負担なく、楽しく参加できるPTAを実現したい。PTA専用支援サービス「PTA’S(ピータス)」の開発秘話
合同会社さかせるが運営する「PTA’S(ピータス)」は、2020年11月にサービスを開始した、日本初のPTA専用支援サービスです。ピータスの「タス」には、PTAを「助ける」という意味と、PTAに企業の知恵と技術を「足す」という意味が込められています。
名前の通り、PTA業務のアウトソースサポートと、企業と協業したPTA向けオリジナルサービスの開発、PTAに欠かせない様々な情報の発信を通して、PTAの効率化と保護者の負担軽減を後押ししています。
サイトURL:https://ptas.site/
自身のPTA役員経験と、コロナ禍の実体験がきっかけに
「子どものための活動なのに、楽しそうじゃないのはなぜだろう・・・」
代表の増島自身がPTA役員を務めていた時にそう感じたのが、ピータスをはじめたきっかけです。今や、7割以上が共働き世帯にもかかわらず、PTAに携わるのは8割がお母さんであり、平日の昼間に時間を割かなければならないのが現状です。
そんな状況下で増島が気になったのは「子ども達の前で、PTAが原因で夫婦喧嘩になったり、愚痴を言ってしまったりしているのでは?」ということです。
どうして私ばかりPTAやらなきゃならないの!
PTAのせいで、また有休休暇が減ってしまった!
子ども達の目には、このように、自分が通う学校のための活動に親達がイヤイヤ参加している姿が映ってしまっています。
PTA主催のオンライン交流会がサービス誕生へと踏み切らせた
更に、コロナ禍の2020年3月から始まった一斉休校時の実体験が、PTA支援サービスを形にする引き金となりました。
増島が所属するPTAでは、入学後自宅待機になってしまっている新1年生を何とかしたい!と、PTA主催の新1年生オンライン交流会が開催されました。当時、zoomの認知度も低く、リモートワークも一般的ではありませんでしたが、6割以上の家庭が参加。子ども達にも保護者にもとても喜んでもらうことができました。
そして何より、校長先生がオンラインの有用性に気が付き、この交流会を機に、学校のオンライン化が一気に進んだのです。その時、「PTAの挑戦が、学校が変わる第一歩になり得るのでは」とPTAの可能性を感じ、ピータスの実現へと踏切りました。
手間を省く後ろめたさがサービスを利用する障壁に
ピータスのサービス開始にあたっては、様々な人にヒアリングを行いました。結果は、想像以上に好意的でした。
そんなサービスが欲しかった!待ってた!
今すぐ使いたい!
ところが、実際にリリースしてみると、アウトソースサポートもPTA向けオリジナルサービスも、なかなか使ってもらうことができませんでした。
理由を聞いてみると、今まで保護者達が自分の時間と労力を使って行っていたことを、お金を払ってプロに任せる、手間を省く、ということに後ろめたさを感じている点が原因のようでした。
それはまるで、お弁当に冷凍食品を入れる抵抗感に似ています。誰もダメだとは言っていないのに、なんとなく悪い気がする、手間をかけることが愛情の証だと信じ込んでいる。
果たしてそうでしょうか?
お弁当作りに時間と労力をかけるあまり、朝子どもと笑顔で会話もできないよりは、冷凍食品で手間を省いて、子どもとの会話を楽しんだ方がいいのではないでしょうか。
PTAも同じです。
PTA業務には、保護者でなくてもいい、むしろプロに任せた方が質が上がり安定する“作業”と、保護者にしかできない保護者ならではの“活動”があります。”作業”は適切なプロに任せて、保護者の限られた時間と労力を”活動”に集約することで、保護者の負担や不満を減らし、PTAの”活動”を充実させることができる。そして、今までPTAに費やしていた時間を、自分の子どもと過ごす時間に充てることができる。このことを、粘り強く伝えてきましたし、これからも伝えていかなければと思っています。
また、営利企業がPTAを食い物にしようとしている、と非難されることもしばしばあります。
確かに、PTAは学校との関わりが強いので、非営利組織で運営する方が受け入れてもらいやすかったかもしれません。
ただ、ピータスのサービス開始当初から、ピータスだけではリソースが足りない、多岐にわたるPTAの困りごとを解決しきれない、と思っていました。なので、PTAのあらゆる課題にクイックに対応するために、敢えて営利組織である合同会社で創業しました。
実際に、様々な企業との協業が実現し、日本中の多くのPTAのお役に立てる準備が整いつつあります。
PTAと企業に対するこだわりで、不安のないサービス提供を目指す
おかげ様で、多くのPTAにご利用いただいているピータスですが、PTAに対しても、企業に対しても、こだわりがあります。
まずPTAに対しては、「ピータスへの登録や利用に費用はいただきません」。
ピータスは、保護者の負担軽減を目指しています。もしピータスへの登録や利用に費用がかかってしまったら、PTAの役員さんは保護者に対して説明や承認が必要となり、負担をかけることになります。それでは本末転倒です。
企業に対しては、ピータスに登録するのは「3つの審査基準と面談をクリアした企業のみ」としています。
代表の増島がPTA役員時代、外部の方に来校いただく際、「この会社の人を学校に入れて大丈夫なのだろうか」と一瞬だけ不安に思ったことがありました。なので、ピータスを始めるにあたって、同じ不安を保護者に抱かせてはいけないと思い、登録を希望する企業に対しては審査基準を設け、面談審査を実施することにしました。
