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CoEをけん引するマネジメント層から見た、CoE初年度の成果と今後の展望

著者: パーソルホールディングス株式会社

パーソルグループでは、中期経営計画2026で掲げた「テクノロジードリブンの人材サービス企業」の実現に向けて “テクノロジー人材・組織の進化” をテーマとした取り組みを進めています。


この取り組みの中核となるのが、テクノロジー人材による「CoE(Center of Excellence)」です。事業やサービスにおけるテクノロジーの実装・活用を強化するべく2023年4月に組成され、現在グループ各社への技術支援を行っています。


今回はCIO/CDOとしてテクノロジー戦略を牽引する柘植と、CoEの組織づくりや取り組みのマネジメントを担うグループデジタル変革推進本部 本部長の朝比奈にインタビュー。CoE組織組成から1年間の歩みと現在地、そして今後の展望を聞きました。


パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。

グループ各社との協業の土台となる 体制・仕組みづくりに奔走

―CoE組織とはどのような組織なのか、概要を教えてください。

朝比奈:CoEは、パーソルグループ全体の、事業・サービスでのテクノロジーの実装・活用を強化するため、2023年4月にパーソルホールディングス内に組成しました。まずは、ITコンサルタント、データサイエンティスト、エンジニアなど、多様なバックグラウンドや専門性を持つテクノロジー人材をホールディングスで新規採用し、組織をつくるところからスタートしました。


もともとホールディングスに在籍していたテクノロジー人材に加え、約70名の新規採用により、現在のCoE組織は80名ほどの規模になっています。(2024年6月現在)

―この1年間で組織はどのように成長していったのでしょうか?

朝比奈:急速に組織拡大が進みましたが、ほとんどのメンバーが離れることなくコンディションやモチベーションを保って活躍してくれており、まずはグループ各社との協業の土台となるしっかりとした組織づくりができたと捉えています。


現在は、変革のポテンシャルが大きく、必要とするテクノロジー人材の数も多いパーソルテンプスタッフに50名ほど、その他のいくつかのSBU*にも優先順位をつけてメンバーをアサインし、それぞれの事業の一員として事業推進や技術支援を実施しています。


*SBU:Strategic Business Unitの略称。サービス事業領域ごとに分けた組織単位

―グループ各社との新たな協業をスタートするにあたって感じた難しさなどはありましたか?

柘植:グループ全体でのテクノロジー活用を前に進めていくために、「CoE」としての取り組みが有効であると考え開始したものの、実際にやり始めてみるとさまざまな難しさがありましたね。


朝比奈:初めは、グループ各社の現場の社員からすると「経緯を知らないホールディングスの人々に口を出される」と思えてしまうこともあったでしょうし、「CoEメンバーにどのような業務を任せるか」などの観点で目線が合わず、半年ほどは形にならずもどかしい期間がありました。CoEも、入社したばかりのメンバーが多く、事業自体への理解がまだ深くない中でプロジェクトに入り、難しい立ち回りが求められました。


そうした中、一つひとつの取り組みで素早く価値を発揮して私たちのケイパビリティや本気度を示し “ホールディングスの人々”ではなく一緒に価値をつくっていく仲間であるということを示し、23年度下期頃からは現場の皆さんとの関係値が変わっていきました。CoEメンバーも今ではチームに溶け込み、 “なくてはならない存在” として頼られ、メンバー自身もそれを強く実感できるまでになりました。


柘植:そうしたCoEの組織づくりや、グループ各社との協業・コミュニケーションを進めながら、他にもグループ各社との人事制度の統一や、事業の人件費負担を抑えるための「戦略予算」の設定など、 “仕組み” の部分でも協業の土台を築いた1年でした。

課題を乗り越えて協業を実現し、“ナイストライ”を積み重ねた1年間

―これまでの1年間を振り返って、事業に対する支援の成果としてはいかがでしたか?

朝比奈:1年間でCoEとして関わってきたプロジェクトは数十件にのぼり、これだけのトライができたことは初年度の成果として非常に大きなものだなと。私たちの取り組みの意義や価値を、現場の皆さんはもちろん、経営層に対してもしっかりと示すことができたのかなと思っています。


柘植:CoEから大勢のメンバーが関わったパーソルテンプスタッフについては、これまでにない規模で人材派遣事業のDXを考え、実行し、大きな進歩を生み出せたと捉えています。

―そのほか、成果を感じられている取り組みの効果があれば教えてください。

朝比奈:グループ全体の動きを把握している立場として、「ホールディングスでこんな取り組みをしています」「グループでこんなことが起きているから、ここに手を打ちませんか」と、SBUをまたいで情報を提供できる強みがCoEにはあります。


この1年間で、ビジネスのことはもちろん、人事や経営戦略、コンプライアンスといったさまざまな観点で、各SBUからCoEに相談をもらい、グループ全体の状況やそれぞれの立場の考え方などをふまえた乗り越え方を一緒に考えてこられたことは、当初想定していなかった価値発揮の形でしたね。

―取り組みをリードする立場として、1年間の手応えをどのように感じていますか?

