企業理念は「完成のないモノづくり」。2012年メリノウールソックスの発売以来、進化を続ける「R×L MERINO」シリーズの誕生ストーリー
1982年に創業した靴下専業メーカー「武田レッグウェアー株式会社」は、”完成のないモノづくり”をモットーに素足感覚、メイド・イン・ジャパンにこだわった靴下の製造を追求しています。
1997年に世界で初めてつま先形状に合わせた立体的な「右・左」のある超立体靴下の生産に成功。その独自性が評価され特許も取得しました。
1998年には、スポーツブランド「R×L(アールエル)」を立ち上げ、ランニングを中心にトップアスリートも認めるアイテムを次々と展開しています。
そのアールエルが展開する「R×L MERINO」シリーズが今、ランナーたちから注目を集めています。
このストーリーでは、代表であり開発部長でもある武田大輔にメリノシリーズに込めたこだわりや魅力を聞きました。
きっかけはアメリカのスポーツ店で出会ったメリノウールのTシャツ
私がメリノウールの機能性を知ったのは、20年以上前まで遡ります。アメリカのスポーツ店で偶然出会ったメリノウールTシャツがそのきっかけでした。
当時の私はウール=冬物というイメージでした。そのため、店員さんに「なぜウールでTシャツを作るのですか?」と尋ねたところ、「ウールは通年で使用できることを知らないのですか?騙されたと思って1週間洗わずに着続けてみてください。」と言われました。
150ドルと当時も高価でしたが興味津々でそのTシャツを購入し、店員さんのアドバイス通りに1週間洗わずに着用しました。すると驚くべきことに、ニオイもなくベタつきもなく、ずっと快適な着心地が続きました。
この経験が私の心に深く刻まれ、2012年にR×Lメリノソックスを発売することになりました。その後もソックスに加えて、グローブやアームウォーマー、Tシャツなど、メリノウールを使った新しいアイテムを取り入れています。
メリノウールソックスの開発。スポーツに最適なメリノウールを追い求めて素材を選定
メリノソックスの本格的な開発は2010年から始まりました。ウルトラマラソン、トレイルランニングなどのハードな環境に耐えうる、且つ快適なソックスを目指しました。
先ずはウール選びから着手しました。
ウールにも産地や銘柄など多くあり、ランニングソックスとして私が満足するウールを見つけるため糸専門メーカーに7種類のウールを提案してもらいました。
なぜその様な事をするのかというと、ウールと言っても後処理の違いやウールの品質によって走行感覚や水分の感じ方などの違いがあるからです。これはソックスを作り、履いて、走ってみないと正直分からないのです。
7種類のサンプルを順番に作り、その中で最も蒸れにくく、水に濡れても濡れている感覚が少なく、クッション性が持続するメリノウールを選択しました。しかし、その結果は7種類の中でも一番高価なメリノウールでした。当時の私は、正直この糸の値段を聞いた時に苦悩しました。理由は簡単です。高い糸でモノ作りをすれば、商品も高くなるからです。
しかし数は売れなくてもいいから本当にランナーに良いモノ作りをしようと決断をします。
結果、工場の技術者からは「この糸はスーツなどで使う高価なもの。本当に靴下を作るのか?」と驚かれましたが「走った時に一番いいから」という理由で納得してもらいました。
2012年にメリノソックスを発売。ランナーの間で着用が広がった
私自身も自分の足で確認したいと2011年のウルトラマラソンで最終テストを行い、2012年春に超立体メリノソックスが遂に発売。ウルトラランナー、トレイルランナーの間で少しずつですが広まっていったのが始まりです。
今でも忘れられない思い出は、発売間もないメリノウール5本指(TRR-30G)初代モデルを履いて「川の道フットレース」という520㎞の超ウルトラマラソンレースで使ってくれたランナーさんが2人もいた事です。私自身も出来ない、誰もした事のない520㎞という長丁場のレースでの耐久テスト。私もゴールの新潟まで行ったのを忘れられません。
耐久性との戦い。「完成のないモノづくり」を実践し、改良を重ねる
このメリノソックスが普及していくにつれて、ユーザーの方たちから「履き心地はいいけど、穴が開くのが早い」という声も聞こえるようになってきました。
メリノウールの弱点は、耐久性が低いこと。
最初に行ったのは、部分補強でした。
セカンドモデル(TRR-32G)=各爪先
サードモデル(TRR-34G)=各爪先+親指全体と踵
と進化させています。
また、別ソックスでは軍隊のバックなどにも使われる高強度ナイロンCORDURA®を配合した素材も使用。これで格段に耐久性がアップし現在も、厚みと丈で選べる「WILD WOOL」シリーズとして発売中です。
そして、さらにもっといい素材はないかとメリノウールの糸を進化させます。
国際宇宙ステーションの船内服にも採用された実績のある特殊な交撚糸・エキストラファインメリノを使用。ウール中心部にポリエステルを包み込むことで、肌面はウールのソフトな風合いを確保したまま、軽さ・強度・速乾性、弾力性も高めています。
この特殊な糸は、Tシャツや新しくなったレース用ソックス「M-RACING」にも採用されています。こだわりは、最初に選択したウールからウールの素材自体は変更していないところです。
進化する「R×LMERINO」シリーズ
ソックスを皮切りに次々とメリノウールアイテムが誕生しています。
ソックスの次に発売したメリノグローブは大阪のランニング専門店の店長からの依頼で作られました。「R×Lのメリノソックスの履き心地が良いからこれと同じ素材で薄いグローブを作って欲しい」との依頼です。
サンプルを重ねる中で丈はこのくらいが良いとなりましたが、私がテストすると腕時計が隠れてしまいました。隠れるなら窓を作ろうと今の原型が誕生しました。こうして薄いのに暖かくて、濡れても冷たくならず、時計もいつも確認でき、スマフォ対応のメリノフィットグローブが完成。R×Lの代表作の一つともいえる商品になりました。
2021年に発売したアームウォーマー、2022年レッグウォーマーもメリノウールの良さを最大限に感じる事ができるアイテムです。
上部、中部、下部の3つのエリアに分けて編地を変える事で、 柔らかいのにズレ落ちにくくスポーツにフィットする着用感とメリノウールの暖かさと蒸れにくさを両立しました。
その後、ついに2022年7月に私のメリノウールとの出会いの原点である「Tシャツ」を発売。20年以上前のTシャツを超えられるような特殊なメリノウール糸を使用し、他にはない肌触り、軽さ、強度を実現しています。
更に2023年5月にはウルトラライト天竺TシャツとウルトラライトメッシュTシャツという、世の中には無いような超軽量&極薄タイプのメリノTシャツが完成。柔らかい着心地や、水分を含んでも冷えにくいウール特性はそのままに、超軽量&極薄天竺は従来のウールよりも速く乾き、超軽量&極薄メッシュはメリノウールとは思えない着用感でインナーとしても1年を通じて使ってもらえると思います。
私たちは、日々”完成のないモノづくり”をモットーに選手やユーザーの方々のフィードバックからより良いものを提供していきます。これからもR×Lの進化にご注目ください。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