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人の数だけ、物語がある

日本が世界でもう一度輝くためにデザイン型人材を10倍創出する。大企業の組織変革コンサルタントがこれからの若者を支援するワケ

著者: Maho-la creative株式会社



マホラ・クリエイティブ株式会社は、組織変革を専門とするコンサルティング会社です。20年以上実践にて培ってきたノウハウから、デジタル時代のクリエイティブ集団の組成、持続可能な組織の土壌づくりを行うことを目的として活動をしています。


大企業の変革コンサルティングを行う傍ら、代表の櫻井は近年、浜松市が主催する「Doer Tribe Hamamatsu」をはじめとした地域の起業家育成セミナーの講師や、新規設立された大学にて教員を務めるなど、若者支援の活動も行っております。


また、若者が一歩踏み出すための方法を「新しいことのはじめかた」と題し、企業noteで定期配信。今後、新しいことのはじめ方をテーマに冊子を出版する予定です。


今回は櫻井が若者支援に情熱を注ぐに至った背景について迫ります。

日本と世界のギャップを埋める鍵は、「デザイン型人材」


なぜ我々は、革新(イノベーション)の中心で活躍できないのか。そして日本の産業そのものは、なぜ世界に遅れをとり、世界の中心で戦えないのか。

このシンプルな理由を探るため、2010年に「世界の先進企業を調査、対話をし、そのエッセンスを抽出して日本に持って帰ってくる」というプロジェクトが発足します。当時のNTTデータ社長からの直々の号令にてチームが組成されました。

私はそのプロジェクトリーダーとしてアサインされ、世界行脚に向かうことになります。


それはまるで、デジタル時代の遣隋使になったような期待と責務、未来への展望を抱いた約3年の旅路となりました。計2回の世界行脚は、19カ国39都市116社という訪問実績とそこから得られた知見に集約されました。


2010年 NTTDATA グループ当時の北欧視察より


前述の通り、私は当時NTTデータ・グループに所属していました。

NTTデータという会社は、公共や自治体に対する大規模なITシステムの提供、社会基盤となる金融の仕組みづくり、企業革新を支えるような仕掛けの提供など、いわゆるシステム・インテグレーションという領域で社会を支えてきた企業です。

それは言わば、ITの「ものづくり」を行い、価値として世の中に提供してきた会社だと言えます。


日本においては高度経済成長とともにITシステムの導入が企業の必須条件となり、NTTデータはその成長の加速とともに支援の幅を大きくしていきました。

「ネットの夜明け前」だった当時、IT業界各社はどの企業も産業界において各業界を牽引する役割として台頭をしていました。そして特にNTTデータの実力は、世界においても充分に影響力のある状態でした。


しかし、2000年以降、インターネットが世界を覆い、新しいデジタル社会が到来してからは、勢力図が大きく変わり始めます。

GoogleやFacebookなど、のちにいわゆるGAFAとよばれる企業群、ユーザーに直接データとその価値を届ける企業が急速に力を持ち始め、NTTデータは世界の競争の中で少しずつ革新の中心の位置から傍流に向けて停滞し始めます。


その理由を探る海外行脚の中で、世界の先進企業に足を実際に運んでみると、日本と世界とのギャップは明確でした。

それは、「デザイン型人材」と呼ばれる人たちの存在。彼らが脚光を浴び、社会を引っ張っていたのです。

未来を自分で切り開くイノベーターとしての「デザイン型人材」


デザイン型人材とは、言うなれば正解のない大海の中で可能性を探りながら、自分の信念を持ち、まだ見ぬ宝を見つけるために突き進んでいく航海集団たち。未来を自分達の手で切り開いていくイノベーターです。


日本はどちらかというと、ものづくり職人のように緻密にコツコツ設計通り積み上げていくのが得意なお国柄。陸地で要塞を作っていく設計集団だとも言えます。

もちろんそれは日本の良さであり、どちらが良いという訳ではありませんが、両方を体得しなければ、環境の変化があった時に柔軟に対応することができません。 

後にこれは、「両利きの経営」と呼ばれるようになった概念です。


私は、この状況を目の当たりにし、デザイン型人材が増えてゆき、もともと持つ日本の強みが掛け合わされれば、きっと日本は再び世界を牽引できる存在になれると確信しました。


海外行脚の初年度、いくつかの国の企業視察ののちに帰国し、新しい考え方を持った "デザイン型人材" が世の中を強く引っ張っていくだろうという考えの元、NTTデータとして「デザイン型人材を創出する土壌を作り、未来に価値ある社会を創造する。まちを、都市を、丸ごと私たちの手でデザインできる力量がこの業界には必要だ」という提言を掲げました。


この海外行脚での衝撃は、私の今までの固定概念を大きく覆すこととなりました。

東日本大震災を通して若者の可能性を目の当たりに


しかし、提言を掲げた翌年、東日本大震災が起きます。


何もかもが一瞬で飲み込まれてしまった凄惨な現場を目の当たりにし、呆然としました。私達に、いったい何ができるのだろう。この大きな問いに対して、前年に「いつか実現しよう」と言っていた提言内容は、「提言」というだけあり、「いつか出来れば…」、「出来ることなら…」といった言葉が枕詞としてつくようなものだったのだと痛感しました。


