納豆が持つ本来の味わいを楽しむために。構想から5年、”発酵”を味わう「SOYRESS」の誕生秘話。
納豆かけご飯専門店「※710(コメナナイチゼロ)」を運営するTENTOMUSHI(株)は、「発酵」にフォーカスした納豆の新商品「SOYRESS(ソイレス)」を開発、4月28日よりMAKUAKEにて先行予約受付開始しました。
本商品は「発酵」にこだわった納豆の新商品となっており、発酵度合いの異なる納豆が2個入り1つのセットとなっています。
そのため、「タレの味」ではない、納豆=発酵大豆の本来の味を楽しむことができ、納豆好きの皆さまへ是非食べていただきたい新商品に仕上がっています。また、容器も普段の食卓が豊かになるようなデザインに仕上げ、贈り物にも合う商品となりました。
こだわりが詰まった本商品を届けるにあたって、構想から5年、そして覆すことが難しいと言われる常識や新しい挑戦を重ねて発売までに至りました。本ストーリーでは、そんなTENTOMUSHI(株)の歩んできた軌跡についてお伝えします。
納豆不毛の地と言われる大阪で、「※710」を開業。そこから新商品の開発を志すまで。
「SOYRESS」を開発したTENTOMUSHI(株)は、2019年1月に納豆かけご飯専門店「※710」を大阪でオープンをしました。それぞれ過去に飲料メーカーや広告代理店等に勤めていたメンバーを中心に、飲食店の経験やノウハウが全くないところからスタートしています。
また、大阪はアンチ納⾖の方も多いと言われる地域でもあり、『納豆料理の専門店!?しかも大阪で!?絶対うまくいくわけないやろ』といった周囲の反対意見も押し切っても開業し、現在まで続けてきました。
そんな想いもあり、令和5年3月末時点で延べ10万9714食分の納豆創作料理を、過去4年以上に渡ってお客様にご提供してきました。
納豆業界に残る、不自然な常識。
大阪での挑戦を続けてきた私たちが、今回「SOYRESS」の開発へ至るまでには、納⾖かけご飯専⾨店をつくろうと決意した2018年の夏~秋頃まで遡ります。
当時、⼤阪市内で⼿に⼊るほとんど全ての納⾖を試⾷しました。その時に強く感じたのは、味の⼤部分がタレによって決まってしまっているという納⾖業界の常識でした。
これはとても奇妙な常識で、⼤⼿企業でなければタレを⾃社⼯場で⽣産している納⾖メーカーはほとんどありません。全国各地に存在する中⼩の納⾖メーカーは、⽇々納⾖の発酵プロセスを管理・改善し、より美味しくなるよう切磋琢磨しています。
それにもかからず、美味しいかどうかの判断の⼤部分を、外注製造の付属品であるタレに委ねてしまっているからでした。
⽣産者として努⼒している点と、消費者に向かって訴求している点があべこべになっているという印象を強く受けた経験が、「SOYRESS」の商品開発にも大きく影響しています。
「※710」のオープン当時に私たちが特に重点的に取り組んだのは、⾃家製タレの開発でした。
タレで美味しさの大部分が決まるのであれば、市場で出回っているどの納⾖よりも美味しい納⾖をお客様にご提供できる⾃信があったのです。なぜなら、流通を前提として保存料等の添加物を含まざるを得ない既存のタレに対して、飲⾷店では超⾼鮮度のタレを毎⽇つくり、翌⽇には消えてしまう儚い⾵味でさえもお客様にご提供することができるからでした。
納豆不毛の地と呼ばれる⼤阪で努⼒を重ねて、当社にもオリジナル製造をしてくださるエイコー⾷品様による「納⾖そのものを製造する技術」と、私たちが開発した「超⾼鮮度のタレ」の組み合わせによって、”⼈⽣で⼀度も納⾖を⾷べたことがない” や ”今までどんな納⾖を⾷べても⾷べれなかった” というようなお客様にもご満⾜いただくことができました。
しかし、飲⾷店としては⾃家製タレの開発がお客様のご満⾜にとって重要だと考えたものの、味がタレに左右されすぎてしまっている納⾖業界の常識への違和感はずっと残り続けていました。
もちろん、より美味しく納⾖を⾷べるためのタレはとても重要な付属品ですが、「そもそも、納⾖が納⾖として美味しいかどうかの本質はどこにあるのか」という疑問は残り続けました。しかし、それに対する答えが今回の新商品「SOYRESS」開発のきっかけになります。
もっと『納豆がもつ本来の味わいを楽しんでもらいたい』。そんな想いから、構想を始める。
その答えは、「納豆が納豆であるための本質は納豆独自の『発酵』にある」という基本の見直しです。約11万食分の納豆を、4年間毎日調理してお客様に味わっていただいてきたからこそ、発酵レベルの違いが納豆そのものの味わいに大きな違いをもたらしていることを強く実感することができました。
加えて、「※710」の開店計画を練り始めた2018年より、家庭の食卓で納豆を主役にしたいという秘めた思いがありました。店舗だけでなく、自宅でも本格的な商品を楽しめることができれば、と考えていたのです。
そんなヒントと想いをもとに、まず最初に株式会社エイコー食品の佐藤会⻑に相談をしました。同社は、まさに大阪で誠実に製造へ取り組んでいらっしゃる納豆メーカーさんであり、佐藤会⻑は職人気質や研究者気質を感じるような、白衣を着て顕微鏡を覗いている探究者のような方です。
