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STORYS.JPは、2013年2月に誕生しました。

立上げから20年、障がいのある人もない人もみんなが参加できる、共感でつながる「C.C.P[チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト]」が描く「ともにしあわせになるしあわせ」とは

著者: 株式会社フェリシモ

株式会社フェリシモが展開する、チャレンジド(=障がいのある人)の自立支援を目指す「C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」は、フェリシモが行うメッセージライブ「神戸学校」に2005年にゲスト登壇をしたプロップ.ステーションを主宰する「ナミねぇ」こと竹中ナミさん、兵庫県、神戸市と社会へ呼びかけ、活動がスタートしました。「チャレンジド」とは、アメリカで生まれた言葉で「神から挑戦するチャンスを与えられた人」という意味で、障がいをポジティブにとらえ社会参加しようとしている人のことです。C.C.Pは、障がいのある人もない人も、みんなが持てる力を発揮できる社会を目指した取り組みです。


チャレンジドの光る個性を、輝く価値へ

知ることで誰もがボーダーなくつながる未来へ向けた、実体験をふまえた想い


-はじめに

「C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」は、2003年にスタートしました。商品づくりを通じて障がいのある人たちが社会で活躍する舞台を増やしたり、障がいのある人の暮らしの困りごとをサポートする商品を企画したり、誰もがボーダーなくつながるモノ・コトをつくり出しています。数々の賞も受賞し、2016年には「C.C.Pチャレンジド応援基金」商品の一部に付け、お買い物でお客さまが参加できる障がいについての理解を深められる活動の支援に活用しています。現在、クラウドファンディング型でのプロジェクトの支援にも挑戦しており、幅広い活動を展開しています。その立ち上げから20年間、「障がいのある人もない人も、誰もがボーダーなくつながる未来」を目指し、チャレンジドと福祉作業所との商品企画や福祉商品の品質向上アドバイス、福祉イベントへ登壇など、マルチに取り組んできた永冨恭子に、今も変わらぬモノづくりの要や、未来への展望などを聞きました。

「C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」中心メンバー永冨恭子


・C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)>> https://feli.jp/s/pr2308102/1/


-「C.C.P[チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト]」(以下C.C.P)のスタートの経緯や、どのようなブランドで、何を目指してきたか教えてください。

永冨恭子(以下永冨):プロジェクトの始まりのきっかけとなった、プロップ・ステーションの「ナミねぇ」こと竹中ナミさんの社会福祉の社内講演に参加しました。「チャレンジドを納税者に」をスローガンに、障がいのある人たちが支援を受けるだけではなく、能動的に社会に参加して、経済的な自立を目指すというお話だったのですが、私は当時2人目の子どもの育休明けで、その子が知的障がいを持っていてその将来に悩んでいたときでもあり、すごく励まされたんです。そしてプロップ・ステーションと兵庫県、神戸市とフェリシモでプロジェクトが立ち上がるときに、「トライしてみたい」と、自ら手をあげる形で参加しました。


-自主的に参加されたんですね。

永冨:はい、そうなんです。C.C.Pでは、福祉事業所や、メーカー、NPO、クリエイターなどと一緒に、チャレンジドの持つ個性や能力を価値として、プロダクトを製作しています。それまで10年ほど生活雑貨の商品企画を担当していて、機能性とデザイン性を兼ね揃えた商品をつくっていたのですが、量産品でもあるので多くの人の手に渡るけれど、ずっと手に残るものを生み出すことは難しいのかもしれないとどこかで感じていました。


プロジェクトが動き出し、神戸市とプロップ・ステーションと合同で主催した、県下300以上の福祉事業所の提案が集まる内覧会があり、そこでコースターやブックカバーなど、障がいのある人がつくった自主製品を実際に拝見したときに、手仕事が生み出すあたたかさを感じて、すごく感動したんです。


