法人番号への愛が会社設立からサービスローンチまで。法人番号株式会社が「イチサンフォーム」をリリースするまでの歩み
法人番号株式会社(本社:東京都中央区銀座1丁目12番4号 N&EBLD.7階、代表:吉田裕宣)は、フォーム入力時点で自動的に名寄せするためのツール「イチサンフォーム」の無償提供を7月13日から開始することを発表しました。「イチサンフォーム」は既存のフォームに実装するだけで自動的に法人番号等を取得し、その情報を法人とリンクさせることができるツールです。β版では、驚くことに1万人以上のユーザーが24万件以上の名寄せを成功させています。
多くの人にとって“かゆいところに手の届く”プロダクトとなる「イチサンフォーム」ですが、開発の裏側には熱い夢がありました。今回、法人番号株式会社の代表を務める吉田裕宣に、どのように開発が行われたのか、なぜ無償提供が可能になったのかなど裏話を聞きました。
法人番号株式会社について
「法人番号を活用し、データの海を切り開く」というミッションのもと、 法人番号の可能性を広げ、社会にある様々なデータの整理に貢献する会社です。イチサンというサービス郡を通じて、もっと多くの人に法人番号の素晴らしさを知ってもらいたい、多くの人が簡単に法人番号を利活用できる環境を作りたい、と日々奮闘しています。
代表・吉田裕宣
法人番号への強い愛をきっかけに法人番号株式会社を設立。
東京都出身。2014年、船井総合研究所に新卒入社、その年の新人賞を獲得。2018年に創業メンバーとしてHRForceを立ち上げる。
――法人番号への愛が会社設立、そして「イチサンフォーム」という無償サービスの提供にまで繋がっているとのことですが、そもそも法人番号とは何なのでしょうか。
吉田裕宣(以下、マエス(吉田)):法人番号は企業版のマイナンバーのようなものです。日本では2015年10月から利用が開始されました。
――意外にも、最近開始されたばかりなのですね。
マエス:本当に最近です。会社法人等番号というものがありましたが、これに一桁追加して13桁の番号にしたものが法人番号になります。マイナンバーと違うのは一般公開されていて、かつ制限がないところです。番号は行政側で発行しているものなので、車のナンバープレートのように申請することもできません。法人番号に付随する情報は番号利用法という法律で管理されており、発行された後に住所や社名が変わった場合でも、正確でなければならないと定められています。
――マエスさんはなぜ、そんなに法人番号が好きなのですか。
マエス:実は私が一社目を起業した2018年に、会社が大きく成長したことで顧客管理が全く追いつかなくなるという経験をしました。請求書を発行するにあたり、この会社の住所情報は合っているのか、請求書を複数送っていないかなどを確認するのに時間がかかってしまっていたんです。そのせいで、当時は大変ハードな働き方になってしまっていましたね。それをなんとかできないかと調べていたところ、法人番号の存在を知り「これか!」と思いました。法人番号を元に連携することで、情報が正しいかどうかを確認するための時間が大幅に減りました。
なんてすごいんだと思いましたよ。これだけ素晴らしいものなのにみんなは使っていない。実際に使ってみて、自分はキャリアにおいても様々なチャレンジができるようになりましたし、色々なことを勉強できるようになったと思います。自分を助けてくれたこの番号に、とても惚れ込みました。
――今回、当社が提供する「イチサンフォーム」は、どのようなツールなのでしょうか。
マエス:現在、多くの人たちが取得した顧客情報の名寄せに困っています。皆さん、1週間に1度は何かしらの“フォーム”入力をしていることと思います。自分の所属している会社について書く人もいれば、資料請求など用途は様々。そのような中でフォームの受け取り側は、入力された会社名が本当に合っているのかをチェックしなければなりません。でもその作業を無くすことができたら、それにこしたことはないですよね。もしもフォームに入力した時点ですでに会社の情報が名寄せされている状態だとしたら、世の中の無駄な作業が相当減るのではないでしょうか。だから、既存のフォームに実装するだけで自動的に法人番号等を取得できるツールとして「イチサンフォーム」を開発しました。いろんな会社にとって、「法人番号の活用」が当たり前になってくれればいいと思っています。
――「イチサンフォーム」は、なぜ無償での提供が可能になったのですか?
