エゾシカ革のイッピンEZObag 誕生秘話 どこにもない鞄、かばんだけれども鞄じゃないモノ
札幌のエゾシカ革アルチザンデザイナーの高瀬季里子(株式会社24K・代表取締役)は、2008年から「24KIRICO」のブランド名でエゾシカ革の特性を活かしたバッグや小物類を制作しています。北海道にしか生息しないエゾシカの革の有効活用を継続して促進してきました。
このストーリーでは創業当初に制作した「EZObag」の誕生秘話とともに、新たに挑戦した海外展示会への出展など、最新の活動についてもお話します。
エゾシカ革に興味を持ってもらいたい一心で作り上げた「EZObag」。メディアの関心を集めるきっかけに
2008年に誕生したEZObagと名付けられた鞄は、私が初めてエゾシカ革に触れた時の気持ちが全て詰まったカバンとなりました。
EZO bag (HADACA Leather)
姫路の白なめし革、日本の白革と言われる塩と菜種油だけでなめした革は、白くて、当初は紙のような質感でした。
であればと、コピー用紙をハサミで好きな曲線でカットしていくうちに立体が生まれていきました。計算ではなく、本当に好きな有機的なラインを追求していきました。歩留まりと言われる四角で区切らない、全て曲線だけの贅沢な形。
革の流通がない中で、いつ製品化できるかわからないもの。売れなくても構わない、まずはこの製品が、エゾシカ革でできているということを知ってもらいたい。オブジェなのか、鞄なのか?アート?クラフト?デザイン?と興味を持ってもらいたい一心で作り上げました。
もちろん、個性的すぎて最初から売れませんでした。でもメディアの人たちは面白いねと話題にしてしてくださいました。エゾシカについては社会問題としてニュースにはなっているけれども、革の活用の方法は誰もわからない、どうやって伝えるかと、すごく関心を持っていただけました。
北海道だからできること
北海道固有のエゾシカ。絶滅危機から保護へ、そして増加による新たな課題と取り組み
ひととエゾシカの共生は北海道の重要な地域課題の一つであり、その共生の輪の中に「使う」という行為も連なっています。
エゾシカは北海道固有の生き物であり、本州以南に生息するニホンジカよりははるかに大きい体が特徴です。オスの場合、最大で体長190cm・体重150kgにも達します。
狩猟の対象でもあったエゾシカは明治初期の大雪と乱獲により一時は絶滅寸前の危機に陥りましたが、保護政策が始まると群れは年々増加する一方に。それと同時にエゾシカが引き起こす農業被害や交通事故が多発するようになり、地域社会に与える影響もより甚大になっていきました。
2022年の北海道の野生鳥獣による農林水産業の被害のうち、エゾシカによる被害は約8割。被害額は48億4千600万円にも上り、現在は狩猟による個体数の調整が行われています。
札幌市内にも出没するようになってしまったエゾシカ、草食動物で人には向かってこない動物、街の中に出てきたら山に帰してあげます。殺すなんて可愛そうと誰もが思うことですが、山の中では頭数調整をしています。
美しいものに変えていきたい。素材を見てからデザインすることで、個性を生かしたプロダクトへ
最初はよりたくさんの人が手に取りやすいように小物から製品化しました。同じ型紙で、同じように作っても同じにならない、一枚一枚の革の個性がありすぎて、革の見極めが重要でした。
今でも裁断はなかなか他の人に任せることができません。24Kでは作るものに合わせて、革を分別しています。
もちろん、作るものによって加工も変えています。たくさんの野生の鹿の革を触っていると、自然に次は何を作ろうかとアイディアが膨らんできます。私のデザインの方法は素材を見てから、その素材を生かせるプロダクトを企画、デザインしています。
そして、端の端の革まで全て使い切ってあげられるようにラインナップを増やしています。
furiru-full-re(フリルフルリ)
パリの展示会「メゾン・エ・オブジェ」で衣服を発表。現地で得られた反響と実感
今年2024年1月には、初の衣服というプロダクトを憧れのパリの展示会で発表することができました。フランスはもとより、海外のバイヤーや学生達、出展者などの感想を直接聞くことができました。
WHAT'S NEW という主催のデザイナーがピックアップしてくれるブースに選出されて、2箇所にて発表できたことも大変光栄で、たくさんの人が来てくださいました。
日本の反応とは違ったオーバーリアクション!ストレートに気持ちが伝わってきて、やっていて生きていて良かったと、少しでも生かせて良かったと思えました。私が好きな俳優の杏さんも駆けつけてくださいました。
世界の中ではほんのちっぽけなことですが、モノを作る責任を少し果たせたかなと感じています。
メゾン・エ・オブジェ(パリ) のブースの様子
HADACA(肌鹿)の直営店を札幌にオープン。製品をご覧いただける唯一の拠点に
9月1日には念願の直営店がようやく札幌市中央区にオープンしました。
一度にたくさんは作れないですが、このお店でしか販売しないものがたくさんあります。
小さなお店ですが、現在HADACA(肌鹿)の製品をご覧いただけるのはここだけです。是非、実際に触れて感触を確かめていただき、お気に入りの一品を選んでいただきたいです。
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直営店開店のプレスリリース
株式会社24K
所在地:札幌市中央区大通西18丁目1-40-307
TEL/FAX: 011-577-8104
MAIL: info@24kirico.com
24KIRICO
HADACA肌鹿
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