遭難アラートサービスという新しい保険。登山という分野で真にご契約者様に寄り添った保険が誕生するまで。
「実態に合った保険が必要だ。」登山保険の誕生は、ある登山愛好家の熱意からだった。
まごころ少額短期保険株式会社は、お客様から依頼を受けて保険商品を開発販売する保険会社です。その当社が、登山保険を開発することになったのは、登山愛好家の赤沼勝美さんとの出会いに始まります。ある時、メンタルサービスを提供している会社からメンタルに関する保険商品開発の依頼を受けたので、その開発会議に赤沼さんには医療サービスのアドバイザーとして参加をお願いしました。
しかし赤沼さんは、その開発会議の都度、登山保険の話をされました。「本格的な登山をする登山者は準備を怠らない。天候も把握し、安全を期すためにアイゼンとピッケルを用意し、登山計画も事前に立て、体を鍛え、決して無理はしない。本格的に登山している人ほど遭難しないと思われるのに、いま世の中にある登山保険は実態と合っていない気がする。」と。こうして彼は2年にわたり新たな登山保険の登場の必要性を我々に唱え続け、我々はその言葉を信じて実態に合った登山保険を開発することになりました。
遭難は単なる登山中の出来事だけではない。施設利用中における遭難の実態にも注目した。
▲遭難の実態を動画広告でも喚起しています
<年間3000人程度が遭難するという話>
山岳遭難に関する統計は、警察が取り纏めています。その統計は、我々の思い描いていた遭難と趣が異なっていました。
まず登山という言葉から、我々は険しい山の登攀をイメージしていましたが、山岳遭難に関する統計においては、ハイキング、スキー、沢登り、岩登り、山菜・キノコ採り等も広く登山に含むものでした。また、遭難という言葉からは、道迷いや滑落をイメージしていましたが、その道迷いや滑落による遭難は全体の5割強に過ぎず、残る5割弱はそれ以外の遭難で、意外にも山菜・キノコ採りが遭難の1割程度を占めていました。
<遭難するとお金がかかるという話>
また、「ヘリコプターの支払代金で200万円くらいかかる。」というように遭難された人または残された人の費用負担が大変とのイメージをもっていましたが、実態は異なり、ほとんどの場合で費用負担はありませんでした。遭難に関する救助は、法令により警察・消防・自衛隊に限られています。よくよく考えてみれば人命を救助するという仕事を民間企業が費用をもらって請け負うには荷が重すぎますし、また高額な費用負担があるのであれば登山が一般化しなかったかもしれません。
▲遭難救助は、救助隊が背負って救助することもいまだに少なくありません
この実態のうえで登攀のような登山だけを考えた場合、補償額500万円程度の保険の開発は、お客様は安心に感じるかもしれませんが、お客様にとっては割高となり、元受の保険会社やサービスを提供する会社が得をするようなことになってしまいます。
また、これに対し、スキー場などのレジャーでの遭難の方が、施設の稼働を停止することなどによりたとえ1日で発見されたとしても一人当たり100万円を超える負担が生じることも珍しくありません。
この一般に耳にしていた話と実態が異なるのは、本格的な山岳登攀ではなく、レジャーとして山に登ることが急速に大衆化した背景があります。その多様化した実態を踏まえ、人々が安心して登山できるよう法が整備され、遭難救助の対象が広くなりました。これは警察、消防、自衛隊、そして山岳ガイド等の方々といった山に関わる方々のご尽力があってのことであり、その結果が、赤沼さんが言われるような一般の登山保険に対する違和感が生じているのであろうと推察します。
ご遺族の声も足がかりになった。本当に契約者に寄り添った保険作り。
<アンケートによる商品開発依頼>
登山保険本体を開発後は、登山関連の付加的商品開発を依頼されるようになりました。依頼のほとんどは、依頼主が関係するマーケットにおけるアンケート結果によるものが大半です。そのアンケート内容を検討した結果、開発すべき商品は、遭難捜索救助関連に限定したシンプルで低額な商品を開発することになりました。お客様のニーズにあった補償を保険契約者の方々に提供できることは喜ばしいことですが、ここで予期せぬ事態に遭遇することになりました。
保険金が支払われる事故が少ない?!
