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資金調達なしの会社が2億円で10人採用できる理由。AI文字起こし/議事録サービスのRimo設立5年目までの軌跡。

著者: Rimo合同会社

「Rimo合同会社は2023年9月で設立5年目を迎えました。初期メンバーは副業のみ。当時まだリモートワークがそこまで浸透していなかった時期に、AI文字起こし/議事録サービス「Rimo Voice」を開発・リリースし、今では1,000社以上の企業様にご利用いただいています。


これまで内部の数値情報は公開せずにいましたが、5年目を迎えた今、「2億円で10人の採用を目標としている」という情報を公開することで、会社の成長をお伝えできればと思っています。資金調達せずに、なぜそこまで成長できたのか。合同会社、給与公開、副業のみ、リモート。代表の相川が語る、会社やサービスに込めた想いとともに成長のストーリーをお伝えします。


Rimo合同会社代表 相川直視

Rimo合同会社の代表兼エンジニア。大学卒業後Googleに入社し、検索システムの開発に従事。その後、Wantedlyに4人目の社員として参画。Wantedly Peopleアプリの開発リーダーを務め、上場を経験。2019年10月にRimo合同会社を創設。

一生のうち3万時間を費やすと言われている会議

Rimoは『はたらくを未来に』を企業理念として活動しています。「大人になると人生の中で大部分の時間を占める『はたらく』時間をより良いものにすれば、より幸せな人が増えるはず」相川はそのように考え、2019年10月にRimo合同会社を設立しました。AI(人工知能)で業務のムダを減らし、リモート環境でも公正に評価される働き方を実現することを目指しています。その第一段階として2020年9月にリリースしたのが、一生のうち3万時間を費やすと言われている会議を抜本から効率化する、AI文字起こし/議事録サービス『Rimo Voice』です。


合同会社にした理由 - HOWにこだわるために -

「資金調達を行わない。」起業当初から決めていました。VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けることは、一定の資金を元手にリスクを取って活動がしやすく競争力がつきやすいというメリットがあるのですが、一方で「成果が出る」ということに一番コミットする必要が出てきます。Rimoは企業理念である『はたらくを未来に』を実現していくためにも、副業、リモート、給与公開、ティール組織などといった働き方や組織の構造自体も模索していきたかったので、「成果にどのように影響するかやってみないとわからない」ような戦略も自由に取れるようにする必要がありました。実際、起業すると投資のお話をいただく機会は多いのですが、合同会社は資金調達ができないため、誘惑に流されづらいという点でメリットがありました。

2億円で10人採用とは?

Rimo合同会社はどんな時も2倍の成長を目指している会社です。正社員数は1年目1人、2年目2人、3年目4人、4年目8人と増えており、5年目は16人を目指し、多くても20人までに抑える予定です。例えば3倍成長を目指して社員が10人の時に新たに20人採用をすると、文化や社員同士の仲の良さといったものが崩れるリスクが高まるため、それを避けようとしています。これはエンジニアリング界隈で有名なフレームワークRuby on Railsを開発している会社の代表ジェイソン・フリードの著書である「小さなチーム 大きな仕事」の中にある、「会社を『知人のいない』パーティーにしない」「気の知れた人との間だから本当におもしろい会話や熱い議論がある」という言葉に共感したことから定めているルールです。

2億円の予算には、採用にかかるコストに加え、雇用した人に対して年間でかかる費用(社会保障費、福利厚生費、給与)を含んでいます。給与の取り分は1.3億円程度になる想定で、現在の給与が1000万円を超える方も問題なく応募いただけるような構造にあります。業務内容によっては2000万円くらいまで可能性を持たせられるようにして、優秀な方にもお声がけできるような設定にしました。

資金調達なしでこれほど潤沢な予算があるのは、『Rimo Voice』リリースから着実に売上を積み上げ、会社として順調に成長しているためです。


▲Rimo売上高推移(『Rimo Voice』リリース後〜2023年9月)

初年度は副業のみオフィスなし。ミニマムコストでサービスをリリース。[2019/10-2020/9]

