センサーデータによる社会の見える化を図る「IoT Station」の開発秘話と、プロダクトにかける思いとは
株式会社ゼネックコミュニケーションは、1992年京都で創業。30年以上にわたり、技術力とコミュニケーション能力を備えたエンジニアを育成し、お客様へのシステム開発の支援を行ってきました。その技術力を活かし、2018年からはデータを一元管理できるサービス「IoT Station」の開発を開始いたしました。
長年、システム開発支援を行っていた企業が、なぜIoTプラットフォームサービスの開発に挑むことになったのか。開発の経緯、開発者の想いをご紹介します。
会社の中枢を担う事業として、データの見える化を促進するアプリ「IoT Station」開発の検討を開始
最初に、株式会社ゼネックコミュニケーション、美馬代表取締役社長になぜIoT事業に取り組むことになったのかを聞きました。
美馬: 当社を設立した32年ほど前、ペーパーレス化などと言われはじめ、日本でもデジタル化に少しずつ目を向けるようになってきました。ところが、日本は世界に比べると遅れを取っており、10年以上経ってもまだまだデジタル化しない現状があったように思います。ですが、海外に目を向けたとき、デジタル化へのスピードはもちろんのこと、会社の規模やネームバリューではなく、「この会社は一体何ができるのか」というところが評価をされることを痛感いたしました。と言いますのも、当社は長年大手取引先様を中心にシステム開発支援事業を行ってきましたが、「ゼネックコミュニケーションといえば○○」 と言えるような、会社の中枢を担う事業をおこなえていないと気づきました。素晴らしい技術力を持っている社員の付加価値をあげるためにも、また社会全体のデジタル化に貢献する事業を行うために、新しい事業を立ち上げることを決意しました。
美馬代表取締役社長のインタビューの様子
「当社で何ができるのか」を考えた際、今の日本に必要なのはまさに「デジタル化」だと思いました。そこで、マルチセンサーに対応しながら、収集したデータをクラウドに上げ、そのデータを一元管理する、「データの見える化」を実現したのが「IoT Station」になります。このアプリケーションを提供することで日本全体のデジタル化が進み、スマート化が図れ、企業や社会の発展に貢献する。これが我々の使命だと考えています。
IoTアプリケーションには珍しい、マルチセンサー・マルチ通信規格、OEM提供という製品コンセプト
次に、IoT DATA SOLUTION事業本部 牧野取締役、および現場の開発責任者である浦島部長に、IoT Stationの開発秘話について聞きました。
牧野:IoTという言葉が日本でよく聞かれるようになったのは、2015年頃でしょうか。「モノのインターネット」ということで話題になりました。その頃、美馬社長より 「どのようなセンサー、どのようなデータでも繋がるアプリケーションを作り、データソリューション事業を立ち上げてほしい。」と任命があり、私を含めたマーケティング2名、開発3名の計5名で新規事業としての組織体制を構築しました。
当時は、まだまだ何ができて何の役に立つのかという、具体的な内容には落とし込めていなかったと思います。のちにIoT Stationとなるアプリの開発が始まったのですが、その頃は、IoT導入・検討に関わるセンサーメーカー、アプリベンダー通信キャリア、ユーザーに至るまで、何が必要でどうすればいいのかまさに手探りの状態であったと思います。
牧野取締役(右)と浦島部長(左)のインタビューの様子
牧野:当時IoTの分野を主導していたのは、センサーメーカーや通信キャリアが多く、IoTのアプリケーションは特定のセンサーやキャリアが固定されたものが主流でした。当社はここに切り込むべく、センサーの種類や通信キャリアを限定せずに使えるアプリケーションを目指しました。マルチセンサー・マルチ通信規格、OEM提供を製品コンセプトとし、開発者と何ヶ月も試行錯誤を重ねながら、ようやくIoTプラットフォームサービス「IoT Station」が完成しました。
IoT Station V2の画面イメージ
現在では、バイタルセンサーで日々の睡眠状態や健康状態を「見える化」することで、遠隔医療・介護見守りへの展開にも活用頂いております。 また、新たなセンサーからのデータ収集以外に、大型商業施設の既存の設備からのデータ収集を行い、設備管理業務の省人化を実現しております。実際にご利用頂いているお客様からは「見える化」の画面も分かりやすく、利便性、デザイン性も長けているとのご評価をいただいております。
