもありました。

私には4人の息子がおります。その4人の子供達が所属していた(現在も一人所属)、少年野球チームのコーチも務めており、たくさんの子供たちと接する機会があります。本当にみんな可愛くて、つくづく、この子たちの未来は我々大人が守らなければならないと思わされます。カーボンニュートラルを目指して、これからも社員一同、地球環境のために取り組んでいきます。


<カーボンニュートラルの実現について熱く語る月永 武寿さん>


■ゆりもっと&ユアスタンド 現地調査&お見積を無料でおこなっております。

ロードヒーティング遠隔監視サービス「ゆりもっと」と、EV充電インフラ「Your Stand」の現地調査・お見積を無料で実施しております。シーズン期間中のため先着順でのご対応となりますので、お早めにお問い合わせください。

(北海道の指定エリア、北東北の指定エリアのみの展開となっておりますのでお問い合わせください)


ゆりもっと:https://www.yurimott.jp/

YourStand:https://www.iot-evcharger.com/


■エコモット株式会社について

エコモットは2007年の創業以来IoT専業のソリューションベンダーとして、センサー・自社開発通信デバイスの提供を行うとともに、多様な顧客ニーズに応じたカスタマイズ、現場での設置ノウハウを提供し、あらゆる「モノ・コト」からセンシングを可能にするソリューションを提供しています。2017年6月に札幌証券取引所アンビシャス市場、2018年6月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場。2019年1月にKDDI株式会社と資本業務提携いたしました。


所在地: 〒060-0031 北海道札幌市中央区北1条東1丁目2番5号 カレスサッポロビル7階

代表: 代表取締役 入澤 拓也

設立: 2007年2月

資本金: 6億1,532万円(2022年8月末時点)

事業内容: IoTソリューションの企画、およびこれに付随する端末製造、通信インフラ、アプリケーション開発、並びにクラウドサービスの運用・保守に関する業務のワンストップでの提供

URL: https://www.ecomott.co.jp/







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