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今日が、残りの人生の最初の1日。

【クロスオーバーファンド×CEO対談】海外機関投資家Keyrockとニーリーの出会いから出資に至るまでのストーリー

著者: 株式会社ニーリー



この度、モビリティSaaS「Park Direct(パークダイレクト)」(https://www.park-direct.jp)を運営する株式会社ニーリーは、海外機関投資家のKeyrock Capital Managementより17億円の資金調達を実施しました。これにより、シリーズAの調達が完了し、累計調達額は56億円となりました。また、Keyrock Capital Managementの日本国内の未上場企業への出資は、3社目となります。


※2023年8月1日付 プレスリリースよりhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000045188.html


今回は、香港及び東京に拠点を設け、高成長セクターにおけるリーディング企業を中心にファンダメンタルリサーチによる分析を行う「Keyrock Capital Management」のシニアアドバイザー内河俊輔氏と、ニーリー代表取締役佐藤養太の特別対談を実施。お互いの第一印象やご出資いただいた経緯、Keyrock Capital Management社からニーリーへ期待することなどをお聞きしました。





Keyrock Capital Management シニアアドバイザー

内河俊輔 Shunsuke Uchikawa


1998年、ソロモンスミスバーニー証券(現シティグループ証券)入社。同社投資銀行本部マネジングディレクター、M&A本部 本部長を歴任。2018年、株式会社マネーフォワードに参画。執行役員CFOに就任し、財務戦略を推進。2020年、株式会社STREAMを設立し、代表取締役に就任。Keyrock Capital Management Limited シニア・アドバイザー、株式会社タイミー 社外取締役、Micoworks株式会社 社外取締役、株式会社ゼロボード 社外取締役、キングソフト株式会社 社外取締役を現任。



株式会社ニーリー 代表取締役

佐藤養太 Yota Sato


2007年に金融機関向けシステム開発会社シンプレクス・テクノロジー(現シンプレクス株式会社)に入社。 エンジニア、後にプロジェクトマネージャーとしてネット銀行/大手証券会社向けにシステムを導入。 メガバンクのデリバティブDWH案件をPMとして実現した後、2011年GMOクラウド(現GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)にて海外での新規事業検討、エンタープライズ向けクラウド事業を担当。 その後大手事業会社の新規事業プランコンテストでの準グランプリ受賞を期に2012年に独立。 2013年1月当社設立。



駐車場管理という業界でDXを推進するニーリーに興味を持つ

佐藤:

本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、最初にニーリーに興味を持ってくださったきっかけをお伺いしてもよろしいですか。


内河:

もともと、不動産テックやモビリティテックに興味がありました。マーケットが非常に大きいにも関わらずDXが進まない要素が揃っている業界で、もしその業界でDXが進んでいくとしたら、大きなメリットがあるのではないかと考えて、この領域で急成長しているスタートアップはないかと探していたんですね。

 

そうしたときに、たまたまある資料を見て、駐車場管理というカテゴリを知ったんです。業界関係者の方々はこのカテゴリが拡大していくのは難しいとおっしゃっていたのですが、どんな業界のDXでも、その業界の中にいる人たちは変化に対して抵抗感があると思うんです。進まないからこそDX化の価値が残っているので、ビジネスとしておもしろいはずだと、私は可能性を感じていました。そんなことを考えていたタイミングでニーリーさんにミーティングの打診をしたのが最初のきっかけですね。

 

佐藤:

ミーティングでプレゼンをお聞きになって、いかがでしたか。

 

内河:

一番衝撃だったのは、事業が伸びていたことです。「やっぱり伸びてるじゃん!」って。

 

同時に、あれだけ周りが口を揃えて難しいと言っている駐車場管理の領域で、ニーリーさんがここまで事業を伸ばしている理由は何なのか、もう少し深く話を聞いてみたいと思ったんです。


Keyrock社は事業に対する目線が同じだと感じられた


内河:

逆に、佐藤さんからKeyrockへの印象はどうでしたか。

 

佐藤:

私たちはこれまでも機関投資家のカンファレンスに4回ほど出させていただいていて、その中で海外投資家の方は駐車場管理というマーケット自体に興味をもっていただきやすいという感触は持っていました。おもしろいマーケットを見たい、日本全体でDXするようなものに興味がある、という方々が我々に興味を持ってくださっていたので、Keyrockさんも同じように捉えてくださっているのかなと感じていました。


