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【株式会社SUPWAT】顧客開拓の壁をいかに乗り越えるか?製造業のエンジニアリングチェーンを最適化するDXプラットフォーム『WALL』の強みと顧客開拓の創意工夫

著者: 株式会社SUPWAT


製造業のエンジニアリングチェーンを最適化するDXプラットフォーム『WALL』


株式会社SUPWAT(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:横山卓矢、以下:SUPWAT(スプワット))は、「Manufacturing to Auto-facturing/知的製造業の時代を創る」というビジョンを掲げ、製造業のエンジニアリングチェーンに特化したDXプラットフォームの開発・提供を手掛けるテックベンチャーです。


2019年12月の創業以来、製造業の研究開発・設計・生産技術開発等のエンジニアリングチェーンにおける様々な課題を解決すべく、サービスを展開してきました。これまで取引のあった顧客企業には、TOYOTA様やBOSCH様といった大手自動車関連メーカー様や、石塚硝子様といった上場するメーカー様などがいらっしゃいます。(※PoC段階の取り組みを含みます。)


開発・提供するプロダクトは『WALL』。データとAI等の先端技術を駆使して構築したオリジナルのモデルを活用し、高度な実験や解析を可能とするプラットフォームであり、研究開発・設計・生産技術開発等の業務工程における膨大な試行錯誤をショートカットするソリューションです。


最小限のサンプルからでも最適なパラメータを導出できるため、熟練者に頼った属人的な実験・解析から抜け出し、業務の効率化および高速化を図るとともに、技術の形式知化にも繋がります。


具体的には、下記のような機能群を備えています。


  • モデリング:適切なアルゴリズムを選定し、実験・解析の目的に応じてノーコードでオリジナルの機械学習モデルを構築。
  • 影響度分析:説明変数の目的変数への影響を導出する分析。例:自動車部品メーカーでの不良時の要因を特定する際に活用。
  • パラメータ最適化:目的関数を最大化(最小化)させるために説明変数を最適化する分析。例:部材加工プロセスにおけるパラメータを最適化することで、スペックインする条件を導出する際に活用。
  • 性能予測:任意の説明変数から一意に定まる目的変数を導出。例:取得した複数の試験データから特殊な材料強度を予測。



スタートアップならではの顧客開拓の壁と商工会議所での石塚硝子様との出会い

 満を持してローンチした『WALL』でしたが、SUPWATは会社の認知や信用がまだ低いスタートアップ。この状況下での顧客開拓は困難を極めました。『WALL』は、製造業の中でもエンジニアリングチェーンに特化したプロダクトであり、この領域の業務に従事されている方は表に出ることが稀で接点を持つことが特に難しい方々です。代表の横山はじめBizメンバーは、セールスの正攻法とも言えるテレアポにはじまり、ウェブマーケティング、展示会への出展、過去にコンタクトした企業への再アプローチなど、あらゆる手法に取り組み試行錯誤を繰り返しました。この一環として取り組んだのが、製造業の多いエリアにある商工会議所への入会です。商工会議所では、定期的に会員企業向けのセミナーやミートアップなどの企画を実施しており、会員同士のマッチングや橋渡し役を担っています。こういった場へ積極的に参加することで、『WALL』を必要としてくれる見込み客との接点が生まれ、担当者様にお目にかかれる機会が徐々に増えていきました。そして、商工会議所での出会いがご縁で、『WALL』のトライアルをスタートされたのが、今回ご紹介する石塚硝子様です。愛知県岩倉市に本社を置くガラス製品メーカーで、東証スタンダードに上場しております。


創業したのは実に200年以上前の1819年(文政2年)。ガラスがビードロと呼ばれていた時代から、生活に欠かせないガラス製品を生み出してきた老舗の名門企業です。


長い歴史がありながらも革新を恐れない石塚硝子様は、足元でデジタル化に向けたプロジェクトを推進しており、一環として『WALL』を試験的に利用していただいております。両社の出会いやトライアル開始の背景、その成果について、石塚硝子株式会社イノベーション推進部長の柴田様とSUPWAT代表の横山がうかがいました。

名古屋商工会議所での出会いがトライアル開始の契機に

ーー柴田さんはいつ、どのようにして『WALL』を知ったのでしょうか?


柴田さん:『WALL』のことを知ったのは2023年の夏頃です。弊社の経営陣がSUPWATの横山代表と名古屋商工会議所で出会い、「提案があるようなので一度話を聞いてくれないか」と私まで話があったことがきっかけでした。


自部門にて「MI活用プロジェクト」を推進しており、自前のAIソフト評価を実施していたさなかだったので、市販のツールと比較するには良いタイミングと思いましたが、実は当初は「軽く話を聞いておくか」くらいの熱量でした(笑)。


ーーその後、同年9月には『WALL』のトライアル利用を始めるわけですが、その背景にはどのような課題意識があったでしょうか?


