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「血液型と性格」を最新AIと300万人のデータで実証――『B型女性はなぜ人気があるのか』の著者が語る英語論文プロジェクトの裏側

著者: 一般社団法人 ヒューマンサイエンスABOセンター

ヒューマンサイエンスABOセンターは、血液型と人間の関係を多方面から探究するため、国内外のさまざまな方面からメンバーを募り研究を行っています。


4月には、当センター研究員、金澤正由樹の新著『B型女性はなぜ人気があるのか』が鳥影社よりリリースされました。サブタイトル「AIと300万人のデータで読み解く『血液型と性格』」が示すとおり、Microsoftの最新AIを活用し、かつてない300万人超の膨大なデータも詳細に解析。


鮮やかなカラー図解を交えたこの新刊では、血液型と性格の関係について、新たな視点から革新的かつ科学的アプローチを展開しています。



金澤は、類を見ない日韓国際比較調査の解析にもAIを活用するなど、研究成果を数々の英語論文として矢継ぎ早に発表。血液型と性格に関する議論を新たな次元へと導くことを目指しています。


一般には、性格研究は文系である心理学の分野だと認識されていますが、金澤は独自の理系からの視点で事実を追求。大胆な仮説や推論を展開し、心理学や行動遺伝学研究の新たな可能性を探ります。


なお、執筆にはChatGPTをフル活用し、読みやすく平易な文章になるよう工夫しました。


知的好奇心を刺激する『B型女性はなぜ人気があるのか』で、性格分析の新しい地平を体験してみませんか。


このストーリーでは、金澤が検証を進める「血液型と性格」の関係性や、最新AIを用いた実証プロジェクトの経緯を振り返りながら、英語論文の発表に至るまでの取り組みについてお話します。


(ヒューマンサイエンスABOセンター 理事長 市川千枝子)

タレントイメージ調査では、B型女性がここ10年間で不動の人気


ヒューマンサイエンスABOセンターの金澤です。


多くの人が意外に思うかもしれませんが、現在の日本女性でトップの人気を誇る血液型はB型なのです。


私が着目したのは「テレビタレントイメージ調査」というもの。ビデオリサーチ社が年2回、2月と8月に実施しているこの調査は、既に100回以上の実績があります。そして、ここ最近10年のデータを見ると、B型のタレントがほぼトップを独占しているのです。



このことは、B型の性格が多くの人に好感を持たれていることを象徴的に示しています。


その他にも、


  • AKB総選挙上位半数はB型
  • B型女性が圧勝のフィギュアスケート


となっているので、やはりB型女性の人気は不動のものであると言えるでしょう。

100年以上も決着が付かなかった「血液型と性格」論争


ところで、血液型と性格には、本当に関係があるのでしょうか?


世界で初めて、血液型と性格の関係を示唆した論文は、1916年に日赤長野支部の医師である原来復・小林栄の両氏による「血液ノ類属的構造ニ就イテ」(『医事新報』954号)とされます。


その後、この血液型と性格に関係があるという説は、昭和初期の教育学者・心理学者である古川竹二教授が初めて本格的な研究を行ったため、彼が実質的な提唱者であるといっても過言ではありません。


彼は、当時の東京女子高等師範(現・お茶の水女子大学)の教授であり、1927年(昭和2年)に「血液型による気質の研究」と題する心理学論文を発表しました。論争は100年後の現在まで続き、まだ完全な決着は付いていないのです。



戦後になると、1971年に能見正比古が『血液型でわかる相性』を出版し、2年後の1973年には内容を深掘りした『血液型人間学』を発表。いずれも100万部を超えるベストセラーとなり、「血液型人間学」が流行語になるなど、日本中に血液型ブームを巻き起こします。


しかし、本格的な学問的研究は、なぜか遅々として進みませんでした。主な理由は、過去の心理学論文を読めば分かるように、性格テストでは一貫した結果が得られていないからです。このようなことから、ほとんどのアカデミックな研究者は、現在でも血液型と性格の関係には懐疑的な見解を示しているのです。