審査基準は、「1.自社サイト(またはそれに準じたもの)を保有していること」「2.原則、会社組織(株式会社/合同会社、等)であること」「3.創業から3年以上経過していること」の3つ。更に、面談審査では、取引先がPTAであることへの理解と、子ども達の学校生活を保護者と共にサポートする意思について確認しています。
このこだわりの甲斐もあり、ピータスの登録・利用PTAは、2021年7月に100を突破、2022年6月には39都道府県で500を超え、2023年8月現在、全国47都道府県で1,360を超えています。
実際に、全国のPTAがピータスをどのように活用しているのか、3つ事例をご紹介します。
1つ目は、アウトソースを活用いただいている事例です。例えば、行事警備を警備会社に依頼したり、運営サポートをイベントスタッフに依頼することで、防犯効果の向上や、保護者が子どもの観覧に集中できないという不満の解消に繋がっています。また、安全マップの制作をデザイナーに依頼することで、分かりやすくて楽しいマップが出来上がり、子ども達への注意喚起も強化されたと喜んでいただいています。
2つ目は、企業と協業した、PTA向けオリジナルサービスの開発事例です。
サイボウズと開発したキントーン【PTA専用アプリパック】やワークスモバイルジャパン(LINE WORKS)と共作した【LINE WORKS 活用マニュアル】は、ピータスならではの知見を活かして、PTAでなかなか進まないIT化を推進するためのツールです。
【PTA’S+otta導入プラン】は、IoTを活用した見守りサービスをPTA単位で導入することができます。そのため、スピーディー且つ公平に校区内の子ども達の見守りを実現できます。
【E-Traノート for PTA】は、凸版印刷が開発したシステムにPTA用の機能を追加することで、母国語が日本語ではない家庭に、PTAから9言語に対応したお手紙を届けることができるシステムです。
3つ目は、PTAからのご相談をきっかけに開発した、オリジナルツールの事例です。【旗当番シフト作成ツール】や【面談調整ツール】など、それぞれの相談に応じて開発したツールなので、各PTAの課題に過不足なく応えることができました。PTAはもちろん、利用した保護者や先生からも、大幅に作業時間と負担を減らすことができたと大変喜んでいただいています。
女性の社会進出や男性の育児参加の障壁となる課題を解決し、無理なく参加できるPTAを実現したい
PTAというと、メディアやSNS等でプライベート且つネガティブな話題が取り沙汰され、まるでお母さん同士の揉め事ように矮小化して受け取られがちですが、違います。
ピータスには、日々様々なご相談をいただきますが、お母さんからは「PTAがあるので、再就職を諦めた」「PTAが気になって昇進を躊躇した」という悩みが、お父さんからは「PTAに参加したくても、女性ばかりで入りにくい」といった悩みが寄せられています。
このように、PTAは女性の社会進出や男性の育児参加の障壁となる、れっきとした社会課題です。
本来、子ども達の学校生活のサポートを目的とした、任意のボランティア団体であるPTAが、社会課題となってしまっている一番の原因は、発足以来50年以上、全く変わらなかったことにあります。変わらなかった、のではなく、変われなかったのかもしれません。PTAは任期制で、定期的に人が入れ替わるため、変えたい・変わらねば、という気持ちが継続しにくい組織です。例え誰かのリーダーシップで変わったとしても、「○○さんだからできたよね…」といった変革では永続的ではありません。だからこそ、誰が役員に就いても運営が安定し、子ども達の学校生活のサポートにムラが出ない仕組みやツールが必要です。そのために、ピータスを開発しました。
ピータスを、もっと多くのPTAに知っていただき、活用いただくことで、働いていてもいなくても、お父さんでもお母さんでも、“子ども達のために“という想いだけで無理なく参加できるPTAを実現したい。そして、家族の時間を最大化することが、ピータスのミッションであり、目的です。
多種多様なPTAの困り事に対応し、PTAが楽しそうと思ってもらえる存在に
ピータスでは、PTAの役員や委員会の方が、ご自身でアウトソース先を検索したり、オリジナルサービスに問い合わせることが可能です。ただ、ITが苦手だったり、こういったサービスを利用するのに不慣れな人でも気軽に利用いただけるよう、トップページからメールや電話でのお問合せ・ご相談も承っています。
PTAの困り事は、地域や規模、校長先生の考え方、メンバーのキャラクターなど、本当に様々な要因で変化しますし、異なります。なので、日々ご相談を受けるたびに、新しい驚きと気づきがあります。それらを全て、サービスの向上と知見の蓄積に活かし、いつか保護者の皆さんが、“うちの子の学校のPTAは、ピータス使ってるから負担も少なくて楽しそう”と思ってもらえる、判断材料のような存在になりたいと思っています。
そうなるためにも、一歩一歩着実に、進んでいきたいと思います。
PTAをたすける「PTA'S(ピータス)」:https://ptas.site/
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