職場でのアンコンシャス・バイアスを減らし、心理的安全性を担保するために。上司・部下も率直に自己開示し聴きあう手法「オーセンティック・コミュニケーション」がリリースされるまで
株式会社クオリアは〈多様性を社会の力に〉をミッションに、すべての人がイキイキ・ワクワクと仕事と人生を楽しめるような社会の創造を目指しています。具体的にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DEI)のコンサルティング、研修、ワークショップの提供や、ツール活用を提案することで、組織における行動変容を支援しています。特にアンコンシャス・バイアス研修は、日本でいち早く2014年からプログラムを提供し、延べ1千社、3万人以上に対して実施しています。 また、内閣府が令和3年度、4年度に実施した「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」においては、調査検討委員会委員を務めました。
このストーリーは、株式会社クオリアと酒井麻里氏が開発した新しいコミュニケーション手法「オーセンティック・コミュニケーション」の開発秘話を、監修者である株式会社クオリア代表取締役社長の荒金雅子の視点からお伝えします。
研修を開発したきっかけは、グローバルサミットオブウィメンで「アンコンシャス・バイアス」という言葉に出会ったこと
「クオリアの研修のおかげで、アンコンシャス・バイアスの重要性はとてもよくわかりました。弊社でもその取組みは必須だと考えています。でも、研修の次は具体的にどうすればいいでしょうか」
ここ2~3年、研修を実施した企業のご担当者さまから、そのような悩みを相談される機会が増えてきました。
アンコンシャス・バイアスとは、自分自身は気づいていない「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」をいいます。
アンコンシャス・バイアスは、脳の認知機能によって起きるものであり、その人の過去の経験や知識、価値観、信念をベースに判断や評価を自動的に行い、何気ない発言や行動として表れます。自分自身では意識しづらく、ゆがみや偏りがあるとは認識していないため「無意識の偏見」や「無意識の思い込み」と呼ばれます。
アンコンシャス・バイアスは些細な言動や何気ない行動に含まれており「よくあること」「気にするほどの事ではない」と見過ごされがちです。しかし、そのまま放置すると、社員のモチベーション低下やハラスメントの増加、職場のコミュニケーション不全、ひいては組織や個人のパフォーマンス低下、イノベーションを阻害するなど様々な問題を生みます。
私自身、2013年にマレーシアで開催された「女性と経済」をテーマとしたグローバルサミットオブウィメン(GSW)に出席した際、アンコンシャス・バイアスという言葉に初めて出会いました。
<多様性を社会の力に>を掲げ、長年企業の行動変容を支援してきましたが「研修も実施しているし制度や仕組みが整っている。にもかかわらずなかなか成果につながらない」という企業を多く見てきました。意識や行動はインクルージョン(多様な人を受け入れて活かす)という状態にはなっていなかったのです。
「自組織はD&Iに十分に取り組んでいる」「自分は平等で差別や区別はしていない」という管理職もいる中で、多数派が無意識に発する言動が与える悪影響をどのように伝えればよいか。「組織内のマイノリティの人たちが感じる息苦しさや居心地の悪さをいかに解消するか」は、大きな悩みでした。思考のクセを直す、思考の柔軟性を高める、という言い方でトレーニングをしていた頃に、出会った言葉がアンコンシャス・バイアスでした。誰もがうっすらと気づいているし、良くないことだと思っていることに「アンコンシャス・バイアス」という名前があることを知り「これだ!」と思いました。
アンコンシャス・バイアスが注目を集める一方で「言葉狩りではないか」という誤解も
研修を本格的に提供し始めた2014年と比べて、アンコンシャス・バイアスという言葉への認知度は高くなってきたと感じています。
内閣府の調査結果が発表された後は、テレビや新聞でも取り上げられ、書店にいけば「アンコンシャス・バイアス」を冠する書籍も見かけるようになってきました。注目度が上がるにつれ、アンコンシャス・バイアス研修のご相談も増えてきました。
アンコンシャス・バイアスの認知度が上がる一方で、研修担当者の皆様からは「研修などで(アンコンシャス・バイアスが)あるのはわかったけど、じゃあどう対処すればいいか」「次のステップがわからない」という新たな悩みも出てきました。
特に気になったのは、管理職の方から「あれはダメ、これもアンコン。といわれるとどう話していいのかわからない。面倒なので話さない方が楽。言葉狩りのようで息苦しい」という声が聞こえてきたことです。いつでもどこにでもあり、誰もが持っているアンコンシャス・バイアスについて、お互いが気づき対処することでよりよい関係を強化したいという気持ちで、クオリアは「アンコンシャス・バイアス研修」に取り組んできました。しかし、十分な研修時間が確保できない中で、「アンコンシャス・バイアスは言葉狩りではないか」という誤解や「誰もが持っているのだから仕方ない」といった開き直りのような発言を聴くこともあり、このままでは間違った理解が広まってしまうのでは、という危機感を持ちました。そして、アンコンシャス・バイアス研修を実施する責任として、アンコンシャス・バイアスの知識や表面的な対処法にとどまらず、本質的に関係性を改善していく手法を提供することを決めました。