起業時の元手として借り入れたのは3000万円でした。自分の給与を月7万円にしていたので、開発メンバーを雇っても月の支出は100-200万円の間に収まります。2年以内に月200万円稼げるサービスにすれば収支がプラスになり、会社が潰れることはない計算でした。200万円は、2000円x1000人、10万円x20社などに分解すれば、開発に1年かけてもその後の1年で達成できる見立てでした。

コロナ前からリモートワークを推進したかったことと、生活のためではなく「やってみたい」という思いから働いてくれる人たちで一つのサービスを作り上げることにチャレンジしてみたかったので、オフィスなし、副業のみのメンバーで開発を進め、2020年9月にAI文字起こしサービス『Rimo Voice』をリリースしました。

副業であることで、圧倒的な開発速度は出ない側面がありましたが、それぞれの専門領域の人が揃っていたことでクオリティの高いサービスができました。そのおかげもあり『Rimo Voice』は想像以上に好評で、当時のTwitter(現「X」)で2500リツイートなどの投稿もあり、ユーザー数は順調に伸びていきました。一方で無料トライアルを実施していたため初月の売上としてはほぼゼロに近く、翌月以降で売上につながるだろうかという心配はありました。

リリース3ヶ月目で黒字化。2年目は個人売上から法人売上への切替。[2020/10-2021/9]

ありがたいことに無料トライアル後に有料化してくれるお客様が多く、そのおかげで『Rimo Voice』はリリース3ヶ月目には当初の目標を大きく超え単月黒字化となりました。問い合わせも沢山いただき一気に忙しくなりましたが、このタイミングに合わせユーザーサポートの社員を雇用しておいたことが功を奏しました。

この頃のお客様は個人のライターの方がメインでした。一方で『はたらくを未来に』のために、日々の働いた活動が記録される議事録領域はどうしてもやりたく、法人に対する営業活動を進めました。結果として全く伸びなかったわけではありませんでしたが、1年続けてもまだ個人売上の方が高い状況でした。競合にあたる会社がZoomと抱き合わせでの代理店販売でかなり売上を伸ばしていたようなので、エンジニア経営者としての営業面の弱さが出た形となり勉強になりました。

とはいえ、当時正社員は僕とカスタマーサポートの2人だった上に、いただく要望も鰻登りだったので、代理店販売に踏み込む余力はなく、来た球を打ち返すのに精一杯だった2年目だったと記憶しています。

成果は出ないが力は蓄えられた我慢の3年目。[2021/10-2022/9]

3年目は色々と試行錯誤したフェーズでした。料金体系の変更や、展示会への出展、SalesForceを導入しての営業の仕組み化などにチャレンジしました。料金のミニマムを当時のプランの10万円から3万円まで下げた時は、売っても売っても対応工数が嵩んで売上も利益も伸びなくなってしまったり、展示会も最初は勝手がわからず売上よりも経費が多くなったり、SalesForceも慣れるまでは管理のしづらさを感じたりと、売上高の推移グラフからもわかるように伸び悩んだ我慢の時期でした。

一方で製品自体はどんどん良くなっていきました。展示会でお客様や潜在顧客の生の声を聞きプロダクトの足りない部分をよく理解できたことと、副業メンバーの1人だったエンジニアが正社員になってくれたことが促進剤になりました。Word等へのエクスポート、リンク共有、辞書追加、外国語、話者分離、重要部分のハイライト、セキュリティ面での外部監査など、サービスのアップデートが急速に進んで行きました。おかげでクラウドサービスがNGでない企業に関しては適切な部署にアプローチすることで導入いただけるようになり、明確に効果が出る状態になりました。

ここで残った課題として、当時の『Rimo Voice』はまだ音声データの素起こしに近いものだったため、経営企画や建築・コンサルなど特定の業界では重宝いただいていましたが、会議の要旨をまとめたいわゆる議事録が必要な企業様では導入に至らないケースがありました。そのため文字起こしデータを元に自動で要約作成できるエンジンを自前で開発していたのですが、次の年に登場したChatGPTの性能が良く、敢え無く自前のエンジンは捨てる羽目になります。自前のエンジン開発は評価されがちですが、必ずしも良い面ばかりではないと気付かされました。