マエス:ご存知の通り、2023年10月からインボイス制度が始まります。その時に、法人番号を活用してデータ整理ができたら多くの人の作業が効率化して便利になるわけです。だったら、そこに合わせて全力でやりたいと思いました。とにかく法人番号を世の中の当たり前にしたかったので、ここで収益を得ることは考えずに開発することにしました。ただし、こうした活動をすることで最終的には何か返ってくるものがあるのではとも思っています。私は今まで「情けは人のためならず」という言葉を実践してきましたが、それが巡り巡って自分に返ってくるという経験もしましたので。
――それでも、開発にはコストがかかってしまいますよね。
マエス:コストの面では、開発に携わってくださった方々が協力的でしたし、有志の人たちも一緒になって「こんなものを無償で世の中の人たちが使えたら理想だよね」と手を貸してくれました。結果として従業員を採用することなく、パードットやマルケット、ハブスポットのプロフェッショナルの人たちとマニュアルを作ったり検証したりすることができました。
――なるほど。
マエス:加えて、法人番号自体がそもそもオープンなデータなんです。ですから、私のサービスの形態は全てオープンデータで成り立っています。これを有償にしたときの強みって、実はそんなにないんですよ。有償で似たようなサービスを提供してる会社はあるのですが、そうしたサービスには電話番号を付与してくれるとか、業種の情報とか、何のサービスを利用しているかなどの情報を付与するなど別のサービスが追加されています。ただそうした会社さんは彼ら自身も有償のデータを購入したり、お金を払ってやっている状態なので、それだけランニングコストがかかってしまっているというのが現状です。でも私はオープンデータという無償のものしかこのサービスに組み込んでいないので、実はそんなにお金をかけずにうまくできるような仕組みにしているんです。
――開発の裏話があれば教えてください。
マエス:「イチサンフォーム」の開発者はExcelAPIさんという方です。実は大変すばらしい方で、Excelにインターネットからデータを取り込むサイト「ExcelAPI」を運営しています。開発期間はおよそ1~2ヶ月くらいでした。「こういうサービスを一緒にやりたいよね」という発想で、本業の合間にポチポチ作ってくださいました。ExcelAPIさんとは、法人番号をみんなに便利に使ってもらいたいという思いが合致し、このような縁に恵まれました。
――「イチサンフォーム」の影に、たくさんの協力者がいるんですね。やはり皆さん、法人番号の活用と名寄せは絶対にあった方がいいと思うからこそ、集まってこられたのでしょうか。
マエス:そうです。名寄せの際の手間については、誰もが自分の手を使ってやるしかないと諦めていたんですよね。去年の8月にこの話を人にするようになり、そこから「一緒に開発に入ってくれ」と声をかけることでプロジェクトが動き始めました。それぞれの業界で活躍している方々が実際に困っていたことを解消しようということで、こうした流れになりました。
――「イチサンフォーム」の登場は、どんな分野の仕事に影響を与えますか。
マエス:マーケティング、人事、営業事務などは、名寄せの時間が短縮されることで相当救われることになると思います。
――逆に作業が効率化されることで人が余り、職を脅かされてしまうということは?
マエス:ないのではないでしょうか。今の時代はどちらかというと人が足りませんからね。日本の労働者は2030年までに約500~600万人足りなくなる計算です。(※)女性が全員働いても足りませんし、外国人労働者の方々が来てくれたとしても全然足りない職種がでてきます。ただし、生産性改善の観点からすると、現在働いている人たちの生産性がたった2%向上するだけで労働者の問題は解決してしまう。
――それは驚きました。ということは、人材教育や効率を重視するようなスキルが重要になるということですね。
マエス:そうです。だからこそリスキリングは重要だと言われているんです。今ある仕事を減らして、そのぶんの時間でみんながスキルアップしたら、より良い社会に繋がります。こうした考え方が私の根本にはあるので、みんなが能力アップすることで世の中が豊かになるよう情熱を注いでいます。そういった意味では、名寄せの作業も効率化されてなくなっていった方がいい業務だと思っているんです。アップスキリングの視点からも「イチサンフォーム」が、その“2%”をサポートしていけたらいいですよね。
――本当ですよね。では、これから当社が挑戦しようとしている取り組みについても聞かせてください。
マエス:みんなに法人番号を利活用してもらうことがこの会社の究極ゴールになっているので、まずはブレずにそこを目指していきたいです。具体的には、法人番号シェア100%、インボイスから完全導入に至り、みんなが便利に利活用できるよう情熱を注いでいきたいと思います。個人的にはアップスキリングやHRの分野に関心がありますので、法人番号の利活用で効率化が進み、空いた時間をアップスキリングにかけられたらいいのではないかと思っています。
■イチサンフォームとは
「イチサンフォーム」とは、既存ツールに数行コードを埋め込むだけで利用可能なフォーム上での自動名寄ツールです。
フォーム実装後、お客様がフォームに社名を入力すると、自動で候補を提示。該当する社名を選択して頂くと、会社の所在地やインボイス番号等が自動で入力されます。
このフォームはHTMLやCSSを編集できるすべてのフォームで利用が可能です。
またユーザー登録不要、ログ等も削除されるためセキュアな利用が可能なOSSサービスです。
実装できるフォーム
本サービスは「フォーム連携サービス」であり、理屈上はすべてのフォームで実用可能です。現在、下記フォームでの挙動は確認済みです。(5月◯日時点)
例:Account Engagement 、Hubspot、WordPress、Marketoなど
それぞれのサービスでの導入マニュアルは下記のとおりです。
Account Engagement連携マニュアル:
Hubspot連携マニュアル:https://docs.google.com/presentation/d/1s8q8Q9aonycuWIqzfwJvBSpV3NSekzDAt0oKNY01wCo/edit#slide=id.g244bb6a4a37_0_0
Marketo連携マニュアル:https://docs.google.com/presentation/d/1tPv5k0wIOVXbJnN-fonGOguED3ZVFmb_/edit?usp=sharing&ouid=103252392994234743637&rtpof=true&sd=true
WordPress:
取得可能なデータ
イチサンフォームにて情報が入力されると、「法人名」「法人名読み」「法人番号」「郵便番号」「所在地」「都道府県」「市区町村」「町丁目」「番地以降」「インボイス登録番号」などが取得可能です。これらはすべてオープンデータから生成しております。
会社概要
社 名法人番号株式会社
創 立2022年1月
資 本 金100万円
代表取締役吉田 裕宣
https://www.houjin-bangou.co.jp/
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