出汁マイスターが手がける和食ファストフード店『「羽釜おむすび白々寺町御池』 創業のリアルと新米店長の奮闘記。
『いいものさえ作っていれば勝手に売れる』
モノづくりビジネスを営んでいると、そんな考えに陥りがちではありませんか?
2022年4月29日、私たちフィールドアローは”和食ファストフードを世界へ”のビジョンと共に『羽釜おむすび白々寺町御池』をOPENさせていただきました。
この挑戦から現在に至るまでには、店舗としての進化だけでなく、1人の新米店長であり事業責任者である足立の成長がありました。社長を務める矢野と今回の取り組みについて振り返っていきます。
出汁マイスターである店長が開発した看板商品「だしおむすび」とは
出汁マイスターであり、プロジェクト責任者である新米店長の足立が開発した
『だしおむすび』
このメニューは、京都米と富山米のオリジナルブレンド米を、数種類独自ブレンドの出汁と、厳選に厳選を重ねた釜炊きの塩で、羽釜を使って一気に炊き上げてにぎる『至高の塩むすび』は当店の看板商品であり、自慢の逸品になります。
羽釜で炊いた炊きたてのごはんを、一つ一つ手で握ってご提供しています。
出汁は、数種類の削り節と昆布、キノコ類を独自にブレンドしています。
日々、数十種類の素材から理想の旨味を求め、出汁マイスターとして吟味する毎日
地域住民をはじめ、地域企業や、有名料亭の会議のお供やランチに喜ばれたり、
国内外からの旅行者からも高い評価をいただいていますが、特に嬉しく感じるのは、
小さなお子様のいらっしゃるお母さま方からのお言葉です。
「普段あんまりご飯食べへんのやけど、ここのおむすびは何個も食べやんねん」
「こどもがあそこのおむすび買ってきてってうるさいし来てるねん」
など、本当に皆様には嬉しいお言葉をいただいております。
開業時は、一汁一飯を基本に、和食の美学たる「引き算」でのメニューが中心でしたが、現在は常時6種類のおばんざいもご提供しています。ちょっとしたおかずが欲しい、食事として1食完結したい、などのご要望にお応えできていると思っております。
7種類のおむすびと6種類のおばんざい、日替わりの具沢山お味噌汁と盛りだくさん
和食ファストフードを世界へ。新規事業プロジェクトマネジャー兼新米店長の挑戦
想いをもって挑んだ新規事業開発ではありますが、「美味しいから売れる」という簡単なものではなく、事業として成立していくかどうかは別のお話です。
創業以来の累積赤字が膨らむ中、継続か、撤退か、常に会社からのプレッシャーを受けて瀬戸際に立たされながらも、立ち上げのリアルに立ち向かい、何度も壁にぶつかりながらも、一社員から経営者として成長していく新米店長足立の奮闘を追ってみました。
『羽釜おむすび白々寺町御池』は、屋号からすると一見普通のおむすび屋さんに思われやすいのですが、
実はただのおむすび屋さんではない、という想いがあります。
「ファストフードはなぜ小麦粉を使った業態ばかりなんだろう。日本人の老若男女のお客様問わず、米と出汁を楽しめるお手軽お手頃な和食ファストフードがあってもいいんじゃないか。。。」
この取り組みは、2022年10月に入社し、新規事業プロジェクトマネジャー兼店長となる足立の想いと、世界へ輸出できるビジネスを作りたいと考えていた、祖業が家具製造販売及び修理業を営むフィールドアロー株式会社代表の矢野の思惑が一致して立ち上がったプロジェクトです。
新規事業として食品製造業を立ち上げるにあたり、日本企業として海外を志向するならば、「やはり和食だな」というコンセンサスは取れていたように思います。
老若男女問わず、お手軽・お手頃に手に取れるデイリーフーズ(日常食)を提供したい。
「だしのうまみと飽きの来ない食事で、お客様にやすらぎと活力を」
そんな理念から『和食ファストフードを世界へ』というビジョンが固まりました。
足立の事業プレゼンテーションの様子
コンセプトの決定という初期段階から大議論。会社として今までとは異なる事業開発の道のり。
事業開発の過程において、『おはしで食べるおむすび』『和食ファストフード』などのコンセプトについて、開発チームからは「わかりづらくて、理解されるのに時間がかかるのではないか。その間に経営を維持できるのか」という意見や、「ターゲットのお客様には刺さるはずだ」など賛否両論で議論は白熱しました。
Instagramより。商品提供の様子。
どのような意見があっても、お客様のお役に立てていて、最後は自分たちが思い描く未来のイメージが湧くのであれば、それは勇気をもって推進していかなければなりません。
いただいたご意見に耳を傾けて、そのお考えを取り入れていく素直さや柔軟性と、
ご意見をいただいたとしてもブレずに自らを信じてやり抜く強さと、
やはり両方の要素をバランスよくもって推進していくことが大切でしょう。
これまでのフィールドアロー(株)には、代表の矢野が自らの起案と推進力で進めてきた
様々な事業開発の経緯があります。しかし今回は、足立をチームリーダーとし、矢野は一歩引いたところから見守り、確認と承認のみに徹していたと振り返ります。
責任者であるはずが、お手伝いをしている感覚となっていた。主体性のない店長への喝が事業を大きく変える。
「美味しい商品はできた」
「出店の場所は寺町商店街の中、高名な京都本能寺の南隣という好立地で、場所も良い」
いい商品で、いい場所があれば、勝手に売れていく。
そんな自信が足立にもあり、会社もそれをなんとなく容認していたのかもしれません。
