群馬県の焼まんじゅうを次世代に繋ぐ為に。伊勢崎銘仙柄を用いたギフトボックス『八起萬寿(やきまんじゅう)』誕生秘話
群馬県伊勢崎市の株式会社忠治茶屋は上州名物「焼まんじゅう」の製造・販売をしている創業54年の会社です。現在は櫻場裕太が3代目の代表として美味しい焼まんじゅうを群馬県民に届ける為、日々尽力しています。店舗は群馬の侠客国定忠治に所縁がある建物になっており、床は土間で囲炉裏があり何処からか江戸の足音が聞こえてくるような店内になっています。
伊勢崎市の食文化の焼まんじゅうを、伝統工芸品である「伊勢崎銘仙」の柄を用いて、ギフトボックス「八起萬寿」を作成した理由やギフトボックスに込めた沢山の想いについてお話させて頂きます。
焼まんじゅうとは?
焼まんじゅうとは餡子が入っていないお饅頭に甘しょっぱい味噌ダレをつけて焼き上げた群馬県の郷土料理です。発祥は江戸時代末期と言われていて昔から小麦粉の生産が盛んで粉食文化が根付いていた事から群馬県内で食べられるようになったと言われています。
焼まんじゅうは昔から群馬県民にとっては、お昼ご飯や、おやつであり最近では「群馬県民のソウルフード」と呼ばれるとても身近な郷土料理で、2022年には文化庁から「伝統100年」フードに認定してもらいました。
焼まんじゅうを郷土料理として次世代に繋ぎたい
ただ、焼まんじゅう屋の高齢化による減少、核家族化やコロナの影響など社会的な変化の中で、大勢の家族やご近所の方々と焼まんじゅうを囲んで食べるシーンは少なくなり、郷土の味としての焼まんじゅうと人々の距離が遠くなってきている印象を受けます。今まで繋いで来てもらった食文化である焼まんじゅうをこの先もずっと郷土料理であるために次世代へ繋いで行く一員でありたいと想い、何か出来ることはないかと思案していました。
お客様の心をつかめるようなギフトボックスを探求。想いが重なりコラボレーションで実現
以前から忠治茶屋のお客様から「もっと素敵な装いの商品があると嬉しい」とお声を頂いて、贈り物として選んで頂きやすくなる事で、焼まんじゅうを食べる習慣が無い方やお店が近くに無い方との距離を縮める事が出来るのではないかと思い、ギフトボックスの制作を考え始めました。
ギフトボックスのパッケージに合う素敵な柄を探している中、忠治茶屋の所在地である伊勢崎市にあった文化の1つで、現在は作られていないが大正から明治初期にかけて作られていた「伊勢崎銘仙」という先染めの平織り絹織物に興味を持ちました。
伊勢崎銘仙
そこで伊勢崎銘仙の振興に携わる株式会社Ayの代表である村上さんとお話をさせて頂く機会があり、その中で「文化を次世代へ繋いでいきたい」という想いが重なり、Ayと忠治茶屋のコラボレーションが実現し企画がスタートしました。
ギフトボックスのネーミングを思案。勇気を奮い越せるように、たくさんの幸せがあるようにと願いを込めた名前に決定
まず初めにネーミングから考え始めました。伊勢崎市で毎年1月11日の鏡開きの日に行われる直系55㎝の焼まんじゅうを奉納してから焼き上げる「八起萬祭(やきまんさい)」という神事から名付け「八起萬寿(やきまんじゅう)」としました。
「八起萬寿」の名前の由来は「七転び八起き」にあります。困難があろうともそれに負けず、また勇気を奮い起こす意味でエールを贈る言葉「八起」と、贈る人にも貰う人にもこれから沢山の幸せがあるよう「萬寿」と願いを込めました。
伊勢崎銘仙の箱や群馬県の形に抜かれたリーフレット
Ayが所持している伊勢崎銘仙を実際に手に取り、数ある中から2種類選びました。それぞれの柄に『花道(はなみち)』『玉てばこ(たまてばこ)』のネーミングとコンセプト(メッセージ)をAyを中心に作成し、忠治茶屋の想いを柄に重ねて伝えています。伊勢崎銘仙は群馬ならではの伝統工芸品で伊勢崎や群馬の文化を伝える貴重な役割も担っています。