Keyrockさんならではだったのは、いただいた質問が非常におもしろかったことですね。日本の市場の状況や業界の商習慣などを飛び越えて、みなさん本質的でストレートな質問をぶつけてくださるじゃないですか。その応酬がとても楽しかったですし、我々に興味を持って深堀ってくださっているのが伝わってきました。

 

内河:

たしかに質問の伺い方に関しては、Keyrockが大事にしてるところですね。

 

佐藤:

それに加えて、事業に対する目線が同じだと感じられたということもあります。弊社の事業を初めてお話をさせていただくと、「既存事業が伸びているなら、次は新規事業か

」と聞かれることもあるのですが、私は今の事業をいかに最速で伸ばせるかというところに力を注ぎたいんです。その点、Keyrockさんは最初から「既存事業をどれだけ速く伸ばせるかですよね」と言ってくださいました。我々の感覚と非常にマッチする方々だなと感じましたね。


 

出資の決め手は「過去・現在のポジショニング」と「経営力」

 

佐藤:

最終的に出資を決めてくださった理由は何だったのでしょうか。

 

内河:

出資に際してKeyrockが大事にしていることは2つあります。一つ目は過去から現在にかけるポジショニングです。具体的にいうと、どのようなサービスでもお客様がいらっしゃいます。そのお客様のどのようなペインポイントに注目し、ソリューションを提供しているのか。さらにお客様がいる市場の大きさがあって、そこでNo.1ポジションもしくはウィニングポジションを取れていることが大事です。


ニーリーさんで考えてみると、まずTAMの大きさと、そこでNo.1を取れているというのが素晴らしかったですよね。ただ、スタートアップあるあるなのですが、No.1であるということは実はそこまで難しくないんですよ。市場をどう切り分けるかによってNo.1を取ることもできる。また、今後伝統的な既存の大企業が横展開して参入して来て、No.1が入れ替わるという可能性もある。でもそれを一つずつ潰していったうえでNo.1を取り続けられるのかというのを、何度も議論させていただいたかと思います。

 

ビジネスモデル(=マネタイズポイント)に関しては、駐車場のオーナーと不動産管理会社、駐車場の借主という三者の関係とお金の流れが非常にわかりやすかったですね。また、KeyrockはSaaSが好きなのですが、なぜ好きかというと成長の蓋然性があるからなんですよね。Park Directでの新規借主の獲得だけでなく、既存契約がPark Directに切り替わっていくことによって、顧客獲得コストが徐々に下がっていくという、このモデルがとても美しいと感じています。


二つ目は未来の話で、これは経営力です。大きな市場でNo.1やウィニングポジションを継続して獲得していけるかどうかは、CEOをはじめとした経営陣のチーム力にかかっていると考えています。

 

今のニーリーさんは代表取締役の佐藤さんという絶対的な存在を筆頭に、優秀なスターメンバーが揃っている。この段階のスタートアップでここまでメンバーが揃っているのはなかなか無いですよ。特に佐藤さんがエンジニア出身というのもおもしろいポイントだと思っています。私たちが出資させていただく企業の中で、代表がエンジニア出身というのはニーリーさんが初めてなんです。考え方が非常にロジカルでありながらも全体のバランス感覚が優れた方だなという印象ですね。

 

 

駐車場管理という領域に着目したことこそ、ニーリーの最大の強み

 

佐藤:

これまで出資された企業を含め、いろいろな企業を見てこられた内河さんから見て、ニーリーの強みは何だと感じていらっしゃいますか。

 

内河:

先ほどお話しした出資の決め手になったポイントはもちろんですが、やはり駐車場管理という領域をみつけたことですよね。ここをみつけたというのは本当にすごい。

 

佐藤:

ありがとうございます。確かにどのマーケットを攻めるかって、すごく重要だと感じています。ニーリーも最初はとりあえず既存事業の売上をひたすら新規事業のPark Directに投下するといった感じでやっていたんです。今振り返るとよく粘ったなと思うのですが、当時は特に粘っている意識はなく、私をはじめ当時のメンバー全員が「絶対いける!」と信じて疑っていなかったんですよね。

 

内河:

最初にもお話しましたが、駐車場でいうと、対面・紙中心の文化で管理会社側にも借主側にも手間がかかり経済が停滞するという明らかなペインがあるけれど、どの業界でも変化への抵抗感はあるじゃないですか。それに対してニーリーさんは、双方の顧客が断る理由をすべて潰していったからこそ、この事業の伸びが実現できているのかなという印象はありますね。

 

佐藤:

