会計事務所である南青山アドバイザリーグループが『SaaS型ITツール』を開発した理由
M&A・IPO・事業承継の支援に強みを有する会計事務所 南青山アドバイザリーグループは、ストックオプション管理SaaS「ストックオプションクラウド」、仮想株式で従業員のエンゲージメントを高める報酬制度『エンゲージメントストック』をリリースした。
会計事務所がSaaSを提供するのは全国的にも珍しい。
従業員などのモチベーションを高めるために用いられるストックオプション。これを最大限に活用して企業成長に役立てる仕組みを開発したきっかけや開発秘話を南青山アドバイザリーグループ CEO 仙石実が語る。
■ストックオプションクラウドとは
ストックオプションクラウドは、ストックオプションを保有する従業員に、クラウド画面上でストックオプションがもたらす経済的リターンをわかりやすく「見える化」し、従業員のモチベーションを向上させる管理ツールである。ストックオプションについての税金計算も実装となっており各従業員の手取り額がわかるようになっている。
管理者にとっても、従業員のストックオプションの行使管理、新株予約権原簿や法定調書の作成機能など管理コストの削減につながるような機能を複数実装している。
税制適格、税制非適格、有償、信託型ストックオプションすべてに対応するため、ストックオプションの歴史に革命を起こすサービスである。IT導入補助金の対象となるため、価格面でも顧客が導入しやすいように配慮している。
『ストックオプションクラウド』開発経緯
スタートアップにおいては、従業員のモチベーションアップのためのインセンティブプランとしてストックオプションを発行している企業が数多く存在する。
しかし、上場企業に対するアンケートによると、従業員にその価値が十分に伝わっていないことが分かった。仕組みがよくわからないがゆえに、経営者が期待するモチベーションアップに繋がっていない現状がほとんどである。
実際に上場企業の社長たちにストックオプションについて伺ったところ、「従業員に渡しても意味がない」、「もらっていても、もらったことしか覚えていない」など受け取っていることに価値を感じられないと話していた。
つまり、現状、ストックオプションは受け取る側が価値を感じられるような管理システムが存在しないことが大問題であると考えた。
さらに、管理側も従業員全員の情報を管理しているため、管理が煩雑になってしまうとの声があった。加えて、情報量に比例して管理コストもかかってしまう。
そんな状況の中、その問題点の解決策としてこの「ストックオプションクラウド」が開発した。
仮想の株価により報酬を支給できる「エンゲージメントストック」とは
エンゲージメントストックは、仮想の株式を従業員に付与し、仮想の株価により業績連動型報酬を従業員に現金で支給する制度である。この制度は欧米で流行している手法で「ファントムストック」と呼ばれている。従業員の採用、モチベーションの向上、退職防止(リテンション)につながる、中長期的な利益還元制度の設計が可能で、賞与や退職金制度の代替手段となる。
仮想の株価としては、外部環境の影響を受けやすい市場株価ではなく、従業員の努力が反映される一株当たり利益剰余金を採用している。
広いマーケットで使えるストックオプション制度としての『エンゲージメントストック』の開発経緯
ストックオプションは、上場企業と上場を目指している準備企業だけが対象である。 そんな中、様々な業界の方とお話しする中で、もっと広いマーケットで使えるストックオプション制度を作るとより多くの方が利用できるではないかと考えた。
現在、アメリカで流行っている「ファントムストック」という仮想株式が存在する。これは、仮想の株式を渡して、仮想の株価で従業員に現金で業績連動型報酬を渡すという制度である。
この仕組みを聞いて、これは中小企業で使えるのではと思ったことが新しい報酬制度を作るきっかけとなった。さらに、「ファントムストック」を利益剰余金に連動する形で作ると、中小企業はもちろん、医療法人、税理士法人などでも使えるのではと考え、開発されたのが「エンゲージメントストック」である。
経営者と開発者が3カ国に滞在中に開発。「時差」による弊害を乗り越えてリリース
開発中は、「時差」による弊害があった。ツール開発を担当しているCTOがカナダに、仙石はシンガポールに、プロジェクト担当チームは日本に滞在していたため、3か国の時差によりコミュニケーションがどうしても停滞しがちだった。
しかし、できるが限りコミュニケーションロスがないよう連携を取りながらスピード感をもって進めた。そのため、プログラマーたちが優秀だったのもあり、リリースまで大きな問題もなく進めることができた。
リリース直後に「FIN/SUM2023」の一次審査に通過
「ストックオプションクラウド」をリリースした直後、日本経済新聞社×金融庁共催のイベント「FIN/SUM2023」における、インパクトピッチに参加させていただいた。会計事務所がこういったSaaS型ITツールを開発するというのは新しい試みであったため、世間の反応に対して少し不安を感じていたが、結果として無事、一次審査を通過した。一次審査であってもFIN/SUMで評価していただいたことは非常に光栄だと感じた。また、そこで多くの人に周知され、大きな反響があった。
会計事務所×DXだからこそ提供できる価値を
南青山アドバイザリーグループは、会計事務所として従来より、ストックオプションの設計や価値評価、その後の株価算定、IPOやM&Aなどに関連するサポートを行っており、その実績も1,000件を超える。
ストックオプションクラウドは、これまで日常的に提供していたストックオプションに関するサービスとのシナジーがある。ストックオプションクラウドからの税務会計サービスへの展開、もしくは、その逆のパターンも含めて、ビジネスの拡大が実現できる。これが南青山アドバイザリーグループの狙いである。
他のスタートアップやIT系企業も、ストックオプションクラウドのようなサービスを開発できるかもしれない。だが、南青山アドバイザリーグループは会計事務所として、ストックオプションの管理だけではなく、ストックオプションにまつわるすべての課題を解決できる。『会計事務所×DX』だからこそ提供できる価値である。
代表・仙石の思い
今回の開発ストーリーを通して、このようなことを感じた。
自分の枠にとらわれず、新しいことに挑戦していくことで、そこで新しい出会いが得られたり、マーケットを広げられたりと、可能性がさらに大きくなっていく。これは、今の時代に非常に大切なことである。今後もこのマインドを大切に様々なことに挑戦し、縁ある人を幸せにしていきたい。
●南青山アドバイザリーグループ
(南青山FAS株式会社/南青山税理士法人)
所在地:〒107-6030 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル30F
代表:仙石 実
設立:2013年3月
事業内容: 会計税務支援業務、IPO・M&A支援業務、財務税務デューデリジェンス業務バリュエーション業務、事業承継支援業務
ストックオプションクラウド:https://www.stockoption.cloud/
エンゲージメントストック:https://engagement.stockoption.cloud/
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