製造・物流業の現場の課題を解決!「RF異物検知」と「RF簡単棚卸」の機能と開発ストーリー
東芝テックは、2023年4月、RFID技術を活用し、さまざまな出荷現場において出荷物への備品混入を防ぐ「RF異物検知」および製造・物流業におけるシンプルな棚卸業務を可能にする「RF簡単棚卸」を発売。初期導入コストを低減しつつ、デジタル化による効果を実感できるソリューションを実現しました。
多くの業界において、人手不足の課題を抱えつつもミスのない作業や業務の効率化が求められる中、本製品はどのような機能を発揮するのか。また、開発の背景にはどのような物語があったのか。今回は、担当者のコメントとともに、本製品の開発ストーリーを紹介します。
RFID技術で業務効率化に寄与するソリューションを実現
「RF異物検知」の機能と特長
業種・業界を問わず出荷現場では、ハサミやカッターのような備品を出荷物へ誤って同梱してしまうミスや、備品紛失の際には出荷前の梱包を開封して探すなど、業務の後戻りがいまだ存在します。
「RF異物検知」は、RFID技術を用いて出荷物を開封することなく、外から備品の混入状況を把握できることに加え、シンプルな棚卸機能も実装することで、備品のみの棚卸も可能としました。
「RF簡単棚卸」の機能と特長
製造や物流現場の物品管理は基幹システムとは別に、それぞれの現場で定期的に棚卸をしている場合があります。目視やバーコードによる検品は工数がかかるため、デジタル化や効率化による在庫精度向上が課題となっています。
「RF簡単棚卸」はRFID技術を用いることで物品に取り付けられたRFタグを一括で読み取り、棚卸にかかる手間の削減や棚卸精度の向上を実現します。また、物品の管理番号をもとにRFタグへ書き込む独自のコード*を発番することで、従来現場が行ってきた管理番号に近い形でRFID技術による棚卸が可能です。
*国際標準化されていない識別コード体系を使用しています。
「RF異物検知」と「RF簡単棚卸」はこうして生まれた
RFIDの創業ストーリー
当社はRFIDのハードウェア、ソフトウェア、タグの三位一体ソリューション提供が可能というコンセプトを掲げ、流通業で培ったノウハウと保守サポート基盤を活用したビジネスを展開。ハンディリーダーライター、据え置きリーダーライター、プリンター、パッケージシステム、RFタグの各RFIDアセットを組み合わせ、お客様の課題解決を図っています。
当社でRFID事業の検討を開始したのは2002年です。当時は現在の主流であるUHF帯は未認可だったため、HF帯をベースにしたソリューションの企画から始めました。2003年に“RFID“という名前が付いた組織が立ち上がり本格的に事業検討を開始。当時は4名の小さな部門でした。
2005年1月にUHF帯が国内で使用可能な帯域として総務省に認可され、タグの低価格化への期待と、通信距離約10m可能という規格により「バーコードに代わる次世代媒体」と「長距離、複数同時、遮蔽での読み取り可能」な技術への期待から、RFタグはもちろん、リーダーライター、アンテナ、アプリケーションをビジネスにしようと大小さまざまなメーカーが市場参入しました。
2006年以降は、CVS、GSM、家電、書籍、アパレルなど多種多様な業界で経済産業省が費用を負担する形で実証実験が盛んに行われました。当社も私たちのドメインに関連する領域だったため積極的に参画しました。
2010年にはRFIDというテクノロジーを活用して全世界で製造、物流、小売りでイノベーションが起こり、参入企業の事業は市場成長を期待していました。しかしながら、実際は想像したほど市場は拡大せず、撤退した企業も多くありました。
そんな中、当社は一貫してイノベーションによる市場成長を信じて継続的に注力し、市場拡大に貢献。現在ではRFIDのハードウェア、ソフトウェア、サービス、サポートがトータルで可能な数少ない企業として一定の地位を確立できました。
プロダクト企画・開発の経緯
2021年4月にRFIDハンドリーダー「UF-3000」をリリースした後、当社では店舗向けの「RFMeister」と物流倉庫向けの「RFLogispert」という2本のパッケージソフトを中心にソリューション提案活動を行ってきました。これらのパッケージソフトとRFIDハンドリーダーは現在多くのお客様にご活用いただいています。
(RFMeisterサイトURL:
https://www.toshibatec.co.jp/products/auto_id/rfmeister/)
(RFLogispertサイトURL:
https://www.toshibatec.co.jp/products/auto_id/rflogispert/)
上記パッケージソフトは、お客様の基幹システムと連携することを前提としていますが、RFIDサーバを設置することでお客様の基幹システムには大きな改修を加えることなく導入できることがポイントです。しかし、物理的なサーバ機を用意することや(※「RFMeister」はクラウド版もリリース済み)、RFIDサーバと基幹システムとのインターフェースの改修が必要となるため、RFIDの効果を検証するために‘’気軽に‘’導入できるシステムではなく、本格的にRFIDを導入されるお客様向けのパッケージソフトとなっています。
