【ポケマル社員インタビュー】生産者さんの「発信→繋がり形成」を全力でサポート|生産者パートナー統括 中山 拓哉
「生産者と消費者を直接つなぐCtoCプラットフォーム」を運営するポケットマルシェ(ポケマル)では、「平成の百姓一揆」や「令和のスマホ一揆」といった、生産者さんをサポートしたり意見を交わしあったりするプロジェクトを毎年のように開催しています。それらの企画や運営を率いてきたのが、ポケマルの生産者パートナー統括、中山 拓哉(愛称:なかたく)です。
大学卒業当時は、大企業に入ってなんぼだろうという気持ちで大手外資系のIT企業に就職をしたそうです。しかし、「自分の仕事が誰のためになっているのだろうか」というもやもやを感じるようになり、大学時代から共感を覚えていたポケマル代表高橋に想いを全てぶつけて、「ポケマルに入りたい」と直談判。その後、ポケマルに入社してから今まで生産者をサポートするリーダーとして活躍しています。
ポケマルメンバーや生産者さんからの信頼が厚く、常に堂々として見える一方で、語り出すと想いが溢れて大号泣してしまったことも一度や二度ではない。そんな熱い心を持っている彼に、ポケマルが行う生産者さんの販売をサポートする施策に込めた想いや目指す未来について、たっぷりと語ってもらいました!
▼ PROFILE ▼
中山 拓哉(Takuya Nakayama) / Twitter
福岡県出身。外資系IT企業での営業職を経て、2017年に6人目の社員としてポケットマルシェに入社。生産者の販売サポート統括を担っている。
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令和のスマホ一揆
ポケットマルシェでは、2020年4月から「令和のスマホ一揆」と題した生産者さん向けのオンラインセミナーを開始しました。(開催レポートはこちらからご覧いただけます:第1回・第2回)
生産者さんのさらなる販売力強化を目指し、当社コミュニケーション戦略顧問を務める田端信太郎さんを講師に迎え、SNSの活用に関する事例紹介や具体的なアドバイスを行なっています。
(*生産者さんのSNS活用状況についての調査結果は、以下をご覧ください)
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── 「令和のスマホ一揆」の狙いは何でしょうか?
ポケマルは、生産者さんが自ら食材を販売するプラットフォームですが、これまで直販の経験がなかった生産者さんが大半です。いい食材を作るだけではなく、お客様にそれを伝えて理解してもらう必要があります。ですから、「自分の言葉で食材や自身の魅力をいかに発信するか」を生産者さんに考えていただくための一つの機会として実施しています。
── 参加者の反応はいかがでしたか?
ポケマルのコミュニケーション戦略顧問である田端さんが、「SNSのプロフィールはどのように書けばよいか」といったテーマでSNS活用方法を伝えるオンラインセミナーなのですが、生産者さんから「もっとポケマルでコミュニティ投稿をしてみようと思いました」「Twitterを始めて、ちゃんとお客さんと向き合わなければいけないと思いました」といった反応がありました。
「#令和のスマホ一揆」というハッシュタグで、Twitter上でもたくさんの感想をいただきました。それだけではなく、生産者さん同士でお互いを高め合うような動きも生まれているんです。たとえば、愛知県のトマト農家さんが「自分でもっと情報発信をしていかなければいけないと気づいたので、生産者同士で作ったプロフィールを見せ合いっこする会を開きましょう!」と、ご自身でイベントを企画したり。このように、生産者さん同士が繋がるようになったことは、このセミナーの副次的な効果だと感じます。
これまでに5回開催しましたが、セミナーに関するアンケート結果の『とても満足した』『満足した』の割合は、なんと100%でした。これまでは、ポケマルやSNSでのプロフィールの作り方を主に取り上げてきましたが、今後は、「ポケマルのコミュニティ機能をどう活用してお客様と会話していったらいいのか」「商品の写真をどう撮ったらいいか」といったテクニックに関する講座も開催していきたいと思っています。
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「答えは現場にあり」−YouTube動画制作
オンラインセミナー「令和のスマホ一揆」に加え、「ポケマル信太郎 日本を喰らう!」と題し、田端さんとポケマル代表の高橋とでSNS活用に成功している生産者さんの生産現場を訪ねるYouTube動画の制作も行っています。
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── 生産現場で動画撮影を行っていますが、その狙いは何なのでしょうか?
