再生医療系スタートアップ・株式会社セルージョンによる総額28.3億円の資金調達の背景と今後の展望について
「ひとの可能性を再生する。」をミッションとして、iPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自技術で世界の角膜移植待機患者問題の解決をめざす株式会社セルージョン(本社:東京、代表取締役社長:羽藤 晋、以下、セルージョン)は、シリーズCで総額28.3億円の資金調達を完了しました。
セルージョンCFOの兼古が今回の資金調達活動のポイントおよび今後の事業展開について展望を語ります。
シリーズC資金調達を振り返って
今回は、スタートアップ企業の資金調達環境が厳しくなっているとの声が多く寄せられる中での調達活動となりました。今年3月にシリコンバレーバンク(SVB)が破綻したタイミングでは、どういった影響が出るのか冷や冷やしましたが、最終的には新規・既存を合わせて合計10社の投資家様から御出資のお話を頂けたことを嬉しく思っています。
iPS細胞を用いた再生医療の実用化に向けては、これまで細胞の量産化などの課題が提起されており、投資の検討プロセスにおいては製造面を含め、多くの質問を頂きました。その一つ一つにチームで丁寧に対応したことと、今年の3月に共同研究先である慶應義塾大学特任教授の榛村先生より、iPS細胞由来角膜内皮代替細胞の1例目の移植実施が発表されたことも、投資家様からの信頼を得るうえで重要なイベントであったと思います。
iPS細胞を用いた再生医療としては他社様でも資金調達を先行されており、多くの投資家様の間で投資に向けてのモーメンタムを維持して頂いたことが投資金額を組成する上で重要であったと思います。
リードパイプラインCLS001について
セルージョンは、角膜移植の実施件数が世界の待機患者数と比較しても圧倒的に足りていないというアンメットメディカルニーズを解決すべく、リードパイプラインであるiPS細胞由来角膜内皮代替細胞(CLS001)の開発を進めています。
角膜移植の供給不足には大きく3つの理由があると考えています。1つ目は、ドナーの角膜が必要ということ。2つ目は、角膜移植は容易ではなく、経験豊富な熟練医師による手術が必要ということ。3つ目は、ドナーから頂いた角膜を患者様に安全かつ公平に届けるために、アイバンクというインフラが必要ということ。これら3つの条件が整っている国や地域は、全世界的にも非常に限られているため、角膜移植の待機患者様は全世界で1000万人以上もいるといわれています。
この角膜移植の3つのボトルネックを、セルージョンが開発している技術、製品により、解消することができます。
1つ目として、iPS細胞から角膜内皮細胞と同等の機能を持つ角膜内皮代替細胞を大量生産することが可能になります。2つ目に、角膜内皮代替細胞を用いた治療方法は細胞注入療法と呼ばれ、角膜内皮代替細胞の懸濁液を注射で眼球内に注入して移植するという方法で、角膜移植と比較すると簡単かつ短時間で可能な手術であり、患者様の負担も軽く済みます。そのため、眼科医師にとっても習熟期間が短くて済み、広く眼科医師に受け入れやすい手術です。3つ目に、開発している製品は他家のiPS細胞を用いた製品のため、アイバンクがなくとも普通の医薬品と同じように患者様に届けることができます。
今後の事業展開について。2024年に国内企業治験を開始したい
今回、調達した資金を用いて研究開発等の組織体制も強化し、日本国内での企業治験開始に向けた準備を進めていきたいと思います。具体的にはセルージョン主導にて2024年に国内企業治験を開始することをめざします。
また、角膜移植の待機患者は国内はもとより、世界に大勢の方がいらっしゃいます。こうした世界の患者様にCLS001を届けるべくグローバルでの治験準備も今回投資頂いた資金で進めていきたいと思います。
研究開発方針としては、再生医療技術が新たな提供価値を生み出す疾患領域において、ペイシェント・セントリシティに基づく研究開発を進める方針であり、CLS001 に続くパイプラインの開発も進めていきます。
今後の財務戦略について
セルージョンは、ディープテック企業であるがゆえに、製品を患者様に届けるまでは、まだまだ多くの資金調達とサポートが必要です。今回シリーズCを実施したことで、スタートアップ企業としてはミドルステージに入ってきたことを認識しています。当然IPOを選択肢として検討していますし、市場環境を踏まえて柔軟に次の一手を探っていきたいと思います。
商 号 :株式会社セルージョン
代表者 :代表取締役社長 羽藤 晋
所在地 :東京都中央区日本橋小舟町8番6号
設 立 : 2015年1月
U R L : https://cellusion.jp/
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