職場でかみ合わないコミュニケーションの元凶は、自分の感情やニーズ(意図)を表現できないこと
そもそもなぜ、職場のコミュニケーションに難しさを感じるのでしょうか。管理職の方からは下記のような反応が返ってきます。
「部下に何か言うと、セクハラだとかパワハラだととられないか心配」
「気を遣っても、逆効果の場合もあるし」
「怖くて、業務連絡以外の話はもうできない」
管理職だけでなく部下もお互いの言葉や行動の違いにとまどうことがあります。「どうしてそういう行動をとるのかわからない」「普通こうするだろう!」「この状況でそんなことを言うのは非常識だ」など、私たちは自分とは異なる経験や背景を持つ人の言動の奥に何があるのか、水面下にあるもの=感情/考え・解釈/価値観、に目を向けることはあまりありません。自分の感情や考え・解釈、価値観についても、気が付いていない例も少なくありません。仮にそれらに気付いたとしても、考え・解釈、価値観の対立から、コミュニケーションがさらに難しくなることすらあります。
こうした「自分の感情/考え・解釈/価値観の奥底にある意図(ニーズ)に気がついて表現すること」が上手くできないことにあるのです。
ビジネスの現場でアンコンシャス・バイアスを排除したコミュニケーションを取れるようになる手法「オーセンティック・コミュニケーション」との出会い
どのようなコミュニケーションであれば、アンコンシャス・バイアスを乗り越えて、職場での協働促進ができるだろうか。いろいろ調べていくうちに、イギリスに住む友人からもらったアンコンシャス・バイアスに関する資料の中に、「アンコンシャス・バイアスに対処するには、NVC(ノンバイオレント(非暴力)コミュニケーション)の手法が効果的」と書いてあったことを思い出しました。
NVCについて学びを深める中で、日本ファシリテーション協会の仲間であり古くから友人の酒井麻里さんが「NVCをビジネスの現場で広めたい」という想いを持って活動していることを知り、一緒にプログラムを開発することにしました。
大手Slerで部長職を務め、現在はコンサルタントとして活躍している酒井さんは、部下との関係に悩んだり、上司/部下/取引先など多様な立場や価値観の人々と良質なコミュニケーションをとるにはどうすればよいかと考える中で、NVCと出会いその理論と実践に強いインパクトを受けたそうです。一方で、ビジネスの現場では、素早い問題解決や論理的思考が求められることも多く、自分の感情やニーズ(意図・動機)に向き合うNVCの手法はなかなか理解されないことも多く、どのように提供すればよいか悩んでいました。
そこから、酒井さんとの共同開発が始まりました。自分のアンコンシャス・バイアスに気づき、そこから相互理解を促すためにどのようなコミュニケーションをとるのか、NVCをビジネスの現場で使いやすくするためにどのように工夫すればよいか、試行錯誤を重ねる中で行きついたのが「オーセンティック・コミュニケーション」です。
オーセンティック・コミュニケーションを通じた学びをできるだけ多くの人に持ち帰ってもらうための効果的なツールを模索
2020年に、アンコンシャス・バイアスの実践手法として開発した「オーセンティック・コミュニケーション」研修は、アンコンシャス・バイアスの次の研修をお考えの企業様に関心を持って頂き、実際に導入した企業では高い評価を得ることができました。
「社内だけでは気がつかなかったバイアスに目をむけることができた」
「とても濃い研修で、自己開示/自己理解について、新しい発見があった。」
「今までよかれと思ってやっていたアドバイスにも、バイアスが掛かっていることに気づいた。メンバーのニーズや感情に興味を持ちながら、学びをマネジメントに活かしていきたい」
一方で、課題も見えてきました。オーセンティック・コミュニケーションの肝である、言動・行動の下(水面下)にあるものについて理解を深めるには一定の時間が必要です。特に自分の感情の下にあるニーズ(意図・動機)については、これまで自分としっかり向き合ったことがない人には丁寧に伝える必要があります。また、自己共感、正直な自己開示、リクエストなどこれまでとは異なるコミュニケーション法について、短い時間で体感し学びにつなげる難しさもありました。どのような研修も受講する人によって理解度や習熟度にはばらつきがあるものですが、できるだけ多くの人にしっかりと学びを持ち帰ってほしいという想いが強くなり、そのために何か効果的なツールはないかと考えるようになりました。
そこで、感情やニーズ、自己共感、リクエストといったステップについて、より理解を深めるために、事例ドラマも収録したeラーニングを制作することにしました。
総勢14名!細かな表情や言葉にこだわったドラマ撮影
eラーニングの一番の特徴は実際起こり得るシーンをドラマ化し収録したことです。NVCの専門家である酒井さんに脚本を書いていただき、関西芸術座の協力で役柄にあう役者を選定、撮影はいつもお世話になっている名古屋の映像制作会社、株式会社ゴイスと、総勢14名が撮影現場であるクオリアの事務所に集結しました。
アンコンシャス・バイアスは微細な表情の変化や何気ない言葉の中に表れます。また、オーセンティック・コミュニケーションに基づく会話では、率直で正直さを込めた表現が重要となります。脚本を書いた酒井さんからは「ここは怒りの気持ちから自分のショックに気がついた時なので、セリフはもっとトーンダウンして」「目線は、もう少し下げてもらったほうがイメージに近いです」など細かな要望が、都度伝えられていました。その要望によって演技を変える役者さんの演技力に感動しました。
