コロナ禍で失業中のメンバーがレストランを開業。緊急事態宣言や物価高騰を乗り越え一歩ずつ成長してきた3年間の軌跡と今後の挑戦。
株式会社コールラビは、栃木県那須町で、レストラン「那須高原バル」を運営しています。業態は、ファミリーレストランです。会社設立は2021年2月1日、レストラン「那須高原バル」の開業は2021年3月20日になります。開業時のメンバーは、コロナ禍の影響もあり、レジャー施設を退職し失業中の4人のメンバーでした。
コロナ禍で開業という事で、緊急事態宣言等で想定通り集客できない日々が続きます。それでも、コロナ対策を施した上で、継続的に営業を続ける事で徐々に集客を増やしていきました。数々の苦労と努力がありましたが、1年目から2年目にかけては売上は約60%伸び、2年目から3年目にかけても約25%の売上増が想定されます。
このストーリーでは、開業からもうすぐ3年を迎えるレストラン「那須高原バル」が歩んできた軌跡とその成果、又、レストランの所在地である観光地「那須高原」で感じる今後の課題と挑戦について、代表取締役の望月がお伝えします。
コロナ禍のあおりを受け退職。そこから急ピッチでレストランを開業した経緯
私(代表取締役 望月旭)は、物心ついた頃から那須高原で暮らし、就職も那須高原のレジャー施設でした。そこで、企画や広報宣伝、料飲関係の仕事をして経験を積みましたが、その後の企業買収やコロナ禍の影響で、私の周辺で勤務していた同僚達は好きな接客の仕事が出来なくなり、辞職していきました。結局私も退職する事になります。そして、自分の仕事はもちろん、失業している当時の同僚達の仕事も作りたいと思い、会社の創業を決意しました。当時は、コロナ禍の真っ只中で、私が経験を積んだ企画や広報宣伝、料飲関係の業態はとても厳しい事が想定されました。但し、那須高原は観光地です。企画や広報宣伝の仕事は無くても、那須高原に訪れる観光客の皆様は、自分の家から遠い場所に来ていますので、内食、中食は難しく、外食の利用があると想定しレストランの開業に至ります。これまでの経験等も活かし、2021年2月1日に会社設立をし、2021年2月22日に建物の賃貸契約をしました。急ピッチで準備を進め、2021年3月19日に営業許可を頂き、翌日20日に開業しました(会社設立から開業迄1ケ月と20日間になります)。コロナ禍が長引く事も想定し、「巣ごもり需要」に対応する為に、弁当販売も可能な飲食店営業許可を取得しました。又、前職でお世話になった先輩や取引先の皆様等、いろいろな方々にご支援を頂き、無事に開業までとりつけました。
初めての野菜との出会いからレストランのコンセプトが固まる。
前職の退職も決まり創業の準備をしている最中、コールラビという野菜に出会います。同僚の姉が作った野菜ですが、見た目も面白く、味も経験した事のない味でした。
この時は驚きと発見で胸が躍り、その気持ちを忘れない為に、野菜の名前をそのまま社名とし(株式会社コールラビ)、我々の会社は世間の皆様に、驚きや発見を提供する事で、楽しく笑顔になれる思い出を作りのお手伝いがしたいと思いました。
(コールラビという野菜は、地中海北部が原産の野菜で、カブとキャベツを合わせたの様な味がします。日本ではとても珍しいと思います。見た目も面白い形をしています。)
この珍しい野菜「コールラビ」をレストランで提供したいと思いましたが、生産量等の課題もあり当時は断念しております。但し、レストランでも驚きや発見等を提供する事はできないかと考え、
美味しい事を前提条件とし、プラスで驚きや発見を感じるメニュー
レストランでの食事が思い出として記憶に残る体験を提供したい
をレストランコンセプトにしました。
その実現の為に以下の3点にこだわりを持ちました。
- 可能な限り地場産品を使用する事
- 見た目にも非日常を感じるような工夫をする事
- 地元の物語や他企業とのコラボなど地域との繋がりを大切にする事
▼メニューの一部を紹介します▼
地場産食材である那須高原和牛のハンバーグ(チーズ&ブルスト付)
地場産食材で作った「那須みそで漬け込んだ那須どりの唐揚げ」
