ティップネスの「再起動」宣言。コンセプトを問い直し、地域のウェルネスに貢献する「OPEN TIPNESSプロジェクト」の現在地
関東・関西・東海地区を中心に総合フィットネスクラブおよび24時間トレーニングジムを展開するティップネスの歴史は、1987年4月、総合フィットネスクラブとして1号店を渋谷に開いてから、今年で36年になります。
その間、日本国内では高齢化が進み健康寿命の延伸が叫ばれる一方、人口に対するフィットネス参加率は3~4%台という低い水準に留まりつづけています。近年では様々な業態の運動施設や気軽に利用できる24時間営業の小型ジムも増え、スポーツ参加人口は増えつつあるものの、まだまだ充分とは言えないのが現状です。
そんな中、新型コロナウィルス感染症の拡大により、私たちは3年もの間、さまざまな活動の自粛を余儀なくされました。施設の営業自粛にはじまり、スタジオレッスン実施の自粛や館内での会話の自粛、本来必要であるはずのサービス提供の自粛など。総合フィットネスクラブとしての価値を提供する多くの機会を失ったのです。
緊急事態宣言発出中のティップネス店内
未曾有の危機の中、私たちは本質的な課題を洗い出し、向き合うことに
コロナ禍という出口の見えないトンネルの中で2年半がたとうとしていた2022年10月、部署を横断して本部と店舗支配人、計10名のメンバーからなるワーキンググループが創設されました。
ワーキンググループ発足の背景には、長引くコロナ禍による会員数の激減がありました。感染拡大を繰り返し、全国的な行動制限が続く中、どうにかしなくては、というところからのスタートでした。
当初設定した課題は、「新規顧客の創造」でした。しかしワーキンググループのセッションが始まるや否や、メンバーからいくつかの疑問が提起されました。
「そもそもティップネスは地域をはじめとした世の中に知られているのか」
「ティップネスは好かれているのか」
それまではもっぱら「今ならゼロ円」等の値引きを前面に打ち出した入会キャンペーンを繰り返してきました。論点は、広告費用をどのように効率よく使うのか、折込ちらしをどのエリアに何回うつのか、という販促の戦術ばかり。それがこの未曽有の危機をきっかけに、自らの現在の立ち位置や存在価値についてあらためて問い直すことになったのです。
現場から集められたのは、新任の支配人6名だった
10人のメンバーは、新任者を中心とした支配人6名に加え、本部のメンバー4名。新任の支配人が集められた理由は、既成概念にとらわれない自由な発想で議論を前に進めたいという想いからでした。
コロナ禍の打撃もあり、財務規律上、販促費がどんどん削られていく中、戦術の議論だけではこの先どうにもならないのではないかという、強い危機感がメンバーに共有されてゆきました。
ワーキンググループは、論点を再設定することにしました。私たちの「ありたい姿」をまずは明確にしなければ、という想いからスタートすることにしたのです。
当時のディスカッション資料(抜粋)
議論は週1回あるいは隔週で実施されました。3か月で15回ほど、ミーティングをしたことになります。 本部メンバーの誘導でさまざまな課題解決手法(4C分析、ビジネスモデルキャンバスなど)を取り入れたワークをおこないつつ、次回までに考えを持ち寄るスタイルでした。
加えて、 支配人6人が3チームに分かれての分科会を、それぞれ独自で開催していました。皆、日常の店舗運営も忙しい中で、Zoomによるオンライン会議を開催。店舗の営業時間中なので、途中設備トラブルやお客様対応などで支配人が現場に呼ばれ中座することなどはしょっちゅうでした。
「考える仕事は本部、店舗は現場の接客に専念するのがベスト」は、本部の固定観念にすぎなかった
それまでは本部が方針、年間計画、施策の内容を考え、そのフレームに沿って各店が実施する、というマネジメントが社内では当然のこととして行われてきていました。
しかし、ワーキンググループが発足しメンバーとなった支配人たちは、非常に前向きに、能動的に議論に参加。「自分たちがやりたかったことを、自分たちで考えて実現していくのだ」という想いがあったようです。
「現場は日々の店舗運営に手いっぱいだから、“考える”ための時間を捻出するのは難しいのでは?」という本部メンバーの考えが、思い込みであることがわかりました。
ワーキンググループのメンバー(一部)。左上から順に、小野由恵 支配人、牛飼千博 支配人、日出山充 支配人、稲田宏美 支配人
議論を繰り返し、「地域に開かれたフィットネス」というコンセプトにゆきついた
ワーキンググループでは、「もっと気軽に運動してもらうには」「もっと総合フィットネスクラブの価値を届けるには」という問いを立てて、徹底して議論をしました。
「私たちは地域、世の中に知られているのか」
「私たちは、好まれているのか」
議論と内省を繰り返すなかで、それまで当然と思っていた私たちのサービスの「敷居の高さ」「不便さ」と向き合うようになりました。会員制、チェックイン、利用ルール、月会費など、地域の方々にとって気軽に利用しやすいフィットネスクラブではなかったかもしれないと、気付いたのです。
そしてひとつの答えとして、「地域に開かれたフィットネス」というコンセプトにたどり着きました。
