「地方のコンテンツを全国へ届けたい」という思いから生まれた、仙台放送のコンテンツ配信プラットフォーム「Zero Stream(ゼロストリーム)」の開発秘話
株式会社仙台放送(以下、仙台放送)は、1961 年の設立以来、フジテレビ系列の東北地域の基幹局として、60年以上にわたりテレビ番組の企画・制作・放送に携わってきました。その経験を動画制作・ライブ配信企画に活かして、地域の課題、企業様の課題を解決するため、2023年1月に動画配信プラットフォーム事業をスタートしました。その事業の中核を成すのが、自社で開発した動画配信プラットフォーム「Zero Stream(ゼロストリーム)」です。
「ゼロストリーム」開発の背景には、仙台放送のローカル局でありながらも「全国の人たちに見てもらえるコンテンツを作り、県域を越えて届けたい」という思いがありました。そんな地方テレビ局の配信領域へのチャレンジをご紹介します。
様々な配信ビジネスを企画からデリバリーまでワンストップで実現するプラットフォームとして
「ゼロストリーム」は、クラウド上で導入社専用の会員認証型の動画ポータルサイトが簡単に作成でき、動画配信や販売、ライブ配信などができるプラットフォームです。「ゼロストリーム」を使う事で、有料のオンラインイベントやウェビナー(Webセミナー)、生涯学習用の動画販売など、様々な配信ビジネスをスタートすることができます。また、配信ビジネスだけでなく、会員認証機能を活かし、社員教育用のマニュアル動画や、オンライン会議動画の管理など、クローズドな環境での動画共有システムとしても活用が可能です。それに加え、配信する動画の制作や、ライブ配信制作もサポート可能なため、企画立案から動画の配信に至るまで、ワンストップでお客様の動画配信のご要望にお応えできるのが、我々の動画配信プラットフォーム事業です。
この事業に、仙台放送がなぜチャレンジをしたのか。それは、「ゼロストリーム」のリリースから遡ること3年前に始まったプロジェクトがきっかけでした。
コンテンツの魅力とチカラを 「ゼロ」から見つめ直すための「研究所」
コロナ禍に突入したことで配信のニーズが一気に加速した2020年。テレビ局を取り巻く環境が大きく変化したことをきっかけに、全国の人に届く配信コンテンツ制作を通して、改めてコンテンツ自身の魅力とチカラを「ゼロ」から見つめ直す「研究所」という意味を込め、「ゼロ×ラボ プロジェクト」がスタートしました。
全国の視聴者へのリーチを意識したコンテンツ企画の立案や、プロトタイプとなる各種コンテンツの制作を行い、ライブ配信にも積極的にチャレンジしました。リアルタイムで視聴者からのリアクションを感じられる配信専用のコンテンツ制作を通して、プロジェクトメンバー全員がコンテンツを創る楽しみや視聴者に見てもらう喜びを再認識していくと共に、地上波放送とは異なる、配信ならではのノウハウを蓄積していきます。
「ゼロストリーム」開発担当 工藤健太郎
「無料広告モデル」からの脱却と「課金モデル」への挑戦
プロジェクトを通して、様々なコンテンツを制作し、配信を続けていく中で、そのノウハウは既存の番組に関わる配信のチャレンジにも活きていきました。番組の見逃し配信、番組スピンオフ動画の配信、人気ゲストの推しカメラライブ配信。しかしながら、YouTubeをはじめとする無料の配信プラットフォームは、基本的に地上波放送と同じ無料広告モデル。そのため、市場全体の広告市況や、プラットフォーム側のおすすめのアルゴリズムに視聴数が大きく左右されてしまいます。
一方で、日本国内のDVDやブルーレイなどのビデオソフト売上げは年々減少トレンドが続いている状況の中、地方局規模では、在庫リスクを抱えながら、自社番組のDVD販売を積極的に進めることは難しいというのが実情でした。
そこで我々が次に目指したのは、自社コンテンツの都度課金型の有料配信(TVOD)でした。動画の有料レンタル配信を可能にする配信プラットフォームを一から開発することで、番組ごとにDVDをその都度制作し販売するのと比べ、局内でコンテンツ制作から販売までを完結できるようになります。また、販売する動画も自由に販売期間や価格を設定する事が出来るので、日々地上波向けに制作している番組や、番組内の1コーナーなども柔軟に販売することが可能となり、よりスピーディーに、より積極的に番組の販売にチャレンジすることができます。そして、我々地方テレビ局の新たな有料配信への挑戦がスタートしました。
ローンチ直前でトラブル。一筋縄ではいかない自社開発
システム開発がスタートして約8カ月。「自社のコンテンツを簡単に有料レンタル配信ができる」ことを目指し、極力シンプルな操作性と、汎用性の高いUIを意識しながら、開発を進めました。しかし、いよいよローンチ前の最終販売テストというところで、トラブルが起こります。事前の販売テストでは問題がなかった決済システムにてエラーが発生。メールでの問い合わせを行うも、原因は分からず。改善には至りませんでした。それから、サポート体制のある別の決済代行会社を数社あたり、審査、システム連携と急ピッチで進め、2022年の12月、なんとか仙台放送の有料動画配信サイト「OX VIDEO STORE」がスタートしました。仙台放送として初めての都度課金型(TVOD)の配信です。