佐藤会長を何度もお店にお招きし、あるいは会社へ足を運んでしつこくコンセプトや想いを伝え続け、1年間ほどかけてようやく承諾してもらうことに成功しました。納豆の製造プロセス、とくに「発酵」の工程でどういう工夫をするのかというのはメーカーごとに様々であり、かつ企業秘密。そこに携わることは内部の人間にしかできないことでした。
発酵は、1g あたり何十億・何百億という納豆菌の働きをコントロールして美味しい納豆に仕上げるのはまさに名人芸なのです。
コロナで亡くなった恩⼈への思い
納⾖かけご飯専⾨店「※710(コメナナイチゼロ)」をOPENした2019年1⽉から、ちょうど⼀周年を迎えた頃、世界的に新型コロナが話題になり始めました。
その後2020年4⽉以降、飲⾷店営業的には2022年9⽉頃まで、約2年半のあいだコロナ禍の荒波のなかで経営努⼒をしていく必要に迫られました。もちろん⼤変難しい時期ではありましたが、ピンチの中にチャンスありの精神で、今回の新商品「SOYRESS」はコロナ禍でアイデアと事業計画を練り、元気に前向きに乗り越えることができたと思っていま
す。
ですが、⼀つだけ悲しい出来事がありました。
「⼈間どん底にいけば強い者、やるだけのことをやればあとは神様が味⽅をしてくれる
かどうかだけ」と、コロナ禍で前向きに経営努⼒を続けていくためのモチベーションとなるアドバイスを下さったひとりの恩⼈が、今回の新型コロナに感染したことが原因で70歳を前にこの世を去ってしまいました。
その⽅は過去にシャンパンを関⻄で広めた第⼀⼈者で、その後エナジードリンクの⽇本上陸直後に黎明期市場開拓をサポートしたり、ワインの輸⼊販売会社を設⽴したりと、輸⼊品を国内市場に浸透させるプロフェッショナルな⽅でした。
⼀⽅で、若い頃に港内交通管制の仕事についていたこともあって常に海外を意識していましたので、海外の良い商品を輸⼊するだけでなく、⽇本の良い商品を輸出したいとも思っていたはずです。
もし彼がご存命なら、⽇本の伝統的な⾷品である納⾖、スーパーで安売りされている市場に新しく参⼊して、⾼付加価値・⾼価格帯の商品をお客様にお届けしていくにあたって、きっと良きアドバイザーになってくれたに違いありません。
過去に嗜好品のマーケティングやブランドをつくるノウハウを教えてくれて、また「※710(コメナナイチゼロ)」のOPEN直後には応援と激励のためにお店に駆けつけてくれたりと、⼤変お世話になった恩⼈でした。
そんな彼にも認められるような、日本から世界に届けたいと思ってもらえるような商品づくりを常に意識して開発を続けてきました。
遂に完成した「SOYRESS」
開発の中で悲しい出来事も経験しましたが、商品をリリースすべく挑戦を続けてきました。1年をかけたお話を通じ、佐藤会長とタッグを組むことが決まった後も、何度も協議し新しいコンセプトの納豆開発に取り組んできました。
そして、ようやく試作が完成したのがこの2023年3月末のことでした。その完成した試作品を試食した友人から放たれた一言を忘れられません。
「今まで食べてきた納豆が缶コーヒーなら、この納豆は本格焙煎コーヒー」
まさに、こだわって作ってきた商品の味が評価された瞬間でした。そんな完成した商品について、紹介します。
1.そのままで美味しい、だから味変が楽しい
私たちの新納豆「SOYRESS」には、タレを含む調味料を付属していません。発酵度合いの異なるふたつの納豆があり、違うのは発酵度合いだけです。
ふたつの納豆をそのまま食べ比べてみることで、“調味料の味”ではなく納豆本来の味わいに気づき、経験していただける商品になっています。
2.日々の中の豊かな時間、それにふさわしい納豆
皆さまとともに納豆をひとつの食べ物としてリスペクトするからこそ、私たちは「食べる」という行為にふさわしい容器を一から考案する必要がありました。
からだに良い、美味しい、だけでなくその先にある皆さまの豊かな食卓にふさわしくなるよう、パッケージの材質、そしてデザインにこだわりました。
3.大事な人と食べたい、大切な人へ贈りたい
からだに良いことがメディアでフィーチャーされがちな納豆ではありますが、 私たちがふだんそうしているように、栄養素を摂取することと食べることは同じではありません。食べる事を通じて、私たちは幸福感や心の充足を得たり、あるいは家族や友人や大切な人との時間を感じたりします。
皆さまのカラダやココロの健康はもちろん、納豆を囲む時間が、笑顔あふれるひとときになることを願って、「SOYRESS」を開発しました。
最後に。今後の展望。
今年2023年で4周年を迎えた飲⾷店の経営も、初めての挑戦にコロナと決して簡単ではなく、⼭あり⾕ありの4年間でした。
今回の新商品「SOYRESS」もきっとこれから多くの困難を乗り越えていく必要があるのだと思いますが、恩師からもらった「結果を気にせずに前向きに努⼒をしていれば、神様は必ず味⽅をしてくれる」という彼の⾔葉を胸に、常に元気に明るく、全⼒で取り組んでいきたいと思っています。
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