最新AIと300万人のデータを活用し、血液型と性格の関係を解析


そんな中で、突然発生したのが、空前の爆発的なAIブームです。


2022年11月に発表されたChatGPT 3.5は瞬く間に世界中で話題となり、今では誰もがAIについて語り、「生成AI」という言葉を耳にしない日はありません。このAIブームの影響で、高性能なAI半導体を供給するNVIDIA社の株価は急騰し、現在の時価総額はなんと世界一に躍り出ました。


現在のAIブームの先駆けは、2012年に話題となった「Googleの猫」の画像認識AIであり、AIが初めて「猫」を認識できるようになったことで大ニュースとなっています。この出来事を覚えている方も多いことでしょう。

AIを使った「血液型と性格」の実証に挑戦


そんな中、私は「血液型と性格」の関係をAIで実証できないかと模索しました。実は、体質・性格の関係にAIを活用した先駆的な研究は既にいくつか存在します。


特に注目すべきは、コンピュータ専門誌『インターフェース』に掲載された「顔写真から血液型を当てるラズパイ人工知能に挑戦してみた」という2017年の記事です。


記事では、手のひらサイズの小型コンピュータ「ラズベリーパイ」(略称:ラズパイ→下の図)とAmazonのAIを組み合わせ、約6,000枚の顔写真をAIに学習させることにより、その人の血液型を1分程度で予測する実験を行っています。


出所 Wikimedia CC BY-SA 4.0 DEED


私は、この先行研究にヒントを得て、AIを活用して「血液型と性格」のデータを解析し、「関係ある」という結果を出せば、心理学者の誰もが認めてくれるだろうと考えました。そこで、一連の実験結果を記した『「血液型と性格」の新事実』を2019年に上梓したのです。


しかし、一発逆転を狙ったこの試みは、あえなく挫折。そもそも、日本の心理学者でAIを理解する人はほとんどいません。このため、AIを使った「血液型と性格」の実験には事実上何の反応もなかったのでした。


ほとんど唯一の“反論”は、「論文を書いて学会で発表しろ」、です。そうしたら認めるとのこと。査読を通った論文以外は認めず、問答無用で却下すると…。

苦渋の選択でやっと英語論文の掲載に成功


もっとも、こんな日本の心理学者の反応から考えると、国内の心理学誌にAIを駆使した論文を投稿したとしても、ほぼ100%の確率で掲載拒否になるでしょう。そこで、やむなく英語論文の執筆に取りかかりました。


しかし、残念なことに、英語論文でも事態は似たり寄ったり。「まとも」な学術誌にAIを駆使した心理学論文を投稿しても、そもそもAIを理解できる査読者が見つからないのだから、正式に掲載されるはずもありません。


しょうがないので、投稿先をよりレベルが低い学術誌に変更。しかも、AIの部分は全面カットするという苦渋の選択を迫られました。こうして、予定は大幅に遅れ、足かけ3年の歳月を費やして、やっと初めて査読付き英語論文の掲載に成功したのです。なお、AIについては別論文とし、コンピューターサイエンスの論文として掲載することができました。


以上の英語論文プロジェクトの経緯をまとめて書籍化したのが、『デジタル時代の「血液型と性格」』となります。



これで、多少なりとも反論は減ったのですが、そもそもレベルが高くない学術誌なので――国内有名大学の論文も多少は掲載されているとはいえ――否定論がなくなることはありませんでした。

裏技を使って「まとも」な英語の学術誌に掲載


そこで、やむなく一計を案じて裏技を使うことにしたのです。


心理学で却下されるなら、他の分野で投稿すればいいかもしれないと思いつき、「血液型」というテーマのため、最終的に生物学にターゲットを絞り込みました。


近年、学術界では査読前論文(プレプリント)を事前に公表することが一般化し、有望と思われる論文には多方面から招待状が届くことがよくあります。そこで、改めてAIを活用した生物学のプレプリントを執筆したのです。