今後は日本だけでなく、当社のタイ事業部より東南アジア等のグローバル展開をすることを目指しております。
テンプレートの作成により、様々なユーザーの使用ニーズへの対応が可能に
浦島:開発の段階で苦労したのは、様々なセンサー・通信方式を纏めて取り入れるという点はもちろんのこと、それ以上に、様々なユーザーに使用いただける画面を作り上げていかなければならない点でした。同じセンサーの種類を必要としていても、ユーザーが見る画面が使用するシチュエーションによって全く異なる視点があるということです。そこで、お客様が利用シーンを想像できるように、様々な社会課題に対応するテンプレートを準備いたしました。テンプレートをご活用頂くことにより、お客様ご自身がセンサー導入後の具体的な業務運用イメージを持つことができ、高くご評価いただいております。
製品開発チームでのミーティングの様子
機能だけでなくインフラや運用面にも力を入れた結果、AWS認定ソフトウェアに認定
浦島:最初はお客様の要望に応えるべく、表面的な機能を充実させることに注力していたのですが、それを支えるインフラや運用面についてはなかなか手が回っておらず、お客様環境の作成時やサービス開始後に問題が発生する場面が増えてきました。
そんな時、AWSの「ベストプラクティス」である「AWS Well-Architected フレームワーク」をご紹介していただき、IoT Stationでも信頼性、安全性、効率性、費用対効果、持続可能性を重視し、より優れたシステムを設計することを目指す必要があると考えました。
初めは、これまでとは異なる視点が必要であったため戸惑いもありましたが、取り組む中でAWSの意図する価値を理解し、信頼性を高め、シンプルかつ効率的なシステムの構築がいかに重要かに改めて気づかされ、このプロジェクトの成功に向けて全力で取り組む決意を固めました。IoT Stationは、無事2023年2月にAWS認定ソフトウェアとしてAWSファンデーションテクニカルビュー(FTR)認定の取得に至りました。
AIを利用したデータ分析やAPI連携が可能なIoT Station EXも開発
浦島:これまでのIoT Stationでは、センサーデータを収拾し可視化するところがメインとなっていましたが、昨今のAIを使用したデータ分析や画像・映像からのデータ化は未対応でした。そのため、IoT Stationで培った経験を基に、「お客様に新たな体験(Experience)をスピーディー(Express)にお届けする」をコンセプトに、外部開発や機能追加によるAI/データ分析対応などを可能にし、新たに「IoT Station EX」を開発しました。利用者様に次のステージの体験をして頂くことが目的になっています。
オススメできる機能としては、APIでの連携が可能になったことで、お客様側で開発でき、既存のお客様システムの一部に組み込めるところです。既に運用されているサイトや分析ソリューションにIoT Stationで収集したデータを取得・組み込んで頂くことで、システムの一元化やフレキシブルな使い方が可能です。
IoT Station EXの画面イメージ
データの可視化だけにとどまらず、分析や予測の機能も充実させ、更なるユーザー体験の向上を目指す
テクノロジーは日々進化しています。IoT Stationも同じように進化し、データの可視化だけにとどまらず、分析やAIを使った予測もできるようなシステムを目指しています。また、ユーザーの皆さまを驚かせるような機能も追加しどんどんリリースしていきたいと思っていますので、今後のIoT Stationにもぜひご注目ください。
IoT Station製品ページ
※「IoT Station」は、株式会社ゼネックコミュニケーションの登録商標です。
株式会社ゼネックコミュニケーション
■ 会社概要 ■
会社名:株式会社 ゼネックコミュニケーション
所在地:〒604-0845 京都市中京区烏丸通御池上る二条殿町552番地 明治安田生命京都ビル
代表者:代表取締役 美馬 芳彦
事業内容:システム開発事業・システムコンサルティング・IoTシステム開発事業
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