子ども向けプログラミング教室がコロナ禍をきっかけに開発した無料タイピング練習サイト・「ナレッジタイピング」のストーリー
ナレッジ・プログラミングスクールは2019年暮れに開業した小中学生向けプログラミング教室で、「ナレッジタイピング」(タイピング練習サイト)の運営をしています。
本ストーリーでは、「無料」、「広告非表示」にこだわったタイピング練習アプリの誕生秘話を代表が振り返ります。
#開発ストーリー #プログラミング教育 #新規事業
開業直後のコロナ禍。学校現場のタブレット導入支援サービスを始めた
2019年11月スクールオープン直後にコロナショックに見舞われ、入会イベントも緊急事態宣言で中止となり、なかなか生徒が集まらない状況が続きました。家賃など固定費の支払いも発生し、このまま何もしないわけにはいきません。ちょうど小学校でGIGA端末(タブレット)導入が始まった時期だったため、近隣小学校でのタブレット導入支援などの業務に携わりました。
小学校の現場で感じた、プログラミング教育の認識ギャップ
このとき感じたのが、小学校でのプログラミング教育への認識ギャップです。
小学校の先生は多忙を極め、教科カリキュラムをこなすのに精いっぱい。プログラミングどころではありません。一方、教育委員会からは、「タブレットを使え」というプレッシャー。いざ、授業でタブレットを使っても、子どもはタイピングができないので、調べ学習すら進みません。
一番の課題は「ローマ字」を「3年生の国語」で習うため、1、2年生にローマ字50音を教える機会がないことです。
低学年向けのタイピングアプリ開発を決めた背景とは
先生から「おススメのタイピングアプリを教えてほしい」と相談されても、小学生、特に低学年向けのものは、ほとんどありません。あっても広告表示のフィルタでブロックされて、サイトすら開けないものもあります。タブレット操作に慣れていない生徒が、広告をクリックして怪しいサイトを開いてしまい、何度もヒヤヒヤしました。
タブレットにインストール不要の「ブラウザアプリ」で、「低学年でも先生の手を借りずに練習できる」、もちろん「無料」で「広告なし」。これが、胸を張って紹介できるアプリです。しかし、見渡してもそんなものはありませんでした。
「それなら、自分でつくろう!」
こうして、ナレッジタイピング開発がスタートしました。
低予算で開発をスタートするも遅々として進まず
「1000万円!」、最初に提示されたアプリ開発の見積もりです。とても払える金額ではありません。それなら、出来ることは自前でやろう、とシステム設計に取りかかりました。次に、開発してくれる会社選び。商工会議所の紹介で、予算内で対応できる会社を見つけました。
しかし、そのシステム会社も規模が小さく、遅々として開発が進みません。完成予定の6か月が過ぎても、進捗は1/4程度。
「このペースでは2年かかってしまう・・・」
自ら開発に参加することでエンジニアと「同志」の関係性に
全財産を投じての開発です。これ以上納期を延ばす訳にはいきません。
意を決して、私もプログラム開発に入ることにしました。
久しぶりの開発で、とにかく最初の1か月は一から勉強のし直しでした。
相手のエンジニアに難しい要求をし、何度もけんか腰になったものの、途中からは「同志」のような関係になりました。双方が「いいものを作り上げていこう!」という意識を共有できたのが、良かったと思います。
結局、1年半もかかりましたが、自分が開発に携わったことでシステムの見直しや機能を追加でき、結果的には満足のいくアプリが完成し、今春(2023年)、晴れてリリースに至りました。
150種以上のコースを提供する無料プランと、管理機能つきの塾・学校向けプランを開始
ナレッジタイピングには、「Freeプラン」と「塾・学校プラン」があります。
Freeプランは、広告表示されず、150種以上のタイピングコースがあり、学校のほかプログラミング教室や塾でも利用できます。塾・学校プランは一人月額110円で、生徒管理やスコア管理付きです。教育系ニュースやYahooニュースにも掲載され、アクセスは増えたものの、塾・学校プランの申込が伸び悩んでいます。
「何が足りないのだろう?」
答えは一目瞭然、「知名度」でした。
プレスリリース発信後のメディア掲載により大きな反響が
アプリ開発にお金を使い果たしてしまい、広告費用が捻出できません。
そんな折、とある講習会で「プレスリリースを継続的に発信をしていくことで、小さな会社でもそのうちメディアが覚えてくれるようになる」という言葉でハッとさせられました。
「そうか!自分で広告費を捻出できないなら、メディアが取り上げてくれる仕掛けをつくればいいのか」
そこで、7月に「全国の小学生500名にアカウントを無料プレゼント」、8月に「全国タイピングコンテスト開催」を立て続けにリリース。Yahooニュースに掲載された途端、応募者が増えるなど、メディアの凄さを実感しました。
その後、コンテスト参加者から「表彰状を学校へ持って担任の先生に見せたら、校長先生のところへ持って行ってくれました。来年も挑戦します!」と嬉しいメールが届きました。
タイピングはスキル以上の自信や、パソコンを好きになるきっかけになる
ところで、なぜ「パソコン教室」でもない「プログラミング教室」が「タイピング」にこだわるのか? 改めて考えてみました。
最初に思い浮かんだのは、パソコンが流行りだした1998年。育児休暇中の私は、職場復帰する1か月前からパソコン学習を始め、手始めにタイピングに取り組んだところ、楽しくて、あっという間にタッチタイピングをマスターできました。「あれっ、自分ってこんなにパソコンができるんだ!」と、俄然やる気が出たのです。
もう一つは、小学生だった息子の友達が遊びに来たとき、「目を閉じたまま打てるんだよ!」と友達の名前をタイピングしてみると、「すげ~~●●くんの母ちゃん、スゴイ!」。小学生にとってタイピングは「尊敬」に値するスキルなんだ、と驚いたものです。
これらの体験から、タイピング学習で得られるのは、単なるスキルではなく、パソコンを好きになる「きっかけ」や「自信」なんだ、と感じました。
実際、当スクールの生徒も、「先生、タイピング、クラスで1番になったよ」と、とても誇らしげに話してくれます。そして、プログラミング学習を以前にも増して積極的に取り組んでくれるようになりました。
小学校低学年から正しいタイピングを身に付けてほしい
クセがつく前に、小学校低学年から、正しいホームポジションのタイピングを身に付けてほしい、デジタルスキルを身に付け、AIに負けない力を培ってほしいと願って、これからもタイピング学習の普及に取り組んでいきたいと思います。
<ナレッジタイピングURL>
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