4年目、大幅アップデート実装。文字起こしサービスの常識を覆す、高度な自動編集を実現[2022/10-2023/9]

この年度の初期は「議事録をその場で書きたい」というニーズに応えるべく、共同編集できるエディタを自分たちで作っていました。Google Docsとリアルタイム文字起こしが合わさったような機能です。ちょうど共同編集エディタが完成した頃にChatGPTが登場し、すぐにそれを活用する方向にシフトチェンジしました。

そして2023年6月に大幅アップデートとなる「AIエディタ」機能を追加し、文字起こししたデータを元に、AIによる要約などの自動編集が可能となります。共同編集と合わさって『Rimo Voice』上で完結して議事録作成ができるようになりました。

自前の要約エンジンは使いませんでしたが、UIは残った形となり、ChatGPTと文字起こしを組み合わせたプロダクトとしては他社と一線を画すものとなりました。実際、メディア含めたくさんのお客さまに関心を持っていただけるようになり、これが認知され始めてからの売上の伸びの傾きが上がっています。

共同編集エディタとChatGPTによる自動編集は汎用性が高いので、出力の仕方やまとめ方を各社のニーズに合わせチューニングすることも簡単で、受託に近いようなカスタマイズの要望も受けることが可能となり、業界特化版『Rimo Voice』の開発も進めはじめました。「自社でChatGPTとWhisperを使って作ろうとしたら、良いものができなさそうなので一緒にやらないか」といったお声がけもいただくようになりました。


▲大幅アップデートで追加された「AIエディタ」

5年目は海外展開も視野に。[2023/10-]

この4年間、AI文字起こし/議事録サービスとしてあって当たり前の機能や、普通の会社だったら普通にできているような仕組みを作ることに時間を費やしてきました。


現在のRimoの強みは、

・動画と文字起こしを参照しつつ、AIや他メンバーと共同編集できるプロダクト

・仕組み化された営業で、外部資金なしで少ない人数でも売上を上げていける組織体制

にあると思っています。


この強みをもとに、5年目は以下のような取り組みを進めていきたいと思っています。

・採用向け、教育向け、医療向け、特定の会社向けなど、業界や職種に特化したより成果に直結したプロダクトに進化させる。

・リアルタイムに音声認識できる技術を活かし、会議後ではなく会議中にアドバイスをし、より良い会議ができるようにアシストできるプロダクトを出す。

・現状、海外を見てもこの水準のUIでAIと作業をできるプロダクトは少ないので、海外に進出してみる。


また直近決まっていることとして、2024年1月9日(火)から12 日(金)まで米国・ラスベガスにて開催される世界最大規模のテクノロジー見本市「CES 2024」への初出展を控えており、同タイミングで海外版サービスのリリースを予定しています。

社員も副業も初めての経験となるメンバーが多い中ですが、外部のアドバイザーにも意見をいただきつつ準備を進める年末となりそうです。出展の様子はまた後日レポートしたいと思います。


さいごに

5年目のRimoを躍進させるために、以下のようなメンバーにジョインしていただきたいと思っています。


・汎用的な用途の物を1つのプロダクトで提供できるような設計力の高いバックエンド・フロントエンドエンジニア

・動画を扱うので画像・音声・言語それぞれが扱える機械学習エンジニア

・1つの会社や業界について深くヒアリングをし製品化できるAI/ITに理解の深いエンタープライズ営業及びカスタマーサクセス

・海外展開するにあたりPLG(プロダクトレッドグロース)を主導していけるエンジニアとセールス


Rimoでの仕事に興味を持っていただいた方は、ぜひこちらからお問い合わせください。


・Rimo合同会社採用ページ:https://jobs.rimo.app/

・AI文字起こし/議事録サービス『Rimo Voice』:https://rimo.app





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