このプレプリントの公開は、偶然にもChatGPT 3.5のリリース時期と重なったためか、投稿依頼メールが1日数通も寄せられるという大反響を呼びました。その結果、幸運にも次の英語論文として正式に掲載することができました。



【参考】プレスリリース(図を抜粋) 2023年3月7日

「血液型と性格」Kindle版無料キャンペーン、最新AIを活用した英語論文出版のお知らせ(※キャンペーンは終了しています)

AIを活用した英語論文の“成果”でアカデミックな評価が完全に逆転


もっとも、英語論文の執筆に対しては、いまだに複雑な気持ちを抱いています。内容が日本語の論文と変わらないにもかかわらず、特に「日本オリジナルの研究」である「血液型と性格」について、わざわざ「英語論文」を執筆する必要があるのか…という極めて当然の疑問です。


しかし、英語論文の“成果”は極めて劇的でした。多くの日本の心理学者たちは、論文が公開された途端にほぼ完全に沈黙。また、AIに関する知識が乏しいためか、目立った反論も見受けられませんでした。さらに、これらの論文のアクセス数は合計7万回以上にも達し、私の日本語の著作をはるかに上回る結果となりました。まさに「事実は小説より奇なり」を体現するものです。


もっとも、これまでの“反論”である「自分で論文を書いて学会で発表しろ」という意見への反応では、多くの否定派や心理学者たちが沈黙する一方で、「関係がある」と認める声はほとんどありませんでした。最終的には、「英語論文は無意味」という“反論”まで出現する始末。これにより、日本国内において「血液型と性格」に関する研究が極めて受け入れられにくいことが実証されたのです。


現在では、下の表に示すように、査読付き英語論文といったアカデミックな評価の場では、肯定論が質量両面で否定論を圧倒する結果となっています。



具体的な論文名は次のとおりです。


a. Tsuchimine et al. ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects. PLOS ONE. 2015年

b. Rogers et al. Blood Type and Personality. Personality and Individual Differences. 2003年

c. 縄田. 血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――. 心理学研究. 2014年 (日本語)


ところで、「性格テストでは血液型の差が出にくい」という結果は、一般的な常識に反するものであり、疑問を抱かれる方も多いかと思います。


2017年、権威ある科学誌Natureにおいて、数十万人の遺伝子データを調査した論文が発表されました。この論文によれば、血液型のような単一の遺伝子が性格(性格テストの結果)に与える影響はわずか0.4%未満であり、事実上ほとんど無視できる程度のものであるとされています。


そんな結果から考えると、性格テストで血液型の差が出にくいという現象の原因は、一言で言えば性格テストそのものの「バグ」です。詳細については、前出のプレスリリースにて説明しています。


【再掲】プレスリリース 2023年3月7日

「血液型と性格」Kindle版無料キャンペーン、最新AIを活用した英語論文出版のお知らせ(※キャンペーンは終了しています)


なお、より詳しい情報は、次のアゴラの記事にて無料公開しています。



この他に、本書の内容の一部を金澤のサイト無料公開を行っていますので、興味を持たれた方は、ぜひご覧ください。


「血液型と性格」は、心理学では数少ない日本オリジナルの研究です。今後とも、日本の研究者が中心となり、きちんとした体系的な性格理論が構築されることを切に願っています。

ヒューマンサイエンスABOセンターについて


1920年代、現お茶の水女子大学の教育心理学者である古川竹二教授が、日本における血液型と気質・体質の関係に関する研究のパイオニアとして、初めてその研究を開始しました。


この研究は、1971年に能見正比古が出版した『血液型でわかる相性』により、新たな段階に進みました。能見の独自の調査と分析に基づく研究は、国内外から大きな関心を集め、現在もなお、日本はこの分野において世界で最も多くの研究を行っています。


当センターは、能見の研究実績を継承しつつ、血液型と人間の関係を探究するため、国内外のさまざまな方面からメンバーを募り研究促進を行っています。






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