ピザは可愛いハート型に成型して提供(写真はマルゲリータ)
思わず写真をとりたくなる!甘い香りのミストを閉じ込めたドリンク(シンデレラ)
那須高原の所縁の「九尾の狐」へのお供え物をイメージした九尾の狐御膳
那須高原の所縁の「九尾の狐」へのお供え物をイメージした九尾の狐弁当
観光客の方々が、那須高原バルで食事をし、家に帰った後も、少しでも思い出話で盛り上がって頂きたい。その話題のきっかけをメニューに込めます。
レストラン開業より約3年間の軌跡。着実に一歩ずつ魅力あるレストランへ成長。
開業当時(2021年3月20日)、慌ただしく準備した事もあり、メニューは数も少なく魅力にも乏しかった様に思います。
▲開業時のメニュー▲ B4サイズ1枚のメニュー
使用している地場産食材についても、”那須高原和牛、那須どり、牛乳、こしひかり、ゆめかおり(小麦)、那須みそ”で十分では無く、見た目のこだわりについてはピザがハート型である事のみです。魅力のあるメニュー構成が出来ず、コロナ禍で緊急事態宣言が出ていた事も重なりお客様は少なかったです。
それでも美味しいといって頂ける方も多く、徐々にお客様は増えていきました。
そして、2021年7月22日よりメニューを刷新します。
▲2021年7月22日からのメニュー (メニューブックになります)▲
うどんやステーキが追加され、ハンバーグやピザのバリエーションが増えました。フォトジェニックなコーヒー「ドラフトコーヒー」をドリンクメニューに追加します。地場産食材としてヤシオポークの使用を開始しました。これで、牛豚鶏の肉が地場産の食材使用になります。又、テイクアウト営業を開始しました。緊急事態宣言中でしたが、2021年8月は観光シーズンという事もあり、約2500名のお客様にご利用いただきました。
冬季期間になると、観光シーズンも終わり再び閑散としてしまいますが、それ以外は少しづつ軌道に乗り始めました。
▲フォトジェニックなコーヒー「ドラフトコーヒー」▲
開業2年目(2022年2月1日~)は、物価高と燃料代の高騰で悩まされますが、仕入れの努力を続けつつ、売上をあげる事によって解決する事にしました。
先ずは、2022年7月16日に再度メニュー変更し、那須高原和牛シリーズを増やします。(従来のハンバーグの他に、サーロイン、生パスタ、カレーで那須高原和牛使用のメニューを追加しました。)
又、地域の伝説(九尾の狐)に因んだ「九尾の狐御膳」を本格的に開始します。フォトジェニックな人気ドリンク「シンデレラ」もこの時期に開始しました。
現在、2番目の人気メニュー(1位は那須高原和牛のハンバーグ)となったヤシオポークのカツカレーもこの時期に開始しております。
▲2022年7月16日からのメニュー (メニューブックになります)▲
▲ヤシオポークのカツカレー▲
その結果、2022年8月は、約5000名のお客様にご利用いただき、昨対比では倍の売上になります。その後も旅行支援「GO TO トラベル」等が追い風となり、2年目は1年目を約60%上回る売り上げを確保し、激しい物価高騰も乗り越える事が出来ました。
開業3年目(2023年2月1日~)に第一に行った事は、2年目迄定期的に設けていた週2日間の定休日を無休にする事です。(現在は、シーズンオフの期間や、大型連休の前後に従業員の体調を考慮して連続の休みを取ります。)観光客の皆様は日常的に私共のレストランをご利用になる訳ではありませんので、定休日の情報を事前に伝える事は難しいと思いました。2年目が終了し、世間の皆様に少しづつ私共のレストランも認知され始めました。那須高原バルで食事をしたいと期待して来たのに、着いたら定休日だったという事を少しでも避けたかったのです。他、テイクアウトや席の予約の利便性をあげる為に、WEBでの予約受付を始めました。
又、プリンをリニューアルしました。
2年目迄は、プリンベースという材料を仕入れて、那須高原産の牛乳を加えて手作りしておりましたが殆ど売れませんでした。3年目になり、プリンベースの使用を止めて、卵、牛乳、生クリーム、砂糖、味噌、バニラエッセンス、タブレット(カラメル)を材料にした完全手作りに変更しました。隠し味に味噌を使用したのは、日常的な味とは異なる風味を加える事で、その味に驚き、より強い思い出をお持ち帰りいただく為です。商品名は「那須高原カスタードプリン」としました。