このサイトでは、まずは県外からの視聴ニーズの声があった自社制作の情報番組の1コーナーを有料でレンタル配信しました。すると、スタートしてまもなく販売件数は1000件を超え、予想を上回る大きな反響を呼びました。地上波番組として無料で消費されるコンテンツも、配信の力で視聴者を最大化し、求める人の元へ届けることにより、新しい価値を生むということを体感できた印象的なスタートとなりました。
現在では、地上波放送後の配信2次利用だけではなく、地上波コンテンツと連動した配信オリジナルのサブコンテンツも制作・有料レンタル配信をしており、「OX VIDEO STORE」は「配信ビジネス」と「クリエイティブ活動」という両面において地方テレビ局としての新たな可能性を広げる場となりつつあります。
「ゼロストリーム」サービス担当 小林沙希
自社利用からサービス提供へ。「ゼロストリーム」の誕生
「OX VIDEO STORE」の開設の翌年、それまで自社のために開発・運用してきた「OX VIDEO STORE」ですが、システムを使用したいというありがたいお言葉をいただきました。そこで、他社様でも活用いただける動画配信プラットフォームサービスとしてカスタマイズを行い、ローンチに至りました。サービス名は「ゼロストリーム」。「ゼロ×ラボ プロジェクト」から繋いできた<コンテンツをたくさんの方に届けたい>という思いと、<動画のチカラで皆様のお役に立ちたい>という思いが込められています。
ローンチ後は、スポーツ試合のPPVによるライブ配信や、系列他局様の動画販売など、早速さまざまな企業様に導入して頂いており、「ゼロストリーム」を活用することで、テレビ局以外の事業者様も、会員向けのセミナーや、社内での動画コンテンツの共有、音楽ライブなどイベントの有料配信といった様々な用途の動画を安心・安全に配信することが可能になります。
そして、最大の特徴は、我々がサービス事業者でありながら、導入社でもあるということ。現在では「OX VIDEO STORE」だけでなく、社内の動画利用におけるDX化でも活用し、業務の効率化も実現しました。それは、きっと導入社様の安心と信頼、そして、導入社の皆様と並走できるサポートにつながるはずです。我々仙台放送の「ゼロストリーム」は、「動画のチカラ」で、きっと皆様のビジネスのお役に立てると信じています。
■Zero Stream(ゼロストリーム) サービスサイト
https://www.ox-tv.co.jp/zero-stream/
■Zero Stream(ゼロストリーム) お問い合わせフォーム
<ゼロストリーム(Zero Stream)について>
特徴
①テレビ局目線での開発
自社の動画コンテンツの配信・販売のために開発したシステムを事業者向けに汎用性を高めて提供する動画配信プラットフォームです。
②自在なセキュア配信
暗号化による保護の他、会員認証型の動画ポータルサイトとして、アカウント認証による限定配信なども可能です。
③個別課金に対応
国内の決済代行サービスと連携が可能で動画ごとのレンタル販売が可能です。
※決済システムのご利用には、別途決済代行サービス会社による審査・申込みが必要となります。
主な機能
①オンデマンド配信
直観的に操作が可能な管理画面から、お持ちの動画ファイルをアップロードするだけで、簡単にストリーミング配信ができます。高画質/中画質/低画質の映像が自動生成されるため、デバイスや電波状況など、ユーザー環境に合わせた画質での配信が可能です。
②ライブ配信
セミナーやイベントなどで、スマートフォンやエンコード機材、ライブ配信ソフトからライブ配信ができます。また、その動画のアーカイブ配信も可能です。自動で高画質/中画質/低画質に変換されるため、デバイスや電波状況など、ユーザー環境に合わせた画質での配信が可能です。
③セキュリティ&認証型ポータルサイト
会員認証型の動画ポータルサイトを簡単に作成することができるので、セミナー動画や、社内教育、動画マニュアル用に登録済みのメンバーのみに動画を配信することが可能です。会員認証の他、IP制限や、オプションでDRM(デジタル著作権管理)にも対応しており、ニーズに合わせたセキュリティ対応ができます。
④個別課金
動画毎に個別の料金設定と、レンタル期間を設定して、コンテンツの有料レンタル販売が可能です。無料動画と有料動画を混在して設定できるため、サイトを分けて作る必要がなく、観覧・管理がシンプルです。
⑤その他機能
●検索 ●カテゴリ設定 ●公開期間設定 ●サムネイル設定 ●チャプター機能 ●コメント管理
●倍速再生 ●埋め込みタグ生成 ●チャット機能 ●自動トランスコード
●RTMP配信 ●SRT配信(オプション) ●動画ごとの料金設定 ●レンタル期間の設定
●二次元バーコード生成 ●字幕アップロード ●複数管理者設定 ●動画ダウンロード
●SSL対応 ●アクセスIP制限 ●会員管理 ●DRM(オプション)
活用シーンの具体例
多彩な機能を活用することで、あらゆる用途に応じた動画を配信することができます。
<オンデマンド配信>
Webサイトでの販促・プロモーション
教育・研修
マニュアル動画
従業員や代理店への情報共有
IR・SRイベントのアーカイブ配信
ウェビナーのアーカイブ配信
<コンテンツ販売>
自社製品のマニュアル販売
生涯学習用の有料動画
コミュニティメンバー向けプレミアム動画
セミナー動画の有料配信
動画コンテンツのPoC
<ライブ配信>
ライブ配信
オンラインイベント
ウェビナー(Webセミナー)
バーチャル株主総会
限定動画配信
動画プロモーション
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