先程も記載しましたが、遭難の捜索は警察等の方々を中心に行われるので、救助費用がお客様に対して請求されないことがしばしばです。しかし、山での遭難にケガはつきもので、そのケガについて保険金を請求されるわけですが、マーケットにおけるアンケート結果によって商品を開発した場合、そのケガに関する補償が保険契約についておらず保険金が支払われないといった事態が発生します。お客様にとっては残念な気分にはなるでしょうし、我々にとっても実態に沿った真に必要な補償を提供できていないことに口惜しい気持ちになります。
▲お客様のアンケートをもとに商品を開発、発売後も改良を続けています
<保険金を請求されるお客様の要望>
その中でも、考えを改めさせられる契機になったのが遺族の方から伺った話です。
ある年の6月の梅雨が始まる頃に当社に1本の電話が入りました。「遭難した子供を探してくれた子供の友達たちにお礼をしたいのですが、そちらの保険に我が子は加入していませんでしたか?」と。
お話を伺うと、その方のお子様の勤め先から2月初旬の月曜日に会社に出社していないとの電話があり、警察に届け出て探したところスキー場に行ったことまでは分かったそうですが、その後の行方はわからなかったそうです。月日が流れ、5月の終わりの雪が解けた頃に、お子様がスキー場の外れで発見されたので捜索を手伝ってくれたお友達に保険金の支払いがあるのであれば御礼に使いたいというのです。
当社に保険契約があるかを確認したところ、保険契約は存在しましたが、お子様のお友達に御礼を支払えるような保険への加入はありませんでした。当社は、これを機に、お客様からの保険金請求が多い商品を組み合わせた保険商品を自社で販売する方向にシフトしていくことになっていきます。
保険の限界
このお客様の話は、我々に2つのことを改めて認識させることになりました。
1つは、お客様が事故に遭ったことを伝えて頂けなければ、当然のことですが、当社は事故があったことを知る由もありません。極端な話、お客様の親御様からの問合せがなければ、保険料を引き落とし続け、ご遺体が見つからなければ、状況によっては保険金を支払えず、保険としての役割を果たせなかった可能性もあります。
もう1つは、保険は事故が起こってからの補償でしかなく、未然防止の手段にはなりえないという事実です。お客様のご不幸が起きて初めて役に立つサービスであり、事故が起こらなければ何の役にも立たず、万が一のお守りにすぎないことを自覚させられました。
懸念点はあったけど、人の命には代えられない。『遭難アラートサービス』の誕生へ
『我々がそうだったように、登山の道迷いや滑落以外では山で遭難をするとは思っていない方にも遭難のリスクを認識してもらいたい。』
『事故が起こった際に必ず保険金を支払えるようにしたい。』
『または保険金の支払い漏れが生じないようにしたい。』
レジャースキーや山菜取りといった登山の意識がなく、登山計画も入山届も必要だと思っていない方にも山に入ったという記録を残し、そして、たとえ本人が遭難を通報できなくても助けを呼べるサービスが提供でないだろうか?
保険の申込みをされた際に、お客様の行き先を予め伺い、自宅に戻ったお客様に安否の確認をいれ、お客様が戻っていなかったらお客様の知人に連絡をすることができれば、安心を提供できるのではないか?
それを考えると同時に別の声が心をよぎります。
自宅に戻ったお客様に当社が安否確認を入れたとしても、お客様が当社からの連絡に気が付かずに、当社がお客様の知人にご連絡をした場合、お客様の知人に多大な不安を与え、ご迷惑をかけてしまうのではないか?
考えぬいた末、勇気をもって新サービスの提供に取り組むことにしました。
お客様にご迷惑をかけないためにもシンプルな仕組みでのスタートです。お客様が保険を申込む際、万一のことが起こった際の通知先の電話番号と行き先だけを伺い、お客様が予定の期日を迎えた翌日に当社がお客様のSMS等にURLを送信し、お客様はそのURLから応対返信を行います。それで、お客様から応対返信があれば安否確認は完了となり、応対返信が無ければ、その翌日にお客様が登録された連絡先に通知してお客様の安否確認を促すという仕組みです。
これを「遭難アラートサービス」と名付けました。
今後の想い
保険は、基本的には突然発生した事故に関して、お金を払う以外のことはできません。しかしながら、社会の変化に伴う法整備、技術革新の進行により、新たなリスクが生じ新たな保険商品が生み出されますが、今までの保険金支払に加え、種々の新たなサービスを付加して提供できる可能性を今回の取組で感じることができました。このサービスを開発したことで新たな現実と向き合うことができ、また更なる新たな商品開発につながっていきます。
我々は、お客様と真摯に向き合い、お客様に真に役立つ保険商品やサービスを提供していくのが当社の使命だと考え、これからも進んでまいります。
まごころ少額短期保険株式会社の商品
・ワンタイムやまの保険/ワンタイムツアーガイド保険
・マタニティライフ保険
・学校生活あんしん保険/不登校?その前に保険
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