自ら手を挙げグループ内異動を経てリスキリングにチャレンジ―IT未経験者を含むリスキリングプログラム
パーソルグループでは中期経営計画2026において、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」を目指すための事業成長のエンジンとして「人的資本」を掲げています。中でもIT人材の獲得は重要指標となっており、2025年度にはパーソルグループ内のIT人材を2,000名まで増やすという具体目標も掲げています。この目標に到達するために、アップスキリングのほか、グループ内の未経験者をIT人材へ育成するリスキリングの取り組みを開始しています。
今回は、2022年度に自ら手を挙げ、「セキュリティ人材育成プログラム」を経験し現在はITセキュリティ部門で実務を担う深沢に、「リスキリングのリアル」に迫る話を聞きました。
パーソルグループのIT人材におけるリスキリングに関する取り組みはこちらをご覧ください。
「セキュリティ人材育成プログラム」概要
過去の職務経験を問わず半年間業務から離れ学習に専念することができ、修了後は専門人材としてパーソルホールディングス内のIT部門へ配属されるプログラムとして2022年度より開始。パーソルグループの全社員を対象にした公募型の異動制度「キャリアチャレンジ制度」(※審査あり。グループ会社間の転籍可能)と連携し、セキュリティ人材へのリスキリング希望者を中心に参加者を募集。2022年度は7名が修了した。
キャリアの幅を広げたいと、リスキリングへの挑戦を決意
ー今回、「セキュリティ人材育成プログラム」に、チャレンジしようと思ったきっかけを教えてください。
私は前職からシステムの開発や運用を担当していた経験があったため、セキュリティに配慮しなければならないシチュエーションがたくさんありました。そういった背景があり、実は「セキュリティ人材育成プログラム」に応募する前から自主的にオンライン講座を活用してセキュリティ領域の勉強をしていたんです。そんな最中、タイミング良くグループ内でのリスキリング人材の募集を発見し、パーソルワークスデザインからホールディングスに異動し、リスキリングに挑戦することにしました。
ー2022年度の「セキュリティ人材育成プログラム」は、パーソルホールディングスが主体となって、IT未経験者を含む複数人を一度にリスキリングするはじめての取り組みだったそうですね。前例がない中、チャレンジする上で不安はありませんでしたか?
応募する際、不安はそこまで感じませんでした。応募するまでに「リスキリング」という観点では自主学習に取り組むなど、自分で準備を進めていたからかもしれません。ただ、冷静になると、これまでとは仕事が大きく変わり、強みだったことが100%活かせるとは限らないので、思い切った決断だったなと思います(笑)。
ただ、未経験の職種で他の会社に転職しようと思うと、望む待遇を得られない場合が多いと思い、今回は同じグループ内での異動という形で、一定の待遇を維持しながらリスキリングにチャレンジできたことはかなり有難いですね。
「セキュリティ人材育成プログラム」参加者は私を含めて7名いたのですが、ずっと法人営業を担当されていた方などまったくのIT未経験という方が多く、そういった仲間たちと切磋琢磨しながら学んだ半年間でした。
座学+OJTを組み合わせた6カ月間の集中研修
ー参加した「セキュリティ人材育成プログラム」の全体的な流れやスケジュールを教えてください。
プログラムは全部で6カ月間ありました。最初の3カ月間はスキル習得期間です。グループ会社であるパーソルイノベーションが提供する『Reskilling Camp(旧 学びのコーチ。2024年2月に名称変更)』というサービスを活用して、オンライン・オフラインで講義を受けます。最終的に、情報セキュリティマネジメント試験に合格することを目指して、セキュリティの基礎知識を一から身につけていきました。
その後の3カ月間は、プログラム修了後に配属される可能性がある2つの部署で、1カ月半ずつOJTのもと実務体験期間となります。このような6カ月の研修を経て本配属され、現在はセキュリティ関連の業務を担当しています。
ースキル習得期間は、学習に専念できる環境だったということでしょうか?
はい。大変ありがたいことに新たな異動先での業務に向けて、担当業務を持たずにお給料をもらいながら学習に集中することができました。
最初の3カ月間、スキル習得期間は毎日課題が割り当てられるので、午前中はeラーニングのような形で、講義動画で勉強していました。情報セキュリティマネジメント試験の受験に必要な内容をベースにした講義で、法律、技術、マネジメントなどテーマごとにパートが分かれたものでした。
カリキュラムのなかには、2チームに分かれて問題を出しあったり、不明点を解説しあったりというアウトプットの時間も組み込まれていました。それが終わったら、夕方までひたすら情報セキュリティマネジメント試験の過去問に取り組む、という日々でしたね。また、配属の可能性がある部門の定例会に参加することもありました。
ー後半の3カ月間は実務体験とのこと。研修の内容は前半の3カ月に比べ大きく変わったのではないでしょうか?