同僚の女性は、製造の手間は増えるが、変わった特徴があり、良いアイデアと共感し、直ぐに内容を変更してくれました。
▲那須高原カスタードプリン▲
結果、殆ど売れなかったプリンが、2023年8月の1ケ月間で約400個売れました。未だ少ない販売数ですが、ちょっとした非日常のエッセンス(味噌)を加える事で、売れない商品を売れる商品に変える事が出来ました。商品企画のアイデアが勉強できた気がします。
3年目は未だ途中ですが、これまで前年から約25%成長しております。
明らかになってくる課題と今後の挑戦
現状の大きな課題と捉えている事が3点あります。
・観光オフシーズン(12月~3月)が極端に閑散としてしまい、夏等の観光オンシーズンの売上や利益を食いつぶしてしまいます。雇用面も安定しません。
・インバウンドを取り込めていないので、日本人観光客が減ってきた時に成長が見込めない。
・那須高原は公共交通機関が少なく、車で移動する必要があるのでアルコールが売れない。
以上、非常に大きな問題点で、私共のレストランの今後の成長を妨げる要因になりかねないと危惧しています。地域の課題でもあり、一つのレストランで解決する事は難しいと思いますが、今後はこの課題に挑戦します。
観光オフシーズンの対策は、地域の居住者の方々に忘年会や新年会等のご利用を促進すると共に、ここ数年以内に観光地ではない都市部での飲食店開業により、年間を通して売り上げを安定させ雇用のバランスもとっていきたいと思います。
インバウンド対策としては、那須高原の観光資産を地域の皆様と掘り起こしていきたいと思います。現在、那須高原所縁の伝説「九尾の狐」に着目し、那須町の観光を活性化するプロジェクト「プロジェクト9b」の活動に参加しています。地域の皆様と一緒に課題の解決に挑戦していきます。
アルコールが売れない事については、これまではノンアルコールの充実等をしていましたが殆ど効果はありませんでした。車での送迎を実施し、特に近隣の皆様に顧客になって頂く事に注力する予定です。
▲プロジェクト9bの打ち合わせ▲
▲九尾の狐をモチーフにしたコース料理▲
那須高原バルについて
▲那須高原バル 外観▲
▲那須高原バル 内観▲
<住所>
栃木県那須郡那須町高久乙2741-2
<電話>
0287-73-5214
<HP>
<席数>
店内46席 テラス席24席 (無料駐車場35台有)
<営業時間>
11:30~21:00
(ラストオーダー 20:30)
※20時までにご入店下さい
<定休日>
2024年1月14日迄無休
2024年1月15~26日、1月27日~3月13日の火・水曜日が休み
※2024年4月以降は要問合せ
<特徴>
那須高原和牛ハンバーグ等、那須産、栃木産への食材へのこだわりと、味だけでなく視覚的にも楽しめる料理がコンセプト。
●株式会社コールラビ レストラン那須高原バル 代表取締役望月旭
<逆境の中で頑張る同業の飲食店の皆様へのメッセージ>
コロナ禍が終わっても、生活スタイルが変化してしまい、以前の様にはいかないと悩んでいる方も多いと思います。又、燃料代の高騰や、食材の度重なる値上げ、人件費の増や人出不足、キャッシュレス決済が増えることに因る手数料の増、等々、飲食店には今後の不安材料が多いです。
それでも、レストランで、いつもの家庭の食卓とは異なる非日常的な空間でメニューを見ながら家族や仲間達と料理を選ぶ楽しさ、オーダーしてから料理が配膳されるまでのワクワクとした期待感、テーブルに料理が運ばれて皆でワイワイと食事をする美味しさ、食べ終わってからの満足感やますます弾む会話等々、私共の仕事はコミュニケーションが希薄なこれからの社会にとって、とても有意義な事です。ぜひ、皆様と共に頑張っていきたいです。
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