現場の声から生まれた「ホテルパン1/1サイズのベーキングシート」。深刻な人材不足の救世主となるまでの

日仏商事株式会社は、“フランスの粋「エスプリ」を日本へ”をテーマに、50年以上もの間フランスの食文化を日本に発信し続けてきました。そのなかで、製菓製パン材料をはじめ、製造機器の提案やソリューション解決まで、トータルサポートをおこない現場の職人を支えています。

職人との距離も近い日仏商事だからこそ、お客様の声を直接聞く機会も多い。

今回は、そんな貴重な現場の声から生まれた、「生地がくっつかないベーキングシート」シルパット・シルパンホテルパン1/1サイズ（業界内でもっともよく使われているサイズ）ができるまでのストーリーをお伝えします。

製菓・製パン業界のプロ御用達「メゾンドゥマール」の製品

1965年の創業以来、メゾンドゥマールは、新たな発想からそれまでになかった数々の製菓・製パン道具を生み出し、同業界に革命をもたらしてきました。シルパットやシルパン、フレキシパンなどの同社の代表的な製品は、使い手の作業効率をアップさせるだけではなく、耐久性にも優れています。現在では、食に携わるプロフェッショナルのみなさまのもとでマストアイテムの一つとなりました。

シリコンとグラスファイバーというユニークな素材の組み合わせでできた「生地がくっつかないベーキングシート」シルパット・シルパン誕生の背景

誕生から半世紀以上を経た現在でも、製菓・製パン業界の国際的なスタンダードであり続けるシルパットやシルパン。この「生地がくっつかないベーキングシート」を発明したのはある一人のフランス人パン職人、ムッシュギ・ドゥマールでした。シリコンとグラスファイバーというユニークな素材の組み合わせから、ムッシュは発明品に「シルパット」と名付け、彼の焼くバゲットは、このシートを使い始めて間もなく「フランスで一番」と評されるようになります。

「フランス人職人の情熱が生み出した、生地がくっつかないベーキングシート」の揺るぎないオリジナリティ。それがメゾンドゥマールのシルパット・シルパンです。

製造現場の声をヒアリングして浮上した、ホテルパン1/1サイズのシルパット・シルパンの需要

さまざまなお料理を大量に、しかも仕上がりのムラなく美味しく提供しなくてはならないホテルや旅館、給食業界。また、昨今の深刻な人手不足で、同時に複数の作業を進められる「スチコン（スチームコンベクションオーブン）」は、現場で活躍しています。スチコンはホテルパンのサイズを基準に天板が設計されているため、スチコンを採用している現場では必然的にホテルパンサイズのベーキングシートが必須となります。

しかし、これまでに1/1サイズに適合するシルパット・シルパンはなく、他社の紙製のベーキングシートをカットして使用される方も多い状況でした。スチコンを使い効率化を図っているにもかかわらず、ひと手間作業が必要な状況が現場で起きていることが、ヒアリングから分かってきました。

メーカーと共同開発。日本特注品のホテルパン1/1サイズが誕生

現場のみなさんの貴重なご意見を聞いた上で、弊社ではみなさんのお役に少しでも立ちたいと思い、そこでホテルパン1/1サイズ対応のシルパット・シルパンが制作できないかメーカーと協議。最終的に、日本特注品としてメーカーの共同開発が実現しました。

完成したシルパット・シルパンは470mm×270mmで、ホテルパン1/1サイズの天板（530mm×325mm）に気持ちよくおさまります。

実際に使用した現場のプロから寄せられた喜びの声

ホテルパン1/1サイズが完成し、実際にホテルの厨房でご使用いただきました。サイズはもちろん、ジャストフィット。文中に記載したとおり、これまでは紙製のベーキングシートをカットして使用していました。宴会など大量に料理を作る際は、シートをカットするだけでもかなりの負担になっていたそうですが、それが解消されることに喜ばれていました。また、紙製シートにはないメリットがたくさんあるとのこと。とくにメッシュ状のシルパンは、肉や魚料理をする際にシートに油がたまらず、焦げが発生しないとのこと。