そうですね。従業員全員が、Park Directを導入しない理由がないと思ってやっているんですよ。そこが前提になっているから、最初に断られてもあきらめずに食らいついて営業ができる。顧客も最初は導入に抵抗感がある場合が多いのですが、実際に使ってもらったあとには「導入してよかった」と言ってもらえることが多く、ありがたいです。

 

 

最初はコミュニケーションに戸惑いも。分析の視点が合った時に議論が一気に深まった


佐藤:

出資いただくまでの流れの中で、特に印象に残っていることはありますか。

 

内河:

やはり最初のコミュニケーションでしょうか。先ほど佐藤さんがおっしゃったように、Keyrockって質問がユニークなんです。答えを誘導しない質問を心がけていまして、いかに短くシンプルなオープンクエスチョンをするようにしています。それが原因ではじめはお互い苦労した感じはありますよね。佐藤さんたちからしたら「Keyrock、何聞いてるんだろう」みたいな(笑)。

 

オープンクエスチョンがゆえに、聞くというよりは喋ってもらう。そうすると実は私たちが求めている答えと、佐藤さんたちが考えてくれるものがずれていく過程があったので、途中で「実は私たちはこの分析が聞きたいんです」とお伝えして、そこからコミュニケーションがスムーズになりましたよね。

 

佐藤:

そうですよね。ただ、今振り返ってみると、お互いに見ている方向は違っていなかったのかなと思います。分析の軸というか、どういう切り口でどういう数値を使って分析するかという、視点の部分だったのかなと。

 

内河:

そうそう、きちんとファネルで分析したかったんですよね。Keyrockが一番気をつけているのはApple to Appleなベースのデータが見れて、ファネルにおける各ステージごとの分析データになっているか、などです。実務ではそこまで綺麗に分析できないとか、やる必要がないとかいろいろ事情はあると思うんですけど、そういうものを全部排除した視点で数値を見たかったんです。

 

佐藤:

ご指摘いただいた数値は当時はまだなかったので、一からデータを取りにいったこともありました。ここに関しては特に議論に時間をかけていただいたなと思います。

 

内河:

そうですね。この議論がなければおそらく出資はなかったと思います。ただ、この議論ってすごく良い経験だったと思っていて、皆さんが信じてるものを私たちも信じることができました。違う視点を持ちつつ同じゴールを目指せる方々だというのがわかったことは、非常によい機会でしたね。

 

佐藤:

私たちにとっても、気づきを得られたタイミングだったと思います。潜在意識下ではやらなければならないと思っていても、実際には分析できていなかった部分を突かれた感じでしたが、聞かれたことによって自分たち自身も現状の解像度が上がって、モニタリングすべき観点がみえたと思います。非常にありがたかったですね。

 

内河:

これはやはりカルチャーの違いではないかと思うんです。私も含めて、日本のメンバーには当たり前にわかるだろうという暗黙知がある。でもKeyrockの香港メンバーはその暗黙知がない状態で入ってくるんです。まっさらな目で見ていたときにどうなのかということをとても大事にするので、違う角度から光を当てられるんですよね。もしかするとそれが日本の投資家との最大の違いの1つなのかもしれません。

 

本来、日々事業や経営に向き合っている皆さんに、私たちが知識や経験でついていけるものじゃないです。株主がやるべきなのはそこではなくて、他の企業と比較してどうか、海外の動向がどのように日本に影響を与えるか、といった外からの視点をお伝えする。もしくは、みなさんの視野が狭くなっているときに「ちょっと3歩下がってみましょうか」みたいなことを議論させていただくとか。そういう役割だと思っています。


これからのニーリーに期待すること


佐藤:

最後に、Keyrockさんからニーリーへ期待いただいていることをお伺いしてもいいですか。

 

内河:

短期的にいうと、今の事業の成長をひたすら追求していただくのがいいと思っています。その上で、チャレンジも大事だとは思います。もし新しいチャレンジから第2、第3の柱が出てくるのであれば一気に投資すればよいですし、出なかったらそれでも構わない。ニーリーさんの強みは、今の事業をしっかり伸ばしているからこそ、焦って次の新規事業を立ち上げる必要もないということじゃないですか。もし新規事業を立ち上げるタイミングがきたら、既存事業のキャッシュフローを使いながら取り組める段階に持っていけるはずなので、その柔軟性に期待しています。

 

佐藤:

ありがとうございます。自分たちが信じているものを信じてくださること、そのうえで違う視点からも多くの気づきをいただけることにとても感謝しています。ご期待に添えるよう、これからも従業員一同励んでまいります!




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