それまでは、施設を利用するためには、まず入会し会費を支払っていただく、というのが大前提でした。しかしもっと気軽にフィットネスを体験していただくためには、地域に開かれた施設である必要性があります。
大学の「オープンカレッジ」や、世にいう「オープン●●」のように、地域に開かれたフィットネスクラブという意味を込めて、「OPEN TIPNESS」という名称を採用しました。
また、これからは地域の方々やスタッフからどう思ってもらいたいのか、と自問しました。ワーキンググループのメンバーからは様々な意見が、それぞれの想いとともに出てきました。
「地元飲食店と協力し会員割引を設ける、地域住民を対象とした施設体験などをやりたい」
「直接的にお金をはらっていただくかどうかは別にして、もっとティップネスの持っているリソースを地域に役立てたい」
「地元の方々に、この地域にあるクラブとしての存在価値を感じていただけるようになりたい」
「店舗により活動量にばらつきがあった地域深耕活動を、もっと全店で積極的におこなっていきたい」
方向性が決まった瞬間でした。今後はフィットネスクラブを“地域に開かれたもの”にするための施策を包括して、「OPEN TIPNESS」として広く活動してゆく。さらにそれらの活動を通して、既存の会員の皆さまにも“ティップネスに通っていることに誇りを持ってもらえるようになる”こともひとつの目標となりました。
次年度方針として採択され、ワーキンググループを終了
2022年12月いっぱいで、一旦プロジェクトは終了。その後、マーケティング部が作成する次年度方針に「OPEN TIPNESS」として概念が盛り込まれました。具体的な施策の年間スケジュールを作成し、まずは2023年5月の対外告知に向けて準備を進めることになりました。
そして新型コロナウイルス感染症の5類移行を控え、世の中が「コロナ後」に向かって大きく動きだしていた5月1日、ティップネスの「再起動」宣言とともにホームページで公開、あわせてプレスリリースを配信するに至ります。
わたしたちティップネスは、「再起動」宣言とともに「OPEN TIPNESS」 をスタート。
あらためて「OPEN TIPNESS」を説明するならば、従来の会員に向けたサービス提供にとどまらない、地域住民の健康への貢献、ひいては“健康な世の中をつくること”を目的としたティップネスの活動です。ひらかれたフィットネスクラブとして気軽に触れられるオープンな健康拠点を目指し、地域住民をはじめ多くの人々のライフスタイルを豊かにする体験や学びを積極的に提供していきます。
スタート時の活動
まず5月のスタートとしては、各店でそれぞれアイデアを出し、会員様だけでなくそのご家族やお友達、地域にお住いの方々が気軽に参加できるウォーキングイベントや、街を清掃しながら走るプロギングなどの活動からとりかかりました。
実はプロギングの活動は、本部メンバーが1年ほど前から“地域に貢献できること”として月1回実施していました。店舗の周辺一帯を1~2時間走りながらゴミ拾いをしていく、という活動です。ここからは、支配人から発案されたこの「OPEN TIPNESS」の思想に賛同した本部メンバーを新たに集め、毎月違う店舗を拠点にしておこなうことになりました。「OPEN TIPNESS」の施策では、店舗だけでなく、本部メンバーも一体となって取り組んでゆく意思を新たにしています。
5月に実施した鶴見店プロギングイベントにて
5月に実施した下井草店プロギングイベントにて
「TIPNESSフレンド」とともに
「OPEN TIPNESS」では、一緒に健康づくりを楽しむ仲間として「TIPNESSフレンド」を募っています。入会しなくてもティップネスからの健康情報を受け取ったり、各種イベントに参加したり、ときにはティップネスの施設内で運動をしたり気軽に立ち寄ったりできる、そんなきっかけを、「TIPNESSフレンド」には数多く提供していこうと考えています。
今後の活動予定
「OPEN TIPNESS」では、年間を通じて、全店規模のイベントや各店ごとのオリジナル企画など、さまざまな活動を予定しています。
近隣商業施設での様々な健康レッスンの体験会
お子さまの成長のために、運動機会と「できた!」のご提供
各界著名人や医師・専門家を招いてのセミナー・ワークショップ開催
街角にお邪魔して、健康測定や相談会の実施
さいごに
総合フィットネスクラブとして多くの経験を積み、ノウハウを蓄えながら成長を続けてきた私たちは、コロナ化をきっかけに立ち止まり、自身の姿をみつめ、これからの方向性についていま一度考える時間を得ました。その結果、コロナ前に戻ろうとするのではなく、自分たちの手で新しい未来を切り拓いていこうという決意を「OPEN TIPNESS」の活動に込めて、新たな一歩を踏み出すことになりました。そして店舗と本部が一丸となり、その先にある創業時からの企業理念「健康で快適な生活文化の提案と提供」の実現を、変わらず目指し続けてまいります。
会社概要
会社名:株式会社ティップネス/本部:〒102-0081 東京都千代田区四番町5番地6 日テレ四番町ビル1号館3階
創立:1986年10月/代表者:代表取締役社長 岡部 智洋/事業内容:フィットネスクラブの経営/店舗数:直営店144店舗、フランチャイズ1店舗、受託施設(指定管理含む)15施設
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