そうですね。7人のメンバーを2チームに分け、配属可能性がある部署で実務体験をしました。がっつり業務にあたるというよりは、それぞれの組織の役割と主な業務を説明してもらい、実際にどのような仕事をしているのかを教えてもらう時間でした。OJT先の組織の方々とコミュニケーションをとりながら、前半のスキル習得期間で学んだことを少しずつ実務に結びつけていくような期間でしたね。実際の業務で利用しているチェックリストを用いて、問い合わせ対応に挑戦する機会もありました。
ー6カ月間のリスキリングプログラムを通して、最も印象に残っている部分を教えてください。
やはり実務体験ですね。座学の時に深く理解できていなかった部分や、なんとなくやり過ごしていた部分が、30分ほど解説してもらっただけで、頭が整理されてすべてが解決してしまった経験をしました。実際に業務に当たっている人材からの話や実務研修は、すごく理解を助けるのだな、と実感しましたね。
ー逆に、「もっと改善できたら」と思ったことはありましたか?
最初の3カ月間、オンラインで一人学習だった点でしょうか。自分の進捗度合いや理解度に問題がないのか、不安を感じていたところはありましたね。
ーそういった不明点の解消の場や、サポートしてもらえる体制などはありましたか?
はい。スキル習得期間は、『Reskilling Camp』を通して講師に直接メールで質問できるようになっていました。ほかにも、週2回ほど、受け入れ先となる部門が夕会を設定してくれていたので、その時間が不安や疑問を解消する場になっていましたね。一緒にリスキリングを受けているメンバーに質問して、お互いに教えあうこともありました。
学び直しを終え、一戦力としてセキュリティ対策業務へ
ー6カ月間のリスキリングプログラムを経て、いよいよ本配属になったわけですが、現在の仕事内容を教えてください。
私は、PMI(Post Merger Integration)チームに所属しています。M&Aによる統合時などセキュリティ面におけるリスクの有無を確認するのが、PMIチームの仕事です。
私が転籍してからまだM&Aの事例は経験できていませんが、日々さまざまな観点から問い合わせをもらいます。これまであまり触れてこなかった技術を知りながら、それぞれの事例に対してセキュリティ対策を考えられる今の環境は、とてもありがたいと感じますね。
ー今回、リスキリングを経験した上での率直な感想を聞かせてください。
挑戦して良かったと思いますね。自分自身、IT開発の際に納得感を持ってセキュリティ対策ができなかったことをきっかけに、セキュリティにきちんと携わりたいと考えていました。より強固なセキュリティ対策をグループ各社に依頼することもあるのですが、新たにリスキリングで身につけた知識やこれまでの経験を組み合わせて解決へ導ける可能性が出てきて、楽しいと感じます。
これまでの経験と新たな知識を組み合わせ、キャリアにさらなる可能性を
ーパーソルグループではリスキリングに関する取り組みがさまざまありますが、深沢さんの目にどのように映りますか?
キャリアを自律的に選択できたり、そのために学ぶ機会を会社が提供したりと、そういった理解のある会社って意外と少ないと思います。「これまでと違うスキルを」と思っていても、いろいろな意味でパワーが必要ですよね。
今回のリスキリングプログラムは、パーソルグループに在籍しながら思い切ってチャレンジできるので、良い取り組みだと感じます。半年間も勤務時間を使って学習できる会社はまだ多くないと想像するので、ここまで会社に頑張ってもらったからには貢献しなければならない。という思いは強くなりましたね。
ーリスキリングを経て、深沢さんの今の目標や今後挑戦したいことを教えてください。
たとえば私が所属しているチームが定めているポリシーや制度を自動でチェックできるようにする仕組み(Policy as Code)が将来的に作れたら、とやんわり考えていますね。そうでなくても、これまでの自分の経験がセキュリティと組み合わせられたらいいな、と思います。
ー最後に、今後リスキリングにチャレンジしたい人材にメッセージをお願いします。
リスキリングは、「ゼロから始めよう!」というマインドを持った人材であれば、きっと良い形で新たなキャリアが開けるのではないかと思います。また、パーソルグループのリスキリングで募集されるポジションは、パーソルが今後強みにしたい部分の一つだと思っています。リスキリングを通じて会社の未来をつくる一員になれる。というのが魅力ではないでしょうか。
※2024年1月時点の情報です。
パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。
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