ていねいなクラフトが加わることで「便利でかわいいアイテム」が、「世界でひとつの便利なかわいいアイテム」に変わる事ができる可能性を感じました。そこで、チャレンジドの能力が発揮された手仕事の素晴らしさの価値を高め、「欲しい!」と思ってもらえる魅力的な商品を作ることが、私のミッションのように感じました。


-通常の生活雑貨の企画で、商品の生み出し方や活動に違いはありますか? また、C.C.Pの商品ならではの魅力、大切にしていることを教えてください。

永冨:チャレンジドのみなさまが作られる刺しゅうや手織りは素敵なのですが、当時は商品のパーツや素材にコストがかけられず、販路がない福祉事業所の事情もあり、バザーで安価で販売されていたり、アイテムやデザインの工夫が足りなかったりで、「惜しい」と思っていました。そこで、障がいのある人たちの手仕事の魅力を生かし、フェリシモが持っているマーケティングや商品企画の力で価値を高め、お客さまに「欲しい」と言ってもらえる魅力的な商品を作ることを心掛けてきました。

福祉事業所ではさまざまな手仕事をされているので、訪れたときは、いつも可能性が無限に秘められた宝の山を見ている感覚でした。

福祉事業所でさをり織製作の様子


商品も、アイテムとして魅力的なものであってほしいので、「障がいのある人が作っているから買ってください」といった発信ではなく、商品のそのものの魅力や、後ろにストーリーがあることを伝えるようにしています。

さをり織の商品を手に


-思い入れのあるものや、記憶に残る体験などはありますか。

永冨:C.C.Pで一番最初に作ったさをり織シリーズの手帳ケースです。福祉事業所で織られたさおり織りのストックを買いとり商品にしたシリーズで、母子手帳を入れて使ってくださった方から「子どもへ渡し、世代を越えて大切に使います」という声をいただいたことがありました。そうやって永く大切に使っていだけたのが嬉しく、商品のあたたかみも伝わったのではないかと思います。


-成り立ちそのものにストーリーや魅力があると、現場とのコミュニケーションでの発見なども多そうですね。

永冨:発注・制作の流れが複雑なことです。普段連携してるメーカーに仕事をお願いする流れに加えて、福祉事業所が加わることと、納期調整や品質管理など、関係者全員が協力して、体制を整えることが必要でした。


初期の頃はプロジェクトメンバーとふたりで実際に事業所を訪れて、どういう状況で制作されているのか、どうすればもっと生産性が上がるのか。など事業所一件ごとに、現場のスタッフと一緒に調整していきました。その成果もあり、福祉事業所さまも、協力会社であるメーカーもフェリシモも、“みんな一緒にものを作っていくパートナーである”という姿勢と、関係を築いてきたと思います。


ー普通の商品作りと異なるところや、工夫したこと、苦労したことなどがあれば教えてください。

永冨:それぞれの福祉事業所で、できることや環境も異なるので、どんな取り組みができるか、私もプライベートで小学生の娘と一緒にいろんなワークショップなどに参加して、楽しみながら、商品のアイデアやヒントを見つけてまわりました。比較的簡単な作業でレザーを染められるということをワークショップで知り、商品化に取り組んだアイテムもあります。手仕事だからこそ個性が生き、味わい深い商品が生まれました。

手染めでこんがり焼き色を付けた 「本革のビスケット ミニパー

ス」


アイデアを見せて相談しながら商品を作ることで、チャレンジドたちの意識も、福祉事業所、メーカー、私たちの意識も少しずつ上がっていきましたし、ひとつ何かを乗り越えると、自信を持ってくださるんです。「この数できたから、次も大丈夫だ」とか、「今回品質がうまくいかなったから、次はここを気をつけよう」とか 経験値も上がっていく中で、チャレンジドの人たちのスキルも上達していくことも実感していました。