柘植:上期は、予想していた以上の協業の難しさを感じましたが、そこで諦めたり、取り組みが下火になって終わったりすることなく、より良い協業のあり方を掴み、今に至れたことに、大きな山をひとつ乗り越えたような手応えを感じています。


時間はかかりましたが、土台となる仕組みをしっかりとつくり、たくさんの仲間を得て、グループ各社の皆さんとの良い関係を築くために必要な時間だったのかなと。ようやく本当の意味でスタートラインに立てるところまできたという感覚です。

今ある取り組みをさらに加速させ、インパクトある事例を生む1年に

―“本当の意味でのスタートライン”に立った今、2024年度をどのような1年にしていこうと考えていますか?

柘植:今年も多くの新しい仲間を迎え、今取り組んでいるプロジェクトをさらに加速させていきます。協業の土台はできあがっており、また昨年以上に踏み込んだテーマ設定もできていますから、それらを形にして「インパクトのある成果に繋げられた」という事例を多く生んでいきたいですね。


中でも人材派遣事業の変革はパーソルグループが掲げるとても大切なテーマの一つなので、これまでの良さを守りつつCoEの新しい視点を取り込みながら、成果に繋げていければと思います。

―朝比奈さんの立場ではいかがですか?

朝比奈:昨年から考えてきたさまざまな取り組みを推進して、法人・個人のお客さまに「便利になった」「パーソルを選んでよかった」と思っていただきたいなと考えています。


そのために、CoEとしてのメンバーの育成、成長支援をしっかりと行って “求心力” を高めるのはもちろんですが、今年からはメンバーに各事業の皆さんとともに、現場で事業を最大限に磨くことに “遠心力” を持って取り組んでもらえるよう、意識して組織運営を行っていきます。

「はたらいて、笑おう。」の世界を、一つでも多く・早く実現するために

―CoEの最終的なゴールとして目指す、組織のあり方とはどのようなものですか?

柘植:「新たなテクノロジーを使いこなし、新しいプロダクトを生み出せる方や、その可能性を持った人材が集まっている」「多様なバックグラウンドに裏付けられたノウハウや知見、アイディアを持っている」「ホールディングスという立場で、グループ内の情報や事例を知っている」……そんなCoEならではの強みを活かして、グループ内のさまざまなところに飛び込み、一社では進められないような大きな変革をリードする存在になってもらいたいと思っています。

朝比奈:バックグラウンドや専門性の多様さ、それによって増える引き出しの数は、組織としての大きな強みですよね。そういった多様な視点を活かしながら、テクノロジーに専門性を持つ人材がビジネスのことを真剣に考え続けるからこそ、マーケットの激しい変化にもアジリティ高く向き合っていけるはずだと思いますし、そんな組織であり続けたいなと思っています。


また私たちは今、CoEという仕組みを通じて“グループ横断でのマトリックス組織“にトライしているとも言えます。私たち自身がモデルケースとなって、これからもはたらき方をアップデートしていきたいところです。


―そうした組織像の実現によって、パーソルグループにどのような影響を与えていきたいでしょうか?

朝比奈:ビジネスのことを真剣に考えるテクノロジー人材が増え、取り組みのボリュームが増えた先で事業にとって良いインパクトが生まれること、また私たち自身のはたらき方がアップデートされていくことが、グループとして目指す「はたらいて、笑おう。」の世界を一つでも多く、そして早く実現していくことに繋がればと思います。


柘植:何より大切なのは、より多くの方に長く使っていただける、パーソルグループのお客さまの成長のきっかけになるようなサービスを増やしていくことです。そしてそのためには、​​人が介在して丁寧にご支援するだけでなく、テクノロジーを活用してあらゆる接点で人の力を超えるサポートまで実現していくことが重要になると考えています。


そうしてテクノロジーの力でサービスの価値を高めることによって、今よりも圧倒的に収益率や生産性の高いビジネスモデルに進化させること、ひいてはパーソルグループが掲げる「テクノロジードリブンの人材サービス企業」の像を実現することにしっかりと向き合っていきたいと思います。

※2024年6月時点の情報です。


パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。




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