震災をきっかけにさらに覚悟を持つようになり、「たった今」「この瞬間に」やらなければ意味がないということを強く意識したのです。


「震災復興というテーマで新しいことにチャレンジするためには、若い人たちの力が必須だ。」そう思い、当時の大学生を募って「明日から自分たちが出来る等身大の復興を考える」というプロジェクトを発足しました。そして、50人ほどの学生と共にプロジェクトをスタートします。


成田で一週間、福島の松島海岸で一週間。会場に缶詰となり、合宿形式で寝る間も惜しんで学生たちと共にデザイン型人材に必要な検討プロセスとともに、等身大の震災復興について考えました。


都合7年ほど続いた学生によるデザイン型人材になるための合宿型イベント

海外で見たデザイン型人材と同じ想いを持つ学生たち

彼らと一緒に過ごす中で、若者たちの震災に対するどこにもぶつけられない怒りや悲しみ、何かを生み出そうとする感情が、様々な形で融合したエネルギーとなって、当時の現場はものすごく高い熱量に包まれていたことを覚えています。


学生たちの熱量に巻き込まれて、関わっている大人もどんどん目の色が変わっていきました。そして、学生全員がこの数週間で自分の信念やブレない想いを持ち、その決意が行動として現れていたこと。この状況に私は何か物事が変わっていく大きな可能性を感じました。


最終プレゼンの日、大人たちからどんな質問や見解の違う意見があろうとも、ブレない彼らたち。そこでは、自分たちの意見を絶対にぶらさない学生たちの強い意志が見えました。たとえそこに正解があろうとなかろうと、自分達の信じる想いを主張し前に進んでいく。まさに、私が海外で見た、デザイン型人材と同じ熱量と想いを持っていました。


環境とやり方さえ整えば、日本の若者たちもデザイン型人材となっていける。彼らがこれからの日本を引っ張ってくれるリーダーとなる。彼らの背中にその希望を感じたのです。


そして、同時に、大人たちが本気で若者たちを信じ、応援し、環境をセットさえ出来れば、若者たちの可能性をもっと引き出すことができるのだと確信しました。

これが私が若者支援を始めた原体験、大きなきっかけです。

起業支援を通して、若者たちの未来を後押しする


現在、私は主に大企業における事業支援のコンサルティングや組織の変革支援を行っています。世界を牽引するリーダーとなるような先進企業を見てきた私だからこそお伝えできることをノウハウとし、世界の動向や先進企業からの示唆を踏まえた本質的な組織変革に取り組んでいます。


日本の大企業については、いくつかの企業様の組織変革をお手伝いさせて頂く中で、成功までのカラクリが見えてきました。

今後はそのノウハウを活かし、大企業の変革支援はもちろんのこと、若者がデザイン型人材として活躍するための土台づくりをしていきたいと思っています。


私が2010年当時感じていた「日本のデザイン型人材の不足」という課題は、10年経った今、現内閣が“新しい資本主義”という形で提言を出し、その中で起業家育成や創業機運の醸成を推し進めています。

まさに今、国をあげてデザイン型人材を若者から育成していこうとしているのです。そういった社会の流れもあって、私の元にも国や地域から、ご依頼をいただくことが格段に増えてまいりました。


特に今、私は専門職大学で4月から教員として教鞭をとらせていただいています。民間で20年働いてきた私が大学教員をするというのはかなりイレギュラーで大学としても挑戦的なことではありますが、学校教育という場においても、大学生の学びにとって私が持てる知識が役に立つのかもしれないと今は感じています。


2023年4月より開講した東京情報デザイン専門職大学での講義の一コマ


日本はこの20〜30年、バブルが崩壊してから停滞が続いてきました。これは、紛れもない事実です。

曇り空しか知らない。晴天を晴れやかな気持ちで闊歩する、そういう経済状況や景気、日本の空気を知らない人たちがメインで仕事をしていく時代です。


しかし、私が感じたような若者の可能性の種が、数年後、十数年後に花開いたときに、若い世代を中心にきっと魅力的な人が増え、今一度世界で活躍する人たちが増えているはずだ。そんな日本の未来を信じて、今後も若者たちを応援し続けていきたいと思います。

〈プロフィール〉

櫻井 亮 Ryo Sakurai

MAHO-LA CREATIVE株式会社 代表取締役/東京デザイン専門職大学 講師/中小機構 地域支援アドバイザー

組織変革の専門家、学びと実践にコミットする学習ファシリテーター。

全国の中高大学にて「情報デザイン」や「問いを立てる」ワークに関する講義を多数実施。「実践学習で日本と若者の未来を描く」想いのもと2011年から2017年まで学生団体の支援、社会問題解決イベントを開催。2023年開学の専門職大学講師に着任。

2023年に若者支援事業を行う「まほらイノベーション」を設立し、法人化予定。

〈サービス情報〉

新しいことのはじめかた

中高生、大学生に知って欲しい「世界一わかりやすい新規事業のはじめ方 - 新しいことのはじめかた-」を、物語を通してお伝えしています。

全10章・32stepのストーリー、各章ごとの【櫻井ひとこと解説】はメルマガ にて隔週木曜日に配信中。


ストーリー概要:ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語。


【メルマガ】

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〈関連情報〉

まほらイノベーション 公式note

https://note.com/mahola


MAHO-LA CREATIVE株式会社 公式HP

https://www.mahola-c.com/








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