-現在「ユニカラート」など、プロジェクトの活動が広がっていますが、それぞれのプロジェクトについても教えてください。

永冨:障がいのある人たちと実際に接していく中で、生活の中での困りごとが多いということに気づき、私自身も障がいを持つ子の親として、当事者の声にとても深く共感することがありました。そこで、「LITALICO発達ナビ」とのコラボ企画で、当事者の方やご家族の本当に欲しいお助けグッズを届ける「スペシャルニーズサポート」という企画ができました。商品の反響も大きく、障がいのある人が困っていたことが、実は誰もが不便を我慢していたインサイドニーズだったという発見もありました。

・「CCPxLITALICO発達ナビ 中が見えてて取り出しやすい メッシュバッグインウォレットの会」>> https://feli.jp/s/pr2308102/2/


また、すべての人にやさしい環境をめざして、バリアフリーを広げる、「ブルーナ バリアフリープロジェクト」では、ディック・ブルーナのイラストを使用して、障がいのある人たちを応援する商品を共同企画しています。神戸市の障がい者手帳カバー https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002646.000012759.html もプロデュースしました。

・神戸市障がい者手帳カバー発表のプレスリリース」>> https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002646.000012759.html


チャレンジドが描く作品にアレンジを加えて商品を生み出す「UNICOLART[ユニカラート]」(=unique・color・artを合わせた造語)というプロジェクトにも取り組んでいます。


-20年活動の中心メンバーですが、一貫して取り組んでいること、変わってきた・変えてきたことはありますか。

永冨:若いプロジェクトメンバーも増えてきました。長らく3人で活動をしていましたが、部活としての参加者もあり3年前に6人、現在は8人になりました。「社会的な活動をしたい」と、C.C.Pの活動を知った上で入社したメンバーもいます。お客さまは40代の女性が多いのですが、若年層も社会福祉分野や活動に興味関心があるんじゃないかと。今は、若手のメンバーが採用のイベントに出たり、インスタライブにも挑戦して、よりさまざまな繋がりを持てるようにしています。


また、「ユニカラート」も、若手メンバーが中心となりリニューアルをしました。コンセプトやロゴなど、商品ラインナップも新しくなっています。機能性の高い雑貨にアートをのせる商品が多かったものを、よりアートの魅力を近くに感じてほしいと考え、ファッション事業部とコラボして服を作ったり、アートとお菓子は、どちらも「ときめく」ものなので親和性が高いのではと考え、食品アイテムの展開を予定していて、今までと違った層の方にも触れていただけるような商品展開を企画しています。

・リニューアルした「UNICOLART[ユニカラート]」ウェブサイト>> https://feli.jp/s/pr2308102/3/


-社会性・事業性・独創性を理念に活動していますが、C.C.Pの基金はどのように支援に活用されていますか。

永冨:C.C.Pの商品には、すべて基金がついており、「CCPチャレンジド応援基金」「UNICOLART基金」のふたつの基金活動に活用しています。だれもがボーダーレスにつながる社会の実現を目指し2020年度からは、出生前診断で、障害があることが分かったご家族のためのサポートを目的とした冊子を作成しているNPO法人の活動の支援に活用し、全国の産婦人科や希望者への配布も支援させていただいています。

一方、「UNICOLART基金」では、チャレンジドのアーティストの育成の場となる芸術活動への支援、発表や啓発の場の創出などにも活用させていただいています。


-メンバーも増え、活動の幅に広がりを見せてきたC.C.P活動の展望を教えてください。

永冨:これまで培ってきたコネクションや技術を、メンバー内の新しい世代が引き継いでいきつつ、いろんなアイデアを取り入れて活動を続けていきたいと思ってます。ここ数年さまざまなNPOやプロジェクトからの参加問い合わせがあり、今までとは少し違う面白い取り組みもやっていきたいですね。