柴田さん:先端テクノロジーを活用していかないと、時代に取り残されてしまうという危機感を抱いていました。例えば有機物の合成には無数の組み合わせが存在します。顧客から求められているものを踏まえ、いかに早く、限られたデータの中から正しい解を見つけるかが極めて重要です。


もし他社が先駆けてAIなどのテクノロジー活用に成功してしまうと、製品の品質という面でも、研究開発のスピードという面でも、あっという間に時代遅れになってしまいます。きちんと自社の競争優位性を確立するため、『WALL』のようなプロダクトを利用しなければならないと感じていました。


横山:確かに人材もデータも限られるなかで、スピード感をもって成果物を出さないといけないというのは、製造業に共通する課題ですよね。他社より先にいいものを見つけることは本当に大切で、一度特許やシェアを取られてしまうと挽回は簡単ではないですから。


ただ、「競合優位性が失われる」というところまで危機感を感じられていたとは想像していませんでした。柴田さんの未来を見据える視座の高さを感じます(笑)。確かに業界の経営層レベルではDXを推進する機運が確実に高まっており、近い内に業界全体にそのような危機感が広がっていくのではと考えております。



ーーありがとうございます。そのような課題を解決するプロダクトは他にもあり得る中で、石塚硝子様が『WALL』を選んだ理由はどこにあったのでしょうか?


柴田さん:まずはユーザーインターフェースなどを含む全体的な使い勝手が良さそうだと思った点が挙げられます。


AIを用いた独自の分析ツールを社内で開発して活用を試みていましたが、非プログラマーである研究者が実務で使いやすい仕様を社内で作り切るにはやはりリソースに限界があります。性能自体は問題なさそうでしたが、皆が使ってくれるというところまで普及はできませんでした。


そんなタイミングで『WALL』の提案を聞いてみたところ、とても使いやすそうだったので、すぐにトライアル利用の開始を決めました。


横山:「誰でも使える状態にする」のは常に意識しているポイントです。例えばアルゴリズムや機能もたくさんあればよいというわけではありません。


実は我々も過去にたくさんの要素を選べるようにしていたのですが、最適なものを選ぶのに苦労して使うのをやめてしまう例が頻発してしまったんですよね。なので、あえて「主要なものはこれとこれとこれなので、その中のどれかを使ってね」と伝えるような設計にしています。


リテラシーの高い人は極論、自分でPythonなどを書いているはずです。そうではなく、全社的・部門的に普及をさせるには、いかにファーストステップ・セカンドステップをスムーズに進んでもらうかという点が極めて重要になります。そこを充実させているのが弊社の強みの一つですね。


柴田:あとはコストの面でも『WALL』はリーズナブルで利用を始めやすかったです。最初から年間契約が必須といった形ではなく、まずは価格を抑えたトライアルからお試しできるので比較的気軽に踏み出せました。

『WALL』に対する現段階の評価

ーー『WALL』は使い勝手にこだわっているという点で、まさに石塚硝子様が抱える悩みにぴったりのプロダクトだったんですね。では実際に半年ほど利用を続けてみて、現在はどのように評価されていますか?


柴田さん:現段階では満足度が高く、トライアルの継続を希望させていただきました。まずユーザーインターフェースの良さは期待通りで、現場のメンバーも積極的に触ってくれています。


そして、実施したテーマのうちの一つである有機材料の処方最適化において、「想定よりもかなり早いタイミング」で良い成果を得られました。


具体的には、4つの原料の配合量・比率を決定変数、出来上がった樹脂の硬度・透過率などを目的関数にして、データをインプットしました。その結果、これまで良かれと思ってきた組成比率よりも「抜群に良い硬度・透過率を実現できる」比率を『WALL』がアウトプットとして出してくれたんですよね。


もちろん実際に顧客からフィードバックを受けながら最適解を今後も探し続けていくのですが、まず「使えるな」という印象を抱きました。


一方で、圧力や温度といった機械の設定の最適化では優れた成果は出ておらず、苦戦をしています。もっともっとデータ数を増やしていかないといけないなと考えている状況ですね。


ーー期待を上回る成果も一部では出ているんですね!SUPWATはクライアント様が成果を出せるようなオンボーディングやサポート体制をどのように整備しているのでしょうか?


横山:「出てきたアウトプットが何なのか」をクライアント様が理解できるよう基本のオンボーディングをまずきっちりとさせていただきます。その上でアウトプットを「どのように考えればよいのか」というところまで、場合によっては議論しながら伴走します。


ドメイン知識はクライアント様側が多く有している一方、弊社はデータサイエンスやものづくりの定石やお作法などから鑑みて、「このデータはこうみたほうがよい」「この変数は減らしましょう」といったアドバイスを適宜させていただくようにしています。



ーー最後に、今後の『WALL』に期待することや展望についてお聞かせください。


柴田さん:利用率向上や浸透に向けて、引き続き使いやすさの面を磨いてほしいです。将来的に生産管理や財務管理など他の業務まで包含するツールになってくれれば、製造プロセス全体の最適化に繋げられると思うので、そのようなプロダクト展開も期待しております。


横山:確かに他の基幹システムを導入している会社さんは多いですよね。そうしたシステムと接続したり、もはや基幹システム自体になってしまったりすることまで視野にいれながら今後もプロダクトを磨いていきます。


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■プロフィール

株式会社SUPWAT 横山卓矢CEO

北海道大学工学部機械知能工学科 卒業。東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻修士課程 修了。JXTGエネルギー株式会社(現ENEOS株式会社)にて潤滑油の技術営業を経て自動車メーカー向けOEM製品の研究開発に従事。その後、株式会社メルカリに入社し、QR決済の加盟店開拓全般に関する業務に従事。2019年に株式会社SUPWATを創業。


石塚硝子株式会社 柴田康孝 様(岐阜大学応用化学科卒業。1992年に石塚硝子株式会社へ入社。溶解課、設備開発課、経営企画部等を経て、2022年より新事業・機能材料カンパニー社長補佐 兼 イノベーション推進部長)






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