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人の数だけ、物語がある

多様性のある女性の体型や悩みに寄り添ってきた下着専門店「アンテシュクレ(intésucré)」のオリジナルブランド開発秘話

著者: 株式会社オカダヤ

株式会社オカダヤは、現在創業から96年目。生地・手芸用品・洋裁、服飾雑貨を豊富に扱う手芸材料店「オカダヤ」を展開しています。


平成11年からは下着・ランジェリーの専門店「アンテシュクレ」を展開し、現在、東京・埼玉・神奈川を中心に実店舗13店舗とオンラインショップを運営しています。ワコールやトリンプ等国内外のブランドに加え、プライベートブランド「アンテシュクレ(intésucré)」を豊富な品揃えで販売しています。


「アンテシュクレ(intésucré)」は、フランス語の造語で、“内なる甘美”という意味です。充実した『機能性』と女ゴコロを満足させる『デザイン性』を大切に、『女性のなりたいを叶える』商品を企画開発しています。発売から23年の歴史をもち、累計28万本販売の「なでしこブラ」や、高い補整力でバストサロンからも支持されている「脇高ブラ」シリーズなどが人気のブランドです。


このストーリーでは、プライベートブランド『アンテシュクレ(intésucré)』のこれまでの製品開発ストーリーをお伝えします。


開発メンバーは30代


開発メンバーは2名の30代スタッフが中心。

20代のころから店頭に立ち、様々なお客様の下着にまつわるお悩みにふれながら専門知識の習得をした後企画開発に携わっています。


30代になると、出産などライフスタイルの変化や加齢から、20代とは違う体型の変化を感じるようになりました。年齢と共に女性の身体に変化が起きることは業界スタッフの知識として持っていたものの、当事者としてバストの変化の悩みを実感するようになりました。

特に授乳や加齢で上胸のハリがなくなったバストには、なかなかフィットするブラを見つけられないということも経験し、「バストに合うブラがないのなら作ろう!」という意気込みで商品を開発しています。


自分自身も悩みを抱えながらも、いつまでも美しくありたいと思う当事者として、幅広いお客様の声を反映させ、市場の商品では応えきれていない、「かゆいところに手が届く」ようなモノづくりをしています。


市場にはまだ少ないサイズを作る


昨今、SNSなどで体型に合ったサイズでブラジャーを着用する重要性が広まり、自身の正しいサイズを把握している方が増えてきています。アンテシュクレの実店舗でも採寸や試着をご希望の方は多く、それらを通してジャストフィットのサイズを知ると、サイズを知る前に着けていたサイズよりも上がる方がほとんどです。


時代とともに女性の体形が変化したこともありますが、自身の正しいバストサイズを知ることの普及も相まって、確実に大きいサイズの需要が増えてきました。アンテシュクレで生産するサイズも、10数年前はC70を一番多く生産していましたが、現在ではD70が最も生産されているサイズになっています。


そのような背景から市場でも大きいサイズの生産数は増えてきてはいるものの、現時点ではGカップ以上になると途端にバリエーションが少なくなるという実情があります。

またアンダーバストに関しては、65㎝からの作りが主流ですが、実際に店頭にいらっしゃるお客様を採寸したり、お声を聴いたりすると、「アンダー65㎝でもゆるい」という方がいらっしゃることも事実です。


アンテシュクレでは「サイズがないことで選べない」という方を無くしたいという使命感で、カップはAカップからKカップまで、アンダーバストは60㎝から85㎝まで生産しています。


従来のサイズ構成でのモノづくりが時代にそぐわなくなってきたということも、市場にまだ少ないサイズを生産する理由の一つです。

多様性を認め、ありのままの自分を受け入れようとする今の時代においては、従来の市場のサイズ構成を当たり前と思わず見直していくことが、我々下着専門店としての使命だととらえています。


