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採用に失敗し続けた零細企業がたどり着いた結論。日本全国からエンジニアを募集する「IT業界一、応募が面倒くさい採用サイト」誕生の裏側

著者: 株式会社BASICS

株式会社BASICS(以下、ベーシックス)は、ミスマッチのない採用を目的とした、全国からエンジニアを募集する採用サイト(https://recruit.ba6.jp/)をリリースいたしました。



「IT業界一、応募が面倒くさい採用サイト」は、IT・DX業界のエンジニアを対象に、応募者と企業側が共鳴し合える採用を目指して誕生しました。構想から約1年かけて完成したものです。


募集対象は、全国のエンジニア経験者の方。ベーシックスの本社オフィスは石川県加賀市にありますが、フルリモート勤務が可能なため、場所は問わず、応募期限を設けず募集しています。


この採用サイトには、盲点になっているIT業界の課題や、エンジニアの方に知っていただきたい視点を多く込めました。同業の方や、フリーランス、転職を考えていない方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。


2023年1月の公開以降、意外な反応をいただいています。「今辛い状況で働いていて、最初の3文で涙があふれました(パート勤務)」「カッコいいので真似したい(医療関係)」「想いが込められた素晴らしいサイト(マーケティング会社)」など、IT企業以外の方からも感想が寄せられています。


今回は、採用サイトができるまでのストーリーと、そこに込めた想いをお伝えします。

エンジニアの人間らしい働き方を実現する。あるエンジニアの挑戦

株式会社BASICSは、2014年に大阪で創業。私、小畑智也(こばた ともや)が代表を務めています。当時、企業でエンジニアをしていた私がひとりで開業しました。現在は務めていた会社のパートナー企業として、あらゆる開発案件に携わりながら、自律走行のロボットや、自社サービスの開発を行っています。


独立のキッカケは「エンジニアを助けられるエンジニアになろう」と思ったことでした。当時のIT業界はブラックな環境下だったため、心身をすり減らして仕事しているエンジニアが大半でした。そして働くなかで最も大きな違和感だったのが、完成後に「ありがとう」と感謝を受け取る機会がなかったことです。


業態的に難しいことは分かっていましたが、受注側と発注側がお互い尊重し合って働ける環境を、自分でつくってみたくなったのです。そして、前職から業務を請け負う形で独立しました。仲間だったエンジニアを、私が助けるかたちになったのです。私が39才のときでした。


エンジニア時代から、「小畑に言えばなんとかなる」と言われていたこともあり、有難いことに仕事には困りませんでした。間もなく、ひとりの体制には限界が見え始めたので、自社サービスの開発・普及も視野に入れ、社員募集を始めました。


でも、全くうまくいきませんでした。

当然です。戦略も何もなく、採用を甘く考えていたからです。


エンジニアとしては優秀でも経営者としては三流だった。考え抜いた結果、独自の採用サイト制作へ挑戦

当時、IT業界は人気の業界。この頃、本社を大阪から石川県に移したこともあり「競合も少ないので、簡単に採用できるはずだ」と思っていました。


しかし、何度か求人広告への掲載をするも、反応はほぼゼロ。たまに応募があっても、条件が合わず泣く泣くお断りすることを繰り返してきました。「ピッタリの人が来た!」と思っても、あえなく辞退され悔しい思いもしました。


そんななか、やっと来てくれた社員もいましたが、仕事に対する価値観が合わず、早々に退職される結果に。「経営者として一人もまともに採用できない」と落ち込みました。


そこで、「採用にはお金をかけないといけない」と、大手転職サイトに二度掲載。当社には大きな投資でしたが、フルリモートを前面に打ち出せば、多く応募が来るだろうと見込んでいました。

しかし現実は、小さな地方企業が注目してもらうことは難しく、また私の想いを十分に伝えきれていなかったため、面接でミスマッチを繰り返す結果となりました。


求人を本格的に始めて2年目、運よく2名を採用できたものの、案件は山のようにあり、人手不足に変わりはありません。とはいっても、当社のような小さな会社が頻繁に大手のサイトで募集は難しい。仲間を増やし、事業を拡大していくためにはどうすれば良いのか?と悩みました。


そしてようやく気づいたのです。私は「仕事があるから人を増やそう」と、採用することを目的にしていたのが間違いだったのだと。同じ価値観で働けない人を雇用しては、お互いに悲しい結果になってしまう。自分の想いをもっと丁寧に伝えなければ、と考えました。


こうして、間口を広げずに共感を重視した、独自の採用サイトの制作に踏みきったのです。

「真のエンジニア」への熱い想い。採用サイトをベストな出会いの場にするため、あえて応募に手間がかかる構成に

採用サイトは、当社が考える「真のエンジニア」としての在り方を、「職人」に例え、思いを綴りました。職人とは、熟練した技術で、誇りを持ってものづくりをするスペシャリスト。エンジニアもそこを目指すべきだと考えています。