細部にこだわったドラマ撮影は10時間かけて無事に終了しました。クランクアップの際は、大きな歓声があがりました。
言語化しにくい職場のコミュニケーション不全を動画にする
オーセンティック・コミュニケーションをeラーニングにする際に気を付けたことが3つあります。
1つ目は、職場にありがちな会話を事例に、言葉にはしない心のつぶやきや小さな声をできるかぎり言語化した形でドラマ仕立てにしたことです。話し合いにおける何気ない表情や態度、ちょっとした言葉、普段は流してしまいがちなそれらの一つ一つを拾い、その時の感情や心の動き、心情を丁寧に描写しました。一つのドラマを見ているように自然に感情移入できることも特徴の一つであり、従来のeラーニングの枠を超えた仕上がりとなっています。
実際には、このように改まって心情を吐露し、本音で話し合うこと自体が難しい職場もあるでしょう。相手に共感する、自己共感を行い自分の感情やニーズにアクセスすることの大切さを理解し、少し丁寧にコミュニケーションをとることで、その効果を感じることができるようになります。
オーセンティック・コミュニケーション、本質的なコミュニケーション手法を身につけることで、風通しの良い関係性が生まれ、心理的安全性の高い職場につながっていきます。
「自分だったら、どう伝えようかな」「あの人の本当のニーズは何だったんだろう」など、ぜひ自身の体験に置き換えながら、視聴いただければと思います。
2つ目は、忙しいビジネスパーソンの方に見ていただくことを想定して、よりコンパクトにまとめたことです。オーセンティック・コミュニケーションの基となるNVCの知見は、もともとは数年かけて積み重ねていくものです。入門セミナーであっても宿泊を含む数日のワークショップであることが珍しくありません。NVCで必要なエッセンスはそのままに、より簡潔な説明/アプローチをこころがけました。
3つ目は、より多様な視聴学習シーンに対応することです。本eラーニングは、研修の事前学習としても、研修事後の補助資料としてもお使いいただけます。また、企業内のイントラネットに搭載し、「オーセンティック・コミュニケーションの基本」として広く啓発用にご活用いただけるように構成しました。
イキイキ・ワクワクと仕事と人生を楽しめるような社会が創造できるサービスを
株式会社クオリアを創業して以来、すべての人がイキイキ・ワクワクと仕事と人生を楽しめるような社会の創造を目指して、コンサルティングや研修、各種eラーニングを提供してきました。
今回、酒井さんと共同開発した オーセンティック・コミュニケーションが、アンコンシャス・バイアスに悩む組織の皆様の一助になれば、これほど嬉しいことはありません。
オーセンティック・コミュニケーションやアンコンシャス・バイアス研修、DEI推進にご関心ある企業様はぜひお気軽に弊社までお問合せください。
株式会社クオリアについて
株式会社クオリアは、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進、働き方改革、女性活躍を軸に、個人の成長と組織の生産性向上に貢献するコンサルティングや研修を行っています。
【会社概要】
会社名:株式会社クオリア
所在地:〒541-0053大阪府大阪市中央区伏見町3-2-6 伏見町KYビル10
代表者:荒金雅子
設立:2006年10月24日
URL:https://www.qualia.vc/
事業内容:
・DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進
・組織開発・人と組織の活性化プログラム
・DEI定着・浸透に向けた各種支援サービス
【お客様からのお問い合わせ先】
株式会社クオリア ご相談総合お問い合わせフォーム
URL:https://www.qualia.vc/contact/
オーセンティック・コミュニケーションeラーニングについて
リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000041444.html
価格:
【ID視聴型】¥2,200(税込)/人(1カ月間) ※10人からお申込み可能
【コンテンツ販売型】【研修インタラクティブ型】人数や予算など、ご要望に合わせて提供。
販売方法:
【ID視聴型】動画提供プラットフォームサイトにアクセスして視聴。
【コンテンツ販売型】MP4データ等で納品。
2023年11月15日(水)オンラインで記念リリースセミナーを開催いたします。
お申込み詳細:https://authentiquecommunication.peatix.com/
商品プロモーション動画:
このストーリーを書いたのは
株式会社クオリア 代表取締役社長
荒金雅子(あらかねまさこ)
コンサルタント会社、NPO法人理事、会社経営等を経て、女性の能力開発、キャリア開発、組織活性化などのコンサルティングを行う株式会社クオリアを設立。アクションラーニング、ファシリテーションを通して、組織のダイバーシティ推進や働き方改革、心理的安全性の醸成に力を注いでいる。2019年のG20大阪の公式エンゲージメントグループW20(Women 20)運営委員会委員や、令和3年度、4年度の内閣府「性別による無意識の思い込みに関する調査」の調査検討委員会委員も務めた。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