さらには、私たちがこの方向性を追求している背景として、コロナ禍により多くの人々の価値観にも大きな変化があったということもあります。 外出自粛を余儀なくされたことで各々が自分自身を見直す機会が増えました。SNSでの情報発信もより盛んになり、インフルエンサーから一般の方までが自身の体やサイズについての情報発信する機会も格段に増えました。 「サイズがなくて困っている」「ここにならこんなサイズがある」など、同じ悩みを抱える方の共感性を高めたり、世に要望を伝えたりするような情報が増えたことで、今まではサイズがない方は当然のこととして我慢していたものが『もう我慢しなくていいんだ』という風潮に変わっていったと感じます。 潜在化されていたニーズが顕在化された今だからこそ、本当に必要とするお客様に喜んでいただけるのではないかと考えています。


アンダーバスト60cm販売開始


2022年10月、市場にはまだ少ないブラジャーサイズ、アンダーバスト60cmの商品をリリースしました。


先にも述べた通り、近年「アンダー65㎝でもゆるい」という声が増えてきています。この声はオンラインショップ検索ワードでも年々増加傾向にあり、実店舗のお客様の声でも増えています。さらに製作を後押ししたのは、プロとして日々お客様の採寸をしサイズを見極めている実店舗のスタッフからの要望としても増えたことです。市場にはまだ少ないカテゴリーですが、下着専門店としてお客様満足を追求してきたアンテシュクレだからこそ、困っているお客様を快適にしたい、という強い思いで生産に至りました。


完成までは様々な壁にぶつかりました。アンダーサイズ60㎝を展開している『脇高ブラシリーズ(TBT002A)』においては、脇部分が高い設計であることがポイントではあるものの、アンダーバストが小さめの方にとっては脇の下に脇高設計部があたってしまうことが開発者の頭を悩ませました。機能性はそのままに極限まで脇高設計部を短くできないか等、試行錯誤が続いた結果、今ではアンダーバスト60㎝が即完売してしまうほど人気の商品になりました。


また、モノづくりに欠かせない工場の協力があったことも作ることができた理由の一つです。これまでアンダー60㎝のブラジャーが市場に少ない要因として、 確実にニーズがあったとしても他のサイズと比べると少数であること、そして少量で作るにはコストが上がってしまい採算が合わないことがあります。 それゆえにビジネスとして効率が悪くなかなか手がつけられない、というのが生産者側の事情です。しかしアンテシュクレでは少量からでも生産してくださるという工場の協力があったことで実現することができました。


今では一般的になった「ナイトブラ」にもアンダータイトなサイズを


ここ数年で市場にもたくさんのナイトブラがありますが、通常のブラジャーのサイズ展開とは異なり、S・M・L・LLといったトップバストだけのサイズで展開されているものがほとんどです。

しかしここでも、トップバストに合わせると「アンダーがゆるい」という方が一定数いるため、アンテシュクレのナイトブラにはアンダータイト(ut)サイズを展開しています。


一言で「アンダータイトなサイズを作る」と言っても、単純に従来のパターンからアンダー部分を短く設計すればよいという問題ではありません。よりよいフィット感を追求するため、設計は全くもってゼロからのスタートでした。


開発当初はアンダー部分を狭めたことで、アンダーバストはピッタリでも背中や脇などに浮きがでてしまうことから、シルエットが崩れバストを支える機能も弱まってしまう状況が企画開発スタッフを悩ませました。


自社の販売員もフィッティングを通して開発に携わり、日々消費者と直接向き合っているプロの厳しい意見も取り入れました。


微調整を繰り返し開発までには1年以上を要しましたが、納得のいく『バランスの取れた美しさ』と『機能性の追求』をした商品になりました。リアルなお客様の声とプロのスタッフの声が融合して実現した、アンテシュクレだからこその自信作です。


ヒット商品『ナイス谷間ブラ』の開発


『ナイス谷間ブラ』は、「バストが小さく谷間が出来にくい」「加齢とともに上胸が削げて胸が下がってきたような気がする」「授乳が終わったら胸が柔らかくなってカップから逃げていく」、そんな様々な悩みを持った女性に、自分のなりたいイメージに少しでも近づき、今よりもっと自信を持って輝いてほしいという願いを持って製作した商品です。

実店舗を持つアンテシュクレだからこそ、年齢・体型も様々であるプロの販売員の意見も取り入れながら、悩みの当事者でもある30代の開発メンバー中心に商品開発をしています。