海苔漁師さんにとっては、夜の10時に船に乗って収穫現場に向かったり、掃除機のような機械で海苔を吸い取っていくのは当たり前の日常ですが、消費者にとってはすごく新鮮な光景だと思うんです。「海苔ってこんなふうに採るんだ」とか「こういう工程で海苔ができるんだ」ということを動画を見ている人にも知ってほしくて、現場に行きました。
撮影現場では、田端さんから「こういう場面をSNSで発信していくと面白い」というアドバイスがあり、撮影にご協力いただいた漁師さんから「気づきがあった」とおっしゃっていただけました。消費者にとって価値のある情報が、日々の仕事風景の中にたくさん詰まっているんだということを、もっと生産者さんに伝えていきたいです。
また、「こんな情報を元に商品を選んでる」「生産者さんとのこんなやり取りに感動を覚えた」といったポケマルユーザさんの声を吸い上げて、生産者さんに還元するコンテンツを作っていきたいと思っています。
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「自分で売る力」が持続可能な一次産業をつくる
── このような生産者さんサポートの取り組みを通じて達成したいことは何でしょうか?
代表の高橋がいつも言っている例えがあります。「発展途上国を支援するのなら、魚を渡すのではなく、釣り竿を渡し、釣り方を伝える方がいい。魚という支援は一時的なものであり、やがてなくなってしまう。魚の釣り方を教えないかぎり、そこに持続可能性はない」
ポケマルも、それと似た思想で運営しています。生産者さんの代わりにポケマルが商品を売る、という考え方ではありません。ポケマルはあくまでもプラットフォーマーであり、生産者さん自身の発信力や販売力を強化できるようにサポートしていきたいんです。
たとえば、ポケマルでは「つくりてからのおたより」を作るためのパワーポイントフォーマットを提供しています。生産者さんは、フォーマットに食材やご自身の情報を書き込み、印刷して食材に同梱するといったように活用してくださっています。何から何までポケマルが担うのではなく、少し大変ですがご自身で作り上げていただく。そんな販売サポートを行っていきたいんです。生産者さんが「自分で売る力」を身につけることが持続可能な一次産業に繋がると思っていて、ポケマルではそこをとても大事にしています。
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「生産者パートナー」としての自覚
── これまで仕事をしてきて、よかったことは何ですか?
「ポケマルで販売を始めて、お客さんと繋がれてよかった」というお声を生産者さんからダイレクトにいただけた時、やっていてよかったなと感じます。ポケマルが新たなことに挑戦する時にも、「なかたくが言うなら協力するよ」とおっしゃっていただけるのは非常にありがたいです。
── 常に一番近くで生産者さんと関わって厚い信頼を得ていらっしゃいますが、信頼されるコミュニケーションの秘訣は何かありますか?
まず、下からでも上からでもなく、「一緒に直販をやっている仲間」という立ち位置で生産者さんと接することが大事だと考えています。前職で営業をしていた時のような堅苦しさは捨てて、いい意味でフランクに接するように心がけています。
また、生産現場の状況をちゃんと知っておかないと、といつも思っています。たとえば、「稲刈りの時期だから忙しいかもしれない」といった時期的なことはきちんと把握しておきたいと思いますし、生産者さんと電話をする時には、ここ最近の現地の天気を事前に調べたりもします。いきなり要件を話し始めるのではなく、「最近、お住まいの地域では雨ばかりですね」というところからコミュニケーションを取っていくということは、意識しながらやっていますね。
── では、特に努力していることはありますか?