美味しい白米のイメージと、子供が美味しいおむすびをパクパクと喜んで食べているイメージから、「白々(ぱくぱく)」という造語をベースに、何のお店かわかりやすくと考え、『羽釜おむすび 白々 寺町御池』と屋号を決定しました。
立ち上げは極めて順調でした。
ある意味立ち上げることは簡単です。
一方、この時点で足立は、不慣れな事業立ち上げに携わる中で、どんどん進行していく状況にどこか違和感を感じていたそうです。
「自らの想いで開発したサービスだけど、みなさんのお手伝いをしているような感覚で、主体性はほとんどなかった」と当時のことを話してくれました。
そんなある日、「お前は誰かの手伝いがしたくてこの事業をやってるんか!この事業の経営者はお前やろうが!」矢野の強烈な叱責を受けます。
事業を作り上げていくのは、覚悟と情熱の継続、何より決断と責任であると矢野は考えていました。
主体性が無くお手伝いをしている感じの漂う足立に、一喝を入れたそうです。
これを機に足立は大きく変わることになります。
「会社のお手伝い、矢野さんのお手伝いをしていると思われても仕方がないふるまいだったと思うし、自分は間違っていました。この事業の経営者は私だ!自分の想いを形にしていく以上、主体性をもって推進しなければならない」
そう決意し、行動から変化が表れはじめました。
これまで、インスタグラムやユーチューブで情報集めや流し読みをしているだけで、書物に手を伸ばすことも無かった足立の食卓の傍らには画像のように書物が並んでいるそうです。本棚を見ればその人が分かる、と言うそうですが、経営を志し、自ら壁に当たって悩み、日々起こる問題を自らの責任と決断をしていくためのヒントを求める姿が垣間見えます。
マネジメントやリーダーシップ、その元になる哲学や理念に関わる書物が並びます
こうした書物を通して足立は言います。「経営に即効性のある特効薬はないんですね。」
毎日毎日、やるべきことを、当たり前に、地道にやり続けることが、高いところに到達する唯一の方法なのだと思っています。
彼女の顔つきや語り口から、どこか吹っ切れたような信念がみなぎっていました。
また、その効果は業績にも表れます。
『売上が欲しくて「広告」や「コンサルタントの活用」など、魔法の杖が欲しいと思っていました。でも、結局事業は、目の前のお客様にどれだけ向き合い、その声を聴き、教わったことをいかに放置せず、すぐに改善できるかどうかです。それが一番の方法だと気づきました。答えのヒントは現場にしかないんです』と足立は続けて語ります。
SNSでコンスタントに発信する。
お越しいただいたお客様に笑顔で挨拶をする。
常連のお客様のお顔やお好みを覚える。
オススメ商品を伝えて、もう一品お買い上げいただく。
美味しい食べ方をお伝えする。
毎日店内とトイレ掃除をする。
また来ていただけるようポイントカードを作る。
どれも当たり前で地味な取り組みである。
2022年5月からの前年対比の売上を見つめる足立。
2023年昨対
5月 108.3%
6月 127.75%
7月 121.61%
8月 125.4%
9月 110.66%
10月 109.72%
劇的な成長とは言えないかもしれませんが、
その努力は間違いなく数字に表れているようです。
「やっと経営者の顔になりつつありますね。でも、ここでほめると調子に乗るので言いませんがね」
2023年11月決算において、継続か撤退かを判断する、と通達していた代表矢野ですが、奮闘する足立の姿に、もうしばらく我慢してみようかな、と微笑んでいました。
FC展開を見据えて更なる挑戦。店長と羽釜おむすび白々寺町御池のさらなる成長を見守ってほしい
今後店舗展開をしていくにあたり、自社出店に加えてFC展開を検討しています。
そのためには、商品の提供やスーパーバイズ機能も必要で、足立自らが苦労していることで、実戦的ノウハウを構築していけていると考えています。
「まずは自分たちがしっかり儲けさせていただくこと。加盟店さんが私たちと共に歩んでくれるための一丁目一番地であり、その仕組みを作ります。FC加盟店様のお役に立てて、ひいてはエンドユーザー様のハッピーに貢献できると思っています」と足立。
その製造流通を担うためのセントラルキッチンを検討しており、これから増えていく店舗には掃除や接客、商品提供に集中してもらえるような体制を構築するべく、キッチンの候補地探しやメニュー開発に忙しく追われる毎日を過ごしています。
目の回るような忙しさではあるが、どこか充実している顔に見えます。
これからの足立の成長と、羽釜おむすび白々寺町御池の成長を暖かく見守っていただけましたら幸いです。
店舗名 : 羽釜おむすび白々(ぱくぱく)寺町御池
店舗所在地 : 〒604-8091
京都府京都市中京区寺町通御池下る
下本能寺前町510-2
店舗TEL : 075-606-5552
店長 足立 波瑠子
contact@omusubi8989.com
営業時間:AM8時~PM19時
店舗URL : omusubi8989.com
Instagramアカウント:omusubi8989_
<本件に関わるお問い合わせ >
会社概要
会社名:フィールドアロー株式会社
代表者:代表取締役 矢野雅也
所在地:〒604-0883
京都府京都市中京区間之町通竹屋町下る
楠町610 森ビル1階
TEL:075-251-8360
FAX:075-251-8361
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