シリーズ累計販売本数は16,000本を超え、幅広いサイズ展開や機能性、デザイン性が多くの顧客に支持されています。

一般的なブラジャーは、BカップからEカップまで、アンダーバストは65㎝から75㎝までの12サイズ展開が多い中、ナイス谷間ブラは倍以上の27サイズ展開と大幅に増やすことで、大きいサイズの方はもちろん、多様性に富んだあらゆる体型の方にフィットするよう心がけています。


試作とフィッティングを繰り返し、1つ1つ修正すること数ヶ月後、やわらかくなって 逃げやすくなったバストをあるべき位置にとどめる為あらゆる面から包囲しキープ出来る様、通常のブラよりも多くのパーツを配備し、ベストなバランスのブラジャーが誕生しました。


『ナイス谷間ブラ』


自分史上最高の谷間ができることで、思わず『ナイス!』と叫びたくなるようなシリーズ。着けることが楽しみになる、美しい谷間で自分に自信をもたらしてくれるブラジャーです。


2023年3月、こだわりの「マタニティブラ」をリリース


アンテシュクレでは、産前産後も使えるマタニティブラ『バストととのうおくるみブラ』を開発、2023年3月に発売しました。開発者自身が出産によるバスト変化を経験したママでもあるため、その実体験と、下着専門店としてのノウハウをもとに、ママと赤ちゃんのことを一番に考えて、マタニティブラの理想を形にしました。


企画のきっかけは、妊婦中のスタッフからママスタッフへの何気ない会話でした。妊娠中のスタッフが、企画に携わっているママスタッフに、「下着専門店で働いているのに、どんなマタニティブラを選んだら良いのかわからない。着け心地に納得のいくものを見つけられない。」と相談したことが開発の発端です。 市場にたくさんのマタニティブラはあるものの、バストの大きさの変化に対応できなかったり、シルエットが美しくなかったり、そして産後は授乳がしにくかったりと、相談を受けたママスタッフ自身も実は困っていたことを思い出しました。


ニッチな市場に受け入れてもらえるのか不安で自社開発を諦めていましたが、この何気ない会話から、マタニティ期の下着にまつわる悩みを解消できずにいる当事者が多くいることに改めて気付かされました。


妊娠期から授乳期までのママはたくさんの課題をかかえています。

妊娠期は、大きくなっていくバストや体調に合わせて、都度下着を換えていかなければならなかったり、もともとのバストの大きさによっては妊娠によるサイズアップで対応サイズがなかったり、マタニティブラだとシルエットは二の次で、バストが下がって見えたり広がったりしてしまいます。ママになっても美しくありたいと願う女性には、これらは大きな悩みの種です。


そして産後の授乳期には、おなかがすいて泣いてしまう赤ちゃんにもたつかずにさっと授乳をしてあげたいという赤ちゃん最優先の課題が浮上します。それを叶えるには、片手で赤ちゃんを抱っこしながらでも「授乳がしやすく、授乳後は簡単に元の着用状態に戻ること」が非常に重要ですが、実際には片手ではうまくできないことが多いのも現実です。


さらには、マタニティブラは授乳中の赤ちゃんの肌にも直接触れるものですし、ママ自身も体質が変わって肌がデリケートになることもあるので、肌へのやさしさが考慮されていることも重要です。


これらのすべてをうまく解消できるマタニティブラがなかなかないことも課題でした。アンテシュクレはそんな産前産後の課題を解決するため、マタニティブラの開発に着手。

開発コンセプトは、「らくなのにきちんと感もある 赤ちゃんとママが嬉しいカシュクール型マタニティブラ」。下着専門店としての使命を感じ、2年以上の歳月をかけて「バストととのうおくるみブラ」が誕生しました。


「マタニティブラ」は、結果的に多くの方々に着ていただける万能ブラになった


産前から産後までは、個人差はあれど一般的にバストサイズが2カップ程度大きくなり、アンダーバストも7㎝程度大きくなります。同じブラだとどうしても合わなくなっていくことが一般的ですが、「おくるみブラ」なら伸縮性の良さにもこだわっているので、産前産後のサイズの変化に対応します。サイズが変わるたびに買い替える必要もなく、産後もずっと使えるので、とてもコストパフォーマンスの良い商品となっています。