一方で、気軽にRFIDを試したいというニーズは非常に多くあり、商品企画部門では「UF-3000」のさらなる活用方法を検討しました。ある日、営業担当から実際に「UF-3000」をご購入いただいたお客様が無償のデモアプリを上手く活用されている事例、そして他のお客様でも同じニーズがあることを聞きました。
そこでRFID本格導入(「RFMeister」や「RFLogispert」)とRFIDお試し(無償のデモアプリ)の中間に位置する「RFIDスモールスタートソリューション」として、本製品の企画を開始しました。無償のデモアプリではなく、製品としてリリースするからには、どういった機能を盛り込むべきか詳細に検討を重ねました。ニーズを発掘し、検討を開始してから約1年を経た2023年4月3日、「RF異物検知」と「RF簡単棚卸」をリリースすることができました。
開発担当者コメント
リテール・ソリューション事業本部 ソリューション企画開発センター
SCMソリューション商品部 梁瀬 蓉平
取引先の現場の課題が、「RF異物検知」開発のきっかけに
本製品開発のきっかけは、ある営業担当が当社のRFIDリーダーとRFタグを某小売業の出荷現場に販売したことでした。ソフトは設定用の無償で提供しているものを使っているそうです。聞くとその現場では商品を荷造りするときに誤って梱包備品(ハサミ・カッター等)を混入して発送してしまうミスがあるとのことでした。
このミスを撲滅するために今までX線装置なども検討していたと聞きましたが、コストがかかり過ぎることや、写ったものを判断できるかなど問題があったそうです。そこで営業担当が梱包備品にRFタグを付けて、対象物のみに反応するという提案で導入いただきました。
RFIDリーダーは、例えば先頭4桁が「****」のみに反応するというフィルタ設定が可能です。それを使って例えば「9999********」のRFタグを付けることで、仮に梱包の中にRFIDが付いた商品が混在していても反応せず、梱包備品のみに反応するということが可能になります。
一方で、備品が混入してしまうケースはそれほど多くはありませんので、検知作業としては毎回無応答を繰り返すだけです。また、どの程度電波を照射するかも人によってバラツキがあり、改善点はあるなという状態でした。そこで検知の秒数設定ができるようにし、さらに検出した際は、何が混入したか品名を表示するとともに複数の梱包物の中からどの箱に混入しているかも検出できるようにしました。
また後日別の取引先でも同様の問題があり、梱包備品の棚卸は毎日行っているとの話を伺いました。数百点の棚卸ですが、毎日となるとその工数は結構な負担となります。そこで今回「RF異物検知」を開発するにあたり、備品の棚卸機能も盛り込むことにしました。
さまざまな出荷作業を行う現場の小さな課題かもしれませんが、少しでもお役に立てればとの想いを込めたソリューションです。
リテール・ソリューション事業本部 ソリューション企画開発センター
SCMソリューション商品部 田中 千裕
「RF簡単棚卸」で多くのお客様の課題を解決したい
本製品開発のきっかけは、お客様に「RFMeister」、「RFLogispert」の提案を行ったときのことでした。仕組みとしてはとても魅力的だが、流通業向けの商品識別コード体系を採用していることから、それ以外の業種のお客様には結果的に導入を断念されてしまうといったケースがありました。次第に既存のパッケージソフトだけではRFIDを必要とする業種業態のお客様の要望を汲み切れていないのではと考えはじめました。
そんな中、RFIDを簡易的に使ってみたいというお客様の声からこの「RF簡単棚卸」の企画ははじまりました。基本コンセプトである「CSVデータがあれば簡易的に導入できるパッケージソフト」を軸に、これまで「RFMeister」や「RFLogispert」で培ってきた品番毎の棚卸結果サマリや探索機能といった特長も取り入れていくよう設計の段階から注力していきました。
「簡単」という名称ではありますが、お客様にRFIDのメリットを実感していただくために必要な機能を有しています。「RF簡単棚卸」をきっかけに広く社会にRFIDが普及し、より多くの方の課題を解決できれば本望です。
商品概要
RF異物検知
発売日: 2023年4月3日
価格: オープン価格
発売地域: 国内
販売ターゲット:製造業、物流業 など
RF簡単棚卸
発売日:2023年4月3日
価格:オープン価格
発売地域:国内
販売ターゲット:製造業、物流業 など
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両製品とも2023年5月下旬より品川の「TEC 01 SIGHT SHOWROOM」内 TEC UX Labへ展示予定です。東芝テックの商談用の施設であり、担当者による完全予約制です。一般公開は行っていません。
デモをご要望の場合、当社営業担当もしくはHPでお問い合わせください。
**記載されている商品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。
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