今、メリーファンディングという、フェリシモのクラウドファンディング施策でも、チャレンジドの「夢かなえるアート展」の開催にむけて挑戦しています。


毎日多くの人が行き交う「Stage Felissimo」2階のギャラリースペースがあり、向かいにあるチョコレートミュージアムには若い方も多くご来場されるので、開かれたチャレンジドアートの展覧会を実施し、今までC.C.Pの活動や福祉に触れる機会のなかったたくさんの人の目に触れてほしいですし、「自分の作品を通して社会の役に立ちたい!という想いを持っているチャレンジドの夢を叶えて、社会に参加するきっかけになればいいなと考えています。

メンバーのひとり「夢かなえるアート展」の実現に向けてファンディング(メリーファンディング)を行っている景山さんに少し取り組みを説明してもらいたいと思います。

(右)「夢かなえるアート展」の実現に向けてファンディング(メリーファンディング)を行っている景山文乃(かげやまあやの)


景山:私は大学生の時に社会福祉を学んでいて、 当事者の方ともお話しする機会が多くありました。ひとりでは社会と福祉の壁を埋めることができない難しさを感じてモヤモヤしていたときに、雑貨屋で出会った障がい者アートがとてもかわいくて、魅力はもちろん、アートを通して多くの人がつながる可能性を感じていました。

福祉や障がい者アートに関わる仕事がしたい!とフェリシモに新卒で入社した会社を経て、転職してフェリシモに入社して2年になります。ユニカラートで一緒に活動をしている福祉事業所「たんぽぽの家」の4名のチャレンジドから、「作品展をしたい」「絵を売りたい」「教室を開きたい」「展覧会に出展したい」という夢をお聞きしました。障がい者アートの魅力を広め、アートの力で、福祉と社会の距離を縮めていきたいと考えていた私の思いを形にすることができると思い、ファンディングを立ち上げ、アート展の開催を目指しています。実は、「たんぽぽの家」は卒論執筆の際にお話を伺った事業所だった!なんて嬉しいご縁もありました。


福祉って何だろう?興味や関心はあるけど何をすればいいのかわからない……という方々にもアートを通じて福祉やチャレンジドのことを考えるきっかけになったり、なにかいっしょにやってみたい!と思ってワクワクしていただけるよう、展示だけではないプログラムの企画も考えています。お客さまといっしょにつくる展覧会なので、誰もがつながり、ボーダーのない社会をつくる一歩としても、是非たくさんの方に応援していただきたいと考えています。

・ファンディング:チャレンジドの「夢をかなえるアート展」を開催したい!>> https://feli.jp/s/pr2308102/4/

※メリーファンディングは、フェリシモでお買い物などをすると貯まる“フェリシモメリー”を使って参加できる、クラウドファンディング型のポイントプログラムです。


景山文乃(かげやまあやの)

株式会社フェリシモ 生活雑貨事業部 WEBチーム所属


-最後に、永冨さんの個人的な想いがあれば教えてください。

永冨:今はSDGsへの取り組みもあり、障がいのある人との取り組みを行う企業や活動自体が増えてきました。20年の月日が経ち、C.C.Pで積み重ねてきた活動も今あらためて注目され、同じ思いを持つ同志も増えてきましたし、地域とのさまざまなコラボをされるなど、社会全体で意識が変わってきたことを感じています。今後、取り組みもレベルアップしていくと感じてます。


個人的には、C.C.Pを始めたときに生まれた息子も22歳になりました。自分が刺しゅうをした商品が、お客さまに喜んでもらって、買ってもらえることがとても嬉しいみたいです。当時は息子がそのように仕事をして、お客さまと繋がったりということも考えられなかったんです。私もとても嬉しいですし、個性や能力を活かした商品の価値を作一歩を開けたことも実感しています。


イベントに参加したり、ソーシャル・プロダクツアワードの大賞ををユニカラートでいただけたり、一般の方にも幅広く知ってもらうことができてきたなと思いますし、可能性がどんどん広がるようにC.C.Pの活動がたくさんの方に見て、知っていただき、「誰もが違いを認め合えるバリアのない社会」をつくり続けていきたいと思います。


〈インタビュアー:フェリシモ 広報部 中島健太郎〉




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