バストトップ86~115㎝まで対応できる豊富なサイズ展開で、あらゆる体型にフィットするようにしています。これら全てまとめて、ママが嬉しい!と思ってもらえることを追求しました。


また、かなりシンプルなデザインですが、それも+αのこだわりポイントです。赤ちゃんを抱っこしていると襟元をひっぱられてブラが丸見えということも「ママあるある」の一つです。もし襟元を引っ張られても、シンプルな黒のタンクトップのような見え方にしています。余計な装飾をそぎ落とし、見えても気になりにくく、赤ちゃんの肌にも優しいデザインに仕上げました。まさにかゆいところに手が届く、ママが作ったママのためのマタニティブラです。



試作中スタッフから「楽でシルエットも良いので、マタニティではなくバストサイズが大きい方向けのノンワイヤーとしてもおすすめできる!」との声もありました。アンダーバストが細めの方向けのut(アンダータイト)サイズも生産しているので、より多くの体型に合わせられるようにしていることも高評価だったポイントです。


その結果、マタニティ用に開発してきたブラですが、“らくに着けたいけどノンワイヤーだとそもそもサイズがない”という悩みを抱えたバストサイズが大きい方にも着用していただける、「万能」な商品となりました。


アンテシュクレが大切にする「一人一人のお声」。これからも守り続けるものづくりの視点とは


アンテシュクレは、大企業と異なり規模は小さいですが、その分ユーザーの細かい声をひろって『かゆいところに手が届く』ということを意識したモノづくりをしています。

多様性のある女性の体型やお悩み、幅広く下着ブランドを知り尽くしたプロの店頭スタッフから、店頭のお客様の声やプロとしての客観的な意見を収集し、それらの多くを商品に取り入れています。

少数派の意見だったとしても、それが重要なことだと判断すればその先の企画にすぐ反映させています。


また下着とは、単体で着用した際の美しさももちろん大事ですが、『洋服を着て初めて完成するもの』だと考えています。

「おしゃれを楽しみたい、好きなファッションを身に纏ってみたい」という願望がある女性は多いと思いますが、下着は他人の目に触れにくい分、二の次になっている方も少なくありません。しかし、ボディラインやシルエットなど、下着で体の土台を整えてこそそれが叶うということを、アンテシュクレの商品を通じて発信していきたいと考えています。


《左から、企画グループ土屋、福永》


納得のいく商品が出来上がるまでは試作を何度も繰り返しますが、サンプルの段階で企画スタッフのみならず、実店舗のスタッフが試着をして、洋服を着た際のシルエットも含めたチェックを必ずしています。


実店舗のスタッフは、下着専門店のスタッフとして千差万別のお客様を長年お手伝いしてきた『下着のプロ』です。だからこその厳しい視点や意見も取り入れていることで、価格以上に機能性が高い、コストパフォーマンスの良い商品を作ることができます。


アンテシュクレのブランドコンセプトは「なりたいを叶える」。

これからも常にユーザー視点に立ちながら、プロの視点を取り入れたモノづくりをし、商品を進化させていくことで、着用してくださる女性が輝き、社会に貢献していけるブランドを目指しています。



事業概要(会社概要)

商号: 株式会社 オカダヤ

https://www.okadaya.co.jp/shop/default.aspx

所在地:

本社/東京都新宿区西新宿7丁目15番4号  

本店/東京都新宿区新宿3丁目23番17号  


営業品目:

婦人肌着、下着、和洋裁材料、服飾雑貨、生地類、インテリア用品雑貨、毛糸手芸用品、書籍、化粧品、の輸出入及び販売。オリジナル商品の企画、立案。各種商品流通情報の収集、処理、販売。不動産の売買及び賃貸借。前各号に付帯関連する一切の業務。


創業: 昭和2年10月3日

資本金: 4,900万円

従業員数: 546名 


公式WEBサイト

https://www.okadaya.co.jp/shop/c/c50




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