縁起のよさや群馬への想いが詰まったリーフレットや帯の柄(地紋)には、七宝と紗綾形という吉祥文様を使っており、柄ごとに込められた願いや意味があります。その帯を着物の帯に見立てた作りになっています。
また、リーフレットが群馬県の形に抜かれ焼まんじゅうがのぞく仕掛けをして楽しんでいただける工夫と焼まんじゅうを知らない人にも楽しんで頂けるように焼まんじゅうの焼き方が載っています。
商品の帯には英語表記も併記し「県内外の方を始め、より多くの方に群馬県のソウルフードを楽しんでいただきたい」と考えています。また、食べた後も手元に置いていただきたいという想いから、きれいなデザインと丈夫な箱の設計にしました。
昔から食べられている焼まんじゅうを伝えてきた歴史、そして変わらない美味しさを将来へと繋いで行く「花道」
2種類のパッケージ「花道」と「玉てばこ」にそれぞれコンセプトを設け「花道」は、『歴史を今に繫いだ軌跡と、この先の将来へ続く道』をコンセプトとしています。
群馬で昔から食べられている焼まんじゅうを伝えてきた歴史と今、変わらない美味しさを将来へと繋いでいく「花道」。人の人生もまた花道。そんな想いが込められています。
「花道」とは一般的に歌舞伎の舞台に観客席を貫いて設けた俳優が出入りする通路のことです。「花道を飾る」とは、花道で一際目立つ所作を務めることが由来です。
この「花道」は、贈り手、もらい手、一人ひとりの人生を表すとともに、穏やかに、豊かな伊勢崎の地を歩いているような柄です。
「花道」
焼まんじゅうを通じて、大切な人と宝物のような時間を過ごしてほしい「玉てばこ」
「玉てばこ」は『大切な人と集う、宝物のような時間』をコンセプトとしています。
焼まんじゅうを通して、大切な人と集い宝物のような時間を過ごしてほしいという想いを込めた柄です。
集い、食卓を囲み、語り合う。大切な人たちと楽しいひとときを過ごすことが、何よりの幸せ。そして、人と人との交わりが日常に元気と豊かさをくれ、人生を彩り豊かなものにしてくれます。
季節のイベント、家族の集まり、孫が遊びに来るときにも。焼まんじゅうは、人が集まり楽しい時間を過ごすときの立役者として、群馬県にはなじみ深い存在です。
友人や家族と焼まんじゅうを囲み楽しくおしゃべりするひととき、また県外の友人へのお土産にもぴったりです。懐かしさと新しさが交わる焼きまんじゅうは、特別な時間をもたらします。
「玉手箱」
次世代に繋ぎたい伊勢崎の文化と焼まんじゅうの魅力。今後も群馬県のソウルフードと呼ばれ続けるように
制作に10カ月掛けて完成し、出来上がった物を見てイメージ通り以上の物が出来たと思いまはしたが、本当にお客様に喜んで頂ける物ができたのか不安になり店先で知り合いに商品を見てもらい感想を伺っていると、たまたま居合わせたお客様のお連れだった5歳くらいの男の子が近づいてきて八起萬寿を指さして「宝物だっ!?」と言ってくれた時に改めて良い物が出来たのだと実感しました。
2024年1月11日に販売を開始してから地元テレビや新聞で取り上げてもらい、オンラインショップ等でお中元やギフト等で使ってもらっていて色んな方々に焼まんじゅうの魅力が広まっていると思います。焼まんじゅうが今後も群馬県民のソウルフードと胸をはって呼んで頂ける様、次世代へ伊勢崎の文化と焼まんじゅうの魅力を伝えていきたいです。
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