採用サイトでは、こちらの言いたいことだけを言って終わりにならないよう、応募してくださる方の思いを十分に受け止められる形を目指しました。


その結果、採用サイトの文字数は全部で約8200字。応募フォームには、6つの記述式の設問入力を必須で答えていただく形にしました。志望動機は、文字数が無制限で入力できる仕様です。


改めて見返しても、我ながら面倒くさいと思います(笑)。応募フォームの簡素化が進む傾向が強いなか、不利になりかねませんが、ベストな出会いの場になったと自負しています。

2030年には79万人のIT人材不足の試算。日本の危機を阻止したい

経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査レポート」では、2030年にIT人材が最大79万人不足するという試算が発表されました。生産性を向上させるためのDX推進、AI、クラウド環境の活用など、IT活用は急加速で進み、IT人材の育成は急務とされています。同時に、エンジニアの「技術の質」の問題も懸念されています。


IT業界は、慢性的な人手不足で、誰でも入れる状況になっている問題があります。

例えば、全くIT業界が未経験の人がエンジニア職を受けても、採用してくれる会社があります。そこから十分な教育がされれば良いのですが、何も分からない人をいきなり「この現場に行ってください」と派遣する会社があるんです。


しかも、派遣先には「経験年数5年のスタッフを行かせます」と言ってあるというから驚きです。こんな嘘のような話があるのが今のIT業界です。


この話はほんの一例ですが、このままでは日本全体のIT活用が停滞し、負の連鎖に陥る可能性も示唆されています。

IT企業の経営者として、そういった悪い連鎖を断っていきたいのです。


一つの「ありがとう」から生まれた、エンジニアとしての使命

30代の頃、同じサッカーチームに2つ上の先輩がいました。

その先輩は自営業をされていて、データ管理に苦労していると相談を受けました。難解なプログラムを作らずとも、簡単なExcelのフォーマットで解決できる内容だったので、作って先輩に差し上げました。先輩は、とても喜んでくれたのです。


何度もお礼の言葉をいただき、お礼の品もたくさん持ってきてくれて・・・実はその先輩は、数年前に若くして亡くなってしまったのですが、先輩の”ありがとう”の言葉は、私の経営のベースになっています。


「プログラムをつくるのがエンジニアの仕事ではなく、課題を解決して、お客様に喜ばれる仕事をする」。この当たり前のことが、もっと当たり前に実現されるIT業界にしていきたい。その想いを社内外にもっと伝えたいです。


そのような経緯から、当社では「ITシェアリングサービス」という自社サービスを展開しています。これは、ベーシックスを『自分の会社のIT部門』として利用していただくサービスです。「IT担当が退職して以降、詳しい者が不在で困っている」「自分たちでは適切な判断ができない」など、困っている方やIT活用を進めていきたい企業様に喜んでいただいています。


エンジニアが働きやすい環境を大切にしながら、社会に役立つITと人材を増やしていきたい

IT企業の経営者として、私が持っている使命感は2つあります。

ひとつは、『IT業界をあきらめた人に、もう一度関わってもらう』。ふたつめは、『真のエンジニアを育てる』です。


ベーシックスは、コロナ禍を機に、2020年から本社勤務とフルリモート勤務の併用勤務にシフトしました。


私の家庭でも、妻も働いており小さな子どもがいますが、業界を問わず、経験を生かして働いてもらう環境づくりは、社会では今後さらに求められるでしょう。そのためにベーシックスでは、育児や介護など、家庭の事情に合わせて社員がフレキシブルに働き方を選べる職場づくりを実践しています。


ブラックな働き方に嫌気がさして辞めてしまった方や、出産や転勤などが理由で仕事を続けられなかった方など、色んな事情でIT業界をあきらめた人に、もう一度関わってほしいと願っています。


ゆくゆくは全国的に社員を増やして、東京をはじめ地方にもオフィスを構え、社員が自由に働く環境を選べる体制を築いていくのが目標です。


そして、使う人のことを本気で考え、誇りを持って設計から施工まで担える真のエンジニアを、ひとりでも多く育てたいです。

エンジニアは無機質に思える業種ですが、仕事の先には必ず「人」がいます。そのため、コミュニケーションや、基本となる報連相、建設的な議論ができるスキルが必須です。


当社でそんな人材を育て、社会に役立つITをつくることが、業界を30年以上走ってきた私ができる恩返しであり、使命だと思っています。



株式会社BASICS 採用サイトURL  https://recruit.ba6.jp/

 




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