イチゴの“隠れ食品ロス”削減。常識に捉われない発想で問題解決に挑む山元ヒルズファームの創業ストーリー
株式会社山元ヒルズファームは宮城県山元町に位置する、イチゴをはじめ果物や野菜を栽培している企業です。2020年2月に創業し、自社ブランドである「ヒルズいちご」を主に生産。最先端の生産システムを取り入れることでSDGsにも取り組むなど、環境に配慮したイチゴづくりを行っています。
2023年1月、山元ヒルズファームは廃棄されていた小粒のイチゴを『お腹いっぱいいちご』として商品化しました。収穫後損失と呼ばれる食品ロスをなくすこの取り組みが誕生した背景や熱意について、取締役の森川幸子よりお話します。
異業種からIT最先端イチゴ栽培農業の世界へ
山元ヒルズファームは、代表取締役の小林と創業した会社です。小林は元々、岩手で建築資材の販売、エクステリア工事、太陽光パネルの設置などの仕事を個人事業主として23年間続けていました。
そんな生活を送っていた2018年のある日、突然の胸の痛みを訴えて救急搬送された小林は、病院で「大動脈解離」と診断されます。気付かないところで身体が壊れかけていたのです。そのまま大学病院へ搬送され、約12時間に及ぶ大手術の末、小林は奇跡的に一命を取り止めました。
しかし、一命は取り留めたものの、これまでと同様の仕事はできなくなっていました。そんな小林は療養中ずっと、物づくりや喜ばれる仕事をしたい、生かされた命をこれから大切に、そして世の中に貢献する人生にしたいと考えていたそうです。
そして、49歳にして人生の再スタートを決意。建築業界から未経験の農家へと転身することを決めました。
当社が位置する宮城県山元町は、2011年3月11日に起きた東日本大震災で多くの人や、建物が一瞬で流された地域です。主な産業は一次産業で、なかでもイチゴ農家が129件もある地域でした。イチゴ栽培に適した気候風土に恵まれた土地だったのです。
そんな宮城県山元町の基幹産業であるイチゴ栽培を復活させるため、研修先の株式会社GRAは2011年から「ミガキイチゴ」の生産に取り組んでいます。小林は、術後の療養中にその思いに賛同。岩手県と青森県から2人で宮城県に移住し、最先端の施設でIT技術を組み合わせた生産システム栽培技術を習得。なぜ、ミガキイチゴを選択したのか、移住を決断する半年ほど前に遡ります、何度も足を運んでいたある日、施設内のいちごを一口いただいた瞬間、驚きの味に衝撃が走り、このいちごを作り多くの方へ笑顔をと感動を、お届けしたいと思ったのがきっかけです。
またその施設では1年間の研修プログラムがあり、いちごの知識から現場での実践の経験を積んでいくという内容です。どのようなことを行っていたのかを簡潔にお伝えすると、いちごを育てる土台となる土作りの準備から、一つ一つ丁寧に小さな苗を育てながら、毎日の水の調査、天気によって変わる温度・湿度・養液などを細かく管理し、研修当時1人当たり3000株のいちごの苗を育てていました。2020年2月株式会社山元ヒルズファーム設立当時、小林49歳・森川46歳で新規就農者として農業法人をスタートさせました。
“隠れ食品ロス”を減らす『お腹いっぱいいちご』を開発
山元ヒルズファームの主な主力商品は「とちおとめ」「よつぼし」です。それらを中心に当社で栽培したイチゴを総称して「ヒルズいちご」と呼んでいます。「ヒルズいちご」は、自然エネルギーを利用した「地中熱ヒートポンプ」によるクラウン温度制御システムを導入することで、SDGsが可能な環境で育てられているのが特徴です。
通常、イチゴは一回の花房に多くて8個から12個程の実をつけます。そのなかでも、一番初めに咲く花の実は一番花と呼ばれ、一番大きな実をつけてくれます。そうした一番花のなかでも大きく、形が良いものを「ヒルズいちご」として栽培しています。
そこから、小粒の廃棄されていたイチゴにも光をあて、まだ食べられる小さなイチゴを1㎏あたり200~250粒になるように箱に入れ、「お腹いっぱいいちごになってほしい」という想いから『お腹いっぱいいちご』として販売を開始しました。
イチゴと共に成長し続ける。未来に残せる農業を
仕事を辞めて、一からスタートした私たちにとって、チャレンジは経験か成功かしかありません。食品ロスの取り組みは、知れば知るほど可能性があります。それと同時に、今回の『お腹いっぱいいちご』プロジェクトを通して、疑問に感じる部分が数多くありました。
改めて、自分たちにできることは何かを考えることが大切です。時代が大きく変化する今、本当の豊かさとはなんでしょうか。答えはきっとひとつではありません。だからこそ、私たちは変化し続け、成長し続けたいと望んでいます。
異業種からの新規参入だからこそ、できることがあります。これまでの常識に捉われない発想を意識し、できることを取り入れ、植物にとって何が一番良い環境なのかを考えて、日々の手入れを心掛ける。そうした姿勢と心構えを持ち、未来に残せる明るく楽しい農業を、そして愛が溢れるイチゴを多くの方の元へ届けられればと思っています。
イチゴは、私たちにとって「成長の果実」です。美味しいイチゴを作り出すこと、そのイチゴが多くの人々に届くこと、そのことが私たちの一番の喜びです。今後も私たちはイチゴと共に成長し続けます。
株式会社山元ヒルズファーム
〒989-2203 宮城県亘理郡山元町浅生原字東田72-1
TEL090-2880-8100
いちごの郷・宮城県山元町にある「株式会社 山元ヒルズファーム」では、いちごをはじめ、果物や野菜の生産を行っている企業です。山元ヒルズファームで栽培された「ヒルズいちご」を贈り物(ギフト)としてご案内している他、生産している果物や野菜を皆様の元にお届けしています。
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