生産者さんがコミュニティ上で発信している内容に、意識的に目を通して情報を収集しています。農林水産省が出している一次産業関連のデータを個人的に整理して発信したり、ということもしています。
また、生産現場に行くことを大事にしたいと思っています。先日も、銚子のとうもろこし農家さんの現場に行ってきましたし、「平成の百姓一揆(後述)」の時にはイベント前後に生産現場を訪れて色々お話させていただきました。そうすることで、「こういうところで収穫されているんだ」「こうやってポケマルを利用してくださっているんだ」ということが理解でき、生産者さんとより深くやり取りできるような気がします。また、新たな機能を検討する際に、「現場ではポケマルをこのように使っているから、こんな機能にできるといい」といった意見も出せるようになりますね。
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次のステージに向かって
── 自身の入社時には300人だったポケマルの登録生産者さんは、現在では3200人と約10倍に増えています。今後の展望を教えてください。
たくさんの生産者さんにお客様と直接繋がってもらうことを目標にこれまでやってきたので、改めてこれだけ登録生産者さんが増えて嬉しいです。生産者さんから感謝の言葉をいただける機会も多くなり、やっていてよかったと感じています。
より多くの生産者さんに直販を経験していただきたいですが、ただやみくもに登録して出品してもらうだけでは意味がないと思っています。生産者さんに「自分で売る力」をつけていただき、さらに、お客様との繋がり方を知ってもらいたい、という気持ちがますます強くなってきたことから、「令和のスマホ一揆」などの企画をしています。
今後は、生産者さんがご自身で試行錯誤することをサポートできるような仕組みを作っていきたいです。たとえば、生産者さんが商品閲覧数の増減を見られるようになれば、写真や価格を変えたりといった工夫を重ねる際の判断材料が増える。そんな仕組みを実現したいです。
そして、個人としては、せっかく生産者さんに一番近い立ち位置にいるので、誰よりも一次産業に詳しくなりたいですね。
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「平成の百姓一揆」と「REIWA 47キャラバン」
2018年から2019年にかけて、ポケマル代表高橋は、「世なおしは食なおし」を旗印に47都道府県を巡り、参加者と膝を突き合わせて語り合う「平成の百姓一揆」を行いました。
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── 運営事務局として同行されていましたが、何か印象に残ったエピソードはありますか?
長崎のトマト農家さんの現場に行った時、ポケマルユーザさん宛てに出荷するための段ボールがたくさん積まれているのを見て、「生産者さんの日常に、こんなにポケマルが入り込んでいるんだ」と実感して感動しました。
その後、農家さんとの会話の中で、「仕事をするのが楽しくなった。ポケマルを始めてからお客さんと直接関わるようになって、農業の価値をどう伝えればいいかということを深く考えるようになった」という言葉もいただきました。ポケマルが生産者さんの人生にポジティブな影響をもたらしたという話を聞けたことで、一層やる気が出ましたね。
── そして2020年7月、大分県での開催を皮切りに、高橋が再び全国を行脚する「REIWA 47キャラバン」が始まりました。
平成の百姓一揆に同行した立場として、今年の47キャラバンに何を期待していますか?
「ポケマルが何を目指しているのか」「一次産業はどうなっていくべきなのか」「生産者と消費者が繋がるとは、具体的にどういうことで、どのような価値があるのか」。REIWA 47 キャラバンに参加して、そのような問いをぜひ直接ぶつけてもらいたいなと思っています。さらに、参加いただく生産者さんからは、生産現場でのお困りごとや、ポケマルの機能に関するご要望も伺いたいです。
ポケマルは「個と個をつなぐ」をミッションに掲げています。前回の百姓一揆は生産者さんを中心に集客していましたが、今回は消費者の方々にも来ていただきたいんです。「個と個がつながるとは何か」「生産と消費がつながるとは何か」ということを皆で一緒に考えていきたい。我々も答えを探している途中なので、REIWA47キャラバンがその議論の場になれば、と思っています。
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「REIWA 47キャラバン」は8月末時点で、大分、熊本、山口、長崎、佐賀、福岡、埼玉、栃木、茨城の9県での開催を終えました。高橋自身が書いたレポートでは、訪れた地域の現状を伝えています。
9/3からは福井、岐阜、愛知の東海エリアを訪れます。これまでのレポートや、今後のスケジュールについては、下記の47キャラバン特設サイトをぜひご覧ください!
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